あらすじ
第1巻
城遊(じょうゆう)学園中等部の3年2組は、4月のひと月で担任教師が五人交代するほど、クラス内はトラブル続きで崩壊していた。そんな3年2組に六人目の担任教師として、無裸慈屋一千代がやって来る。上半身がブラジャー1枚の無裸慈屋は周囲を驚愕させ、好奇の目もいっさい気にせず、無裸慈屋は自分の生徒たちと向き合っていく。そんな無裸慈屋を快く思ってない嵐多純平は、ある日教室内で破壊行為を繰り返す。これまで嵐多から嫌がらせを受けていた仙台まゆそは感情が高ぶり、嵐多を窓から突き落とそうとする。無裸慈屋の機転もあり、嵐多はなんとか転落せずにすむ。そして嵐多は自分に反撃してきたまゆそに好意を抱き、告白する。しかし、その告白に無裸慈屋が介入し、嵐多に対してまゆそと交際をしたければクラス副委員長になるようにと条件を突きつける。こうしてクラスの中でも突出した問題児だった嵐多は、少しずつではあるものの落ち着きを取り戻し、クラスの雰囲気も穏やかになっていく。また、これまで友達のいなかったまゆそも、クラスメイトたちとかかわりを持つようになる。
第2巻
内申点をよくすることを目的にクラス委員長となった未弐井アマルは、無裸慈屋一千代から突然解任されたことを受け、苛立ちを隠せずにいた。そんな未弐井の気持ちとは正反対に、無裸慈屋はクラス内で確実に信頼を集めていく。ある日、ひょんなことから無裸慈屋や山科瑞樹、花形と草むしりをすることになった未弐井は、偶然その場を通りかかった嵐多純平と殴り合いのケンカをしてしまう。無裸慈屋の機転によって問題にはならなかったものの、未弐井はこれまで進学のためにまじめに頑張ってきた自分が急にバカらしくなり、自信を失くしてしまう。しかし、新しくクラス委員長に任命された仙台まゆそは、これまでの未弐井が残していた丁寧な資料に感動し、未弐井を大いに褒めたたえる。こうして未弐井はこれまでの自分は間違っていなかったのだと、前向きな気持ちを取り戻していく。一方、所属するハンドボール部に青春のすべてをかけている渚サマナは、ほかの部員からついていけないと距離を置かれ、孤立していく。
第3巻
無裸慈屋一千代の働きかけにより、3年2組の生徒たちのあいだには少しずつ絆が生まれつつあった。そんな中、3年生になってから一度も登校していない陰木谷メルトが、久しぶりに学校を訪れる。しかし陰木谷は、武保山とその男友達との猥談を耳にし、気分が悪くなってしまう。性に奔放な母親を持つ陰木谷は、猥褻な話題を避けたいと思いつつも、孤独な心を埋めるためにきわどい服装で動画配信を行うという、矛盾した行為を繰り返していた。しかし、陰木谷は過激なその配信内容を心配している武保山と、ありのままを受け止めてくれる無裸慈屋の存在に涙し、学校に通うようになる。こうして3年2組は受験に向けて落ち着きを取り戻すが、これまでトラブルを起こし続けてきたことから、通常の生徒会よりも強い権限を持ち、学校に対して生徒の退学も指示できる特別高等生徒会の会長、旋風雀怒から目をつけられてしまう。旋風は3年2組全員の退学と無裸慈屋のクビを生徒会に提案し、周囲も旋風の意見に同調する。
登場人物・キャラクター
無裸慈屋 一千代 (ぶらじや いちよ)
教員採用試験を3年連続で落ち、4年目でやっと合格した新任教師の女性。年齢は25歳で、理科を担当している。合格してすぐに、城遊(じょうゆう)学園中等部の3年2組を任された。3年2組はひと月で、担任が五人交代している問題が多いクラスだが、それを上回る無裸慈屋一千代自身の破天荒ぶりを発揮していく。下半身はその場に応じてスカートやズボンを着用しているが、上半身はブラジャーだけを身につけている。無裸慈屋本人はまったく恥ずかしがる様子はなく、自らその服装についてはいっさい触れない。人助けをする際は、必要とあればブラジャーを外すことも厭わない。非常に明るくポジティブな性格で、つかみどころがなく型にはまらないタイプ。生徒たちを心から信頼しており、問題を抱えている生徒にも真剣に向き合う。生徒からは「ブラジャー先生」と呼ばれており、自らを呼ぶ時にも使っている。学生時代からの友人である蘭地絵里からは、「いっちょん」と呼ばれる。
仙台 まゆそ (せんだい まゆそ)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う女子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。人間関係を築くことが苦手で、クラス内でも浮いた存在になっている。そのため、周囲からは何を考えているのかわからないと陰口を叩かれることもある。嵐多純平から嫌がらせを受けていたが、我慢できずに反撃をしたところ、なぜか嵐多から好意を持たれるようになる。最初は嵐多を拒絶していたが、自分のために一生懸命に変わろうとする彼と距離を縮めていく。無裸慈屋のことを慕っているが、彼女の破天荒な言動には振り回されている。引っ込み思案な性格で、自分の感情を表に出すことが苦手ながら、感情が高ぶると大胆な行動を起こす。
