あらすじ
雷鳴の青馬(第1巻~第2巻)
「幕府」の治める世の中にあって、そんな「幕府」に対して反乱の機運が高まり、混乱の続く時代、MUROMACHI。忍術と空手を融合させた格闘技「忍空」をあやつる風助は、同じく「忍空」の仲間である橙次や藍眺と共に、師匠である麗朱の指示で「虹を翔ける銀嶺」を目指していた。しかし、旅の途中で風助は藍眺や橙次とはぐれてしまい、とある川で流されているところを青馬という青年に助けられる。青馬は代々川の番人の家系であり、災害で家族を亡くした子供達と共同生活を送っていた。そんな中、子供達が行方不明になるという事件が起こる。子供達を探すために川の上流へと進んだ青馬は、そこで戦争のために細菌兵器を開発している一団と遭遇。子供達は、細菌兵器開発の事実を知ったために監禁されていたのだ。子供を人質に取られて抵抗できない青馬だったが、そこへ風助が現れて子供達の救出に成功する。細菌兵器の開発施設を壊滅させた青馬は、自身が風助と同じく「忍空」の使い手「雷鳴の青馬」である事を明かし、「虹を翔ける銀嶺」での再会を約束する。
植物の緑里(第2巻~第3巻)
橙次や藍眺と無事に再会した風助は、「虹を翔ける銀嶺」を目指す途中で農園に立ち寄る。そこで出会ったヴェルという女性から、彼女と同じく農園で働くアルーベという青年を紹介された風助達は、戦乱の時代にあってもこの農園を守っていこうとしている事を聞かされる。だがそこへ「忍空」使いを仲間に引き入れるべく活動していた土紋率いる部隊が現れる。しかし、風助達の行き先が自身にとって敵対勢力である「幕府」である事を知った土紋は、仲間にせずに殺してしまう事を画策する。土紋は、アルーベが剣を持つと殺人マシンとなってしまう、呪われた一族の末裔である事を利用し、風助達を襲わせるが、そこへヴェルが現れる。実はヴェルもまた「忍空」の使い手であり、ある事情から偽名を名乗っていた。自分の本当の名前が緑里である事を明かした彼女は、「忍空」使い「植物の緑里」としてアルーベと相対する。しかし、アルーベの人格を元に戻す事はできなかった。一命を取り留めながらも記憶をなくしたアルーベを思いながら、緑里もまた「虹を翔ける銀嶺」を目指して旅立つのだった。
氷の黄純(第3巻~第4巻)
「虹を翔ける銀嶺」を目指す風助達だったが、具体的な場所がわからず、みんなで手分けしてその場所を探す事にした。橙次達と別れた風助は、偶然立ち寄ったライブハウスで「忍空」使いの黄純と再会する。黄純は氷をあやつる事ができる事から「氷の黄純」と呼ばれており、「虹を翔ける銀嶺」へも行かなければならない事も理解していた。しかし、自身の恩人である桜堅にピアノを認めてもらうまでは、動く事はできないと風助に告げる。さらに、黄純は桜堅の妹である水菜と恋人同士であり、彼女との仲も桜堅に認めてもらう必要があった。黄純の事情を知った風助は、黄純が出発できるようになるまでいっしょに待つ事にするが、そこへ「夜叉連合軍」と呼ばれる男達が現れる。「夜叉連合軍」は「幕府」の臣下が手を組んだ組織であり、幕府内部でも反体制派として力をつけてきている勢力だった。風助達の前に現れたのはその一部隊だったが、風助と黄純が幕府に従う「忍空」の使い手である事を知って襲撃してくる。その巻き添えで桜堅が負傷してしまい、怒った風助と黄純は「夜叉連合軍」の部隊を壊滅させる。その後、桜堅にピアノと水菜との交際を認められた黄純は、風助と共に「虹を翔ける銀嶺」へと向かう。
鉱の林慶(第4巻~第5巻)
