機動戦士ガンダム MS IGLOO 603

機動戦士ガンダム MS IGLOO 603

ジオン軍の技術士官であるオリヴァー・マイは、表舞台に出ることなく闇に葬られた兵器たちと、それに関わる人々の行く末を見届けるため、仲間と共に戦場へ向かう。TVアニメ「機動戦士ガンダム」のスピンオフ作品である、OVA「機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-」のコミカライズ版だが、OVAにはないオリジナルのエピソードが追加されている。「ガンダムエース」2005年1月号~2006年1月号にわたって連載された作品。原案は矢立肇、富野由悠季。

正式名称
機動戦士ガンダム MS IGLOO 603
ふりがな
きどうせんしがんだむ えむえす いぐるー ろくまるさん
作画
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

宇宙世紀0079、ついに開戦を決意したジオン軍の中に新しく部隊が編成された。名は第603技術試験隊。戦争を勝利に導くため開発されたさまざまな兵器の運用、技術を評価する部隊である。そこに配属されたオリヴァー・マイは早速試験品目を受領する。試作艦隊決戦砲ヨルムンガンド、それは連邦軍主力艦隊を射程外から狙い撃つ兵器であった。

ヨルムンガンドの試験のため、マイは射手であるアレクサンドロ・ヘンメ砲術長、そして第603技術試験隊と共に決戦の地へ赴く。

登場人物・キャラクター

オリヴァー・マイ (おりゔぁーまい)

大学を出たばかりの第603技術試験隊の技術士官で、階級は技術中尉。大学での成績は次席。真に価値ある技術は正しく評価されるものという信条を持つ。試験品目の受領のために艦長に危険な提案をすることもあったが、基本的には大人しい性格である。「論理的です」というのが口癖。試験運用のために運ばれてくるさまざまな兵器、パイロットを実戦の舞台で見つめ、試験の最後には必ず彼の技術試験報告書が提出される。

モニカ・キャディラック (もにかきゃでぃらっく)

第603技術試験隊のお目付け役としてやって来た女性で、階級は特務大尉。ジオン軍総帥直属ということもあり、実質的な階級は中佐扱いである。着任当日から艦長と言い争いをするなど強気な性格で、運用試験にあたっても強引な姿勢を見せ、兵器に乗るパイロットの命を危険にさらす作戦を提案する。だがヅダの評価試験にあたっては自らもMSに乗り、運用試験をサポートした。

マルティン・プロホノウ (まるてぃんぷろほのう)

第603技術試験隊が乗る試験支援艦ヨーツンヘイムの艦長。階級は中佐相当官。さまざまなメンバーで構成されている第603技術試験隊をまとめあげている。基本的には艦の乗組員の命を最優先に考えており、オリヴァー・マイやモニカ・キャディラックの提案に反発することがあった。だが運用試験で運ばれてくる兵器や人員のことを理解はしており、時には危険な宙域に自ら艦を進めることもある。 ヨーツンヘイムが連絡貨客船だった頃から艦長を務めているため経歴は長く、マイやモニカなどの厄介な客の扱いには慣れていると語っている。

ワシヤ・ヒデト (わしやひでと)

技術試験科から第603技術試験隊に配属された青年。階級は中尉。明るい性格で、メンバーの中でのムードメーカーのような存在。パイロットとしての腕も優秀で、観測ポッドはもちろん、モビルスーツの操縦もこなせる。

アレクサンドロ・ヘンメ (あれくさんどろへんめ)

ヨルムンガンド運用のため第603技術試験隊に配属された砲術長。階級は大尉。はじめは何のためにヨーツンヘイムに乗艦させられたのかわからず、ヨルムンガンド収容のため艦を動かさないマルティン・プロホノウ艦長やオリヴァー・マイを怒鳴りつける。だがヨルムンガンドを見てからは、大砲屋冥利に尽きると考えを改め謝罪する。 その後、ヨルムンガンドの射手として決戦の地ルウムへ赴いた。

エンマ・ライヒ (えんまらいひ)

ゲムカモフのパイロットとして第603技術試験隊にやって来た女性。階級は中尉。本名は「エンマ・ライチェ」で、地球市民の義勇兵である。そのためモニカ・キャディラックやワシヤ・ヒデトたちとそりが合わなかった。ジオン軍からも信用されずずっと古い機体に乗せられ、同じ義勇兵の仲間は次々と命を落としていった。やっとのことで与えられたゲムカモフは、量産されることのない機体であり、オリヴァー・マイはその存在自体を否定していたが、エンマ・ライヒは気に入っている。 義勇兵となって地球を離れる前は、恋人と親友がいた。

