重版出来!

重版出来!

柔道一直線だった女子大生・黒沢心は、就職活動の末、週刊漫画雑誌の新人編集者となった。彼女が接していく先輩編集者、漫画家、営業、書店員などは皆、立場は違えど漫画のために心血を注いでいた。出版に関わる人々の、仕事に対する姿勢と生き様を描いた職業漫画。

正式名称
重版出来!
ふりがな
じゅうはんしゅったい
作者
ジャンル
出版・マスコミ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊20巻
関連商品
Amazon 楽天 小学館eコミックストア

概要

柔道一直線の人生を送ってきた女子大生・黒沢心は、怪我のためやむなく柔道の道を断念し、就職活動を行う。日々の努力と鍛錬と運の結果、彼女は興都館という出版社に入社する。「週刊バイブス」という漫画雑誌の編集部に配属された黒沢は、持ち前の明るさと強さで、漫画を作る現場に体当たりで挑んでいく。そこには漫画家はもちろんのこと、編集者、営業や書店員など様々な立場で業界を支えている人々がいた。彼らの背中を見ながら、彼女は一歩一歩成長していく。

メディアミックス

TBS系列にて2016年4月12より実写ドラマが放送。 黒沢心役に黒木華、五百旗頭役にオダギリジョー、和田編集長役に松重豊、壬生役に荒川良々、久慈勝社長役に高田純次、安井昇役に安田顕、菊地役に永岡佑、役に生瀬勝久、小泉純役に坂口健太郎、三蔵山龍役に小日向文世、八丹カズオ役に前野朋哉、高畑一寸役に滝藤賢一、成田メロンヌ役に要潤、中田伯役に永山絢斗、役に濱田マリ、ミサト役に野々すみ花、井上沙羅役に武田梨奈、梨音役に最上もが(でんぱ組.inc)、ツカサ役に富山えり子、沼田渡役にムロツヨシがキャスティングされている。

脚本は『空飛ぶ広報室』・『図書館戦争』シリーズ・『俺物語!!』を担当した野木亜紀子、演出は土井裕泰・福田亮介・塚原あゆ子、音楽は河野伸、主題歌はユニコーンの『エコー』、プロデューサーは『コウノドリ』や『ビリギャル』を担当した那須田淳・東仲恵吾・八尾香澄(C&Iエンタテインメント)となっている。

河合克敏村上たかしのりつけ雅春田中モトユキゆうきまさみ、白川蟻ん、藤子不二雄Aなど実在の漫画家が、ドラマの中で使われるオリジナル漫画を描いている。さらに、ドラマとリンクした白川蟻んの作品が「月刊!スピリッツ」に掲載予定となっている。

登場人物・キャラクター

黒沢 心 (くろさわ こころ)

「週刊バイブス」の新人編集者。日体々女子大学柔道部出身。オリンピックを目指していたが、怪我をしたため第2の夢である漫画編集者を志す。最終面接で変装した社長の久慈勝を投げ飛ばしたが、その際の一連の行動と見事な技を評価され合格した。小柄で元気かつ人懐こい雰囲気から、小熊と呼ばれる。先輩の五百旗頭から高畑一寸の担当を引き継ぐ。 また、同人誌即売会「コミック・バザール」の出張編集部で中田伯を見いだし担当になる。

五百旗頭 (いおきべ)

「週刊バイブス」のベテラン編集者。黒沢心の教育係として彼女に仕事の基本を叩きこむ。眼鏡と無造作に結った髪が特徴で、生真面目かつクールだが面倒見はいい。現在は三蔵山龍、オーノヨシヒトと大塚シュートを担当している。結婚していたが、現在は独身。昔、牛露田獏のサブ担当だった。

和田 (わだ)

「週刊バイブス」の編集長。作家寄りの編集者で、漫画家からの信頼が厚い。阪神タイガースが大好きで、自身のTwitterアカウントではそのことばかりつぶやいている。EXCELが苦手。現在は廃刊している漫画雑誌「FLOW」の副編集長だった。また、現役時代の牛露田獏とも仕事をしていた。

壬生 (みぶ)

「週刊バイブス」の編集者。肥満体型でモヒカン頭の肉好き。黒沢心の一番身近な先輩で、一緒に牛丼を食べたりラーメンを食べたり、食の面でも趣味が合う。編集者のSNSによる宣伝や書店回りを敬遠している。成田メロンヌの担当。

久慈 勝 (くじ まさる)

