恋喰少女

恋喰少女

カワバタオの代表作の一つ。青青高校を舞台に、女性が苦手な男子高校生の大石饗は、高校入学初日に五人の美少女から告白される。しかし、そのうち四人は、人間の恋愛感情を喰らう「恋喰(こいばみ)」という存在だった。饗が唯一の「本命の女性」を見つけるため、命を懸けた恋愛ゲームに挑むラブコメディ・サスペンス。小学館「サンデーうぇぶり」で2024年4月から配信の作品。

正式名称
恋喰少女
ふりがな
こいばみしょうじょ
作者
ジャンル
ラブコメ
 
サスペンス
レーベル
サンデーうぇぶりコミックス(小学館)
巻数
既刊4巻
関連商品
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初恋の感情を摂取する謎の生物「恋喰」

青青高校の生物教師、鯉僅磊研は、「恋喰」と呼ばれる特殊な生物の研究を行っている。恋喰はキスを通じて人間の恋愛感情を摂取する存在であり、舌先が二つに分かれている以外は、ほとんど人間と変わらない姿をしており、「初恋」の感情を最高の栄養源にしている。恋喰が捕食する恋愛感情の正体は、現代の科学でもまだ解明されていない。恋愛を司(つかさど)る未知の臓器や特殊なホルモンの分泌物であるという説があるものの、詳細は未だ謎に包まれている。唯一明らかになっているのは、一度恋喰に恋愛感情を食べられた人間は、その後二度と誰かに恋をすることができなくなってしまうということである。

五人の少女と危険な日替わりデート

生物教師の鯉僅磊からの忠告を受けて、饗は、自分に告白してきた五人の少女のうち四人が「恋喰」と呼ばれる存在であることを確信する。しかし、その中には必ず一人、真剣に自分を思ってくれる「本命の女性」がいると信じ、その一人を見つけ出すために危険な恋人探しに挑む決意をする。その方法は、月曜日から金曜日まで日替わりで五人全員とデートを重ね、正体を見極めるというものだった。だが、その過程で火野がぶりが恋喰であることが判明したあとも、饗は恐怖よりも優しさを向け、いつしか彼女を恋愛対象として意識し始める。繰り返されるデートの中で揺れ動く饗の心情が、物語に予測不能な波乱とときめきをもたらしていく。

新入生の中に「恋喰」を狙う者が存在

一般に「恋喰」は都市伝説として語られる存在だが、その実在を知る者も少なくない。彼らを狙う者たちはさまざまな目的を持ち、希少性から捕獲を試みる者、悪と断じて排除しようとする者、さらにはその特殊能力を利用しようと企む者もいる。恋喰たちが人間社会に正体を隠して暮らしているのは、こうした敵対者から身を守るためである。そんな中、生物教師の鯉僅磊から「新入生の中に恋喰を狙う者が一人紛れている」という警告がもたらされ、物語は大きな転機を迎える。

登場人物・キャラクター

大石 饗 (おおいし きょう)

青青高校1年生の男子。初恋の経験がなく、女性を恐怖の対象ととらえている。そのため、女性と話す際には相手の目の横を見るようにしたり、すれ違う時には息を止めるなど、独自の方法で女性と接している。入学式の放課後、月森守織、がぶり、水戸部もぐ、木更城ムーシャ、金瀬獏という五人の女子から同時に告白を受ける。恐怖に震えながらも、喜びを隠せなかったが、生物教師の鯉僅磊から、新入生の中に四人の「恋喰」が紛れ込んでおり、その目的が饗の初恋を喰らうことだと知らされる。最初は恋喰から逃げようとした饗だったが、五人の中に一人だけいるはずの「本当に自分を好きな女性」を見つけるため、月曜日から金曜日まで日替わりでデートし、相手を見極める決意をする。なお、もぐからは「イッシー」と呼ばれている。

月森 守織 (つきもり まもり)

