概要・あらすじ
東條さち子の自宅は、ワカケホンセイインコやアオボウシインコなど、さまざまなインコが住むインコ屋敷である。さち子は、ワカケホンセイインコのくまに手を焼きながら、人間味溢れるインコたちとの同居生活を送っている。
登場人物・キャラクター
東條 さち子 (とうじょう さちこ)
インコたちの飼い主である漫画家の女性。根暗だが攻撃的なところがあり、若い頃はくまの鳴き声に我慢できず、くまの鳥カゴを叩いたりしていた。大人になった今は多少落ち着いたが、それでもふとしたはずみに以前の攻撃性が表面化することもある。くまとは非常に仲が悪いが、がんばれを愛すことで心のバランスを保っている。アシスタントや編集者などからは、インコとの騒がしい同居生活を怪訝な目で見られている。 作者である東條さち子本人がモデル。
夫 (おっと)
東條さち子の夫。さち子とは趣味が何一つ合わず、話が食い違うことが多い。飼っているインコのくまと仲が良く、凶暴なくまも夫にだけは攻撃しない。さち子がくまに餌を与える際、くまに手をつつかれたり、餌をまき散らされたりしないようにと、夫がさまざまな工夫を施した。しかし、すべて失敗に終わっている。現在、くまの餌は夫が替えている。
透子 (とうこ)
東條さち子の娘でまだ幼児。飽きっぽい性格で、何かと癇癪(かんしゃく)を起こしたり、部屋を散らかしてしまう。くまとは仲が悪く、鳥カゴの外からくまを睨み付けたり、体当たりをしたりしている。たくさんのインコに囲まれて育ったため、インコの餌をこっそり食べてしまったり、首を8の字に動かすしぐさなどが、インコに似てきた。
くま
東條さち子が飼育しているメスのワカケホンセイインコ。飼い主のさち子とは非常に仲が悪く、何かといがみ合っているが、さち子の夫とは仲が良い。とても攻撃的な性格のため、他のインコと一緒の鳥カゴに入れることができず、暴れても危険がないように、爪と羽を切られている。当初みどりに殺意を抱いていたが、みどりから食べ物を貢いでもらううちに、打ち解け合うようになった。
キョロ
東條さち子が飼育しているオスのワカケホンセイインコ。若鳥の頃はかなりアクティブで、長い尻尾が自慢だった。部屋に取り付けられている、鳥が1羽とまれるほどの大きさの見張り台から、人間の様子をうかがうことを日課としている。その時に別のインコに尻尾を食いちぎられてしまったショックで、現在は少々引きこもり気味。いつかハルヲのような、大きくて立派なインコになりたいと思っている。
みどり
東條さち子が飼育しているオスのワカケホンセイインコ。他の鳥のヒゲや後頭部の毛をむしる、という厄介な癖があるが、みどり自身は気にしていない。性格は無邪気で怖い者知らず。くまを非常に愛しており、くまに餌や紙キレを貢ぐ、といった長年のアプローチの末、ようやく恋が実った。しかし、みどりとくまを一緒の鳥カゴに入れると、みどりがくまに攻撃されてしまうため、願いは叶っていない。
ハルヲ
東條さち子が飼育しているオスのアオボウシインコ。歌ったり踊ったりしゃべったり、さらにはモノマネもできるが、人を噛む癖がある。宅配便や来客が訪ねて来た際に勝手に返事をしたり、人の会話に割り込んでしゃべることがあるため混乱を招くことが多い。フジムラフジオとインコのリーダー争いをしている。
がんばれ
東條さち子が飼育しているメスのフジイロボウシインコ。兄のフジムラフジオと2羽セットで「フジイロボウシブラザーズ」、略して「フジぼうズ」と呼ばれている。生まれはワシントンD.C.だが、「オハヨウ」と挨拶をする。透子が持っているオモチャを強奪することがあるが、決して仲が悪いわけではなく、一種のライバル関係にある。 「がんばれ」という名前は、普段の動きが鈍いため、それを応援するという意味を込めて付けられた。ボウシインコであるにも関わらず体格は小柄で、後ろに走るのが速いという変わった特技がある。フジムラフジオとは兄妹ということもあり、普段から特に仲が良い。
フジムラフジオ
東條さち子が飼育しているオスのフジイロボウシインコ。妹のがんばれと2羽セットで「フジイロボウシブラザーズ」、略して「フジぼうズ」と呼ばれている。生まれはワシントンD.C.で、「ハロウ」と英語で挨拶をすることもできる。昼夜問わず「オハヨウ」と挨拶をするため、さち子たちに嫌がられている。週末は夫が昼も寝ており、夕方に起きた時に「オハヨウ」の挨拶が許されるため、フジムラフジオにとっては、朝と週末の夕方が至福の時となっている。 がんばれとは特に仲良しで、普段から一緒に挨拶をしている。
わかけ
東條さち子の家の新入りのメスのワカケホンセイインコ。「わかけ」という名前が鳥の名前とかぶるため、非常にややこしい。くまとは別のタイプの怖い雰囲気があり、感情のない冷酷な目をしている。かなり気難しく怒りっぽい性格で、他のインコを困らせたり攻撃することがある。特技は不思議な動きで相手を撃退すること。
タロー
東條さち子の行きつけのペットショップにいたボウシインコ。20年間おばあさんの肩の上で暮らしてきたインコで、そのおばあさんの人格がタローにも移っている。ペットショップでも、おばあさんの口癖をよく口にしており、その姿はまるで姑のよう。ある日、タローはとある家族に買い取られていったが、その家の子供には特に優しいという。
