怪談 猫の喪服

怪談 猫の喪服

巨大な蠅を殺したことが原因で、次々と起こる奇怪な現象に徐々に追いつめられる少年を描いた不条理ホラー。1962年に貸本漫画として刊行された。従来の怪奇漫画の範疇を逸脱した奇妙な作品。シュールレアリズムの影響を受けたような歪んだ絵柄と、怪奇なイメージをモンタージュさせた筋運びで、読者に何とも言えない不安感を味わわせる。カルト作品として一部で有名となり、1996年に太田出版より復刻された。

正式名称
怪談 猫の喪服
ふりがな
かいだんねこのもふく
作者
ジャンル
怪談・伝奇
 
不条理・シュール
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概要・あらすじ

潔癖症でノイローゼ気味の高校生指地図夫は、ある晩自室に入り込んできた巨大な蠅を殺してしまう。その蠅は亡霊となり、地図夫に対して「今に後悔するぞ」と謎の忠告をする。隣室に越して来た謎の尼僧や怪しい黒猫など不気味な存在に囲まれ始めた地図夫は、いつしか夢とも現実ともつかない狂気の世界へと迷い込んでゆく。

登場人物・キャラクター

指 地図夫 (ゆび ちずお)

淀丘高等学校に通う高校生。進学校に通っているので親元を離れ下宿生活をしている。潔癖症気味で神経質な性格。現在住んでいる下宿近くの川がゴミ捨て場と化しており、部屋に蠅が多いので悩んでいる。ある晩大きい蠅をしとめたが、その蠅の亡霊に取り憑かれ、奇妙な狂気の世界へ足を踏み入れてゆくことになる。

無階 束古也 (むかい たばこや)

地図夫の同級生。吃音。気弱な性格だが野球部の主将をつとめている。父親は土地家屋の周旋屋で、地図夫の頼みから別の下宿先を紹介してあげた。しかしその部屋は高利貸しの老婆が殺された現場で、畳から血が染み出してくる恐ろしい部屋だった。ほうほうの体で逃げ出した地図夫は、無階を激しく責める。

(はえ)

『怪談 猫の喪服』に登場する生物。地図夫の部屋に現われた大きな蠅。地図夫に打ち殺された後に亡霊となって部屋に取り憑き、地図夫を恐怖と狂気の淵へと陥れてゆく。

キリ子 (きりこ)

地図夫の下宿の隣の部屋に越して来た尼僧。毎晩どこかへ出かけている様子。後日地図夫が下宿の主人に聞いてみたところ、そんな尼僧は引っ越して来ていないという。その正体は原爆が原因で吸血鬼となってしまった女性だった。父親である蠅を地図夫が打ち殺してしまったので、黒猫に化けて彼を追ったりして、復讐の機会をうかがっていた。

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