黄純と共に「虹を翔ける銀嶺」を目指す風助は、その途中で山吹という少女と出会う。山吹は「恍然宗」の僧侶が「夜叉連合軍」と手を組んだという事実を知り、その内情を探っていたのだという。もともと「恍然宗」は中立の立場だったが、「恍然宗」の座主が「夜叉連合軍」と手を組む事を決めたため、それに従う僧侶が各地に集まっていた。風助は山吹とその父親の林慶と共に「恍然宗」の僧侶の一人と出会う。その僧侶は、風助が戦争によって孤児となった事を知り、自分も同じ境遇である事から同志となるよう勧めるが、風助が「忍空」使いである事がわかると、「同志」ではなく「敵」として相対する。これまでの敵と異なり、強力な術をあやつるその僧侶を前に、風助は一時的に仮死状態となる技で気配を殺して応戦する。その頃黄純は山吹と共に風助を発見するが、そこへもう一人の「恍然宗」の僧侶が現れた。風助を守りながら戦う黄純は苦戦を強いられるが、さらにそこへ現れた林慶は、自らを「忍空」使い「鉱の林慶」と名乗り、風助と黄純を救い出す。
赤雷と山吹(第6巻~第7巻)
「恍然宗」の僧侶を退けた風助達は、彼らから「恍然宗」には上位の存在として「大聖僧」という存在がいる事を聞かされる。急ぎ「虹を翔ける銀嶺」に行かなければならないと考えた黄純は、山吹に風助と共にその位置を探るように伝え、自分は林慶と共に別行動をとるために風助達と別れる。その頃、「恍然宗」の本拠地に「夜叉連合軍」の幹部、銅朱が訪れていた。「恍然宗」の座主はすでに「夜叉連合軍」の傀儡であり、本物と入れ替わっていたのだ。「恍然宗」の大聖僧の一人、阿武礼由は座主の指示を受けて「忍空」使いを壊滅させるべく動き出す。風助と山吹は、「虹を翔ける銀嶺」の情報を得るため立ち寄った民家で赤雷と出会う。赤雷は風助と共にかつて修行していた「忍空」使いだった。だが束の間の再会のあと、その赤雷は阿武礼由によって拘束され、救出に来た風助もまた阿武礼由の卑怯な手口によって術中にはまってしまう。風助の無事を願う山吹は、突如として離れた場所にいるはずの風助の姿が目に映る事に驚き、それが自身の「忍空」使いとしての覚醒である事を知る。山吹の「忍空」としての助力を受けた風助は阿武礼由を撃破し、「虹を翔ける銀嶺」を再び目指すのだった。
精霊の火瑠(第8巻)
風助と共に旅を続ける山吹は、「虹を翔ける銀嶺」の地図の一部が何者かに盗まれている事を知る。地図を探すため山吹は風助と別行動をする事となった。一人になった風助の前に「恍然宗」の大聖僧、亜裂駆子が現れ、「忍空」使いを倒すための命令を受けていた亜裂駆子は風助と交戦する。さらに、亜裂駆子を支援するために「恍然宗」の僧侶達も風助を包囲する。苦戦を強いられる風助だったが、「恍然宗」の僧侶の一人、火瑠が突如として風助のサポートに回った事で形勢は逆転し、亜裂駆子は追いつめられていく。実は火瑠は風助達と同じく「忍空」使いであり、「精霊の火瑠」と呼ばれていた。火瑠と共に亜裂駆子を撃破する事に成功した風助は、火瑠を連れて「虹を翔ける銀嶺」への旅路につく。その頃「恍然宗」の座主は、「恍然宗」の中でも最強の実力を持つ恍然四天王を動かそうとしていた。そして、青馬や緑里といった各地の「忍空」使い達の前にも「恍然宗」の刺客が現れていた。
恍然四天王(第9巻~第10巻)
「夜叉連合軍」の幹部、銅朱は風助達の師匠である麗朱の前に現れ、麗朱を「恍然宗」の武術修練場である「求煉の塔」へと連れ去る。麗朱を助けるために風助は、黄純、林慶、山吹、火瑠と共に「求煉の塔」へと向かう。「求煉の塔」で襲い来る「恍然宗」の僧侶達をかわしながら麗朱のもとへ急ぐ風助達だったが、その前に「恍然宗」最強の恍然四天王の甫瑠辺が現れる。甫瑠辺の相手を引き受けた火瑠は、死闘の末に甫瑠辺を倒すが、自身も重傷を負ってしまう。火瑠を手当するために「求煉の塔」の一室に隠れた風助だったが、そこへ恍然四天王の雌流棄が現れる。絶体絶命の風助と火瑠を助けに現れたのは青馬と緑里だった。風助と火瑠の手当てを緑里に任せ、雌流棄と相対した青馬は、その「忍空」の技で雌流棄を追いつめる。しかし、雌流棄は体に仕込んだ爆弾で青馬ごと自爆を敢行する。