ギュンター・ローズマン (ぎゅんたーろーずまん)

エーギルを運用するためのモビルスーツを操縦するパイロット。階級は曹長。船酔いに苦しむオリヴァー・マイと出会った時には所々に傷を負っていた。エーギルの運用試験に協力的で、エーギルの持つ力に期待している。

ジャン・リュック・デュバル (じゃんりゅっくでゅばる)

ヅダのテストパイロットとして第603技術試験隊にやって来た男性。階級は少佐。ヅダに関しては誰よりも詳しいと豪語し、実際に操縦能力も高く、試験運用中に現れた連邦軍を模擬戦用のペイント弾で撃退したほど。過去にヅダの試験中の事故で部下を亡くしているが、ジャン・リュック・デュバルは今のヅダはその欠点を克服したと語る。

リヒャルト・ヴィーゼ (りひゃるとゔぃーぜ)

バロールの試験運用にあたって、開発責任者として第603技術試験隊にやって来た男性。オリヴァー・マイの大学生時代の教授でもある。自分が開発したバロールに絶対の自信を持っていて、自らパイロットを買って出るほど。結果的にバロールは試験でも好評価を収めるが、それはバロールの開発にあたり湯水の如く資金を使ったためであり、リヒャルト・ヴィーゼ自身は試験終了後に大学教授としての椅子を追われることになっていた。

ヘルムート

オリヴァー・マイの学生時代の友人。技術開発者として、常識を覆す発想力こそが真髄と考えている。評価部門を希望したマイを、同じく評価部門を希望したナタリー・ウェインツのご機嫌取りのためだと批判。その後、技術とは何かについて、マイと口論になる。

ナタリー・ウェインツ (なたりーうぇいんつ)

オリヴァー・マイの学生時代に首席だった女生徒。彼女の父親も大学の教授だが、以前は技術開発を行っていた。卒業後の進路希望で、マイと共に評価部門を希望し周囲を驚かせたが、それにはある理由があった。

集団・組織

第603技術試験隊

オリヴァー・マイが所属している部隊。隊の任務は、新たに開発されたジオン軍の兵器を戦場において運用し評価する事である。運用するための艦、技術情報科、技術試験科、さらには目付役のジオン軍総帥直属の特務大尉と、さまざまなメンバーで構成されており、「魔女の鍋」とも呼ばれている。

その他キーワード

ヨルムンガンド

連邦軍主力艦を射程外から狙撃するために開発された試作艦隊決戦砲。核融合プラズマビームを発射できるが、その破壊力は凄まじく敵艦を一撃で破壊できるほどの威力を誇る。だが数々の問題を抱えており、何よりもコストがかかるため、実用化に至らなかった。

ゲムカモフ

連邦軍の量産型モビルスーツ「RGM-79 GM」に誤認させるために作られた機体で、連邦軍艦隊への攪乱、特殊任務を容易にさせることを期待されていた。外見だけでなく、武装もRMG-79に似せている。さらに試験兵器として135mm対艦ライフルも配備された。開発番号や機体登録番号も抹消されているため、敵だけでなく味方すら欺いてしまうこの機体を、エンマ・ライヒは「戦場の狂気」と評していた。

エーギル

地球での戦いを有利にするため開発されたジオン軍の試作水中ビーム砲。理論値での水中の最大射程は2800メートル。独自の推進システムを装備されているが、運用のためにモビルスーツを必要としている。また試作段階のため、その大きさはモビルスーツを凌駕しており運用は困難を極めた。

ヅダ

ジオン公国内における、企業間での主力モビルスーツ開発争いで生まれた機体。制作はツィマット社。試作機の「EMS-04」はジオニック社のザクとのコンペティションに敗れて正式採用は見送られたが、その後は改良を重ね「EMS-10」として生まれ変わった。新型のエンジンを搭載しており、機動性に優れる。また「スプリッター迷彩」と呼ばれる独特の迷彩が施されている。

バロール

ミノフスキー粒子下における観測、索敵能力の向上を目指して開発されたジオン軍の機体。専用に開発されたセンサーなどが搭載されており、既存のものの約24倍の解析能力と、510キロという有効観測距離を誇っている。だがこの性能を得るために、あまりにも膨大な開発費が費やされた。

ヨーツンヘイム

第603技術試験隊が乗る試験支援艦。元コロニー間の人員・物資輸送を行う民間の連絡貨客船だったものを改修した。改修の際にある程度の武装が施されたが、移動速度は遅く防御能力も低い。

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