あらすじ
強制のはじまり
明星(みょうじょう)高校2年生の蒼井春隆は、美人と評判の先輩、金城ひかりに告白されるものの断ってしまう。春隆には誰にも言えない思い人がおり、その人との思い出のおもちゃの指輪を、今も大切に持っていた。一方その頃、春隆の妹の蒼井ましろもまた、サッカー部の諸星聖也に告白されるものの断っていた。ましろにもまた、好きな人がいたからだった。そんな中、突如アスモデウスと名乗る悪魔にあやつられ、二人はひかりと聖也に交際を申し込み、キスするように命じられる。そして春隆は、ひかりとキスをしそうになるが、すんでのところで思い出の指輪が目に入ったことで思い留まる。こうして正気を取り戻した春隆は、すぐさまましろを正気に戻し助けるが、そこへアスモデウスが再び現れる。アスモデウスは現在「ピエンティ・フルール」と呼ばれる禁断の果実を成熟させ、食べたいと思っているのだが、成熟させるには人間の持つ恋愛感情エネルギーが必要不可欠だった。そこでアスモデウスは、複雑な恋愛事情を抱えているため、高い恋愛感情エネルギーを持っている春隆とましろに目を付けたのだ。
悪魔が支配する学校
蒼井春隆と蒼井ましろは、アスモデウスから2年以内に伴侶を作らないと死んでしまう呪いをかけられてしまう。翌日、二人はひとまず学校へ行くが、幼なじみの道場花火から衝撃の事実を知らされる。春隆とましろは、昨日アスモデウスと接触したあと、体調不良ということで早退した。その間にアスモデウスは学校全体を洗脳し、自らを「アスモ先生」と名乗るようになる。そして豚に変身させられた諸星聖也は、学校で「トンちゃん」として飼われるようになり、生徒にも馴染(なじ)んでいた。二人は聖也を助けるためにも恋人作りを始めるが、春隆が花火以外の女性とまるで縁がないのに対し、ましろは男性から非常に人気が高い。春隆は今後どうやって好きな人を探すべきかと悩むが、そんな中、大切にしているおもちゃの指輪をなくしてしまう。春隆はすぐさま落としたと思われる場所を探し続けるが、1週間たっても指輪は見つからなかった。一方その頃、花火から話を聞いたましろも指輪を探すようになっていた。
新たな悪魔と金城ひかり
蒼井春隆のおもちゃの指輪は、蒼井ましろが必死で探したおかげで、どうにか見つかった。春隆は、誰が指輪を見つけてくれたのか知らないまま安堵(あんど)するが、そこへ春隆に振られて以来1週間ほど学校を休んでいた金城ひかりが登校して来る。ひかりに呼び出された春隆は、先日の一件を謝罪し、お詫(わ)びとしてひかりとデートすることになる。しかし、これは新たに現れた悪魔のポルカの入れ知恵だった。アスモデウスを信奉するポルカは、彼女のために少しでも早く「ピエンティ・フルール」を成熟させたいと考えていた。そこで春隆とましろだけではなく、ひかりの持つ春隆に復讐したいという歪(ゆが)んだ情動も利用することにしたのだ。こうして訪れたデート当日、ひかりは春隆をその気にさせてから振るという作戦を立て、さまざまなアプローチを仕掛ける。しかし、その過程で春隆の人柄に触れ、心境に変化が訪れる。そこでひかりは、あるアクシデントがきっかけで蒼井家に招かれた際、なぜ自分を振ったのかを改めて春隆に尋ねる。だが、春隆は好きな女性がいるとしか答えず、ひかりは納得できないでいた。そこへ業を煮やしたポルカが現れ、ひかりに憑依(ひょうい)して無理やり春隆とセックスさせようとする。
デヴィルズ・ダスト
アスモデウスがあいだに割って入ったことで金城ひかりはポルカから開放され、蒼井春隆は事なきを得た。ポルカの正体は「デヴィルズ・ダスト」と呼ばれる、かつてアスモデウスを守っていた魔殻(まかく)であり、本来は意思を持って行動できるような存在ではなかった。しかしある日、アスモデウスの気まぐれによって一滴の血を与えられ、一人の悪魔として目覚めたのだった。以来ポルカは、いつかアスモデウスの役に立つために研鑽(けんさん)を積み、今回ついに姿を現したのだ。そんなポルカを疎ましく思ったアスモデウスは、すぐさまポルカを殺そうとする。だが、蒼井ましろが身を挺(てい)してかばったことにより、ひとまずあきらめる。そんなましろの行動に、アスモデウスになら殺されても構わないと考えていたポルカは怒り狂うが、翌日からなぜか春隆たちの高校に転校生としてやって来る。