忍空の仲間(第11巻~第12巻)
雌流棄の死に恍然四天王の磨阿狗は激怒、風助達に仇討ちを挑むが、そこに「忍空」使いの黒楼が割って入る。風助に麗朱の救出を任せ、磨阿狗と対決する黒楼だが、恍然四天王の伽幅於が現れ、磨阿狗に加勢する。黒楼不利の状況に「忍空」使いの橙次と藍眺が救出に現れ、それぞれ磨阿狗と伽幅於の相手をする。「忍空」の仲間達の助けを得て、ついに風助は麗朱の待つ「求煉の塔」の奥地へとたどり着くが、そこで風助を待っていたのは「夜叉連合軍」の幹部、銅朱だった。その銅朱がかつて自身と心を通わせ合った相手であり、そして「忍空」の使い手でもあった事に驚く風助。「忍空」の仲間達が見守る中、お互いの理想を実現するために風助と銅朱の戦いが始まる。
登場する武術・格闘技
作品のタイトルにもなっている「忍空」は、忍術と空手を組み合わせた架空の武術。作中世界において史上最強の武術とされており、主要人物は敵味方ともに忍空を駆使したバトルを繰り広げるが、中には忍空を使わずに風助と互角に戦うアルーベや土紋といった人物も登場する。
休載期間
1995年に『NINKU -忍空-』が連載中断され、10年後の「ウルトラジャンプ」2005年10月号から、突如連載が再開された。また連載期間中には、読み切りや『NINKU -忍空-』の原型となる作品などを収録した短編集も発売されている。
作家情報
桐山光侍は1968年生まれ、東京都杉並区出身の男性漫画家。野球漫画『戦国甲子園~九犬士伝説~』が「少年サンデー増刊」に掲載されて連載デビュー。その後、本作『忍空 ~SECOND STAGE 干支忍編~』の前作であり、代表作となった『NINKU -忍空-』が「週刊少年ジャンプ」で連載され、TVアニメ化するほどの人気を博した。1995年に『NINKU -忍空-』の連載中断とともに漫画家活動も休止していたが、2004年に活動を再開した。
登場人物・キャラクター
風助 (ふうすけ)
干支忍の1人で、風を操る能力と目にも留まらぬ俊足が武器である「子忍(ねにん)」の称号を持つ少年。大きくまんまるな目と、常に出している舌が特徴。あまり表情を変えることがなく、性格もマイペースなため掴みどころがないように思われるが、誰よりも平和を愛し人々の幸せを望むという心優しさを秘めている。
藍眺 (あいちょう)
干支忍の1人で、強靭な脚力をもってまるで空を飛ぶような跳躍を可能とする「酉忍(とりにん)」の青年。戦災孤児となってから数々の裏切りにあって人間不信になっていたが、風助や橙次に救われたことで人の優しさを知った。しかし染み付いている荒々しさは成長した現在も変わらず、ちょっとしたことで堪忍袋の緒が切れてしまう。
橙次 (とうじ)
干支忍の1人で、大地を操る能力を持つ「巳忍(みにん)」。兄貴肌な性格で、干支忍たちの中でもリーダー的な役割を務めていた。普段は温厚で戦闘にもあまり積極的に参加することはないが、激怒すると他の干支忍たちが総がかりでも抑えることが難しいほど、高い実力を秘めている。ことあるごとに放屁するという特殊な癖があり、この屁は嗅いだ人間を失神させるほど強烈な臭いを放つ。
黄純 (きすみ)
干支忍の1人で、水蒸気を利用して氷を生み出す能力を持つ「午忍(うまにん)」の青年。風助が会いに行った際には、水菜や桜堅と一緒にバンドを組んでおり、そこでは自身の名前をもじって「KISS ME」と名乗っていた。
ヒロユキ
