概要・あらすじ
(1970年)代の熊本・阿蘇。茜牧場の息子柳勘一は動物を自在に操るなど不思議な能力を持つ少年。牧場の土地を奪おうとする暁光グループが差し向ける斬心流拳法に梁山泊流柔道で立ち向かう。
登場人物・キャラクター
柳 勘平 (やなぎ かんぺい)
『男柔侠伝』から引き続き登場する。登場時13歳の中学生。のちに火の国高校に進学する。額の左側にある星形の傷が特徴。動物達を自在に操る不思議な力があり、また身軽で木々や屋根を飛ぶように移動する。飄々としているが、女性に興味を持ったり、無免許でバイクに乗ったりと思春期真只中の面も覗かせる。学校の成績は全く振るわないが、先生は「一種の天才」と評する。 父柳勘一が創始した梁山泊流柔道を受け継ぎ、無重力投げという技を会得する。
柳 茜 (やなぎ あかね)
『男柔侠伝』から引き続き登場する。柔道家柳勘一の妻で、柳勘平、柳静の母。熊本で茜牧場を経営している。中学生の子供がいるとは思えない若々しい容貌で、我が子の柳勘平と柳静からは「茜ちゃん」と呼ばれている。明るくきびきびと忙しい牧場運営につとめているが、時々憂いの表情を見せることがある。
宮本 (みやもと)
髭剃り跡の目立つ男性。カウボーイハットを被っていることが多い。 ウエスタン牧場を経営している。アメリカのロデオ大会で優勝する程の乗馬技術を持ち、牧場でも乗馬体験を売り物にしている。隣接する茜牧場とはお互いに協力しながら運営し、牧場主の柳茜に対しては好意以上の感情を抱いている。
田中 金一 (たなか きんいち)
坊主頭で丸眼鏡をかけた太目の男子。父は茜牧場で働き、牧場主柳茜の息子柳勘平を「兄貴」と呼び、追い掛け回している。
宮本 歌子 (みやもと うたこ)
パーマをかけた髪を二つ結びにした、大柄な女性。ウエスタン牧場の牧場主宮本の妹。ウエスタン牧場で食事を作り、夜はギターを弾きながらカントリーウエスタンを歌う。茜牧場の娘柳静や身寄りのない娘紫蕾の面倒を良く見ている。
炎 サダトシ (ほのおさだとし)
禿げた頭、左右の大きさが極端に違う目に髭が特徴の男性。茜牧場に隣接する炎牧場の牧場主の息子。傲慢だが思慮の浅いドラ息子。茜牧場の牧場主柳茜に度々言い寄っている。
炎 艶 (ほのお えん)
パーマをかけた女子。登場時は女子高生。茜牧場に隣接する炎牧場の牧場主の娘で、炎サダトシの妹。年齢にそぐわない妖艶な雰囲気を漂わせている。茜牧場の息子柳勘平は、彼女に好意を寄せるようになる。後に細川英介の誘いに乗り、牧場を離れる。
大文字 金太郎 (だいもんじ きんたろう)
福耳で下膨れ、髭を生やした丸い体型の男性。暁光グループの一角暁光観光九州支部の部長。茜牧場、ウエスタン牧場、炎牧場に土地買収を持ちかける。表向きは慇懃だが腹黒い。
金殿玉楼 (きんでんぎょくろう)
禿げあがった頭に髭を生やした男性。右目がつぶれている。小柄だが、服を脱ぐと筋肉質の締まった身体をしている。財界の帝王と呼ばれ暁光グループを率いる。政府の高官と結びつき、阿蘇の地に己の野望の拠点を築こうとする。斬心流拳法の使い手でもある。
炎 凶吉 (ほのお きょうきち)
スキンヘッドで隈取をしたような目をしている。炎牧場の牧場主は叔父にあたり、都会生活が性に合わないと阿蘇にやってきた。金殿玉楼を「師匠」と呼び、のちに斬心流拳法の奥義「かまいたち」を習得する。梁山泊流柔道を使う 柳勘平を敵対視している。
案山子 (かかし)
阿蘇の山中に潜む謎の男。案山子のような覆面と恰好をしている。素性は決して明かさないが、優れた格闘術を持っている。柳勘平の前に現れ、自然の原理は円であると説く。
岡田 源太郎 (おかだ げんたろう)
剃り上げた頭に濃い眉毛と髭の男性。逞しい上半身でいつも黒いランニングシャツ姿でいる。岡田コーヒー店の店主で柳勘一の悪友。柳勘一は彼を「どうもう」だという。
紫 蕾 (むらさき つぼみ)
二つ結びで着物を着た女子。登場時10歳で柳勘一の妹柳静と同い年。謎の男案山子と共に山で生活していた。辛い事があると声を立てずに涙を流す内気な性格。茜牧場で柳茜達と生活を共にするようになり、柳勘一に密かに思いを寄せる。後に阿蘇を離れ、3年後再び戻ってくる。
ワイズマン
アラブの民族服を着た男性。浅黒い肌でサングラスに髭を生やし、精悍な大人物の風貌。金殿玉楼の古い友人で、5年間日本で学んだことがある。金殿玉楼の支援で中東の産油国・K国の政権を取るが、三日天下で終わり亡命中。巨大な石油利権を握っている。
関連
柔侠伝シリーズ (じゅうきょうでんしりーず)
4代100年にわたる柔道家の人生と、その技を受け継ぐ者の物語。 関連ページ:柔侠伝シリーズ