概要・あらすじ
江戸時代初期。友人の吉岡又七郎が宮本武蔵に殺されたのを切っ掛けに、無門鬼千代は、どのような卑劣な手段を使っても、剣は勝てばいいと思い定めた。天下の剣豪になった武蔵を狙う鬼千代だが、一方で、武蔵を慕う切支丹のロザリアお吟に惹かれていく。紆余曲折を経て、大坂の陣で縁のできた、徳川家康の孫の千姫を利用し、旗本直参に取り立てられた鬼千代。
しかし、お吟への無私の愛を自覚し、身分と妄執を捨て去るのだった。
登場人物・キャラクター
無門 鬼千代 (むもん おにちよ)
友人の吉岡又七郎が宮本武蔵に殺されたのを切っ掛けに、勝ためにはどのような卑劣な手段でも使う外道剣に目覚める。何度も武蔵を狙うが果たせず。西班牙人のヴィスカイノを師にして、混血剣法を会得した。武蔵を慕う切支丹のロザリアお吟にこだわり、やがて愛していることを自覚する。 千姫との縁から旗本直参に取り立てられたが、お吟のために、すべてを捨てた。
宮本 武蔵 (みやもと むさし)
天下に名高い剣豪。無門鬼千代を上回る、外道剣の体現者。何度も襲ってくる鬼千代を、軽くあしらう。自分を慕うロザリアお吟の、崇高な心に触れ、外道剣を捨てて、剣聖の道を歩んだ。歴史上の実在の人物、宮本武蔵がモデル。
ロザリアお吟 (ろさりあおぎん)
父親が西班牙人で、碧眼を持つ。敬虔な切支丹。長崎で出会った宮本武蔵に基督の姿を見て、一途に慕う。無門鬼千代との因縁から、何度も貞操の危機に陥った。自分の身体を目当てにしていた西班牙人のヴィスカイノが、父親だと判明し、苦悩することになる。
柳生 但馬守宗矩 (やぎゅう たじまのかみむねのり)
徳川将軍家の剣法指南をしている、柳生新陰流の当主。宮本武蔵の存在を疎ましく思い、無門鬼千代を利用するなど、さまざまな方法で排斥しようとした。実在した、柳生但馬守宗矩がモデル。
ヴィスカイノ
西班牙船の司令官。元海賊。徳川幕府に招かれ、江戸にやってきた。細身の南蛮剣を使った、南蛮剣法の達人。女を調達した無門鬼千代を弟子にする。サディストで、ロザリアお吟の身体を狙った。しかし宮本武蔵との対決に敗れ、死の寸前に、お吟が自分の娘であることを知る。 実在した、セバスティアン・ビスカイノがモデル。
黒水仙のお京 (くろすいせんのおきょう)
徳川幕府のお庭番服部半蔵配下のくノ一。宮本武蔵の名を貶めるため、無門鬼千代を利用しよう近づく。しかし自分が利用されたこに怒った鬼千代によって火をかけられ、顔の半分に火傷を負う。ヴイスカイノを殺そうとして失敗し、辱めを受けた。
千姫 (せんひめ)
豊臣秀頼の妻。徳川家康の孫。炎上する大坂城から、坂崎出羽守直盛の手によって助け出される。しかし出羽守を嫌い、出羽守を殺して千姫救出の手柄を得ようとした無門鬼千代を気に入り、男女の仲になった。
白鵬寺 左近 (はくほうじ さこん)
大坂の陣で討ち死にした豊臣方の武将木村長門守重成の異母弟。白面の貴公子で、剣の達人。炎上する大坂城で、無門鬼千代と遭遇する。宮本武蔵を破ると豪語したが、武蔵によって一蹴される。その際、打ち据えられ、無残な醜貌になった。
ペトロ盤獄 (ぺとろばんがく)
元相撲取りの切支丹。ロザリアお吟を聖女と慕い、常に行動を共にする。
宍戸蕃六 (ししどばんろく)
宮本武蔵との対決に敗れた、宍戸梅軒の息子。父親の仇として武蔵を狙い、無門鬼千代と共闘するも果たせず。かえって鬼千代の卑怯ぶりに呆れ、斬り合いに割って入ったロザリアお吟を慕うようになる。以後、切支丹となり、お吟と行動を共にした。
場所
江戸 (えど)
徳川幕府の将軍が暮らす江戸城がある、江戸時代の日本の首都。無門鬼千代を始めとする、主要人物が集結した。
その他キーワード
外道剣 (げどうけん)
『斬殺者』に登場する用語。無門鬼千代が提唱する、剣の本質。いかに自分は斬られず、相手を斬るかが肝心であり、そのためにはどんな卑怯な手でも使っていいというもの。
三日月落とし (みかづきおとし)
『斬殺者』に登場する必殺技。無門鬼千代が独自に工夫した秘剣。相手の利き腕の親指を斬り落とし、無力化する。斬られた親指が、三日月のような形をしていることから、三日月落としと名付けられた。
混血剣法 (こんけつけんぽう)
『斬殺者』に登場する必殺技。日本刀と南蛮剣を使った、二刀流の剣法。無門鬼千代が、西班牙人のヴィスカイノから南蛮剣法を学び、会得した。
クレジット
- 原作