あらすじ
美少女の誕生
御堂賢士郎はスクールカーストの上位に位置し、順風満帆な高校生活を送っているように見えたが、実は男ながらに無類のコスメ好きで、そのことをひた隠しにしていた。ある日、自分のメイクの腕を試したくて仕方なくなった御堂は、幼なじみの冴えない男子・日浦美果にメイクをさせてほしいと頼み込む。憎まれ口を叩きながらも御堂の頼みを受け入れた日浦は、彼の手によって御堂好みのとんでもない美少女へと変貌。一方の御堂は、日浦の美少女ぶりに動揺を隠せず、彼に対して説明のつかない複雑な気持ちを覚えるようになる。
美少女の登場
御堂賢士郎にメイクだけでなく、服のコーディネイトまでしてもらった日浦美果は、かわいらしく変貌した自分を御堂が意識してくれることに喜びを覚え、ついにはその姿で学校に行くと言い出す。御堂は動揺しながらも日浦の背中を押すことを決意し、ついに決行の日を迎える。突如現れたかわいらしい美少女が、自分が日浦であること、そして今後はこの姿で生活することをたどたどしく告げると、絵に描いたような陰キャだった日浦の変貌にクラスは騒然。日浦のことを色眼鏡で見るような発言もこぼれそうになるが、そんな中、クラスメイトの宵待はとりが明るく発した「制服がすごく似合っている」という言葉をきっかけに空気が一転する。さらにメイクも上手だと日浦をたたえる声が出始め、日浦は完全にクラスに受け入れられるのだった。
美少女のデビュー
日浦美果は、陰気な自分が、高校デビューして陽キャとなった御堂賢士郎の邪魔にならないよう、以前は学校では彼と距離を取っていた。だが、美少女の姿となった今は、御堂の近くにいても彼に迷惑をかけずに済むと、ひそかに喜びを覚えていた。こうして四六時中いっしょにいるようになった二人は、互いへの複雑な気持ちを抱えながら、今まで以上に交友を深めていく。そんな中、日浦は宵待はとりに、写真部に勧誘される。聞けば、生徒会の季刊誌の表紙を飾る写真のモデルを、日浦に務めてほしいのだという。日浦のいいところを多くの人に知ってほしいと考えていた御堂は、これ幸いとしぶる日浦を説き伏せて宵待に協力し、彼女の勧めで自らがカメラマンを務めることとなる。こうして出来上がった季刊誌は日浦の写真も含めて好評を博すが、そんな中、季刊誌を見たスクールカースト最上位に位置する上級生の早川暁斗に、日浦が衆人環視の中で告白されるという、一大事件が巻き起こる。
登場人物・キャラクター
御堂 賢士郎 (みどう けんしろう)
とある高校に通う2年生の男子。日浦美果とは幼なじみにしてクラスメイトでもある。茶髪のショートヘアのクールな顔立ちをしたイケメンで、身長は188センチほど。誕生日は8月22日のしし座で、血液型はA型。家族は両親と姉が三人いる。中学までは日浦と同様、あまり冴えないグループに属していたが、進学を機に高校デビューに成功する。現在はスクールカースト上位で女子からもモテるようになり、御堂賢士郎自身もそのことを自覚している。周囲にはひた隠しにしているが実はコスメ好きで、姉たちを相手にその腕を磨いてきたこともあり、メイクを得意としている。ある時、メイクの練習をするため、日浦に頼み込んで練習台になってもらうが、メイクによって思いがけず自らの理想の美少女に変貌した日浦に、大いに心乱されることとなる。以来、率先して女装をするようになった日浦に対して自らも覚悟を決め、彼が女の子の姿で登校するのを後押しするようになる。ただし、それでも周囲には自分がメイク好きなことを隠そうとしたり、日浦にも誰がメイクを施しているのかを口外しないように頼んだりしている。基本的に、つねに日浦のことを気遣っており、あまりオープンな性格でない彼がクラスメイトたちの明るいノリに巻き込まれて困惑している際には、即座に助けに入る。一方で、周囲のみんなに日浦のいいところを知ってほしいという思いも強い。軽音部に所属しているが、まともに活動しているのは文化祭で発表をする前後だけということもあり、のちにクラスメイトの宵待はとりに誘われ、御堂と共に写真部に仮入部する。好きなものはコスメ、ファッション誌、グリーンスムージー。また、日浦とよくいっしょに食べることから、ラーメンも好き。苦手なものは寝不足と雷。得意科目は古文で、運動神経もいい。
