旧約聖書 創世記

旧約聖書 創世記

旧約聖書の天地創造からアダムとイヴ、神とアブラムとの契約までを、藤原カムイが繊細かつ流麗なビジュアルでコミカライズした作品。

正式名称
旧約聖書 創世記
ふりがな
きゅうやくせいしょ そうせいき
作者
ジャンル
神話・伝承
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概要・あらすじ

は天地を創造し、地上に生命をもたらした。海の魚、空の鳥、地の獣、家畜、そして土から最初の人間であるアダムを作り出す。神はアダムにエデンの園を預け、耕して守っていくことを命じ、アダムは神に言われた通りに働き、従順な日々を送っていた。神はアダムが孤独を感じるのは良くないと考え、アダムの助けとなるようにアダムの肉体の一部からイヴを作り出す。

こうして2人は地上の生き物の支配者となり、エデンの園に楽園を築いていった。しかし、そんな幸福は長く続くことはなく、スネイクの悪言にそそのかされたイヴは、神から食べることを禁じられていた「善悪の知識の木」から禁断の果実を取って口にしてしまう。同じく禁断の果実を誤って口にしてしまったアダムは、イヴとともに神の逆鱗に触れ、エデンの園から追放されるのだった。

登場人物・キャラクター

(かみ)

全知全能の存在。天地を創造し、地上に生き物を作り出した。そして、土から最初の人間であるアダムを作り出し、エデンの園を預け、耕して守っていくように命じた。その後、アダムの肉体の一部から作り出したイヴとアダムが、食べることを禁じていた「善悪の知識の木」に実る禁断の果実を食べたことが発覚し、2人をエデンの園から追放した。 しかし地上に姿を現すことこそないが、その後もアダムとイヴをはじめとする人間たちを見守り続け、時には助言や予言をして使命を与えている。人間は神の姿に似せて作り上げたとされている。

アダム

天地を創造し、地上に生命を作り出した神が土から作った最初の人間。髪をオールバックにしていて、衣服は身に着けていない男性。神が地上に作った楽園エデンの園を預かり、耕して守っていくことを命じられる。真面目に神の命に従って働いていたが、アダムの肉体の一部から生み出されたイヴがスネイクからそそのかされて「善悪の知識の木」に実る禁断の果実を持ち帰り、アダムにも食べさせてしまったことでエデンの楽園を追放される。

イヴ

エデンの園で生活をしていたアダムをこのまま独りにしているのは良くないと考えた神が、アダムの肉体の一部から作り出した。髪が長く、衣服は身に着けていない女性。その後、アダムとともにエデンの園で平穏に暮らしていたが、かねてから「善悪の知識の木」に実る禁断の果実を何故食べてはいけないのかと疑問に思っていたところをスネイクからそそのかされ、「善悪の知識の木」に実る禁断の果実を取って持ち帰り、アダムとともに食べてしまう。 このことがきっかけになり、エデンの園を追放される。

カイン

エデンの園を追放されたアダムとイヴの間に生まれた最初の子供で、アベルの兄。黒髪の短髪で額に鉢巻をしており、上半身は裸で腰に布を巻いている。青年に成長してからは土を耕す者となり、神に土の実りからできた供え物を捧げた。この時、神はカインの供え物には手を出すことはせず、同時に捧げたアベルの供え物だけを受け取った。 このことがきっかけで、アベルに嫉妬の感情を向けることとなる。

アベル

エデンの園を追放されたアダムとイヴの間に生まれた2人目の子供で、カインの弟にあたる。黒髪の長髪を中分けにしており、布を体に巻いて衣服にしている。青年に成長してからは羊飼いになり、羊の群れの中から一番肥えた初子を神に捧げ、受け取ってもらうことに成功した。だが、このことがきっかけでカインの嫉妬心を煽ることになってしまう。

レメク

カインの子孫の男性。頭部には毛髪がなく、大柄で恰幅がよく、布を体に巻いて衣服にしている。アダとツィラという2人の妻をめとり、いつもかたわらに侍らせている。また、唄や音楽が大好きで、息子のユバルに祝いの唄をはじめとするさまざまな唄を演奏させることが何よりの楽しみ。神を必要とせず、必要な物はすべて自身で作ったり、妻に産ませた子供たちに作ってもらったりしている。 非道にして残忍な性格で、自身を悪く言う者がいると、首を切って殺すこともためらわない。

トバル・カイン (とばるかいん)

