概要・あらすじ
大前田真と緑川棗は高校の同級生で、現在は同じ大学に通う恋人同士。ある日、つまらないことからケンカになった2人は、どちらが先に相手に謝りに行くかで、意地の張り合いをしていた。やっと棗がやって来た時、部屋はたまたま停電で真っ暗になってしまったため、2人はそのままベッドインする。一方、真の友人である江戸川陽一とその恋人の大塚まほの関係は、まほとその双子の姉・大塚なほとなほの夫・大塚政広が絡んだ三角関係を巡って、大きく揺れ動き、陽一は一時は別れを覚悟するほどの状況に陥る。
登場人物・キャラクター
大前田 真 (おおまえだ しん)
大学生の男子で、緑川棗の恋人。棗とは高校時代に同級生として知り合い、当時から付き合っていた関係。元ヘビースモーカーだが、煙草が苦手な棗のために、すっぱりやめた。とにかく棗が大好きで、いつもべったり。周囲からはよく「犬」と揶揄されている。
緑川 棗 (みどりかわ なつめ)
大学生の女子で、大前田真の恋人。かつて真を間違えて「まこと」と呼び、お互い名前を正しく読んでもらえない、という共通点から親しくなった。真とは同い年で、高校でも同級生だったが、一浪しているため、大学では一学年後輩になる。ドライな性格で、まるで犬のように好き好きアピールをする真を、しょっちゅう突っぱねている。
江戸川 陽一 (えどがわ よういち)
大学生の男子で、大前田真の友人。高校時代に自分の担任教師であった大塚まほと恋人関係にある。ただし、教師と生徒として恋愛関係になったわけではなく、付き合い始めたのは高校卒業後に、まほと再会して以降のことである。ヘビースモーカーだが、まほの前では吸わないように気を遣っている。何かと人をいじりたがる性格で、よくまほのことをからかっている。
大塚 まほ (おおつか まほ)
高校教諭の女性。過去には普通科を教えており、新卒当初は江戸川陽一の担任をしていた。現在は定時制高校に勤務している。陽一より5歳年上。陽一にからかわれて泣かされたり、おちゃめで天然でドジッ子であったりするが、その根底には、大人の余裕を隠し持っている。大塚なほという一卵性の双子の姉がいる。
山野辺 泰治 (やまのべ たいじ)
大学生の男子で、大前田真、江戸川陽一の共通の友人。彼女いない歴イコール年齢であり、高橋香乃など色々な相手に惹かれては恋に破れる。真と陽一のノロケ話を聞かされては、苦々しい思いをしていた。のちに里中秋子と出会い、紆余曲折の末に恋人同士になる。
里中 秋子 (さとなか しゅうこ)
大学生の女子。山野辺泰治とは、同じ授業を取っていたという縁で知り合った。奥手な山野辺に対し、強引なアピールを続け、ついには恋人同士となる。その後、モデルのアルバイトを始めた。
小向井 仁 (こむかい ひとし(じん))
大前田真と緑川棗の高校時代の同級生。現在は漫画家。漫画家としてのペンネームは、本名と同じ文字を書いて、仁の字を「じん」と読ませる。凄腕のプレイボーイで、かつ恋愛事に関しては努力家でもある。呼吸をするように、女性を口説く性質の持ち主。有元知子に恋愛感情を持つようになり、知子から同性愛者であると打ち明けられても、アプローチをやめない。
有元 知子 (ありもと ともこ)
大塚まほの元教え子。美容師をしている若い女性。同性愛者であることを公言していて、まほに恋愛感情を持っている。ただし、高校の頃に一度だけ男性に恋愛感情を抱き、関係を持ったことがある。小向井仁から熱心なアプローチを受け続けているが、けんもほろろに断り続けている。
大塚 なほ (おおつか なほ)
大塚まほの一卵性の双子の姉。中途失聴による聴覚障害者。手話教師である大塚政広の妻。まほが政広に恋愛感情を抱いていた過去を知っており、そのことについて苦悩している。
大塚 政広 (おおつか まさひろ)
大塚なほの夫で、年齢はまだ若い。手話教師をしており、その縁で大塚まほ、なほと知り合った。まほによれば、知り合ったのはまほの方が先であったという。かつて、なほとまほの双方から好意を抱かれたが、大塚政広自身は、なほだけを一途に愛している。また、一卵性の双子であるなほとまほを、完璧に見分けることができる。
機織 紡 (はたおり つむぎ)
大前田真のアルバイト先の会社の若いOL。医者をしている恋人がいるが、真に惹かれるようになる。その頃、真が緑川棗とケンカが絶えず、険悪な関係になっていたため、危うく過ちを起こしそうになった。しかし、結局は医者の恋人のプロポーズを受け入れ、結婚する。
秋間 ゆかり (あきま ゆかり)
大学生の女子。緑川棗の先輩として、共通の友人グループに属している。包容力のある男性が好きだと公言し、かなり年上で、非常に太めの体型のサラリーマンの恋人がいる。
高橋 香乃 (たかはし かの)
大前田真、緑川棗が旅先で偶然知り合った若い主婦。そのようにはまったく見えない、幼い外見をしている。のちに、同じ病院に通っていたという縁で、山野辺泰治に一目惚れされる。実は人妻だということを知って、泰治はおとなしく諦めた。
早乙女 譲 (さおとめ ゆずる)
大塚まほの勤務先の教え子の男子高校生。友人たちから呼ばれているあだ名は「ゆるず」。まほに恋愛感情を抱いており、ある日告白する。しかし、まほには江戸川陽一という恋人がいたため、あっけなく玉砕してしまう。相手の素性を知ったうえで、陽一とも会ったことがあり、その時はケンカ腰の態度を取っていた。
その他キーワード
リボン
江戸川陽一が、自室で見つけたリボン。大塚まほと再会したばかりの頃、酔っぱらったまほが陽一の家に押しかけて来た後に見つかった。陽一はそれをまほが忘れて行ったものだと思い込み、それを返しに行くという口実で、まほと再び対面を果たした。まほは何食わぬ顔で、探していたものだ、と言ってリボンを受け取った。実際には、それはまほの大人のハッタリであり、再会のために仕組んだもの。 リボンそのものは、ただのケーキの箱の紐である。だがその紐を、その後、陽一に真相を打ち明けるまでの間、まほは髪に結んでいた。