男一匹ガキ大将

男一匹ガキ大将

主人公戸川万吉が多くの子分を従え、日本一の男になるまでの姿を描いた、本宮ひろ志の初期の代表作。物語後半は、世界の株相場に進出して活躍するが、現在入手可能な単行本では、作者の意向により富士の裾野の決戦以降のエピソードが削除されている。

正式名称
男一匹ガキ大将
ふりがな
おとこいっぴきがきだいしょう
作者
ジャンル
青春
レーベル
集英社文庫コミック版(集英社)
巻数
既刊7巻
関連商品
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概要・あらすじ

西海のガキ大将戸川万吉は、人間的な魅力を武器に次々と勢力を拡大していく。自分が為すべきことは何なのか、水戸のおばばの策略に一度は目的を見失いかけたものの、綱村の死をきっかけにして、日本一の男になることを誓う。全国制覇を目指して万吉一家は東へ進み、ついに富士の裾野で日本を東西に割った一大決戦を発展することに。

東の総大将堀田石松と、西の総大将万吉の喧嘩は意外な形で決着する。

登場人物・キャラクター

戸川 万吉 (とがわ まんきち)

男気のあるガキ大将で喧嘩がめっぽう強い。三人の脱獄囚を一人で倒した喧嘩、銀次との喧嘩、松川との180対1の喧嘩、綱村との喧嘩、神田での乱闘制止、昭和ハウスの株買い、仲台との喧嘩、赤姫山での籠城、特等少年院での大喧嘩、列車事故を未然に防いだ一件、山崎との喧嘩、そして富士の裾野の決戦などで男を磨き、単なるガキ大将から子分に担がれる神輿にまで成長する。 その後、恋人の岡野友子と結婚した万吉は、水戸のおばばに挑戦状を叩きつけ、坊谷津三津五郎の持ちかけで本格的な株買いへと乗り出す。最後の喧嘩相手は世界経済だった。

岡野 友子 (おかの ともこ)

初めて会ったときから万吉のことを好きになり、あゆみに万吉が骨抜きにされた際も、ただただ信じて待っていた。後に万吉が本格的に社会進出すると結婚し、長男の戸川億吉を出産する。

ラッパ

万吉の一の子分で、喧嘩の際に進軍ラッパを吹き鳴らす。万吉があゆみに骨抜きにされたときは、死を覚悟であゆみを道連れに崖から海に飛び込み、万吉の目を覚まそうとした。

雲海寺の和尚 (うんかいじのおしょう)

西海で寺を構える住職で、万吉が進むべき道に迷ったときは良きアドバイスを与える。その容姿からかなりの高齢だと思われるが、殴りかかってきた万吉を軽くあしらうほど喧嘩も強い。

久保 銀次 (くぼ ぎんじ)

身寄りがなく、松川の父親に引き取られて西海を訪れたが、万吉との喧嘩でその男気に触れて子分になる。その後、ある時は万吉の名代として喧嘩に赴き、またある時は万吉を救うために自ら特等少年院に入所するなど、己の存在の全てをかけて万吉に仕え続ける。万吉の命を受けて骨のある男をさがしに四国に行き、土佐源、まんじゅう屋藤助、どんごろすのジェンマの三名を西海に連れ帰る。

松川 幸太郎 (まつかわ こうたろう)

東栄中学のボスで、西海中学を自分の支配下に置こうとするが、180対1で行った万吉との喧嘩に遅れをとって自ら子分となる。後に万吉の命を受けて骨のある男をさがしに中国地方に行き、山陰に五千人の子分を持つ山崎を西海にいざなう。

綱村 鉄次 (つなむら てつじ)

万吉の人望の厚さが気に入らずに喧嘩をふっかけるも、その器の大きさと人間性に触れて自ら万吉の子分となる。万吉の命で骨のある男をさがしに九州に行き、喧嘩でかなわない菊村大助に己の覚悟を示すため、その目の前で自ら左腕を斬り落とした。西海に戻った後、あゆみに骨抜きにされた万吉を見て愕然とし、死ぬ気で山崎との喧嘩に赴くも、立ち直った万吉を信じて列車事故を未然に防ぐために体を張る。 最後は倒壊した柱から万吉をかばって、壮絶な立ち往生を遂げる。

水戸 正江 (みと まさえ)

