概要・あらすじ
横須賀に住む王島一家は、ペットと縁のない生活を送っていた。ところがある日、長男の王島健三が犬を拾ってきた。健三と次男のまさおは犬を飼いたかったが、母親はそれを認めなかった。あくまで迷い犬を預かっているだけだと言い、近所の電柱に迷子犬のポスターを張っていた。名前もつけず、エサ、トイレ、散歩といった最低限の世話だけをするのがルールとなっていたのだ。拾われた犬は推定5歳のメスで、小4男子程度の知能を持つ天才犬だった。そして、イタズラ好きだったが、王島家の母にだけには悪さはせず、逆にお手伝いをしていた。空気を察する能力も小4男子並みだったのだ。彼女は健三との散歩が好きだった。健三が選ぶコースは坂や階段が多く、彼女と相性がよかった。また、彼女にはある願望があり、坂の上にたどり着くと、必ずウンコをしてそれをしげしげ眺めるのがつねだった。ある日のこと。いつもどおり坂の上でウンコをしたあと、彼女は近所の少年たちが、坂を転がるボールを追いかける姿を目撃する。それを見た彼女の頭にあることが閃いた。翌日、彼女は王島家の母と散歩をしていた。禁止しているにもかかわらず、犬のおもちゃやクッションを買ってくる家族を見て、母は心変わりした。「健三が拾ってきたとき、首輪はしていなかった」。そう言うと、母は自分で張った迷子犬のポスターを剥がしたのだ。その夜、母は犬に迷子札を付け、こずえと名前をつけた。こうして王島家に迎えられたこずえは、いつものように健三と散歩に出て、坂の上でウンコをした。ここのところ便秘だったこずえのウンコは、コロコロと坂を転がり落ちていく。こずえはウンコを追いかけて坂を駆け下りた。「気持ちいい。ずっとこうしたかった」。これからも健三といっしょに、坂を駆け下りたい。そう考えるこずえだった。
登場人物・キャラクター
こずえ
小4男子程度の知能を持つ天才犬(メス)。5歳。ある日、王島健三に拾われ、王島家の一員となる。イタズラ好きだが、仕掛ける相手をきちんと見極める能力を持つ。幼い頃の記憶がなく、かすかに覚えているのは、潮の匂いと、正体不明の人間の大きな手だけ。
王島 健三 (おうじま けんぞう)
横須賀に住む王島家の長男。これといった特徴のない社会人の男性。ある日、こずえを拾ってくる。こずえとの散歩では、坂や階段を多く選ぶため、こずえに気に入られている。
書誌情報
横須賀こずえ 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2020-02-28発行、 978-4098605422)
第2巻
(2020-07-30発行、 978-4098606801)
第3巻
(2020-11-30発行、 978-4098607679)