ワケあり家族の人間ドラマ
中学生の少女、鈴木れもんが安達家にやってくるところから物語は始まる。母親の安達胡桃は、自宅でエステサロンを営む女性。長女の林檎は会社員、次女の杏は大学生である。れもんは、蒸発した胡桃の元夫の浮気相手の娘。父も母も知らずに育ったれもんは、祖母と二人暮らしをしていたが、祖母が認知症を患い施設に入所してしまう。そこで胡桃は、身寄りがなくなったれもんを引き取り、安達家は女性四人の「家族」となった。そんな中、植木職人の男性、高比良泉(イズミ)が現れ、れもんや胡桃と交流を持つようになり安達家に変化をもたらす。本作は、複雑な事情を抱えた家族の関係を描いたドラマティックストーリーである。
イズミを巡る二つの恋
剪定(せんてい)終了後も安達家に出入りするイズミに、れもんは次第になつき始める。「ちょっと知ってるけど知らない人だから便利」という理由で、祖母が壊れていく悲しさをイズミに話すうちに、れもんは淡い恋心を抱くようになる。一方、胡桃も家に出たアシダカグモを捕まえてもらったことをきっかけに、イズミと交流を持つようになる。そして、昼の公園でのワインデートを経て二人は交際することになった。胡桃の交際宣言を聞いたれもんは、自分を引き取ってくれたことに感謝しつつも、彼女を「敵」だと認識し複雑な思いを抱く。
安達家に広がる波紋
次女の杏は、男性に対して潔癖なところがあり、イズミが家に出入りしていることに露骨に不快感を表す。れもんはそんな杏の性格を知りながら、胡桃とイズミの交際を匂わせる。れもんが思った通り拒否反応を示した杏は、長女の林檎と話をしようとするが、酔っ払って帰ってきた林檎は、自分の恋愛のことを聞かれたと勘違い。その結果、林檎が家族のある男性と不倫をしていることが判明する。「母親が一番苦しんだこと」だと非難する杏に対し、林檎は「ガキ」「万年中学生」だと言い返す。そして杏は、様子を見に来た胡桃と林檎に対して「きもちわるい」と言い放つ。イズミの存在は安達家に波紋を起こすことになるが、彼にはさらに大きな秘密があった。
登場人物・キャラクター
鈴木 れもん (すずき れもん)
14歳の女子中学生。両親の顔を知らず、祖母と二人暮らしをしていた。最愛の祖母が認知症で施設に入り、父の本妻である胡桃に引き取られる。以来、胡桃、異母姉妹の長女の林檎、次女の杏と女性だけの四人で暮らすことになる。不幸な境遇にも関わらず元気に振る舞い、「私のこれからの人生は明るい」と自らに言い聞かせる。
安達 胡桃 (あだち くるみ)
自宅でエステサロンを営業する40代なかばの女性。高校時代はミスコンに選ばれたほどの美女。元夫は高校の先輩で、女の子を二人儲けるがその後元夫は蒸発してしまう。元夫の浮気相手に娘(れもん)がいて、天涯孤独になったことを知り、彼女を引き取る。
高比良 泉 (たかひら いずみ)
安達家に出入りする植木職人の男性。作中での表記は「イズミ」。幼少時は母親と二人暮らしをしていたが、13歳の時に母親を亡くし、親戚の家に引き取られた。高校卒業後は、それと知らずにマルチまがいの会社に就職。多くの人の恨みを買った末に会社は破産。紆余(うよ)曲折を経て、ひょんなことから植木職人となった。安達家の庭を剪定した後、胡桃やれもんと交流を重ねる。
書誌情報
私・空・あなた・私 全4巻 幻冬舎コミックス〈バーズコミックス スピカコレクション〉
第1巻
(2014-12-24発行、978-4344833012)
第2巻
(2015-11-24発行、978-4344835658)
第3巻
(2017-01-24発行、978-4344838918)
第4巻
(2018-03-24発行、978-4344841888)







