月の珊瑚

月の珊瑚

西暦3000年くらいの未来を生きる少女、姫によって語られる、月に生きる珊瑚のような少女の恋物語。原作は星海社が主催した「坂本真綾の満月朗読館」というUstreamによる配信企画の第4弾として、奈須きのこが執筆した小説。コミカライズ版である本作は、星海社ウェブサイト「最前線」において2012年7月から不定期連載されており、2015年12月15日からは新章と銘打たれた第6回の掲載が開始されている。原作は奈須きのこ(TYPE-MOON)、キャラクターデザイン原案は武内崇、逢倉千尋。

正式名称
月の珊瑚
ふりがな
つきのさんご
原作者
奈須きのこ(TYPE-MOON)
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
終末・ディストピア
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概要・あらすじ

西暦3000年くらいの未来。月の開拓に成功し人口問題を解決し、地軸転移(ポールシフト)すらも乗り越えた人類を待っていたのは、生存のための情熱を失うという緩やかな大災害(エンドロール)だった。人類が滅び行く世界の中でも希少な、活気と多種多様な動植物に囲まれた島でと呼ばれる少女は島の外から訪れる求婚者に無理難題を押しつけては追い返していた。

そんなある日、姫は島を訪れたブリキ人形に似た小さな配達人に誰も知らない物語を教えて欲しいと商談を持ちかけられる。奇妙な訪問者である配達人に面食らいながらも姫はおばあちゃんに教えられた口伝の物語を教えることにする。言葉を正しく聞き取れない配達人のために物語を本にすることとなった読み書きの出来ない姫は、文字を配達人に教わりながら物語を執筆していくのだった。

登場人物・キャラクター

緩やかな滅びを向かえつつある世界の中にあって、希少な生態系を維持する島に住まう姫と呼ばれる少女。島の光る珊瑚の秘密をめぐり、数多くの求婚者が島外から訪れるがそのことごとくを無理難題を条件とすることで追い返し続けている。本人はいたって真面目に、愛が理解できないから愛を測っているのだと述べており、実際、無理難題を解決してきた人間と一生を添い遂げる覚悟はある。 性格はずぼらで脳天気。ブリキ人形のような配達人との出会いを通して、自身のおばあちゃんが語っていた物語に対する見方を改めていく。

おひめさま

月面の「影の海」と呼ばれる場所に存在した女の子の形をした石がその正体だが、どのような経緯から製作されたのか、あるいは初めからそこに居たのかという点は作中で明らかにされていない。石ながら意識を持っており、月に存在する施設や環境を操作する力を持っている。彼女が目を覚ました時、おひめさまを作り出した人々は誰一人としていなくなっていた。 孤独に過ごしていたところに訪れた宇宙人のような外見の彼との出会いから、身動き一つ取れなかったおひめさまは劇的な変化を遂げていく。

配達人 (はいたつにん)

ランチバッグ程度の不思議な乗り物に乗って現れた、ブリキ人形のような小人。配達人の仕事をしており、趣味で商いも行っている。商売の内容はいわゆる物々交換。双方にとって貴重と思われるものを交換することを目的としており、特に、「誰も聞いたことのない物語」を求めている。姫の言葉を正しく聞き取ることができない問題を抱えており、姫が教えてくれるという口伝の物語を手に入れるため、彼女に読み書きを教えることになる。 宇宙服のような外見をしておりその中がどうなっているかは不明で、性別も定かではないが、高度な科学技術を扱う配達人のことを姫は「彼」と称している。

イセ

姫の付き人の女性。16人目の求婚者であるアリシマの君に対する対応を担当している。長髪を軽く結い上げた髪型をしており、性格はいたって真面目で小言が多い。姫の体調を崩した素振りを見て強引に看病しはじめるなど、姫のずぼらな性格に頭を悩ませながらも愛情を持って接する。

スイ

姫の付き人の女性。ウェーブのかかった長髪をしており、表情はフラットなものが多い。言動や性格も表情の通りに強く出るという事はなく、姫を迎えに行った際も無理に連れ帰るというような素振りを見せることはなかった。決して感情がないわけではなく、姫の体調が心配な時はイセと共に看病に走ったり、姫に対する愛情の深さを感じさせる行動を取る。 時にはイセのことをからかったりと、表に出てこないだけで内面に豊かなものを持った女性である。

アリシマの君 (ありしまのきみ)

姫たちの住まう島の外から訪れた、16人目の求婚者。黒く艶やかな長髪に燕尾服とシルクハットという独特の格好をした美男子で、言動も紳士的。熱情の失われた世界にあって、愛と人類が存続するために必要なことがらを熱く語る希有な人物である。「委員会」と呼ばれる組織によってここに来たことがうかがえ、求婚も姫に対する純粋な愛からではなかった様子。 ただ姫の外見に惚れ込んだのは事実のようで、帰りしなに姫に対する詩を口にする。

(かれ)

孤独に過ごしていた影の海のおひめさまのもとを訪れた、宇宙人のような外見の人物。地球から月へと移住した彼は12時間ごとに水素を集めるためにおひめさまの元を訪れ、その間、1人で話し続けていた。人間嫌いの性格で、人の居なくなった場所を求めて月へとやってきた。そのためか、おひめさまが人間らしく話しかければ話しかけるほどに嫌悪感をあらわにしていく。 人の機微を語る割に、おひめさまの服を突然脱がそうとしたりと、時としてその機微から外れた行動をとる。姫の描く物語の上で、明確な名前や名称が出ることはなく、単純に「彼」と呼ばれる。

クレジット

原作

奈須きのこ(TYPE-MOON)

キャラクターデザイン原案

武内崇・逢倉千尋

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