玉木 桜
ポルカが明星高校に通うようになってから間もなく、蒼井春隆は同級生の玉木桜が、トンちゃんにセクハラされている姿を目撃してしまう。桜はトンちゃんがやって来てから積極的に世話をしており、トンちゃんにも気に入られていた。しかし毎日、スカートに頭を突っ込まれるなどのセクハラを受けていたのだ。だが、桜はセクハラを嫌がるどころか、喜んで受け入れていた。そんな桜に春隆は衝撃を受けつつ、ひとまず彼女の話を聞くことにする。桜はトンちゃんを受け入れるうちに、自分は特殊な性的嗜好(しこう)を持つ変態なのではないかと悩みながらも、トンちゃんと過ごす毎日を楽しんでいた。この話を聞いた春隆は、恋人を作ればそちらに関心が向くようになり、今の不安は消えるのではないかとアドバイスする。すると桜は、考えた末に春隆に交際を申し込む。自分の特殊な嗜好を春隆ならば治療してくれるのではないかと考えたのだ。桜を心配した春隆はこの申し出に応じ、二人は付き合うようになる。しかし桜と過ごすうち、春隆は事態がさらに複雑であることに気づく。以前、桜は諸星聖也にあこがれていたが、思いを告げられぬうちに聖也は行方不明になってしまう。実は桜は、トンちゃんに聖也と似たものを感じて接していたのだ。春隆は、聖也とトンちゃんが同一人物であるとは言えずに思い悩む。
すれ違う想い
玉木桜はトンちゃんと距離を置くため、蒼井春隆と交際していることをトンちゃんに報告する。これを偶然立ち聞きしてしまった蒼井ましろは大きなショックを受けるが、何も知らない春隆は桜とデートをすることになる。当日春隆は、ましろには友人と遊びに行くとウソをついて桜に会いに行くが、ましろは春隆を尾行しており、トンちゃんも二人を探していた。トンちゃんこと諸星聖也は、聖也として暮らしている頃は、桜に特別な感情は抱いていなかった。しかし豚になってからは、自分の世話を甲斐甲斐(かいがい)しく焼いてくれる桜を、大切に思うようになっていたのだ。そして桜もまた、春隆と過ごすうちに複雑な感情を抱いていた。春隆のことは人間として好きで、いっしょにいるのは楽しいのだが、桜はトンちゃんを突き放してしまった罪悪感の方が大きかったのである。するとそこへましろが現れ、説明を求められた春隆は席を外すことになる。そんな中、ナンパしようと男性たちが桜に群がる。そして桜がそのしつこさに困惑していると、トンちゃんが割って入ってくる。
思い出の場所
諸星聖也はナンパ男たちから玉木桜を守ろうとした際、一瞬トンちゃんから聖也に戻る。桜への強い思いが、一時的に奇跡を起こしたのだ。一方の蒼井春隆は、蒼井ましろにきちんと説明できないまま別れていた。結局その日、ましろは家に戻らずに春隆は眠れない一夜を過ごす。しかし翌日、春隆が学校に行くとましろはふつうに登校していたが、春隆が声をかけようとすると突如姿を消してしまう。ましろはポルカの協力を得て、彼女の能力を使って身を隠していたのだ。こうしてましろが自宅に戻らないまま3日間が経過し、春隆はいら立ちを募らせる。しかし春隆は、アスモデウスから桜とのデートをましろにウソをついていたことを指摘される。そして、子供の頃の思い出の場所にいたましろを見つけ出し、桜との関係をすべて伝えたうえで謝罪する。すると、ましろはデートをしたことではなく、自分にウソをついていたことに怒っていたことが判明。春隆はましろに改めて謝罪して二人は仲直りするのだった。
花火の想い
玉木桜は、トンちゃんが諸星聖也であることを蒼井春隆に伝えるが、これがきっかけで、桜は「アスモ先生」として振る舞うアスモデウスの正体と、その目的を知ってしまう。そんな中、春隆はあまりにも成績が悪いことから、留年の危機に陥っていることが発覚。これを問題視した蒼井ましろは道場花火を家に呼び、春隆の勉強を見てもらうことにする。こうして幼なじみの三人は久しぶりにいっしょに過ごすが、その夜、ましろは花火から衝撃の事実を打ち明けられる。それは花火が春隆にずっと片思いしていたということだった。ましろはこれに驚きつつも協力を誓うが、そこに留年の件を聞きつけた金城ひかりや桜、ポルカが蒼井家にやって来て、花火は春隆と二人きりになれなくなってしまう。そこでましろは、春隆のストレスが頂点に達したタイミングで、春隆と花火にデートしてくるよう提案する。
