あらすじ
第1巻
漫画家の清野とおるは、東京都北区赤羽の某酒場でたまたまとなり合わせた男性のYさんから不思議な体験談を聞く。Yさんが住んでいるアパートのベランダでタバコを吸っていると、向かいのマンションの家具が何もない真っ暗な部屋に長い黒髪の若い女性が立っており、こちらをじっと見つめていたという。数日後、再び同じ部屋に立つ女性を目撃したYさんは、気になってそのマンションを調べてみると、女性のいた303号室は空き部屋になっていた。その話を聞いた清野は、後日友人や自称霊感者のおばさんなど、数人と共に現地へ赴き、303号室は実際にヤバそうな雰囲気の部屋であることを確認するのだった。それから1年後の深夜、酔っ払って赤羽を徘徊していた清野は、偶然そのマンションにたどり着く。酔いも手伝って、勢いのままに303号室の前で酒を飲んだらどうなるだろうかという考えがよぎった清野は、近所のコンビニで缶チューハイを購入して実行に移す。オバケに対する恐怖感と酒による高揚感の相乗効果によって体験したことのない快感を得た清野は、この行為を「怪奇酒」と称し、すっかり虜になってしまうのだった。それから8年、40歳を目前にした清野は、日々の生活の中、ふと怪奇酒のことを思い出す。そして今こそ、どんなにヤバイ居酒屋やスナックよりもさらに刺激的な怪奇酒をあらためて経験するべきなのではないかという思いに至る。(1杯目「恐怖の303号室」。ほか、7エピソード収録)
メディア化
実写ドラマ
2021年2月19日より 放送
キャスト:杉野遥亮(本人役で主演)
各話ゲスト:清野とおる、チャンス大城、松原タニシ、オカモトショウ、R-指定、
大島てる、三上丈晴(ムー編集長)、吉田悠軌、ボルサリーノ関、岡山天音
登場人物・キャラクター
清野 とおる (せいの とおる)
漫画家デビュー20周年目を迎えた漫画家の男性。年齢は38歳。本人から直接聞いた不思議な怪奇体験をした現場へ赴き、その場所でオバケの恐怖におびえながら酒を楽しむという「怪奇酒」にハマり、その体験談を漫画にしている。実在の人物、清野とおるがモデル。
Yさん
8年前、東京都北区赤羽の某酒場でたまたま清野とおるのとなりの席に座り、自らが体験した怪奇現象の話をした会社員の男性。年齢は34歳。赤羽にある3階建てアパートの3階に住んでいた当時、ベランダでタバコを吸っている時に向かいのマンションの家具が何もない部屋で、長い黒髪の若い女性が立っており、こちらをじっと見つめていたという体験をした。後日、同じ部屋で再度女性を目撃したYさんが向かいのマンションを調べてみると、その303号室は空き部屋になっていた。それ以来、その女性を見るのが怖くなってベランダ側のカーテンを閉めっぱなしの生活を送り、部屋の更新はせずにとなり町の十条に引っ越した。
O・Mさん
清野とおるに体験した怪奇現象の話をした男性。年齢は44歳。現在は武蔵野市在住で運送業を生業としている。2005年から2011年まで東京都K市内のアパートに妻と二人で住んでおり、そこで奇妙な体験をした。住んでいたアパートのとなりには広い空き地があり、ある日、空き地前の道路脇にゴミが1メートルほどの間隔で並べられているのを目撃する。ゴミの最後尾に猫が寝ているのを見つけるが、それを明くる日確認してみると猫の死骸だった。またある日の深夜、数百人規模の大行列がアパートの前を通り過ぎていく話し声や物音を、妻と共に聞いている。
断固匿名希望さん
清野とおるに体験した怪奇現象の話をした専業主婦の女性。年齢は37歳。5歳になる息子の幼稚園の同級生で、霊感を持つR子ちゃんが嫌がるM公園に行った際、誰も乗っていないスプリング式の遊具が地面に付くほどの激しい勢いで前後に動き出したり、ブランコが1台だけ激しくゆれたりしているのを目撃するなどの怪奇現象を体験している。
大城 文章 (おおしろ ふみあき)
「チャンス大城」の芸名で活動するお笑い芸人の男性。年齢は43歳。住んでいたアパートで怪奇現象を体験し、知り合いである清野とおるに霊能者の紹介を依頼した。築45年以上になる2階建て木造アパートに住んでいた当時、深夜に壁を激しく叩く音を聞いたり、誰もいない廊下から物音を聞いたりするなど、数々の不思議な体験をしている。
加藤 玲奈 (かとう れな)
雑誌「東京ウォーカー」の編集長を務める女性。年齢は39歳。2017年の10月、取材先の帰り道で10メートルほどの高さの大仏を目撃したが、実際にはその場所には大仏など存在するはずがないという不思議な体験をする。後日、同じ時間帯に清野とおると共に現地へと赴き、怪奇酒を堪能した。
H・Kさん
清野とおるに体験した怪奇現象の話をしたフリーライターの女性。年齢は41歳。2014年の6月、都内N駅界隈で事故物件を見つけて住んでいた。10年前に真下の部屋で首つり自殺があったという部屋だったが、実際に自殺があったのは真下の部屋ではなく、H・Kさんが借りた部屋で、事故も10年前ではなく2年前、しかも首つりではなく焼身自殺だった。その部屋では電気器具が突然消えたり、火災報知器が何度も誤操作を起こしたりするなどの怪奇現象を体験している。
U・Rさん
清野とおるに体験した怪奇現象を話したデザイナーの男性。年齢は43歳。都内屈指の某巨大霊園近くのマンションに10年以上住んでおり、墓地に面したある特定の路地にだけ不気味な雰囲気を感じていた。ふだんはそこを避けて通っていたが、ある晩、便意に襲われて仕方なくその路地に入ると、道端に大きな生首が落ちているのを目撃する。
関 好江 (せき よしえ)
「開運飯」を作れることで有名な、お笑い芸人の女性。開運飯とは、陰陽五行を中心に風水や民間伝承、栄養学などを独自に研究して作り上げたご飯で、食べるだけで運気が上がるというもの。芸人のあいだでも、関好江の手料理を食べると売れるというジンクスがあり、人気を呼んでいる。怪談とは無関係ながら、噂を聞いた清野とおるに開運飯をご馳走する。