レメクとツィラの間に生まれた息子で、ヤバル、ユバル、ナアマの兄。頭部には毛髪がなく、上半身は裸で腰に布を巻いている。力仕事に長け、男らしい性格をしている。のちに青銅や鉄でさまざまな道具を作る者たちの先祖となる。

ヤバル

レメクとアダの間に生まれた息子。トバル・カインの弟で、ユバルとナアマの兄。黒髪の短髪で、前髪が額が見えるほどに短く、鼻の下に髭を生やし、ノースリーブの上着を着用し、五分丈のはきものを穿いている。父親のレメクに羊を育てることを勧められ、テントを持って羊達を移動させながら旅をするようになる。のちに天幕に住む者たちの先祖となる。

ユバル

レメクとアダの間に生まれた息子。トバル・カイン、ヤバルの弟で、ナアマの兄。黒髪で頭部にターバンを巻き、布を体に巻いて衣服にしている。音楽を奏でて歌うことが得意で、父親のレメクからは頻繁に唄を演奏させられている。しかし、ユバル自身は唄や音楽は人の安らぎのためにあると考えており、レメクに歌わされていることを快くは思っていない。 また、命を尊び殺生を好まず、レメクの非道で残忍な性格に辟易している。のちに竪琴や笛を奏でる者たちの先祖となる。

ナアマ

レメクとツィラの娘で、トバル・カイン、ヤバル、ユバルの妹。長い黒髪で、伸びた左右の髪を三つ編みにして髪飾りをあしらっており、布を身体に巻いて衣服にしている。男勝りなおてんば娘で、父親のレメクからは性別を間違えて生まれて来たと言われている。

ノア

白い長髪で、口の周りと顎に豊かな白いひげを蓄えた人間の男性。布を巻いた衣服を着用し、木でできた杖を手に持っている。天使と人間の交配が流行して乱れた地上の生き物を洪水をもたらすことで滅ぼそうと考えた神から大事な使命を与えられた人間で、自身も犯罪が蔓延し混沌として乱れた世の中を憂えていた。神から与えられた使命とは、ゴルフェルの木で箱舟を作り、洪水が起こった際には、彼の妻子や嫁の他に清い動物を7つがい、清くない動物を一つがい、空の鳥を七つがい連れ、食料を積んで生き延びるというもの。 ノアはこの使命を果たし、彼の子孫はその後に作り直された地上世界で繁栄することになる。

セム

ノアの息子。黒い長髪で、口の周りと顎にひげを生やし、上半身は裸で腰に布を巻いている。父親のノアが神から箱舟を作る使命を受けた時、ともに箱舟を作る作業に携わった。いざ洪水が起きた際には、ノアたちと箱舟に乗って生き延び、その後の地上世界に繁栄をもたらす者の1人になる。波風を起こすことを嫌い、対立しては喧嘩をしている兄弟のハムとヤフェトの仲裁役に回ることが多い。

ハム

ノアの息子。黒い長髪で、布を体に巻いて衣服にしている。父親のノアが神から箱舟を作る使命を受けた時、ともに箱舟を作る作業に携わった。いざ洪水が起きた際には、ノアたちと箱舟に乗って生き延び、その後の地上世界に繁栄をもたらす者の1人になる。口が悪く、頻繁にノアや兄弟のセムやヤフェトたちの怒りを誘う。

ヤフェト

ノアの息子。黒い短髪で、鼻の下と顎にひげを蓄えており、布を体に巻いて衣服にしている。父親のノアが神から箱舟を作る使命を受けた時、ともに箱舟を作る作業に携わった。いざ洪水が起きた際には、ノアたちと箱舟に乗って生き延び、その後の地上世界に繁栄をもたらす者の1人になる。勤勉で真面目な性格をしており、不真面目で口の悪い兄弟のセムとはしばしば対立する。

ニムロド

ハムの子孫の男性。黒髪で口の周りにひげを生やし、王冠をかぶって、金や宝石で飾られた華やかな衣装を身にまとう。かつては奴隷の身だったが、己の力だけで現在の地位までのし上がって来た地上で最初の勇士。エジプトの都市では絶対的な権力者でもあり、民は皆、彼の前にひれ伏す。すべての民をエジプトの地に集め、巨大帝国を築こうとしている。