真実は突然に…
蒼井春隆と道場花火がデートをしている最中、蒼井ましろは体調不良で倒れてしまう。デート中、ましろと連絡がつかないことを不審に思った春隆は、早めにデートを切り上げようとするが、花火にはまだ帰らないで欲しいと言われ困惑する。結局、春隆は花火を説得して家に帰ってましろの看病をするが、花火はこれに嫉妬してしまう。だがましろは、花火が心配するようなことは何もないと考えていた。春隆と自分は実の兄妹であり、何があっても恋人になれない関係であると考えていたからだった。しかしそんな中、海外から久しぶりに帰って来る両親のためにましろは家の掃除をしていると、自分と両親、春隆は血がつながっていないらしいことを知ってしまう。
誓い
時はさかのぼる。蒼井春隆と蒼井ましろは、貿易会社で働く父親の蒼井幸助と貿易商社で働く母親の蒼井真奈加のもと、仲のよい兄妹として子供時代を過ごしていた。ある日、いつもいっしょにいる男女は結婚して夫婦になる運命らしいと知った春隆は、ましろといつかそうなるのだろうかと考えていた。しかしましろから、兄妹は夫婦になれないと教えられショックを受ける。だが、ましろは春隆となら結婚してもいいと伝え、二人は春隆が用意したおもちゃの指輪とベールで、二人だけの結婚式を挙げるのだった。だがその直後、春隆は幸助からましろとは血がつながっていないことを伝えられる。
ライバル
蒼井ましろは血液検査をした結果、O型とO型の両親からは、A型の自分は生まれてこないことを確認する。この日からましろは、蒼井春隆を意識するあまり避けるようになり、春隆は理由がわからずに困惑する。春隆から相談を受けた道場花火は、早速ましろに会って探りを入れるが、話の途中でましろは突然泣き出して先に帰ってしまう。これを不審に思った花火は、後日改めてましろを呼び出し、もし悩み事があるなら姉同然に育ってきた自分に相談して欲しいと申し出る。この言葉に心打たれたましろは、自分だけ家族と血がつながっていないことを打ち明ける。そして、ましろの春隆への思いを察した花火は、これからはましろと自分はライバル関係だと宣言する。
蓋した想い
蒼井春隆は蒼井ましろが自宅の掃除中、家族の中でましろだけ血がつながっていないことを知ったのではないかと推測し、そのために自分を避けているのではないかという結論に達した。そこで春隆は父親に相談しようと電話をかけるが、その会話をましろに聞かれ、ましろは家を飛び出してしまう。困り果てた春隆は偶然居合わせたポルカに頼んでましろを探してもらうと、彼女が廃ビルの屋上にいることを突き止める。春隆と相対したましろは、なぜこんな重要なことを今まで隠していたのかと、彼に怒りをぶつける。すると春隆は、ましろがもう絶対に隠し事をして欲しくないなら、もう一つ伝えたいことがあると自分の思いを語り出す。それは、ましろが好きだということで、彼女はこの言葉に驚きつつも春隆と改めて話し合おうとするが、よろけて転落してしまう。
熟成する果実
廃ビルの屋上から落下した蒼井ましろは、蒼井春隆に助けられて無事だった。春隆もまた、一部始終を見ていたアスモデウスに助けられたことでケガはなかったものの、直にアスモデウスの魔力に触れたことで気を失い、その日から目を覚ますことはなかった。アスモデウスによれば、春隆が意識を取り戻すには、愛する者が彼に口づけするしかないという。この言葉を聞いたましろと道場花火は、誰が春隆にキスするべきなのかと悩むが、ましろは花火にその役を譲ろうとする。ましろは血がつながっていないとわかった今でも、兄妹で恋人にはなれないと考えていたのだ。これに納得のいかない花火は、蒼井家にあったおもちゃの指輪を見つけ出し、眠っている春隆の指にはめて去って行く。花火は幼い頃からずっと春隆とましろが両思いであることを知っており、ましろにどうか素直になって欲しいと願って行動に出たのだ。そんな花火の思いを知ったましろは、ついに自分の気持ちに素直に向き合い、春隆にキスをする。
登場人物・キャラクター
蒼井 春隆 (あおい はるたか)
