あらすじ
バカがボオルでやってくる!
クロスボーン・バンガードの傭兵であるウモン・サモンは、かつて地球連邦軍に所属していた一年戦争の時代に、自らの操る支援ポッド・ボールで、敵モビルスーツのドムを6機撃墜したという。自他ともに認める「優秀なパイロット」であるウモンの話ではあったが、クロスボーン・バンガードのメンバーからは、半信半疑の目で見られていた。そんな彼らに、ウモンは自身の戦歴を語り始める。
星の王女様
木星戦役の最中、トビア・アロナクスは木星帝国のモビルスーツ部隊と交戦中に撃墜され、小惑星に不時着した。その小惑星は、木星帝国の資源調達のための「隠し鉱山」だった。そこでトビアは、トゥインク・ステラ・ラベラドゥという少女に出会う。トゥインクは、自分の両親がこの鉱山を開拓したこと、そして10年もの間そこで暮らしていたことを打ち明ける。その話を聞いたトビアは、トゥインクをクロスボーン・バンガードへ連れて行き、保護しようと決意する。
海賊の宝
地球と木星との連絡荷物船・サディン107が、木星帝国の残党に拿捕されるという事件が発生した。地球連邦軍のハリソン・マディンは、軍上層部からその奪還を命じられて出撃するが、そこで彼は、かつて木星戦役で共闘したクロスボーン・バンガードに遭遇する。
最終兵士
木星戦役終結後、表向きは運送業者「ブラックロー運送」として活動していたトビア・アロナクスらクロスボーン・バンガードの前に、「木星じいさん」を自称するグレイ・ストークという老人が現れた。そしてグレイは、かつての一年戦争の英雄であるアムロ・レイを奪還してほしいと、クロスボーン・バンガードに依頼する。この依頼に木星帝国の残党の影を察知したトビアらは、再び宇宙海賊としての活動を再開する。
猿の衛星
ハリソン・マディンは地球連邦軍上官からの命令を受け、スペースコロニー・サイド2の宙域で発生した事故原因の解明に向かう。そこで彼が見たものは、モビルスーツを操る猿たちだった。一体ここで何が起こっているのか。ハリソンはクロスボーン・バンガードのメンバーと協力し、モビルスーツを操る猿たちの駆除に挑む。
登場人物・キャラクター
ウモン・サモン (うもんさもん)
エピソード「バカがボオルでやってくる!」に登場する。クロスボーン・バンガードの中では古参のメンバー。「じいさん」と親しまれる老人。70歳近い現在もなお現役のパイロットであり、宇宙世紀0079年に勃発した一年戦争では、支援ポッド・ボールのパイロットとして戦闘に参加した経歴も持っている。その当時、小隊長であるヨナ・キニスンに想いを寄せていた。
トビア・アロナクス (とびああろなくす)
エピソード「星の王女様」「猿の衛星」他に登場する。クロスボーン・バンガードのモビルスーツパイロットの少年。『機動戦士クロスボーン・ガンダム』本編の主人公でもあり、かつて木星戦役ではクロスボーン・ガンダムを駆り、木星帝国のモビルスーツと死闘を繰り広げた。
ハリソン・マディン (はりそんまでぃん)
エピソード「海賊の宝」「猿の衛星」に登場する。地球連邦軍所属のパイロットの青年。青いガンダムF-91を愛機とする。階級は大尉であり、かつての木星戦役では、クロスボーン・バンガードとともに木星帝国と戦ったこともある。その経験から、クロスボーン・バンガードに対して「戦友」としての感情を向けている。
ヨナ・キニスン (よなきにすん)
エピソード「バカがボオルでやってくる!」に登場する。モビルスーツ部隊の女性小隊長。宇宙世紀0079年に勃発した一年戦争当時に、部下であるウモン・サモンとともに数々の戦場を転戦。愛機のGMをはじめモビルスーツの整備もこなす、多彩な才能の持ち主でもある。
トゥインク・ステラ・ラベラドゥ (とぅいんくすてららべらどぅ)
エピソード「星の王女様」に登場する。木星帝国の隠し鉱山で暮らす少女。10年の間1人で過ごしてきたので、「外の世界」の情報はもちろん、一般常識にも疎い。そのため自らを「アンバランス」と表現し、「外の世界」からやって来たトビア・アロナクスを「星の王子」と呼んで興味を抱く。
グレイ・ストーク (ぐれいすとーく)
エピソード「最終兵士」に登場する。木星と地球とを往復する資源運搬船団を経営する初老の男性。自らを「木星じいさん」と名乗る。経営者であるという一面の他、モビルスーツパイロットとしても優秀な技術を持ち、過去にさまざまな戦場を戦ってきた雰囲気を漂わせる。自身も愛機ガンプを操り、トビア・アロナクスらとともに木星帝国の計画阻止に活躍する。
アムロ・レイ (あむろれい)
エピソード「最終兵士」に登場する。かつてモビルスーツ・ガンダムを駆ったが、現在は行方不明の男性。一年戦争をはじめ数々の戦場を戦い抜いた歴戦の英雄だった。「最強のニュータイプ」と評され、行方不明となった現在でも、多くの人に影響を与え続けている。木星帝国残党は彼の戦闘データを手に入れ、「人工ニュータイプ」を作り出そうと画策していた。
キンケドゥ・ナウ (きんけどぅなう)
エピソード「星の王女様」に登場する。エースパイロットの青年。かつてクロスボーン・バンガードの主要メンバーを務め、クロスボーン・ガンダムX1を愛機としていた。トビア・アロナクスたちの兄貴分でもある。現在はクロスボーン・バンガードを引退し、地球でパン屋を営んでいる。
集団・組織
クロスボーン・バンガード (くろすぼーんばんがーど)
軍産複合体「ブッホ・コンツェルン」が宇宙世紀0120年代に開設した私設軍隊を母体とする戦闘集団。「ブッホ・コンツェルン」の創業者の血を引くベラ・ロナがリーダーとなって指揮を執る。クロスボーン・ガンダムをはじめ多数のモビルスーツや機動兵器を所有しており、宇宙でゲリラ活動をしていることから「宇宙海賊」とも呼ばれている。
木星帝国 (じゅぴたーえんぱいあ)
木星で資源を採掘する企業「木星公社」を母体とする軍事国家。いつしか地球圏に対する羨望意識から、総統であったクラックス・ドゥガチの指導のもと、企業から軍事国家になった。宇宙世紀0133に地球圏制圧を目的として、地球連邦政府に対して宣戦を布告し、木星戦役を引き起こした。クロスボーン・バンガードの活躍により、計画は失敗に終わった。
場所
木星 (もくせい)
太陽系第5番惑星。資源が豊富に採掘できるため、地球との間を貨物船などの定期便が運行している。かつてここを拠点とした木星帝国と、クロスボーン・バンガードとの間で「木星戦役」と呼ばれた大規模な戦闘が起こった。現在もその木星帝国の残党が活動しており、局地的な戦闘が続いている。
イベント・出来事
木星戦役 (もくせいせんえき)
宇宙世紀0133、地球圏制圧を目論んだ木星帝国が、地球連邦政府に対して仕掛けた侵攻戦争。開戦当初は、強力なモビルスーツによって、木星帝国側が地球各地の拠点を制圧していったが、地球連邦政府よりも早く木星帝国の計画を察知していたクロスボーン・バンガードの抵抗を受けることとなった。これに加えて地球連邦政府正規軍からの反撃を受け、木星帝国は敗退。 総統クラックス・ドゥガチの死をもって、木星戦役は終結することとなった。
クレジット
- 原案
-
矢立 肇 , 富野 由悠季