嵐多 純平 (あらしだ じゅんぺい)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う男子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。ふだんから素行の悪い不良で、子分の猫太川、根茂田と共に悪事を働いている。となり町にある高校の番長にわざわざケンカを挑みにいくほど、自分の腕力に自信を持つ。クラス内でも机を割るなどの粗暴な行為を繰り返し、クラスメイトに恐怖を与えている。人付き合いが苦手でクラス内でも浮いた存在の仙台まゆそに嫌がらせをしていたが、反撃されたことがきっかけで、彼女に恋心を抱くようになる。以降、まゆそに似合う男になろうと言動を改めていくが、なかなかうまくいかずにいる。基本的に自己中心的な性格で、力ずくで相手を屈服さようとするが、何を考えているのかわからない無裸慈屋のことを苦手にしている。
猫太川 (ねこたがわ)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う男子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。ふだんから素行の悪い不良で、根茂田と共に嵐多純平の子分となっている。同じ中学校内にかわいらしい妹がおり、溺愛している。ぽっちゃりとした体型の持ち主で、猫の耳を思わせるヘアスタイルをしている。語尾に「ニャ」を付けて話す。根茂田ほどではないが、嵐多のことを尊敬している。嵐多と根茂田からは「ニャー介」と呼ばれている。
根茂田 (ねもだ)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う男子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。ふだんから素行の悪い不良で、猫太川といっしょに嵐多純平の子分となっている。嵐多のことを心から尊敬しており、彼に不名誉な出来事があると復讐のために単独行動を起こす。一方で、嵐多が仙台まゆそに片思いしていることは、嵐多らしくないと素直に受け入れられずにいる。
未弐井 アマル (みにい あまる)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う男子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。4月からクラス委員長を務めている優等生だったが、無裸慈屋の一存で解任されてしまう。実家が貧乏なため、優秀な成績を収めて授業料のかからない特別進学コースに進級することを目標としており、「完璧な人間でないといけない」と密かにプレッシャーを感じている。クラス委員長を務めていたのも内申点を上げるためであり、解任した無裸慈屋に対して強い不信感を抱いていたが、次第に彼女のペースに巻き込まれていく。表向きはまじめで責任感が強く見えるが、実際は年相応のもろさを持つ。まじめさゆえに空回りすることもあり、その際はクラスメイトから「クソメガネ」と呼ばれ、暴言を吐かれている。無裸慈屋からは日常的に「クソメガネ委員長」と呼ばれている。
山科 瑞樹 (やましな みずき)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う女子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。4月からクラス副委員長と務めていたが、無裸慈屋の一存で解任されてしまう。進級してから自らのクラスが荒れていることにプレッシャーを感じており、誰にも相談できずに悩んでいた。そのため、内申点を上げるために委員長となった未弐井アマルとは異なり、解任されたことに安堵している。まじめな性格で、クラスメイトからの信頼も厚い。
渚 サマナ (なぎさ さまな)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う女子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。長名とは幼なじみで親友。アメリカ人と日本人のハーフで、金髪に灼眼の容姿を持つ。部活動はハンドボール部に所属しており、主将を務めている。自らのクラスで問題が多発しているのは理解しているものの、授業より部活動を優先しているために興味がない。部員に対しても容赦なく、渚サマナの考えについていけずに退部する者も多い。それが原因でいじめを受けた過去もあり、その時に助けてくれた長名を心から信頼している。また、両親の教育方針から日本とアメリカを頻繁に行き来しており、たびたび転校している。言いたいことははっきりと口にするタイプで、自分の価値観と異なる者に対して攻撃的な一面をのぞかせる。
長名 (おさな)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う女子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。渚サマナとは幼なじみで親友。部活動のことしか考えておらず、他人に対して攻撃的なサマナをフォローすることが多い。以前、アメリカ人と日本人のハーフであることからいじめを受けていたサマナを助けた過去がある。無裸慈屋からはサマナのお母さん的な存在だと認識をされており、長名自身も嫌だとは感じていない。大らかで心優しい性格の持ち主。
