あらすじ
第1巻
相川薫は薫の母のため、10年前に死亡した双子の姉の相川楓に成り代わって生活を送っていた。そのため、薫は自身の秘密を知る幼なじみの千三涼以外と交流しないように心がけていたが、ある日、同じ大学に通うスーパーモデルの清水零花と知り合う。零花の頼みで早乙女千秋との仲を取り持つことになった薫は、とりあえず千秋とコンタクトを取ったところ、成り行きで毎週木曜日に勉強を教えるという約束を交わしてしまう。さらに薫は千秋が男性だと思っていたが、女子トイレを譲られたことで彼女が女性であることを知る。一方の零花は薫が千秋に惹かれているのではないかと疑いながら、千三と共に四人でショッピングに出かけることを提案する。
第2巻
清水零花の提案で相川薫、千三涼、早乙女千秋の四人はショッピングに出かけることになった。その最中に零花は薫が男性であることを偶然知ってしまう。しかし零花は、薫本人に気づかれないように胸に秘めることにする。その後、突然千秋が離脱したことで全員解散となるが、薫は帰路で千秋に再会する。千秋が家庭の事情で現在自宅に帰ることができないという状況を知った薫は自宅へと招く。薫の自宅に到着するとそこには薫の母が訪れており、会話を交わすうちに薫は、千秋に男性であることは伏せたまま姉である相川楓のふりをしていることを告白する。それをきっかけに二人は親睦を深めるが、薫に対する零花と千三の態度は徐々に変わり始める。
第3巻
早乙女千秋と千秋の母親は、父親のDVから逃れて生活をしていた。その事実を聞かされた相川薫は、重大な秘密を話してくれた千秋に自分が男性であることを打ち明け、より深いかかわりを持ちたいと考えていた。しかし、薫より先に清水零花が悪意を持って千秋に薫が男性であることを話してしまったため、薫と千秋は仲違いしてしまう。薫が千秋との関係修復を思案していたところに薫の父が現れ、薫の母が相川楓に執着している理由を告げるのだった。一方、千秋のもとには居場所を嗅ぎつけた父親が戻って来ており、千秋と母親を監禁していた。それを知った薫は千三涼に相談して助け出そうとする。
登場人物・キャラクター
相川 薫 (あいかわ かおる)
帝都大学経済部の1年生の男性。セミロングヘアで両耳にイヤリングを付けている。女性の和服を着用して女性として振る舞っている。和服を着ているのは体型をごまかしやすいためで、ふだんから女性に見えるようなメイクを施している。相川楓は双子の姉だが10年前に死別しており、その際に薫の母が大きなショックを受けていたのを見かねて楓のふりをするようになった。大学生になってから楓を演じることに限界を感じて思い悩んでいた際に、早乙女千秋と出会い彼女の考え方や性格に惹かれていく。千三涼とは幼なじみであり、唯一秘密を知っている存在であるため信頼を寄せている。清水零花のデビュー時からのファンで、あこがれの存在。同じ大学に通いながらも陰から姿を眺めているだけで声をかけることはなかったが、偶然ファンであることが知られてから話すようになった。
千三 涼 (せんみつ りょう)
相川薫の幼なじみの男性。関西弁をしゃべる。面倒見がよく薫が相川楓のふりをすることになってからも、周囲にばれないようにサポートしている。女性からの人気は高いものの、彼女ができても関係が長続きしたことはない。清水零花に対しては苦手意識を持っているため、警戒しながら会話をしている。小さい頃から現在に至るまで楓に恋心を抱いており、楓が死亡したのは千三涼自身の不注意が原因だと自責し、薫に楓を重ねて見ている。陰では薫の許可を得ずに携帯電話にGPSアプリを入れて居場所を監視したり、交友関係などをすべて把握しようとする姑息な一面を見せる。
清水 零花 (しみず れいか)
相川薫と同じ大学に通う女性。モデルとして活躍している。両性愛者で、早乙女千秋に片思いしている。幼い頃から両親の期待に添えるような優等生を演じてきたが、陰ではそのストレスを解消するために多数の男性と関係を持っていた。高校生の時に付き合っていた男性から脅迫をされた際、千秋が助けに入ったことがきっかけで思いを寄せるようになる。当初は薫に仲介を頼んでいたが、薫と千秋が親睦を深めていることに嫉妬し二人を引き離そうとする。薫が男性であることを偶然に知り、それからは薫を脅す材料にしたり、千秋に悪意を含んで伝えたりと悪用している。
早乙女 千秋 (さおとめ ちあき)
相川薫と同じ大学の学部に通う女性。黒髪のショートヘアで男装をしており、一人称は「オレ」。自分が女性であることは受け入れており、周囲には特に隠していない。高校時代に清水零花と出会っているが、そのことはいっさい覚えていない。毎週木曜日に図書室で薫と勉強会を開くようになってからは薫との親睦を深め、徐々に惹かれていく。母親と二人暮らしで、父親とはDVが原因で別居している。
薫の母 (かおるのはは)
相川薫と相川楓の母親。病的なまでに楓に強く執着心を抱いており、薫の存在がまったく見えていないこともある。そのため、10年前に楓が死去した際にショックで茫然自失となっていたが、薫が楓に成り代わったことで現在は平静を取り戻している。
薫の父 (かおるのちち)
相川薫と相川楓の父親。現在は海外で働いている。薫が楓のふりをしていることを知ったうえで、養育費などをすべて捻出している。
相川 楓 (あいかわ かえで)
相川薫の双子の姉。8歳の頃に崖から落ちて亡くなった。薫の母から強く執着されていた。生前は薫と千三涼ともなかよしで、いつも行動を共にしていた。