モモ
東條さち子の家の近所のペットショップにいたモモイロインコ。いつも靴ひものことで頭がいっぱいで、店中を歩き回っては、客の靴ひもを引っ張ってほどいてしまう。
その他キーワード
ミニ鳥カゴ (みにとりかご)
香港で買って来たインテリア。現在はくまが自分の別荘にしている。カゴの上部に、くまが自分で開けた窓があり、底の部分をはずして進入する。くまは毎日の運動時間や自由時間にこの中に入っていたが、ある日、くまを入れたままカゴが落下してしまい、あっけなく壊れてしまった。
スズ入りボール (すずいりぼーる)
網目状のボールの中にスズが入っているオモチャ。東條さち子の飼うインコたちは、このボールが大好きだが、困ったことにくちばしに中のスズがささってしまう。ささったスズは取るのが大変で、飼い主に取ってもらうのに順番待ちができるほど。
犬ガム (いぬがむ)
紅白のテープ状の紐を球状に巻いたもの。ガムという名前だが、かなり固い。キョロは犬ガムを他の鳥カゴから盗んで、犬ガムの紐をほどき、みどりは犬ガムの存在を忘れ、くまは犬ガムを凶器として使って水に放り投げるなど、インコの性格によって、どのように遊ぶかは実にさまざま。
籐カゴ (とうかご)
くまの別荘になっている、籐でできたカゴ。最初は、このカゴに入り口となる穴を開け、反対側に出口となる穴を開けた。その後、カゴのフタを上げ下げする手間を省くため、フタにも穴を開けた。結果、今ではカゴの骨組みだけが寂しく残るのみとなっている。
さるのぬいぐるみ
さるの形をしたぬいぐるみ。フェルトのボディにヘアゴムの手足を付けたもの。非常に丈夫で、普段はくまの鳥カゴのスミに置かれている。くまは、さるのぬいぐるみをくわえて床に叩きつけたり、水の中に入れたりして、いじめている。その後は解体され、くまの鳥カゴの中に、さるのぬいぐるみの綿が敷き詰められることとなる。
高級鳥用オモチャ (こうきゅうとりようおもちゃ)
人間の手のひらと同じくらいの大きさのオモチャ。定価2000円と高級なもの。2枚の木の板の間に4本の支柱が取り付けられており、上部の板から木製の人形が吊り下げられていて、手足はビーズ製。がんばれとフジムラフジオにお年玉としてプレゼントされた。1分で手足がもぎ取られ、2時間でパーツ毎に解体され、3日で各パーツは細かく砕かれた。
ヨーグルトのパック
ヨーグルトが入っていた容器。ワカケホンセイインコの頭に納まる程度の大きさ。くまがこのヨーグルトのパックを自らかぶって東條さち子に向かって走り、顔にぶつけるというイタズラをする。くまのマイブームになるほど気に入っている。
首がバネの鳥型のオモチャ (くびがばねのとりがたのおもちゃ)
東條さち子が100円で買ったオモチャ。がんばれとフジムラフジオに与えた際に大喜びされ、羽をムシられ、尻尾をかじられ、今では動きを真似されて楽しまれている。さち子は、100円と低価格のオモチャとしては、ここまで遊んでもらえれば本望ではないか、と考えている。
カーテン
自由時間になると、くまが隠れる場所。カーテンの隙間から顔を出したりして、夫の様子を伺うなどの愛のやり取りが営まれる。くまのフェイバリットプレイスである。くまとは仲が悪い東條さち子は、この様子を「勝手にやってくれ」と、冷めた目で見ている。
孫の手 (まごのて)
竹の棒の先にゴルフボールが装着され、反対側は5本指の鉤爪になっている道具。常にくまの鳥カゴに差し込まれており、うるさい時には東條さち子がこれを使ってくまを脅している。ちなみに、くまも同じように操作できるため、ゴルフボールが装着されている方を外側に向けて、さち子を殴ることもある。
新型水鉄砲 (しんがたみずてっぽう)
霧吹きのような形状の水鉄砲。狂暴なくまを大人しくさせるための兵器として夫が購入した。以前にも似たような物を使っていたことがあるが、それよりも水圧が強い。使い心地を試すために、何度もくまに水が撃たれた。水圧は強いが、使い心地は以前のものより劣るという。
温室 (おんしつ)
鳥カゴを納めるための棚型の屋内用温室。引っ越しを機に導入された。保温ができ、防音、クリーン、セーフティと、多くのメリットがある。ただし、場所を取ることと、値段が高いというデメリットがある。そして、中で飼育されている鳥が緊張したり落ち着かなかったりと、温室での飼育を鳥に理解してもらえない、という最大の難点がある。
掃除機 (そうじき)
性能抜群の掃除用家電。不景気のなか、東條さち子が2台も購入した。ホース部分が鳥の止まり木として使われる。ホース部分が鳥に食いちぎられて穴が開き、吸引力が低下したため穴をテープで補修。ところが、テープ部分が目立つため、さらに食いちぎられ、ホース部分に付いていたリモコンが反応しなくなってしまった。
ハエ取りフェロモン (はえとりふぇろもん)
ハエの捕獲器。誘引剤でハエをおびき寄せ、粘着シートにくっつけるという仕組み。鳥がいるので殺虫剤を使えず、安全性を考慮して東條さち子の家に導入された。キッチンに設置されたが、数時間後に様子を見てみると、オタマや電気コードや壁などにチョウバエがびっしりと張り付いていたわりに、ハエ取りフェロモンには1匹もかかっていない、という意外な結末を招く。