「週刊バイブス」を出版している興都館の社長。面接の際に黒沢心に興味を持ち、彼女を採用する。炭鉱町の出身で、進学を断念し、人の金を脅し取るような荒んだ生活をしていたが、ある出会いをきっかけに改心する。その後は上京し夜学に通い、興都館に入社。作家に可愛がられたり、ヒットを飛ばしたりと運にも恵まれ、現在に至る。 自分を救ってくれた本に対して強い思い入れがあり、全ての運を本のヒットに注ごうとするストイックな人物。

安井 昇 (やすい のぼる)

「週刊バイブス」の編集者。「FLOW」編集部在籍時はデスクで、休日も仕事に勤しみ精力的に働いていたが、廃刊後は効率優先のスタイルとなった。ネットや出版業界では、新人漫画家潰しとの悪評が高い人物。

菊地 (きくち)

「週刊バイブス」の編集者。元は興都館の社員だったが、「FLOW」の廃刊後にフリーとなり、「週刊バイブス」で働く。人の良い好青年だが漫画に並々ならぬ情熱を燃やしている。八丹カズオの担当。

(おか)

興都館の営業課長で和田と同期。5年前の「FLOW」廃刊の苦い経験から、部数決定には慎重な姿勢を貫く。しかし本を売りたいという情熱は人一倍強く、常に本気で仕事に取り組んでいる。

小泉 純 (こいずみ じゅん)

興都館の営業3年目の青年。情報誌志望だったため漫画に興味が持てず、「ユーレイ」と評されるような消極的な仕事をしてきた。八丹カズオの『タンポポ鉄道』の売り込みを、黒沢心とともに担当する。

駒井 (こまい)

興都館のWebコミック事業部で電子書籍を担当している。菊地と同期。牛露田獏の漫画『タイムマシンにお願い』の映画化と同時に、電子書籍への展開をするため、黒沢心と一緒に行動する。

百瀬 清子 (ももせ きよこ)

興都館校閲局校閲部の校閲者。黒沢心から依頼された『忠臣蔵』の校閲を担当することになったが、校閲の仕事のさじ加減について悩むことになる。

三蔵山 龍 (みくらやま りゅう)

「週刊バイブス」に『ドラゴン急流』を連載しているベテラン漫画家。仕事熱心で人徳もあり、彼の門下からは優秀な漫画家が輩出している。近年、作画のデッサンが狂ってきており、ネットの掲示板でオワコンと中傷され漫画を断念しようと思い悩む。

沼田 渡 (ぬまた わたる)

三蔵山龍のアシスタント。大学の漫画研究会のときに投稿した作品が賞を取ったことがあるが、デビューには至らず、三蔵山の下で10年ほどアシスタントを続けている。

オーノヨシヒト

「週刊バイブス」に『いつでもハニーむう』を連載している漫画家。三蔵山龍の元アシスタントで、恩師がピンチの際には自ら駆けつけて励ましたりもする。コスプレイヤーの妻がいる。

八丹 カズオ (はったん かずお)

「週刊バイブス」に『タンポポ鉄道』を連載している漫画家。「FLOW」廃刊号でデビューした。顔も人柄も柔和な人物で、自作の『タンポポ鉄道』にもそれが表れている。娘が生まれたばかり。

高畑 一寸 (たかはた いっすん)

「週刊バイブス」に『ツノひめさま』を連載している漫画家。真面目だが女性に弱く、付き合っている相手の態度に一喜一憂し、なかなか仕事が手につかなくなる。新担当の黒沢心のことは、恋愛対象ではないが信頼できる人物と思っているようだ。

梨音 (りんね)

漫画家・高畑一寸の彼女で元読者モデル。たびたび浮気をしたり家出をしたりして高畑を悩ませている。そのたびに高畑の仕事の能率が落ちるため、「週刊バイブス」編集部も頭を抱えている。

成田 メロンヌ (なりた めろんぬ)

キャバクラ好きなイケメン漫画家で、女子に大人気。デビュー作品は『ビロビロ☆マン』。気持ちの浮き沈みが激しく、それによって執筆作業に波がある。

大塚 シュート (おおつか しゅーと)

「週刊バイブス」編集部に持ち込みを行い、五百旗頭に才能を見いだされた漫画家。頑張り屋で仕事が早いこともあり、短期間でデビューする。その後『KICKS』という短編集を出版した。本名は大塚翔。

東江 絹 (あがりえ きぬ)

大学の「黒百合まんが部」というサークルでBL漫画を描いていた。同人誌即売会「コミック・バザール」の「週刊バイブス」出張編集部に持ち込みを行い、黒沢心にスカウトされる。私生活でも悩みがあり、なかなか漫画家としてデビューできないことに焦りを感じている。

中田 伯 (なかた はく)

