概要・あらすじ
壬生隼人は、謎のダイイングメッセージを遺して殺された父親の仇を探していたが、真犯人である七瀬の策によって、秋本卓殺害の犯人として逮捕されてしまう。やっとのことで逃亡に成功したものの、隼人は七瀬のみならず、想いを寄せていた秋本恵にまで追われることになってしまう。逃避行の中で、隼人はさまざまな人物と出会い、少しずつ事件の真相に迫っていく。
登場人物・キャラクター
壬生 隼人 (みぶ はやと)
高校生の少年。謎の死を遂げた父親・壬生宅也の仇を探し続けている。口調や行動は荒々しいが、心根は優しく困っている人や苦しんでいる人を放っておけない性格。七瀬の陰謀に巻き込まれて、秋本卓殺害の犯人に仕立て上げられてしまうが、ヤスの言葉に後押しされる形で逃避行を開始し、事件の謎を追っていく。腕っぷしが強く、1人で暴走族数名を相手にできるほど。
秋本 恵 (あきもと めぐみ)
交通課に勤務する22歳の女性警察官。壬生隼人にとっては幼い頃から憧れの存在で、プロポーズのような形でブレスレットをプレゼントされており、結果的にそれが隼人の逃亡を助けることとなった。父親である秋本卓殺害の犯人とされた隼人を追跡するため、交通課から捜査一課へ転属する。
壬生 宅也 (みぶ たくや)
壬生隼人の父親で、1年前に殺害されている。生前は優秀な刑事として、捜査一課に勤務していた。情熱的で誰とでもまっすぐに向き合うその人柄は、ヤスやキョウの心情に大きな影響を与えている。生前の壬生宅也の言動が、隼人の逃避行を助けることにも繋がっていく。
秋本 卓 (あきもと すぐる)
秋本恵の父親で、捜査一課に務める壮年の男性。生前の壬生宅也とは同僚で、彼が亡くなった後は壬生隼人を引き取って家族同然に暮らしていた。偶然ながら壬生宅也殺害事件の真相に迫ったことで、七瀬によって殺害されてしまう。
七瀬 (ななせ)
秋本卓と同じ捜査一課に務める、若い男性刑事。頼りなさげに見えるが、その正体は「タランチュラ」という殺し屋であり、壬生宅也を殺害した実行犯。自身の正体に迫ろうとする壬生隼人を追い詰めるために、中森の協力も得ながら暗躍する。左腕に透かし彫りという特殊な仕様の入れ墨があり、殺意をはじめ感情が激しく昂ぶるとタランチュラの紋様が浮かび上がる。
中森 (なかもり)
秋本恵や秋本卓が所属する警察署で署長を務める男性。汚職にまみれた人物で、中森自身が犯した罪に気付いた壬生宅也を殺害するよう、七瀬に命令した。七瀬に命令する立場ではあるが、自分自身も脛に傷を持つため、精神的には不利な立場にある。
岡村 (おかむら)
秋本卓殺害事件の目撃者として証言を行う初老の男性。壬生隼人が犯人になるように嘘の証言をするよう、七瀬から指示されていた。その理由には、娘である岡村彩の存在が関係している。
岡村 彩 (おかむら あや)
桜谷医院に入院している岡村の娘。交通事故に遭ったことで心臓付近に金属片が混入してしまい、多額の費用がかかる再手術を必要としている。ヒトミとは性格こそ正反対だが、同じ学校に通っており良い友人関係を築いている。
ヤス
壬生隼人が留置所に勾留された際に出会った男性。何度も金庫破りをしては捕まっており、「金庫破りのヤス」という異名で呼ばれている。もともとは善良な警備員だったが冤罪で逮捕されたことで、心が荒み本当に罪を犯すようになった。その事件の際も壬生宅也からは、無罪であることを最後まで信じてもらっていたため、彼に強い恩義を感じている。
キョウ
横浜で暴走族のトップに君臨している巨漢の青年。壬生隼人が壬生宅也殺害の犯人を探している際、チームのメンバーが隼人に激しい暴行を加えられ、それを恨んでいる。報復として隼人に「ガントレット」と呼ばれるゲームによる制裁を加えたが、逆に彼の強い覚悟と信念に心を動かされ、協力するようになる。
桜谷 (さくらだに)
桜谷医院の院長を務める老齢の男性。キョウの父親でもある。キョウの頼みで壬生隼人を病院にかくまい、治療も施した。当初は隼人が殺人事件の犯人であると思い込んでいたが、彼の強い意志を感じ取って考えを変えていく。
ヒトミ
横浜でレディースの暴走族チーム「キラークイーン」のトップに君臨している若い女性。壬生隼人のことを捕まえるために追っているが、自ら制裁を加えるために、警察からの逃亡を助ける。まったく性格の違う岡村彩とは、親友と呼べる強い絆で結ばれている。
場所
桜谷医院 (さくらだにいいん)
桜谷が院長を務める医院。小さな医院で、診察や手術は院長である桜谷自身がすべて担当する。岡村彩はこの医院の202号室に入院している。
その他キーワード
ガントレット
キョウが率いる暴走族が制裁として下すゲーム。凶器を構えて並ぶメンバーの間を無事に通り抜けられれば、自由の身になれるというルールがある。壬生隼人を除けば、過去にこのゲームを切り抜けた者は1人しかいない。