橙次が飼っているペンギンで、風助の旅路に同行している。言葉を話すことはないが、表情が豊かで喜怒哀楽を示すことができる。どこでも脱糞する癖があり、橙次の屁と同じく悶絶するほど臭いが強烈。
赤雷 (せきらい)
大気中の酸素を利用して、炎を操る能力を持つ忍空使いの青年。絵を描くことが趣味で、忍空の修行をしながら葵蓮のもとで絵画も学んでいた。風助たちとは違い、自然龍を見ることができずに苦悩している。
紫雨 (しぐれ)
干支忍の1人で、動物たちの声帯を操って会話する能力を持つ「戌忍(いぬにん)」の少年。能力を活かした隠密行動が得意で、麗朱からの伝言をほかの干支忍に届けるという役割を果たしていた。忍としての活動を重んじているため、仲間である風助たちにすら素顔を見せることはない。
青馬 (せいま)
干支忍の1人で、雷を操る能力を持つ「申忍(さるにん)」の青年。代々川を守っている番人の一族で、現在は水害によって孤児になった子供たちとともに川の近くで静かに暮らしている。
緑里 (みどり)
干支忍の1人で、植物を利用した催眠術を得意とする「未忍(ひつじにん)」の女性。幼い頃に忍空使いだった父親を失ってから、自身の力を疎まれたことで放浪し、ROKUDA領の園芸農園へとやって来た。ROKUDA領においては、「緑」を意味する「ヴェル」という偽名を名乗っている。
林慶 (りんけい)
干支忍の1人で、全身を鋼に変質させる能力を持つ「丑忍(うしにん)」。干支忍としての能力とは関係なく、大木を軽々と投げられるほどの怪力の持ち主。また、娘の山吹のことを溺愛しており、生涯自分のもとにいることを望んでいるため、彼女に近付く男のことはすべて警戒している。
山吹 (やまぶき)
林慶の一人娘で、風助と出会った当初はごく普通の少女だった。しかし風助や赤雷が聖僧たちに追い詰められていく中で、忍空使いの素質が覚醒。自然龍の姿を見られるようになり、未来に起きる出来事を映像として予知したり、離れている場所で起きていることをリアルタイムで感じ取れるようになっていく。なお、前作『NINKU -忍空-』における風助のトレードマークだった帽子は、山吹があげたもの。
火瑠 (かる)
干支忍の1人で、物に宿る精霊の声を聞くことができる「寅忍(とらにん)」の少年。先祖代々、恍然宗に仕えてきた一家の生まれだが、父親に勧められて忍空を学び干支忍になった。恍然宗と忍空使いの対立を知ってからは自身の立場に苦悩していたが、亜裂駆子の非道な行いを目にしたことで、干支忍側につくことを決意する。
黒楼 (こくろう)
干支忍の1人で、水を操る能力を持つ「亥忍(いにん)」の男性。争いを好まなかった風助に、強さが人を守る道具になることを教え、彼が忍空使いになるきっかけを作った人物。物静かで感情を表に出さない性格だが、実は仲間想いで熱い一面も持っている。
麗朱 (れいしゅ)
風助たちの先代にあたる干支忍の最後の生き残りで、現干支忍たちの師匠にあたる中年男性。先代干支忍の技を、今は亡き仲間たちからすべて受け継いでいる。戦乱の世が訪れることを察知して干支忍たちを虹を翔る銀嶺へと召集するが、突如行方をくらましてしまう。
銅朱 (どうしゅ)
夜叉連合軍の第一軍司令長官でありながら、干支忍の1人で炎を操る能力を持つ「辰忍(たつにん)」の青年。現在の干支忍の中でも、最強と評される実力の持ち主。自らが仕えるYASHIRO家による天下統一を目指しており、野望の邪魔になる自分以外の干支忍を抹殺しようと企んでいる。
灰源 (はいげん)
夜叉連合軍の第二軍司令長官で、銅朱と同じくYASHIRO家に仕える老人。YASHIRO家においては銅朱と近い立場にあるが、人命を重んじる人物であり、戦乱を起こそうとする銅朱と袂を分かとうと決意する。
座主 (ざす)