同人誌即売会「コミック・バザール」の様々な出張編集部に持ち込みをしていたが、画力の低さを理由に門前払いされていた。「週刊バイブス」の出張編集部ブースにいた黒沢心は、彼の作品からただならぬ力を感じる。その後、三蔵山龍のアシスタントとして学びつつ、自らの漫画を精力的に生み出していく。複雑な生い立ちもあり、漫画に人生の全てを賭けている。

牛露田 獏 (うしろだ ばく)

その昔、「週刊バイブス」に連載していた『タイムマシンにお願い』が大ヒットした漫画家。豪放磊落で天才肌のギャグ作家だったが、破産してしまい、現在は生活保護を受けている。アルコール中毒で漫画を描けなくなっており、人生に絶望していた。本名は後田博。

後田 アユ (うしろだ あゆ)

牛露田獏の一人娘。母を心労で亡くしており、家族を不幸な境遇に追いやった父を憎んでいる。中学校でもいじめられており、心が荒んでいたが、黒沢心のサポートで立ち直っていく。芸能事務所にスカウトされるくらいの美少女だが、父親のこともあり夢物語を信じていない。

岸和田 敏 (きしわだ びん)

漫画家・西脇虚太郎にライバル心を燃やしている、漫画界の大御所。漫画家活動は60周年を迎える。西脇が画集を出したことに対抗し、自分の祝賀パーティーをやってほしいと「週刊バイブス」編集部に依頼してくる。

淀川 希美子 (よどがわ きみこ)

漫画家・岸和田敏の愛人と噂される女性で、銀座に店を構えている。岸和田の祝賀パーティーには、店の女の子を引き連れて出席する。

山縣 留羽 (やまがた るう)

かつて『100万乙女バイブル』(当時は「やまがたるう」名義)で女性に絶大な影響を与えた漫画家。子育てを終え、興都館の「月刊ローズ」掲載の『音の作法』で漫画界に復帰を果たす。ファンたちは彼女のことを、親しみを込めて「るうるう」という愛称で呼ぶ。

西脇 虚太郎 (にしわき こたろう)

戦後の日本漫画界を牽引する漫画家。漫画家活動70周年を迎える81歳。フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章のシュバリエを贈られる。代表作の『ヰヴォンヌの魔女』はアニメ化されて世界中で大ヒットした。

原 玲於那 (はら れおな)

西脇虚太郎が信頼を寄せているデザイナー。西脇は画集を出版するにあたり、彼をブックデザイナーとすることを条件にした。世界的に有名でとても多忙。独特の感性を持ち、質感や触感には非常にこだわりがある。

荒木 正男 (あらき まさお)

西脇虚太郎が信頼を寄せている製版職人。西脇は画集を出版するにあたり、彼が製版作業をすることを条件にした。コウシュウ印刷に勤務し、“製版の神様”と呼ばれていた。既に定年退職したが、後進の教育のために嘱託として仕事をしている。

甲南 みつる (こうなん みつる)

往年の名作『忠臣蔵』を描いた漫画家。“名作時代劇シリーズ”として特装版にする際、通常の漫画編集では行わない校閲を「週刊バイブス」編集部に依頼する。

(かわ)

黒沢心が新入社員研修で世話になった女性の書店員。店内に自身が好きな仏像特集の書棚を作っている。漫画についてあらゆる面で詳しく、的確なアドバイスをくれるので黒沢も信頼を寄せている。

戸井 (とい)

河の同僚書店員。ホラー系の作品に詳しく、ダリオ・アルジェント研究会にも入っている。黒沢心から相談を受け、最適な書籍を用意する。

井上 沙羅 (いのうえ さら)

黒沢心とともに、日体々女子大学柔道部で日々柔道に打ち込んできた女性。黒沢がやめたあとも柔道を続けており、現在は78kg級日本代表選手。

ミサト

小料理「重版」の女将。昔から興都館の人間がよく出入りしていた店らしく、興都館の内情に詳しい。黒沢心も、五百旗頭ら同僚とよく飲みに行く。

集団・組織

興都館 (こうとかん)

黒沢心が新卒入社した大手出版社。「週刊バイブス」や「月刊ローズ」などのコミック雑誌やコミック単行本、書籍などを出版している。現社長は久慈勝。

その他キーワード

週刊バイブス (しゅうかんばいぶす)

黒沢心が配属された興都館の週刊漫画雑誌。現編集長は和田。雑誌売り上げ部数で「週刊バイブス」に勝っている「週刊エンペラー」を追い越すのが目標。

週刊エンペラー (しゅうかんえんぺらー)

雑誌売り上げ部数で上位に君臨している漫画雑誌。「週刊バイブス」のみならず、複数の漫画雑誌の漫画家を引き抜こうと画策している。

初版 (しょはん)