青青高校の1年生の女子。金髪のショートカットと太い眉が特徴。饗の月曜日のデート相手である。好奇心旺盛で運動神経も抜群。独特な感性を持ち、知らないことや未経験のことを心から楽しもうとするポジティブな性格の持ち主。一方で、蛇に触れた際に自分が蛇嫌いだと初めて気づいて驚くなど、どこかズレた一面もある。饗とは入学式以前にも面識があると語っているが、その真偽は定かではない。

火野 がぶり (ひの がぶり)

青青高校の1年生の女子。実は人の恋心を喰らう「恋喰」である。スタイル抜群で、赤い長髪をツインテールにしている。饗の火曜日のデート相手である。デートの直前に告白してきた男子からのキスを利用して彼の恋心を捕食する場面を、偶然饗に目撃されてしまう。言動にはつねに自信があふれ、物事をはっきりと言う性格の持ち主。饗には早い段階で自分が恋喰であることを明かし、ほかの人には秘密にすることを約束させた。自分のことは「がぶ」と呼んでいる。ちなみに、卒業アルバムから饗と同じ小学校の出身であることが判明したが、互いに面識はなかった。

水戸部 もぐ (みとべ もぐ)

青青高校の1年生の女子。黒髪のショートボブで、青いメッシュとアンダーカラーを入れている。饗の水曜日のデート相手である。「チビで性格が悪く、胸もない」と自虐するほど自己肯定感が低い。饗に告白したものの、ほかに四人もの強力なライバルがいると知り、一度は身を引こうとした。好きなアニメの話になると夢中になって早口になるオタク気質で、それが他人から見ると気持ち悪いと自覚しているため、あとで激しく後悔することも多い。実は幼少期に饗と出会っているが、当時の饗はもぐを少年だと思い込んでいたため、まだ同一人物だと気づいていない。その頃、どもりながら名前を名乗ったため、饗からは「ナグモ」と呼ばれていた。

木更城 ムーシャ (きさらぎ むーしゃ)

青青高校の1年生の女子。腰まで届く茶髪をハーフアップにしている。饗の木曜日のデート相手である。男性と話すことに慣れておらず、緊張するとすぐに言葉を噛んでしまう癖がある。しかし、その恥ずかしがり屋な第一印象とは裏腹に、デートが始まるとすぐにキスをせがむなど、五人の中で最も積極的な一面を持つ。その独特な恋愛観は、厳格な家庭環境に起因している。家の教育方針で高校生になるまで恋愛関連の作品にいっさい触れずに育ったため、一般的な男女の駆け引きや距離感がわかっていない。饗の人柄に触れたあと、「饗は恋喰には食べさせない」と宣言しており、恋喰について何か知っているような含みを持たせている。送迎車の運転手、花井からは「姫」と呼ばれている。

金瀬 獏 (かなせ ばく)

青青高校の1年生の女子。実は人の恋心を喰らう「恋喰」である。ピンク色の髪を外ハネのショートボブヘアにしている。饗の金曜日のデート相手であり、饗が高校で初めて出会った少女でもある。その際、曲がっていた饗のネクタイを気さくに直した。舌先が割れていることなど恋喰の特徴について詳しいが、獏によると、それは動画サイトのオカルトチャンネルで得た知識だと語っている。もともと恋愛感情を「食糧」としか認識していなかったが、饗と接するうちに次第に本当の恋心を理解するようになった。饗は獏が恋喰であることに気づいていなかったが、恋心を自覚した瞬間に、自ら恋喰であることを彼に打ち明けた。

書誌情報

恋喰少女 4巻 小学館〈サンデーうぇぶりコミックス〉

第1巻

(2024-08-08発行、978-4098535064)

第2巻

(2024-12-12発行、978-4098537167)

第3巻

(2025-04-11発行、978-4098540518)

第4巻

(2025-08-08発行、978-4098542246)

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