恍然宗の頂点に君臨する男性。本物の座主は既に殺害されており、現在は銅朱に金で雇われた偽物が演じている。現在の座主を演じている人物は多額の借金を背負っており、家族を救うために自らの人生を変えることを決めた。
水鳩 (すいきゅう)
恍然宗の幹部で、もともとは次期の座主候補だった壮年の男性。過去に体調を崩してから一線を退いている。現在の座主が偽物であることには気付いているが、恍然宗を守るために協力している。恍然四天王に干支忍討伐の命令を下した。
藤次 (ふじつぐ)
恍然宗に所属している聖僧にあたる男性。自身だけでなく相手の筋力を自在に操ることができる。実の兄は名前こそ明かされていないが、藤次と同じく聖僧の1人。この兄こそが、風助が初めて出会った聖僧である。
阿武礼由 (あぶれいゆ)
恍然宗に所属する大聖僧の1人。少年時代に極度の飢餓により人を殺めた経験があり、それが原因で金と酒に対して異常なまでの執着心を持っている。独自の能力として、対象の視覚を奪う「暗恐(あんきょう)」という技を使うことができる。
亜裂駆子 (あれっくす)
もともとは恍然宗に所属する大聖僧だったが、素行の悪さが原因で破門された男性。少年時代に、戦時下で父親に置き去りにされて以来、利己的な性格になってしまった。自分を救ってくれた座主のことを実の父親のように信頼する一方で、その他の人物に対しては心から憎悪を抱いている。
甫瑠辺 (ほるへ)
恍然四天王の1人で、物体の重力を自在に操る能力を持つ男性。自然を愛する穏やかな性格で、普段は猿たちと一緒に暮らしている。自身の父親を追放した人物の息子である火瑠と、求煉の塔で因縁の対決を繰り広げることになる。
雌流棄 (めるき)
恍然四天王の紅一点。母親に虐待を受け続け、思わず反撃した際に誤って殺害してしまったことから、恍然宗への入門を決意する。本来恍然宗は女人禁制だが、覚悟の強さを認められ入門を果たした。相手のトラウマを呼び起こす幻術を得意とする。
磨阿狗 (まあく)
恍然四天王の1人で、無精ひげとバンダナが特徴的な男性。体内で発生させた電気によって、相手を感電させる能力を駆使して戦う。女や酒が大好きな、道楽者の一面を持つ。
伽幅於 (かのお)
恍然四天王の1人で、水鳩の実の弟でもある。既に壮年と呼べる年齢でありながら、なお体の成長が止まらないという特異体質。能力は不明だが、巨漢から繰り出す打撃は石の壁を素手で破壊するほどの攻撃力を誇る。
土紋 (どもん)
ROKUDA軍の隊長を務める男性。大木を瞬時に切り倒す剣の達人で、風助や橙次ですら回避一辺倒にさせられるほどの実力者。風助たち干支忍を仲間に引き入れようと画策するが、彼らが幕府と繋がりを持っていることを知り、目的を抹殺に変更する。
アルーベ
緑里が務める園芸農園の代表者を務める男性。緑里とは相思相愛の仲で、彼女に求婚しようと考えていた。かつて命を救ってくれた土紋のことを尊敬しているが、実はその裏には土紋しか知らない真相が隠されている。また、幕府からその力を恐れられた痣刃族の末裔でもある。
ピノ
緑里が務める園芸農園の経営者でグリチネの夫。農園の運営に関しては、緑里とアルーべに一任している。息子のアチェロが家を出たことにショックを受けており、橙次のことをアチェロだと勘違いする場面もあった。
グリチネ
ピノの妻で、彼のことをかいがいしく支える老婆。緑里の正体が明らかになっても、干支忍として旅立つ彼女に向けて、すべて終えたら戻って来るように優しく語りかけた。
アチェロ
ピノとグリチネの息子。都会暮らしに憧れて農園を飛び出したことで、ピノが心を乱す原因を作った。結局都会暮らしに馴染むことができず、のちに農園に戻って来る。
水菜 (みな)