陰木谷 メルト (いんきや めると)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う女子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。2年生の頃からたびたび登校拒否をしており、学校には気が向いた時だけ登校する。その際には外部と自分を遮断するため、ガスマスクを付けている。性にだらしない母親がおり、猥褻な言動を激しく拒絶する。また、母親からはネグレクトを受けている。その一方で孤独を埋めるために胸にマスクを付け、肌を激しく露出した格好で動画配信を行っており、男性ファンが多い。その動画配信を武保山に観られているが、陰木谷メルト自身はそのことを知らない。動画配信をする際には「千切り魔スク」と名乗っている。人と接することを嫌い、周囲に対して心を開くことのない卑屈な性格の持ち主。
武保山 (ぶほやま)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う男子。無裸慈屋一千代が担任を務める3年2組に在籍している。学校内にある女子生徒のスカートの中がのぞけるスポットに潜んでいるなど、性欲が非常に旺盛。同じく女性に人一倍興味を持つ男友達と、場所を選ぶことなく猥褻な話をして盛り上がっている。陰木谷メルトがインターネット上で肌を露出し、過激な動画配信をしていることを知っており、いつか彼女が犯罪に巻き込まれるのではないかと心配し、無裸慈屋に相談を持ち掛ける。己の性欲に正直な性格の持ち主だが、友達に対しては性別関係なく情に厚い一面もある。
福木 (ふくき)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う3年生の女子。渚サマナと同じハンドボール部に所属している。サマナが人一倍努力をしていることは認めつつも、このままでは部員がいなくなり、ハンドボール部が廃部になるのではないかと心配している。部活内で孤立しているサマナに対しても友好的に接し、サマナとほかの部員たちの窓口役を担う。大らかで明るく、社交的な性格の持ち主。
旋風 雀怒 (つむじかぜ じゃんぬ)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う3年生の女子。特別高等生徒会(通常の生徒会よりも強い権限を持つ組織で、学校に対して生徒の退学も指示できる)の会長を務める。本来であれば小学校6年生だが、非常に高い学力を持つことから、飛び級をして中学3年生に進学した。勉強だけでなく運動でも飛び抜けた成績を収めており、人生に退屈している。そこでトラブルを起こしてばかりの3年2組に目をつけ、全員の退学と無裸慈屋一千代をクビにして楽しもうと行動を起こす。立ち振る舞いは大人びているが、外見は小学生の女子そのもので非常に幼い。自分に絶対的な自信があり、歯向かう相手には容赦しないタイプ。語尾に「~ダニ」を付ける特徴的な話し方をする。
間仁 厚久 (まに あつく)
城遊(じょうゆう)学園中等部に通う男子。特別高等生徒会(通常の生徒会よりも強い権限を持つ組織で、学校に対して生徒の退学も指示できる)に所属している。旋風雀怒の熱烈な支持者で、側近を務めている。旋風が怒っている場面を見て興奮するなど、性癖をこじらせている。また、旋風のことになると突然饒舌になり、周囲からは気持ちが悪いと距離を置かれることも多い。
宇潟 (うがた)
無裸慈屋一千代のとなりのクラスの中年の女性教師。3年1組の担任を務める。出会った当初は無裸慈屋が辞めてしまうと、宇潟自身が3年1組だけでなく3年2組も受け持つことになってしまう可能性が高く、あくまで自分のために彼女をフォローするなど親切に接していた。しかし、無裸慈屋の人柄を知るうちに、好意的に受け止めるようになり、職員の中で孤立しがちな無裸慈屋をフォローすることも多い。無裸慈屋からは同じ3年生の担任であるため、何かと頼りにされている。
碓氷 (うすい)
城遊(じょうゆう)学園中等部で教員をしている男性。以前はハンドボール部の顧問を務めていた。部活動の運営を巡って渚サマナと激しくぶつかり合い、存在を全否定されたことで顧問を辞めてしまう。しかし、辞めたあともサマナやほかの部員たちのことを気にかけている。急遽、無裸慈屋一千代がハンドボール部の顧問になった際には、無裸慈屋を通して部員たちを支援し始める。
雨ノ宮 (あめのみや)
無裸慈屋一千代が採用される前、城遊(じょうゆう)学園中等部で3年2組の担任をしていた男性。問題児ぞろいの3年2組の生徒たちが起こしたトラブルと向き合っていくうちに、心身共に疲弊して志半ばで辞職する。優しく穏やかな性格で、仙台まゆそをはじめ一部の生徒から慕われていた。
花形 (はながた)
城遊(じょうゆう)学園中等部の校長を務める中年の男性。ふだんは校庭の花壇の手入れや草むしりを行っており、作業着姿であることから、周囲からは校長だと認識されていない。無裸慈屋一千代からも用務員のおじさんだと思われており、胸を押しつけられたり抱きつかれたりと、激しいスキンシップを受けている。
蘭地 絵里 (らんじ えり)
ショッピングモールの女性向け下着売り場で、フィッティングアドバイザーとして勤務している女性。無裸慈屋一千代とは学生時代からの友人で、城遊(じょうゆう)学園中等部の卒業生でもある。仕事はできるが、下着への情熱ゆえに空回りすることも多い。無裸慈屋のブラジャーを壊してしまったため、弁償しようと店を訪れた仙台まゆそと嵐多純平を発見し、初々しい後輩カップルだとからかいながら接客を行う。
クロエ
アメリカ人の少女。渚サマナがアメリカで暮らしていた際、所属していたハンドボール部の先輩にあたる。アメリカ人と日本人のハーフであるサマナに対し、差別的ないじめを繰り返す。また、サマナと両思いの男子とのあいだに無理矢理介入し、略奪するという嫌がらせをして楽しんでいる。