愛されなくても別に

愛されなくても別に

『響け!ユーフォニアム』で知られる武田綾乃の小説『愛されなくても別に』のコミカライズ作品。漫画はイラストレーターとしても活動するシェリーリリーが担当。現代の日本を舞台に、毒親のもとで育った大学生・宮田陽彩と江永雅が、理不尽な環境から抜け出そうと奮闘する姿を描いた青春逃走劇。講談社「Palcy」で2025年7月から連載。2025年7月4日に実写映画版『愛されなくても別に』が公開。宮田陽彩を南沙良、江永雅を馬場ふみかが演じている。原作小説は2021年に、第42回「吉川英治文学新人賞」を受賞している。

正式名称
愛されなくても別に
ふりがな
あいされなくてもべつに
原作者
武田 綾乃
漫画
ジャンル
家族
 
虐待
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊2巻
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過酷な家庭環境を乗り越えた女子大生たちのヒューマンドラマ

本作は、毒親や虐待といった社会問題を背景に、過酷な家庭環境で育った二人の女子大学生の友情を描いたヒューマンドラマ。両親の離婚後、母親と二人で暮らす宮田陽彩は、学費や生活費を稼ぐためにアルバイトに追われる日々を送っていた。親の言いなりに生きてきた陽彩は、ある日アルバイト先で同僚・江永雅と出会ったことで、ささやかな癒しを得て、その後の運命が大きく動き出す。 

孤独と束縛の中で出会った二人

宮田陽彩は、自分の大学生活を「クソだ」と自嘲するほど、毎日を無気力に過ごしていた。稼いだアルバイト代は母親・宮田愛に浪費され、家事はすべて陽彩が担っていた。学業とアルバイトに追われ、遊ぶ時間もなく、友人を作る余裕もなかった。彼女はただ母親のために人生を費やし、心身共に疲弊していった。母親からかけられる乾いた「愛している」という言葉は、陽彩にとって自分を縛りつける呪縛のようだった。そんな暗闇の中で、陽彩は容姿も性格も正反対の江永雅と出会う。しかし、雅もまた「父親が殺人犯」という噂のせいで、大学内で孤立していた。

絶望の果ての二人の決意

江永雅に関する噂の真相を知りたい一心で、宮田陽彩はアルバイト中に彼女に声をかけた。そこで明かされたのは、母親・宮田愛から売春を強要され、命の危険を感じて母親を見捨てざるを得なかったという、あまりにも壮絶な雅の過去だった。過酷な家庭環境で育った二人は、誰にも言えなかった本音をぶつけ合うことで、唯一無二の絆を築き、かけがえのない存在となっていく。そんなある日、陽彩は自宅の前で、長年離れて暮らしていた父親と再会する。父親から告げられた衝撃の事実は、母親への信頼を完全に打ち砕き、陽彩はある決意を胸に行動を起こすのだった。 

登場人物・キャラクター

宮田 陽彩 (みやた ひいろ)

大学2年生の女子で、黒髪をボブヘアにしている。年齢は19歳。両親の離婚後、浪費癖の激しい母親・宮田愛に育てられた。学生生活のほとんどをアルバイトに費やし、その収入で学費を賄うと共に、毎月8万円を母親に渡している。大学進学の条件として家事全般を任されており、朝食の準備をはじめ、日々家事に追われる生活を送っている。母親の反対で遠方の大学への進学は許されず、合格していた国立大学をあきらめ、近くの私立大学に入学した。そんな劣悪な家庭環境の中でも母親を見捨てられずにいたが、アルバイト先の同僚・江永雅との出会いが、彼女の人生観を大きく変えていくことになる。 

江永 雅 (えなが みやび)

宮田陽彩と同じ大学に通う女子で、アルバイト先の同僚でもある。明るい金髪をロングヘアにしている。年齢は21歳。四国出身。大学では「父親が殺人犯」という噂のせいで周囲から距離を置かれている。その背景には壮絶な過去が隠されていた。幼少期に父親から性的虐待を受け、母親と共に逃げ出したものの、生活に困窮した母親から売春を強要されるという壮絶な経験をしている。さらに高校2年生の時には、父親が起こしたひき逃げ事件の影響で高校中退を余儀なくされた。そんな中、陽彩に話しかけられたことをきっかけに、自らの過去を打ち明ける。「毒親」という共通点を持つ二人は、やがて不思議な友情で結ばれていく。

クレジット

原作

武田 綾乃

書誌情報

愛されなくても別に 2巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2025-07-11発行、978-4065404744)

第2巻

(2025-10-10発行、978-4065410660)

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