アブラム

セムの子孫。黒髪で布でできた衣服を身にまとっている。妻のサライとともにメソポタミアの地で体調の悪い父親の面倒を見ながら生活を営んでいる。この地の慣習になっている太陽礼拝や月神礼拝といった行事にウンザリしていて、人々が何故偶像を追い求め、実際に目や耳で見聞きしたものを信じようとしないのか疑問を感じている。ある日、神から生まれ故郷を離れて示された地へ行くようにと命じられ、サライと甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携えて、神が示したカナンの地へと向かう。

サライ

アブラムの妻。黒い長髪で、布でできた衣服を身にまとっている。夫のアブラムとともにメソポタミアの地で体調の悪い義父の面倒を見ながら生活を営んでいる。この地の慣習に否定的な感情を抱いているアブラムの考え方に共感しており、いずれ夫にはこの思想に共感する人々を牽引する存在になってほしいと考えている。子供ができずに苦悩する日々が続いており、周囲からは「石女(うまずめ)」と卑下され、夫にもよからぬ噂がたてられていることに憤りを感じている。

ロト

アブラムの甥。黒髪で布を体に巻いて衣服にしている。メソポタミアの地に住んでいて、叔父のアブラムによく懐いている。のちに、神に使命を与えられたアブラムに付き従い、ともにカナンの地を目指すことになる。家宝の「ロトの剣」を振るって敵国に立ち向かう勇敢な青年。

ベラ

ソドムの王。斜視で歯並びが悪く、口の周りと顎にひげを生やしている。また、蝸牛の形をした立物の付いた兜をかぶり、豚の頭部を象った甲冑を身に着けている。南北に広がるヨルダン川の南側にあるソドムの都市の王で、他の南の国王たちと同盟を組み、南の国一帯を支配していた北の国の国王たちに対して反逆を企てた。

メルキセデク

サレムの王。王冠をかぶり、口の周りと顎に黒いひげを蓄え、王族のローブを着用している。国王であると同時に「高き神の祭司」でもある。敵国との戦争を勝利に導いたアブラムにパンと葡萄酒を施し、その勇気を祝福した。

スネイク

エデンの園に棲んでいる生き物。大きな蛇の姿をしていて人間の言葉を話すことができ、エデンの園に棲む生き物の中で自分が一番賢いと自負している。イヴが「善悪の知識の木」に興味を抱いていることにつけこみ、「善悪の知識の木」から禁断の果実を取って食べるようにそそのかして、アダムとイヴがエデンの園から追放されるきっかけを作った。

ケルビム

神に仕えている天使。山のように巨大な体躯をしており、頭部だけでなく両肩にも顔がある。背中には大きな羽根を生やしている。エデンの園から追放されたアダムとイヴが再び戻って来られないように、神にエデンの園の東に「自転する剣の炎」とともに配備され、エデンの園を守る役目を与えられた。

ネフィリム

通常の人間より一回りも二回りも大きな巨躯をしている山のような巨人。人類が繁栄し、地上の人口が増えるに従って、天使と人間の娘の結婚が地上で流行るようになり、その不自然な交配によって生まれた巨人が「ネフィリム」と呼ばれた。彼らは地上で人間とともに暮らしてはいたが、人間たちからは差別され、孤独な人生を歩む者も少なくはなかった。

場所

エデンの園 (えでんのその)

神が天地を創造した後に、地上に作り出した楽園。土から作り出した最初の人間であるアダムにこの楽園を預け、耕して守っていくように命じた。水が豊富で緑が豊かな楽園で、さまざまな生き物が生息している。楽園にあるすべての木々には果実が実るが、楽園の中心にある「善悪の知識の木」に実る果実を食べることは禁じられており、食べると死を迎えることになるといわれている。

エノク

エデンの園の東に所在する町。弟のアベルを怒りに任せて殺害したカインが、エデンの園の東にあるノドという名前の地で、1人の女に子を生ませ、「エノク」と名付けた。同時にカインは生活の拠点に選んだこのノドの地にも息子と同じ「エノク」という名前を付け、この世で一番平和な町となるように願った。のちにエノクは結婚してイラドという子が生まれ、カインの子孫たちはこの町で繁栄を収めることとなる。

その他キーワード

善悪の知識の木 (ぜんあくのちしきのき)

エデンの園の中央に高くそびえる木。この「善悪の知識の木」に実る禁断の果実を食べると必ず死を迎えることになるから食べてはいけないと、神はアダムに固く禁じていた。その一方でスネイクは、禁断の果実を食べると目が開け、神のように善悪を知る者になることができるとイヴに語っている。

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