水戸屋商事の会長で、株式入手による企業の乗っ取りを生業としている。万吉の器の大きさを一目で見抜き、養子にして育てようとするが、勢力を増していく万吉に脅威を感じて潰すことを企んだ。孫娘のあゆみを使った計略は失敗したが、その間に昭和ハウスを手中に収め、以後もことあるごとに万吉の前に立ちはだかる。

坊谷津 光五郎 (ぼうやつ みつごろう)

一時期、日本財界を台風のごとく暴れまわった天才相場師。あまりにも派手に動きすぎたため、財界の大物に圧力をかけられて消えていった。万吉に出会って、男としての器量を認めた後は、自ら子分になり軍師として万吉の社会進出に力を貸す。

有沢 大三郎 (ありさわ だいざぶろう)

旧日本海軍の将軍で、白川宇太郎が少佐だった頃の上官でもある。尾張の山奥に居ながら日本全国の乞食を支配しており、その情報網で万吉の社会進出を陰ながら支える。

白川 宇太郎 (しらかわ うたろう)

一言で相場すらも動くと言われている日本財界の第一人者で、戦時中は有沢大三郎の部下だった。万吉の器の大きさに脅威を感じ、策を弄して特等少年院送りにする。万吉の直接的な敵の一人である。

仲台 (なかだい)

天ぷら屋の職人だったが、白川宇太郎に見出されて懐刀となる。白川の命を受けて西海の養殖ノリを全滅させたが、怒った万吉との一騎打ちの喧嘩に負けて入院する。しかし、この一件で万吉は白川に告訴され、特等少年院送りとなる。

稲垣社長 (いながきしゃちょう)

倒産寸前の昭和ハウス工業の社長で、万吉が株を買ってくれたお陰で格安の新建材を完成させる。これにより一気に株価が上昇し、万吉は一億八千万円もの大金を手に入れた。

須永 博 (すなが ひろし)

特等少年院に三度も入所した経歴を持ち、鬼頭の正体について真実を知っている。万吉の器を見定めるため部屋長をけしかけ、万吉を地獄のリンチにかけさせるも、全く屈しない姿を見て、万吉の子分になることを決意する。出所後は島田とともに西海へ行き、富士の裾野の決戦に参加する。

水戸あゆみ (みとあゆみ)

水戸のおばばの孫娘で、若さと美しさを武器に万吉を誘惑する。一時的に万吉を骨抜きにすることに成功したが、ともに東京に逃げようとする土壇場で、万吉が本来の男気に目覚め、列車事故を防ぐために立ち上がった。万吉に近づいたのは策略だが、途中から本気で愛していたようで、ひとり東京に戻った後は傷心のまま外国に留学する。

鬼頭 政次 (きとう まさじ)

特等少年院の総部屋長にして、所長や教官の不正に真っ向から立ち向かって命尽きた伝説の男。残された部屋長たちは、鬼頭の名を消しては申し訳ないと思い、今も鬼頭が生きているかのように必死で細工してきた。

荒井 源蔵 (あらい げんぞう)

土佐一帯の荒くれを率いている実力者で、安っぽい喧嘩をすると男の価値が下がるという信念を持つ。男さがしで土佐に来た銀次の言葉に興味を示し、万吉の男を品定めするために西海に向かう。あゆみに骨抜きにされた万吉を見て落胆するも、列車事故を防いだ一件で万吉の器の大きさを知って子分になる。

まんじゅう屋藤助 (まんじゅうやとうすけ)

大将を持たない一匹狼だが、男さがしで土佐に来た銀次の言葉に興味を示し、万吉の男を品定めするため土佐源とともに西海に向かう。列車事故を防いだ万吉の器の大きさを見て、探し求めた大将に巡り会えたとして自ら子分となる。

どんごろすのジェンマ

日本全国をまたにかけて真実を探し続けるさすらいの男。何か揉め事があったら、間に入って丸く収めることを商売にしている。西海に行けば当分食いっぱぐれはないと計算して、土佐源とともに万吉の品定めに向かう。

菊村 大助 (きくむら だいすけ)

九州全域を支配する実力者で、男さがしで九州に来た綱村の覚悟を見て、万吉に会う決心をする。直接的な喧嘩の強さは万吉を凌ぐが、列車事故を防いだ一件で万吉の器の大きさを知って子分になる。