明星(みょうじょう)高校2年4組に在籍する男子。ツンツンの黒髪ショートヘアで、三白眼が特徴。アスモデウスによって付けられた呪印(じゅいん)が首にあるため、包帯を巻いて隠している。明るい面倒見のよい性格で、困っている人を放っておけないタイプ。恋愛に関しては非常に一途(いちず)で、血のつながっていない妹の蒼井ましろを、子供の頃からずっと思い続けている。そんな高校2年生のある日、ましろへの複雑な思いをアスモデウスに興味を持たれ、「ピエンティ・フルール」を成熟させるための格好の恋愛エネルギーとみなされる。そして呪印を付けられ、2年以内に伴侶を作らないと死亡する呪いをかけられてしまう。ましろのことは大好きだが、ましろは蒼井春隆と血がつながっていないことを知らない。ましろと恋人になることはあきらめており、呪いをきっかけに金城ひかりや玉木桜と交流を持とうとしたが、ましろへの思いを断ち切ることはできずに苦悩している。子供の頃、ましろに贈った彼女とペアのおもちゃの指輪を大切にしている。両親は貿易会社と貿易商社に勤めており、海外勤務が多く不在がちのため、家事はましろと分担しながら生活している。血液型はO型。幼なじみの道場花火からは「春くん」と呼ばれている。
蒼井 ましろ (あおい ましろ)
蒼井春隆の妹で、明星高校に通う1年生の女子。腰まで伸ばした真っ白な髪をストレートロングヘアにしている。小柄な体型の美少女で、異性に人気があるが告白されても、すべて断っている。心優しく情に厚い性格で、つねにクールに振る舞っているが、春隆に対しては少々素直になれないところがある。子供の頃からずっと春隆に思いを寄せているが、彼と血がつながっていないことは知らずに育った。そのため、実の兄妹で恋愛はできないと考え、春隆への思いを胸に秘めて過ごしている。そんな高校1年生のある日、春隆への複雑な思いをアスモデウスに興味を持たれ、「ピエンティ・フルール」を成熟させるための格好の恋愛エネルギーとみなされる。そして呪印を付けられ、2年以内に伴侶を作らないと死亡する呪いをかけられてしまう。春隆に恋人を作るよううながしつつも、いざ春隆が金城ひかりや玉木桜と親し気にしていると嫉妬してしまったり、道場花火が春隆に思いを寄せていると知っても応援することができず、苦悩している。両親は貿易会社と貿易商社に勤めており、海外勤務が多く不在がちのため、家事は春隆と分担しながら生活している。血液型はA型。
道場 花火 (みちば はなび)
蒼井春隆と蒼井ましろの幼なじみで、明星高校2年4組に在籍する女子。心優しく世話好きなしっかり者で、セミロングヘアを一つにまとめている。春隆とましろとは子供の頃から仲がよく、ましろからは「花ちゃん」と呼ばれている。非常に勘が鋭く、人の隠し事や些細(ささい)な変化もすぐに見抜いてしまう。そのため、子供の頃から春隆に思いを寄せているが、春隆とましろのあいだには誰も入り込めないほどの絆(きずな)があることを感じ取り、行動に移せていない。そんな高校2年生のある日、アスモデウスによって明星高校全体が洗脳され、アスモデウスをアスモ先生として認識して暮らすようになる。しかし春隆とましろ、アスモデウスが呪いと伴侶について話しているのを聞いてしまい、以降は何も知らないふりをしながら彼らの動向を探っている。
アスモデウス
突如、蒼井春隆たちの前に現れた悪魔。若い女性の姿をしている。お尻まで伸ばした真っ赤なロングヘアに羊の角と蝙蝠(こうもり)の羽、そして細長い尻尾を生やしている。ある日、天使や悪魔の中で、さまざまな争いの種となってきた禁断の果実「ピエンティ・フルール」を手に入れる。しかし、ピエンティ・フルールの成熟には人間の恋愛感情によるエネルギーが必要であるため、エネルギーを回収するために人間界へ降り立った。だが、1000人以上の恋愛エネルギーを与えてもピエンティ・フルールは一向に熟さず、量よりも質の方針に切り替える。そんな中、複雑な恋愛をしているらしい春隆と蒼井ましろに目を付け、二人に2年以内に伴侶を作らないと死ぬ呪いをかけて呪印を施した。自由勝手な性格で、目的のためには手段を選ばない。諸星聖也を豚の姿に変えてしまうなど、気に入らない相手には容赦がない。しかし残虐非道というわけではなく、話し合いや交渉には応じることもある。春隆とましろに呪いをかけてからは、二人が通う明星高校全体を洗脳し、教師の「アスモ先生」として振る舞っている。
