概要・あらすじ
数百本の桜に囲まれた女子高・桜華学園は、桜の園と呼ばれている。演劇部はその名にちなみ、毎年春の創立祭にチェーホフの『櫻の園』を上演することになっていた。演劇部に所属する中野敦子、杉山紀子、志水由布子、倉田知世子は、稽古を続けながら、それぞれが人間関係や自分自身に悩み、傷つく出来事に遭遇する。
その葛藤を経て少しずつ大人になり、やがて上演当日を迎える。
登場人物・キャラクター
中野 敦子 (あつこ)
桜華学園高等部3年。演劇部に所属する。倉田知世子、井上志摩子とは中等部から一緒でよく一緒につるんでいる。創立祭に上演される演劇、櫻の園では女主人公の娘アーニャの役を演じる。1年前から付き合っている彼氏・坂田シンイチを好きではあるものの、もう一歩進めないことに悩んでいる。
杉山 紀子 (すぎやま のりこ)
桜華学園高等部3年。演劇部に所属する。創立祭に上演される演劇、櫻の園ではヤーシャ役を演じる。授業をさぼったり、たばこを吸ったりして同級生達からは敬遠されている。複数の男の子と付き合ったが、男性経験はない。俊一という中学生から付き合っている彼氏がいる。
志水 由布子 (しみず ゆうこ)
桜華学園高等部3年。演劇部に所属し、部長をつとめる。創立祭に上演される演劇、櫻の園ではドゥニャーシャ役を演じる。周りからはしっかり者と見られ、同級生からも敬語で話しかけられる。男が嫌いで倉田知世子に思いを寄せている。杉山紀子を敬遠していたが、ふとしたきっかけでよく話すようになる。
倉田 知世子 (くらた ちよこ)
桜華学園の演劇部に所属する。創立祭に上演される演劇、櫻の園ではラネフスカヤ夫人役を演じる。背が高く、これまでずっと男役だったが初めて女役を演じることになる。反面、友達といるときは猫背になる。ある高校生に密かに思いを寄せている。
中野 綾子 (なかの あやこ)
中野敦子の10歳年上の姉。桜華学園の卒業生であり、自身も演劇部に所属していた。近く結婚を控えているが、ある日、初めて付き合った男性と偶然会う。
坂田 シンイチ (さかた しんいち)
中野敦子の彼氏。市立高洋高校のラグビー部に所属している。1年前の創立祭で出会い、付き合いはじめた。もっと関係を深めたいと試みてくる。
井上 志摩子 (いのうえ しまこ)
桜華学園高等部3年。中野敦子、倉田知世子とは中等部からの友達で、よく一緒につるんでいる。耳年増で中野敦子と彼氏・坂田シンイチの仲をあれこれ聞いてくる。
俊一 (しゅんいち)
杉山紀子の彼氏。中学生の時から付き合い始め、男子校に通っている。やさしそうな風貌だが、杉山紀子の奔放なふるまいに怒ることもある。
なるさわ
桜華学園高等部3年。杉山紀子、さや、よし子と一緒に授業をさぼったり、複数の男性と遊んだりしている。大学生の彼氏がいる。
さや
桜華学園高等部3年。杉山紀子、なるさわ、よし子と一緒に授業をさぼったり、惚れっぽく、いつも違うボーイフレンドを連れているが、一途な面もある。
よし子
桜華学園高等部3年。杉山紀子、なるさわ、さやと一緒に授業をさぼったり、複数の男性と遊んだりしている。前の彼氏と別れてすぐ、新しい彼氏ができた。
明 (あきら)
倉田由布子のいとこ。社会人として働いている。以前はぜんそくの気があり、冬になると倉田由布子が住んでいた海辺の家から学校に通った。倉田由布子にとっては初恋の相手。
集団・組織
桜華学園 (おうかがくえん)
『櫻の園』に登場する学校。女子校で、中等部、高等部、付属短大がある。数百本の桜に囲まれ、「桜の園」と呼ばれている。春の創立祭には、その名にちなみ、演劇部によってチェーホフの櫻の園が上演されることが伝統になっている。
その他キーワード
櫻の園 (さくらのその)
『櫻の園』で桜華学園の演劇部によって上演される舞台演目。ロシアのチェーホフ原作。女地主ラネフスカヤ夫人とその娘アーニャ、ラネフスカヤ夫人の召使いヤーシャ、ヤーシャに惚れ込む小間使いのドゥニャーシャなどが登場し、ラネフスカヤ夫人が所有する桜の園をめぐって右往左往する没落したロシア貴族の姿を描く。