日浦 美果 (ひうら みはて)
御堂賢士郎と同じ高校に通う2年生の男子。御堂とは幼なじみにしてクラスメイトでもある。眼鏡をかけて長めの黒髪を首の後ろで縛り、どこか暗い雰囲気を漂わせた少年。身長は155センチほど。誕生日は9月10日のおとめ座で、血液型はO型。両親が海外赴任中で、現在は祖母といっしょに暮らしている。もともとは御堂と何をするにもいっしょだったが、高校デビューして陽キャの仲間入りをした彼の邪魔にならないように、高校生になってからは学校では意図的に距離を取るようになった。当初はクラスメイトからも「いるのかいないのかよくわからない陰キャメガネ」という程度の認識だったが、ある時、御堂にメイクをしてもらって彼好みのかわいらしい姿に変貌。もともと秘密にしていたが御堂にかまってほしい思いが強く、この姿でいると御堂が自分のことを意識してくれるため、以降、学校にもメイクをして女装した姿で通うようになる。当初こそ周囲に驚かれたものの、そのかわいらしさに心奪われたクラスメイトたちにはすんなりと受け入れられ、それどころか一躍クラスの人気者となった。女装しているときは眼鏡を外し、髪もほどいている。もともとあまりオープンな性格ではないこともあり、カースト上位待遇にめまいを起こして倒れてしまうこともあるが、その際にはいち早く異変を感じた御堂に助けてもらっている。そんな二人の姿は、目の保養になる美形カップルとして、クラスの高い支持を得ている。のちにクラスメイトの宵待はとりに誘われ、御堂と共に写真部に仮入部する。好きなものはゲーム、深夜ラジオ、ラーメン、りんご味の食べ物。苦手なものは早起き、人ごみ、陽キャ。得意科目は科学で、運動神経はあまりよくない。御堂胡梅をはじめとする御堂の姉たちからは、「みぃちゃん」と呼ばれている。
御堂 胡梅 (みどう こうめ)
御堂賢士郎の姉。御堂家の長女で、社会人2年目。黒髪ショートヘアの美人で、ハキハキとした明るい性格をしている。御堂のことをうまく扱っており、欲しいコスメなどがあると彼に買いに行かせているが、その際には多めにお金を渡してくれる太っ腹なところがあり、御堂にはありがたがられている。なんだかんだ言いつつも弟思いで、御堂のことをいつも気にかけている。
御堂 菫佳 (みどう すみか)
御堂賢士郎の姉。御堂家の次女で、大学3年生。ふんわりとしたセミロングヘアで、穏やかな顔立ちをした美人。おっとりとした外見同様、間延びしたしゃべり方をする甘え上手で、御堂に服などを見繕ってもらうことも多い。その際には多めにお金を渡してくれる太っ腹なところがあり、御堂にはありがたがられている。なんだかんだ言いつつも弟思いで、御堂のことをいつも気にかけている。
御堂 伊桜 (みどう いお)
御堂賢士郎の姉。御堂家の三女で、大学1年生。勝ち気な顔立ちをした美人で、淡い色のロングヘアを頭の左側で一つに結んでいる。ざっくばらんな口調と現実的な考えの持ち主で、姉たちのツッコミ役を担うこともある。ほかの二人の姉に比べると御堂への依存度は低いが、なんだかんだ言いつつも弟思いで、御堂のことをいつも気にかけている。
宵待 はとり (よいまち はとり)
御堂賢士郎や日浦美果と同じ高校に通う2年生の女子。御堂と日浦のクラスメイトで、写真部に所属している。淡い色の髪をショートボブにしている。明るい性格でいつも笑みを浮かべており、相手の性別に関係なくコミュニケーション能力が高い。日浦が女装して登校した際、動揺するクラスメイトたちの中で真っ先に日浦の容姿を明るく褒めたたえたことで、クラスメイトたちが女装した日浦を受け入れる大きなきっかけとなった。この一件は、御堂にも日浦にも非常に感謝されている。ただこの行為は、日浦の性別を超えた魅力を写真の被写体として扱いたいという、若干の下心もあってのことだった。なお、宵待はとり自身は銅像など「人工的な創られた美」にしか興味がなく、学校の中庭の銅像に「オリヴァー」、美術室の石膏像に「ルーカス」、駅前に最近できた銅像に「ジェームズ」などと名前を付けて愛でるエキセントリックなところがある。そのため、たった二人しかいない写真部のもう一人の部員である明智銀之丞に思いを寄せられていながらも、その気持ちを受け入れる気はいっさいない。