諸星 聖也 (もろぼし せいや)
明星高校に通う3年生の男子。ウルフカットヘアにしている。サッカー部のエースで、将来はプロ入り間違いなしと言われている。女子に人気があるが女癖が非常に悪く、警戒している女子も多い。高校3年生のある日、蒼井ましろに告白するも断られ、さらにその直後にアスモデウスから豚の姿に変えられてしまう。その後は春隆たちの学校で飼われることになり「トンちゃん」と呼ばれるようになる。トンちゃんになってからも聖也としての意識は残っており、豚になったのをいいことに自分の世話をする女子にセクハラ三昧していた。しかし、自由過ぎる振る舞いで女子に嫌われてしまい、人間だった頃とのギャップに悲嘆する。そんな中、唯一献身的に接してくれる玉木桜に少しずつ惹かれていく。
玉木 桜 (たまき さくら)
明星高校2年6組に在籍する女子。癖のあるロングヘアを2本の三つ編みにしてまとめ、眼鏡をかけている。少し地味で目立たない印象ながら心優しい性格で、動物の面倒をよく見ている。ひそかに諸星聖也にあこがれを抱いていたが、アプローチすることはできず、遠くから見つめる日々を送っていた。そんな高校2年生のある日、突如聖也が行方不明になって悲しみに暮れる。それでも動物の世話は行っていたが、聖也が行方不明になったと同時に現れた豚のトンちゃんに、聖也と似たものを感じて惹かれていく。また、トンちゃんからセクハラを受けても拒まないどころか積極的に受け入れているため、自分は特殊な性的嗜好を持つ変態なのではないかと思い悩むようになる。そんなある日、蒼井春隆にトンちゃんからセクハラを受けている場面を目撃され、悩みを打ち明けたことで親しくなる。
金城 ひかり (かねしろ ひかり)
明星高校に通う3年生の女子。胸の下まで伸ばしたロングヘアを、カチューシャでまとめている。名家に生まれた生粋のお嬢様で、成績優秀に加えて容姿端麗。そのため男子から非常に人気があるが、金城ひかり自身はすべての男性を見下している。男という生き物は女性の顔と身体にしか興味のない、性欲に支配された存在だと思い込んでいるため、適当に選んだ男子に告白しては付き合い、別れたあとはまた別の恋人を作るといった行為を繰り返している。そんな高校3年生のある日、蒼井春隆のことを女性に縁のなさそうな可哀想(かわいそう)な男性とみなし、次のターゲットに定める。しかし、春隆に振られたたことで強い復讐(ふくしゅう)心を抱くようになり、半ばポルカにそそのかされる形で再度春隆にアプローチし、春隆がその気になったところで振る作戦に出る。だが、その過程で春隆の人柄に触れ、春隆に思いを寄せるようになる。
ポルカ
かつてアスモデウスの体を覆っていた魔殻(まかく)の一部で、その魔殻が年月を経て朽ち落ちた「デヴィルズ・ダスト」の少女。太ももまで伸ばしたロングヘアにリボンカチューシャを付け、羊の角と蝙蝠の羽、そして細長い尻尾を生やしている。本来はデヴィルズ・ダストとなったあとに、そのまま消えるはずだったが、アスモデウスが気まぐれで一滴の血を与えたことから悪魔の身体と自我を持ち、現在の姿になった。自分が生まれた経緯からアスモデウスのことを盲目的に慕っているが、長らくアスモデウスに存在を認識されることはないまま、自分を拾ってくれた別の悪魔によって育てられた。それでも「ピエンティ・フルール」を食べたいというアスモデウスの願いを叶(かな)えるため、ポルカの大切なものと交換してでもピエンティ・フルールを得ようとしたり、恋愛エネルギーを集めているアスモデウスのために陰ながら協力している。そんなある日、金城ひかりを無理やりに蒼井春隆とセックスさせようとしたことがアスモデウスに見つかり、逆鱗(げきりん)に触れて存在を消されそうになる。しかし、これを不憫(ふびん)に思った蒼井ましろが止めに入ったことで生き延び、その後はアスモデウスにも許される。これ以来明星高校に生徒として通うようになり、ピエンティ・フルールの成熟を勝手に手伝うようになる。語尾に「~です」を付けた独特の話し方をする。