未来町内会

未来町内会

西暦2076年の日本に未だ残り続ける「町内会」という概念。新町内会長に就任した電気屋の田尻清を中心に巻き起こる、客観的に見てどうでもいい人間ドラマの数々を、淡々とシュールに描いた作品。「週刊少年マガジン」誌上で2006年第38号から2008年第19号まで不定期に連載された。

正式名称
未来町内会
ふりがな
みらいちょうないかい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

諸所の問題を抱えながらも、独立国家として命脈を保ち続けていた西暦2076年の日本。そんな未来の日本にも、まだ「町内会」は残っていた。新たな町内会長に就任した電気屋の田尻清は、これといった権限のない町内会長の役職に失望を感じつつも、人々の結束を高めるために新スポーツを考案したり、地球温暖化を防止する装置を作るなど、誰も望んでいない精力的な働きぶりを見せ、町内会の輪を少しずつ広げていくのだった。

登場人物・キャラクター

田尻 清 (たじり きよし)

田尻電機の社長を務めている中年の男性。やや自己中心的な性格。未来町の町内会長に就任し、意気揚々としていた。しかし、会長の役職を誤解して過度な幻想を抱いていたため、「給料が出ない」「運転手付きの車もない」ことや、何かを行使する権限もまるでないという現実を知り、大きなショックを受けてしまう。現状を冷静に見据えた後は、限られた力のなかで町内会の人の輪を広げていくことに喜びを見出し、会長として積極的に働くようになった。 人々の結束を高めるために、頭に付けたザルにボールを乗せる新スポーツを考案したり、地球温暖化防止装置なる発明をするなど、活動内容はいずれも珍妙なものが多い。祖父の代から受け継いだ個人経営の電気屋を営んでおり、そのせいかサラリーマンに対しては強いひがみを持っている。 主人公ではあるが、物語が進むたびに出番が極端に減っていく。

関口 太郎 (せきぐち たろう)

アフロの青年。世界最強とされる「関口バイオレンス術」の使い手。荒廃した別世界で悪党を叩きのめす救世主をしていたが、悪党との戦闘中に突如として2076年の日本へとトリップしてしまう。成り行きから未来町の町内会に入り、田尻清のもとで働くことになった。住居や戸籍が存在しないため、空き地でテント暮らしをしている苦労人。 こちらの世界で働くうちに、自身が救世主であるという記憶が、妄想にすぎないのではないか、という疑心にとらわれる。のちに漫画雑誌で漫画家の「巻末コメント」を代理で書く連載作家になった。特徴であるアフロは実はカツラ。

田尻 春彦 (たじり はるひこ)

田尻清の息子。12歳の小学生。清の町内会長就任を喜んでいたが、思いのほか何の権限もない会長職に対し失望を覚える。「(就任記念)パーティーなんかやって損したな」と、あからさまにがっかりするなど、年相応の少年らしい正直な感想を述べる。しかし、そのせいで清がへそを曲げてしまうことになった。歯医者を信用しておらず、医療科学が進んだ2076年の日本で、虫歯を根絶できないのは裏の事情がある、と確信している陰謀論者。 ペットは熊派。

田尻 良江 (たじり よしえ)

田尻清の娘。10歳の小学生。清の町内会長就任パーティーで「町内会長ってのはどのくらいすごいの?」と尋ね、結果的に町内会長がほとんど何の力も持っていないことを、明らかにするきっかけを作った。ペットは猫派。

小島 正俊 (こじま まさとし)

講談大学の2年生。お笑い芸人を目指している青年。町内会が開いた関口太郎の歓迎会で、ギャグのセンスをもてはやされていた関口に対しライバル心を抱き、彼の人となりを見極めるために住処のテントまで会いに行く。関口の実力を認めた後は、彼をお笑いの相方とするために、自身のアパートに招いていた。プロレスが好き。

地上げ屋のボス (じあげやのぼす)

未来町商店街の用地を買収し、巨大ショッピングモールを建てようと画策している強面の男性。脅迫まがいの手段を使い、商店街の住人を立ち退かせようとする非情かつ強引な性格。町内会長としての田尻清と、地上げ屋の事務所に出入りしている電気屋の清を同一人物として認識していない。後者の清を良心的な電気屋さんとして信頼しているため、彼が持ってくる明らかに詐欺くさい電化製品を即購入してしまう。

隊長 (たいちょう)

「ギリギリ戦士ウチキリマン」のヒーローショーでウチキリマンを演じ、リーダーを務めている男性。プロ意識が高く、芸暦も長いベテラン俳優。いつも場を仕切っているが、周りからはいまいち尊敬されていない。顔の出せる俳優になることを目標としている。常時ウチキリマンのスーツとマスクを着用しているため、素顔はわからない。

イカ怪人 (いかかいじん)

「ギリギリ戦士ウチキリマン」のヒーローショーで、ウチキリマンの敵役、イカ怪人を演じている男性。仲間からはハヤさんと呼ばれている。率直な物言いをする性格で、芸暦が長い割に演技がつたない隊長に、口頭で厳しくダメ出しをすることもあった。そのため、隊長とは少々折り合いが悪い。ほとんどのシーンでイカの被り物をしており、滅多に素顔は見せない。

ゴリラ

「ギリギリ戦士ウチキリマン」のヒーローショーの一員として、いつの間にか加わっていたゴリラ。当初、隊長たちは、中に人がいるのではないかと疑い、背中のチャックを探していた。のちに本物のゴリラであることが判明したが、なぜメンバーに加わったのかはまったくの謎。

越中 次郎 (こしなか じろう)

漫画雑誌の敏腕編集者で36歳の男性。漫画ではなく、巻末コメントの持ち込みをしてきた型破りな関口太郎に、なんとなくアドバイスし続けた。その結果、成り行きから、人気漫画家の巻末コメント代理を、関口に頼むことになった。自分で頼んでおきながら、そんな意味不明な現状に疑問を抱き、理不尽さも感じている。

坂井 (さかい)

男子中学生。優秀な同級生である「井上」の誘いを受け、新興宗教「平田教」の教祖のもとで修行している。しかし、本人は宗教にはとりたてて興味がない。怪しげなおっさんにしか見えない教祖の言動には、常に心の中で突っ込みを入れている。

教祖 (きょうそ)

創設3年目の新興宗教「平田教」の開祖である中年男性。瞑想などを中心とした修行を行っている。なお、本名は斉藤で、「斉藤教」だと語呂が悪いため、アドバイスを受けて「平田教」にした。名前に深い意味はないらしい。

場所

未来町 (みらいちょう)

21世紀初頭の日本の、ほとんど変わらない風景をした何の変哲もない町。田尻清とその家族が住んでいる。なお、隣町の「那野町」は、車が飛んでいたり、ロボットが歩いていたりするなど、アナクロな雰囲気の未来都市になっており、地域差が激しい。

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