明智 銀之丞 (あけち ぎんのじょう)
御堂賢士郎や日浦美果と同じ高校に通う1年生の男子。写真部に所属しており、生徒会役員も務めている。シルバーに近い髪色のショートヘアで、1年生ながら少々慇懃無礼で生意気なところがある。自らが趣味で学校に設置している目安箱に、「日浦のことを考えると夜も眠れない」「日浦が気になってしょうがないし頭がバグる」など日浦に関する多数の投書が寄せられたことから、風紀を乱していると注意するために彼を呼び出した。これによって日浦と、彼を心配してついてきた御堂と知り合う。当初は日浦を完全に女性と勘違いして、多くの男性を手玉に取るとてつもない悪女だと考えていたが、彼が男性であることを知り、さらにそのかわいさも相まって、確かに気になって頭がおかしくなっても仕方がないと、投書の内容にも納得して誤解を解く。日浦に対してはどことなく上から目線だが、一方で日浦に近づかれると顔を真っ赤にしてうろたえるなど、ピュアな一面がある。ちなみに所属している写真部は部員がもともと二人しかいなかったが、生徒会役員である明智銀之丞が便宜を図ってきたことで存続しているという経緯がある。同じ写真部の先輩・宵待はとりに思いを寄せており、すでに25回も告白しているが、まるで相手にされていない。宵町には、「ギンちゃん」と呼ばれている。
早川 暁斗 (はやかわ あきと)
御堂賢士郎や日浦美果と同じ高校に通う3年生の男子。黒髪ショートヘアのイケメンで、成績優秀でスポーツ万能という、スクールカーストの頂点に君臨する存在。生徒会の季刊誌で表紙を飾った日浦の写真を見て、性別をはじめとする日浦の本当の姿を知ったうえで、公衆の面前で彼に告白した。この一件が、御堂自身が日浦のことをどう考えているのかをあらためて見直すきっかけとなった。ちなみに、早川暁斗自身は日浦にあっさりとふられて身を引いたが、それでも彼が欲しがっていたコスメを、コスメショップで店長を務める自らの姉に掛け合って手配したりと、いい人ぶりを発揮している。
二子山 愛梨 (ふたごやま あいり)
御堂賢士郎や日浦美果と同じ高校に通う2年生の女子で、御堂と日浦のクラスメイト。黒髪のセミロングヘアをポニーテールにしている。気さくで親しみやすい性格で、面倒見がいい。ほかの友達と新作コスメの話をしていた際、聞き耳を立てていた御堂に、正確な情報を伝えてあげるために話しかけてきた日浦と意気投合。以来、彼を女同士の友達グループに招き入れて、よく行動を共にするようになる。友達グループで遊びに行った際、わざわざ御堂のことをLINEグループに誘ってまで日浦のかわいい写真を見せてあげたりと、友達思いで何かと気が利く。愛称は「親方」。
早乙女 (さおとめ)
御堂賢士郎や日浦美果と同じ高校に通う2年生の男子で、御堂と日浦のクラスメイト。金髪のセミロングヘアをハーフアップにして、後ろで小さくまとめている。御堂と仲がよく、黒瀬を加えた三人でいつも行動を共にしていた。非常に明るい性格で軽いノリの典型的な陽キャで、日浦には恐れられている。ただ、早乙女自身は日浦もほかの友人と同様に接しているだけで、悪気はいっさいない。また友達思いで、日浦が女装して登校するようになって以来、御堂が日浦にべったりで付き合いが悪くなったことを少し寂しく思いながらも、御堂が日浦のことを大切に思う気持ちには理解を示している。
黒瀬 (くろせ)
御堂賢士郎や日浦美果と同じ高校に通う2年生の男子で、御堂と日浦のクラスメイト。黒髪ショートヘアで少々目つきが鋭く、クールな印象の持ち主。御堂と仲がよく、早乙女を加えた三人でいつも行動を共にしていた。どちらかというと物静かで早乙女のように率先して騒いだりすることはないが、何かと察しがよく、御堂と日浦が互いに寄せる思いが、単なる幼なじみ同士のそれではないことも把握している。
書誌情報
恋する(おとめ)の作り方 8巻 一迅社〈comic POOL〉
第1巻
(2020-09-11発行、 978-4758021531)
第6巻
(2023-04-25発行、 978-4758025140)
第7巻
(2023-10-25発行、 978-4758026017)
第8巻
(2024-04-25発行、 978-4758026925)