刊行された書物の最初の版のこと。初版の書物が売れ行きがよく、さらに売上が見込めそうな場合、重版して書店に行き渡るようにする。

重版 (じゅうはん)

一度出版された書物を、同じ版を使って印刷・刊行すること。人気の書物などは何度も重版を繰り返し、第100刷を超える作品も数多く存在する。

重版出来 (じゅうはんしゅったい)

重版ができあがった、もしくは重版が決定したことを指す表現。新聞広告や電車の中吊り広告などの宣伝文句などに多く用いられる。

部決 (ぶけつ)

部数決定、または部数決定会議の略。主に初版の部数を決定する場を指す。出版社によってまちまちだが、編集部や営業部などの人間が出席し、責任者が決定を行う。

ネーム

漫画を描く際に、コマ割り構成やセリフ、キャラクターの配置などを大まかに描き込んだもの。ネームに対して担当編集者のOKが出た後、漫画家はペン入れの作業をする。

アオリ文句 (あおりもんく)

漫画の扉などに入っている文章。アオリ文句を考えるのは主に担当編集者の仕事となる。

台割 (だいわり)

書物の制作において、どのページにどのような内容を入れるかを示した設計図のようなもの。ページの割り振りだけではなく、進行管理を行う際にも必要となる。

モアレ

規則的にならぶ点や線を重ね合わせた際に発生する縞状の斑紋のこと。干渉縞とも呼ばれる。印刷物の網模様などをコピーやスキャンした場合にも発生しやすい。

DTP (でぃーてぃーぴー)

デスクトップ・パブリッシングの略。出版物の編集やレイアウトなどの作業をコンピュータ上で行うこと。原稿ではなく印刷用のデータを印刷所に納品して印刷・出版を行うことも指す。

代原 (だいげん)

予定していた原稿が何からの事情で掲載できない場合に使用する、代理の原稿のことを指す。保険としてあらかじめ編集部が用意している場合があり、その際、新人漫画家の作品や、過去の未公開作品などが用いられることもある。

校閲 (こうえつ)

文章や原稿の誤りや不備な点などを調べる作業。その際、事実関係に関して調査したり、修正を検討したりすることもある。

初校 (しょこう)

原稿を元に組まれた最初の校正刷りのこと。初校に修正を加えた結果を確認をするための校正刷りは再校と呼ばれる。さらに修正が入る場合は、三校や念校などと呼ばれる校正刷りを出すが、費用がかかるので、よほどのことがない限り出さないことが望まれる。

校了 (こうりょう)

校正作業が完了し、印刷しても差し支えない状態になること。編集部で行う編集作業は校了をもって終了となり、その後は印刷所が印刷作業に入る。

棚差し (たなさし)

書店の棚に書物を陳列する際に、背を見せるようにして棚に並べること。これに対して、表紙を見せて平台の上に重ねる場合は平積みと呼ばれ、注目作品や新刊などでは平積みを採用することが多い。

指定配本 (していはいほん)

書店に本が入荷される際の、配本数の決め方のひとつ。通常は各書店の売り上げ実績を元に配本数が決められるが、出版社が出版取次会社に対し、各書店に配本する数をあらかじめ指定することを指定配本と呼ぶ。重版が間に合わない場合や、戦略的に新刊を出す場合などに行われる。

POSデータ (ぽすでーた)

ポイント・オブ・セールス・データの略。レジで販売がなされた時のデータを指し、販売情報とほぼ同じ意味。出版社では、重版をするか否かの判断材料や、続巻の初版部数決定の目安などに使用される。

書誌情報

重版出来! 20巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2013-03-29発行、 978-4091850409)

第2巻

(2013-09-30発行、 978-4091854162)

第3巻

(2014-03-28発行、 978-4091860293)

第4巻

(2014-09-30発行、 978-4091863997)

第5巻

(2015-04-10発行、 978-4091868268)

第6巻

(2015-10-09発行、 978-4091872562)

第7巻

(2016-03-30発行、 978-4091874993)

第8巻

(2016-08-30発行、 978-4091877789)

第9巻

(2017-04-12発行、 978-4091894366)

第10巻

(2017-10-12発行、 978-4091896575)

第11巻

(2018-05-11発行、 978-4091898722)

第12巻

(2018-12-12発行、 978-4098601448)

第13巻

(2019-06-12発行、 978-4098603121)

第14巻

(2020-02-12発行、 978-4098605408)

第15巻

(2020-08-07発行、 978-4098606931)

第16巻

(2021-03-12発行、 978-4098608621)

第17巻

(2021-09-10発行、 978-4098611430)

第18巻

(2022-04-12発行、 978-4098612727)

第19巻

(2022-12-12発行、 978-4098614820)

第20巻

(2023-08-09発行、 978-4098625413)

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