概要・あらすじ
偉人のエピソードを元にした伝記漫画。オムニバス形式で、取り上げる人物は科学者、スポーツマンから手品師まで多岐にわたり、理化学研究所などの団体も題材となっている。タイトルから想起されるように島田清次郎などの現在では知名度が低い人物を題材とすることもあるが、野口英世など今でも高名な人物も取り上げている。
単に偉人の栄光の足跡をたどるだけではなく、彼らが抱えていた人間的な負の側面も描き出しているのが特徴。41話「ハリー・フーディーニ」は八城正幸が原作。
登場人物・キャラクター
川島 雄三 (かわしま ゆうぞう)
昭和20~30年代に活躍した映画監督。軽妙洒脱な喜劇を得意とする一方、文芸大作も撮れる才能にあふれた人物。松竹から日活に移籍して『幕末大陽伝』を撮影、高い評価を得る。筋萎縮症を患っていたが、『栄光なき天才たち』ではそうした自身の問題も含めて、映画からも人生からも重厚長大なメロドラマ性を排除しようとした、と描かれている。 後に東京映画、大映に移籍し映画を撮り続けるが、40代の若さで早逝した。
島田 清次郎 (しまだ せいじろう)
大正時代の小説家。小説『地上』がベストセラーとなり、一躍時代の寵児となる。だが彼自身の尊大な態度が原因で文壇では孤立。世間の逆風を巻き返すため元海軍少将舟木家の令嬢舟木芳江との結婚を目論むが、舟木家から婦女暴行の容疑で告訴されてしまう。 最終的に告訴は取り下げられたものの、このスキャンダルで人気を失い、『地上』の続編は出版できなくなってしまった。精神に異常を来した島田清次郎は巣鴨保養所に収容され、31歳で他界した。彼の作品は後の世ではほとんど顧みられることがなかった。
エリック・ヴァイス
1900~20年代に活躍したアメリカの手品師。鍵抜けや手錠外しで有名となり、脱出王、超人の異名を得る。母の死をきっかけに、当時アメリカで流行していた霊媒師と対決する姿勢を強め、彼らのインチキを暴く霊媒師狩り(サイキックハンター)として活動するようになった。 超能力者アルガマジラや霊媒師マージェリー(ミナ・クランドン)らと対決し打ち破ったハリー・フーディーニだったが、『栄光なき天才たち』では彼自身こそが誰よりも心霊を信じたかったのではないか、と描かれている。52歳の時、トリックを理解していない客に腹部を殴打され、それが原因で他界した。
ロバート・チャールトン
1958年、20歳でイギリスのサッカーチーム・マンチェスター・ユナイテッドのレギュラーとなる。だがこの年、欧州サッカー界を制覇しようとしていたマンチェスター・ユナイテッドは、飛行機事故で一軍選手のほぼ全員を失ってしまう。生き残ったロバート・チャールトンは不調に苦しむが、やがて失ったチームメイト全員の働きを代理するようなオールラウンドプレイヤーとして復活。 そして10年後、ロバート・チャールトン率いるマンチェスター・ユナイテッドは悲願であった欧州制覇を果たすのだった。
クレジット
- 原作
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伊藤 智義 , 八城 正幸
ベース
満鉄特急あじあ物語
わがままいっぱい名取洋之助