黄純の恋人で、彼と同じバンドに所属しているギタリストの女性。黄純と桜堅の間に漂う険悪な空気について思い悩んでいる。黄純が旅立つ際には、彼の強い意志を尊重して静かに見送った。
桜堅 (おうけん)
水菜の兄で、黄純が尊敬するピアニスト。戦争で左腕を失ってから自暴自棄になっていたが、黄純の熱意に押される形で音楽の道を再び歩むようになった。現在は黄純が所属するバンドで、ボーカルを務めている。
葵蓮 (そうれん)
心優しく慈愛に満ち溢れた老婆。実は国中でその名を知られている有名な画家で、風景画を得意としている。赤雷を自身の家に住まわせて、絵について学ばせるだけでなく、進むべき道を指し示すこともある。
集団・組織
夜叉連合軍 (やしゃれんごうぐん)
YASHIROとSYARAKUという2つの大名が合併したことで誕生した軍事組織。天下を取ろうと企む者たちで構成されており、同様の目的を持つ組織の中では最大の勢力とされている。
YASHIRO (やしろ)
夜叉連合軍を構成する二大勢力のうちの1つ。銅朱はこのYASHIRO家において、筆頭家老の一族の第26代当主を務めている。
恍然宗 (こうさしゅう)
最大規模の勢力を誇るといわれている宗教組織。戦乱の世においても中立の立場にあったが、銅朱の陰謀によって夜叉連合軍と同盟関係を結ぶことになる。
恍然四天王 (こうさしてんのう)
水鳩の直弟子たちで、膨大な人数を誇る恍然宗の中でも最強に君臨するとされる4人の大聖僧。干支忍討伐の刺客として送り込まれ、求煉の塔で壮絶な死闘を繰り広げる。
場所
虹を翔ける銀嶺 (にじをかけるぎんれい)
麗朱が干支忍たちを召集する際に示した場所。場所を示すヒントや地図は各地に残されているが、その詳細は干支忍の誰も知らず、謎に包まれている。
求煉の塔 (きゅうれんのとう)
恍然宗の僧たちが武術を極めた後に、さらなる高みを目指して集まった聖地。もともとはただの供養塔だったが、使用者の目的が変化したことによって死傷者が続出したため、現在は立ち入り禁止となっている。
その他キーワード
忍空 (にんくう)
史上最強の武術で、名前が示す通り、忍術と空手を組み合わせたもの。干支にちなんだ12の流派に分かれており、それぞれの流派を極めた者は「干支忍」と呼ばれ、能力を表した二つ名を名乗るようになる。
己天 (きてん)
恍然宗の聖僧が修行の末に身に着けることができる特殊な能力。さらに過酷な修行を積んでいくことで、独自の能力へと発展させることもできる。
源闇丸 (げんあんまる)
痣刃族に伝わる妖刀で、当初は土紋が使用していた。のちに痣刃族の末裔であるアルーベが手にし、すさまじい強さと容赦のない凶暴性で風助を追い詰めることになる。
干支忍 (えとにん)
忍空使いの中でも、各流派の頂点に立った者たち。各流派の能力に沿った自然龍の姿を自然の中に見ることができる。
自然龍 (しぜんりゅう)
干支忍としての資格を持つ者だけが目にできる龍。風や水など、各干支忍の能力に関係した自然界の中にその姿を現す。その存在には、大きな秘密が隠されている。
聖僧 (せいそう)
恍然宗に所属する僧たちの中でも、特殊な修行と訓練を積み、己天と呼ばれる力を身につけた者たちに与えられる称号。このレベルにたどり着く者は非常に少ない。
大聖僧 (だいせいそう)
聖僧の中でも、基本形となる己天をさらに発展させていき、独自の能力や技を身につけた者だけに与えられる非常に稀有な称号。正確な人数は明らかになっていない。
痣刃族 (しじんぞく)
超人的な力を持つとされる一族で、かつてその力を恐れた幕府によって根絶やしにされた。一族の血を引く者が源闇丸を手にすると、全身におぞましい痣が浮かび上がり、干支忍さえ圧倒する戦闘力を発揮する。