山崎

山陰地方に五千人の子分を持つ大親分だが、背が低いことをコンプレックスにしており、そのハンデを補うため常に木刀を携帯している。男さがしで中国地方を訪れた松川の依頼で万吉に会いに来るが、それは万吉一家を壊滅させて西海を自分の配下に収めようとする計略だった。 後に万吉の器の大きさを知って自ら子分になる。

佐々木 雄二 (ささき ゆうじ)

メガネ、長髪、長ランがトレードマークの謎の男で、堀田石松を意のままに操り、万吉を潰そうとする。その一方で、万吉の参謀として動いていたが、それは双子の兄だった。富士の裾野の決戦で兄の叡智に敗北し、以後は万吉の子分となって世界と戦うための参謀となる。 堀田の槍に刺された万吉の手術を行い、その命を見事に救った。

佐々木 (ささき)

弟のドクター佐々木とほとんど同じ風貌だが、長ランではなく常にちゃんちゃんこを着ている。五歳で読み書きを覚え、十五歳で大学を卒業し、十六歳で医学博士号を取得した大天才。万吉の参謀として富士の裾野の決戦に臨み、弟の作戦を打ち破って万吉を勝利に導く。その後、悔い改めた弟に万吉の参謀役を譲り、自身は医療の世界に戻っていった。

島田 (しまだ)

特等少年院の第三室室長で、鬼頭のふりをして万吉を欺こうとした。出所後は西海に行き、自ら万吉の子分となる。富士の裾野の決戦では、ヘルスとともに万吉に付き従う。

堀田 石松 (ほった いしまつ)

東北一帯を支配している実力者で、ドクター佐々木にけしかけられて天下を取ろうとする。その際に邪魔な万吉を富士の裾野の決戦で潰そうとするが、万吉の語る目的の大きさに己の力量のなさを思い知らされる。意地を張る堀田は、槍で万吉を刺し殺そうとするが、それでも屈しない万吉の姿に心を打たれ、最後は自ら子分になる。

集団・組織

西海万吉一家 (さいかいまんきちいっか)

『男一匹ガキ大将』に登場するはんぱ学生たちの組織で、総大将である戸川万吉が神輿として担がれている。最初は小学生を含む数人の組織だったが、富士の裾野の決戦前には約一万五千人の巨大組織に膨れ上がっていた。

水戸屋商事 (みとやしょうじ)

『男一匹ガキ大将』に登場する会社組織。水戸のおばばが経営する会社で、株式相場を操り企業を乗っ取ることを主な業務としている。

昭和ハウス (しょうわはうす)

『男一匹ガキ大将』に登場する会社組織。家一軒を新築する費用が20〜30万円以下に抑えられる画期的な新建材を研究しているが、同業他社からの圧力や産業スパイの暗躍により倒産寸前にまで追い込まれている。万吉の活躍により危機を乗り越えるも、万吉があゆみに骨抜きにされている間に水戸のおばばに乗っ取られてしまう。

場所

特等少年院 (とくとうしょうねんいん)

『男一匹ガキ大将』に登場する犯罪少年の更生施設。少年院では手に負えない犯罪少年のみが送られ、かつては教官による暴力や仲間内のリンチで多くの少年が死んだと言われる。所長や教官の不正に真っ向から立ち向かった男もいた。

イベント・出来事

富士の裾野の決戦 (ふじのすそののけっせん)

本来は東の大将堀田石松と西の大将戸川万吉が、それぞれ一万五千人の子分を引き連れて激突する大喧嘩のはずだった。しかし、ドクター佐々木の妨害工作により万吉一家は各所で足止めされ、万吉はヘルスと島田の二人だけを連れて富士の裾野に向かう。

アニメ

男一匹ガキ大将

西海村の悪ガキ戸川万吉は一の子分ラッパとともにケンカに明け暮れる毎日。村に療養にやってきた岡野友子と仲良くなるが、その岡野友子が脱獄囚に人質にされる。単身乗り込んで岡野友子を救い、一躍名を挙げた戸川万... 関連ページ:男一匹ガキ大将

書誌情報

男一匹ガキ大将 7巻 集英社〈集英社文庫コミック版〉

第1巻

(1995-01-01発行、 978-4086170116)

第2巻

(1995-01-01発行、 978-4086170123)

第3巻

(1995-01-01発行、 978-4086170130)

第4巻

(1995-01-01発行、 978-4086170147)

第5巻

(1995-01-01発行、 978-4086170154)

第6巻

(1995-01-01発行、 978-4086170161)

第7巻

(1995-01-01発行、 978-4086170178)

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