武侠さるかに合戦

武侠さるかに合戦

古民話「さるかに合戦」をアレンジし、武狭バトルに仕立て上げた漫画。日本のさるかに合戦だけではなく、中国の少数民族の間に伝わる「ひよこの仇討ち」という類話も参考にされている。

正式名称
武侠さるかに合戦
ふりがな
ぶきょうさるかにがっせん
作者
ジャンル
神話・伝承
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概要・あらすじ

ある日、カニ姉が拾ったおむすびをサルの御曹司らに奪われてしまう。それを奪い返そうとしたカニ母が死闘の中で命を落としたことから、カニ一家とそれに味方する者たち、そしてサル一党とその用心棒たちの血で血を洗う抗争が幕を開けることになる。戦いは凄惨を極め、多くの者たちが命を落としていくが、やがてカニ姉はついに敵の本拠であるサル山の奥深くに攻め入り、カニ母の仇である御曹司の前に立つことになる。

登場人物・キャラクター

カニ姉 (かにあね)

カニ一家の娘。両手だけがカニのはさみになっている人間の若い娘のような姿だが、カニ母のような巨大なカニの姿になることもできる。おむすびを拾ったが、それをサルの御曹司らに奪われてしまい、これによりサルとカニの争いが幕を開けることとなる。さほどの戦闘能力はないが、果敢に敵に立ち向かっていく勇気の持ち主。

カニ弟 (かにおとうと)

カニ姉の弟。手だけがカニのはさみになっている人間の少年のような姿をしている。ネガティブな性格で、何かにつけて墓穴を掘ってしまう癖がある。臼と意気投合し、臼と杵が本気を出して戦うのに必要な、餅をつく役回りを担うようになる。

カニ母 (かにはは)

カニ姉とカニ弟の母親。子供たちとは違い、巨大なカニの姿をしている。戦闘能力が高く、娘時代にはある道士に師事していたことで、蟹光線などいくつかの術を使うことができる。だが、サルたちの用心棒である針の刺突を受けて深手を負わされ、自ら放った蟹光線の炎にまかれて命を落とす。

御曹司 (おんぞうし)

サル山のサルたちの中で、指導的な地位にある若いオスザル。腕力に物を言わせるよりも、悪知恵を働かせることを得意としている。カニ一家からおむすびを奪った後にカキの種を渡したが、カキの木が実を付けるとそのカキの実も奪っていった。猿の大旦那に対してはまったく頭が上がらない。外見は二足歩行のサル。

猿の大旦那 (さるのおおだんな)

サル山の支配者である老いたオスザル。小柄で一見弱々しそうだが、実は猿太極拳という武芸を極めたサル山で最強のサルである。しかも、御曹司以上に悪知恵が働き、和平の場に招いた栗の大親分に棒を刺客として差し向け暗殺を謀るなど、やることがえげつない。外見は二足歩行のサル。

二娘 (じじょう)

行き倒れになりかけていたところをたまたまカニ弟に救われ、その恩義からカニ一家に助力することになった、若いハチの娘。カニ姉などからは「ハチさん」と呼ばれているが、あくまでハチは種族名であって個人名は「二娘」。また、働きバチではなく女王バチ候補なのだが、女王の座を巡っての姉の一娘との争いを憂えて旅に出た。 カニ一家にとっては最初の仲間である。外見は人間とさほど変わらない。

栗の大親分 (くりのおおおやぶん)

栗山を縄張りとしている、大物の侠客の巨大な栗。栗の頭に人間の身体と手足が生えたような姿をしている。戦闘能力は高く、長く生きているために知識も豊富。当初は友好関係にある猿の大旦那と事を構えることを嫌ったが、カニ弟が自分のペットのどんぐりを助けてくれたことから、カニ一家に助力するようになる。

(きね)

餅をつくための道具である杵。時おり、衝動にかられて見境なくあちこちのものをつき始めるという非常に困った癖の持ち主。サルたちが募集していた用心棒に応募するべくサル山を訪れたところ、錯乱して大暴れし、投獄されていた。偶然、サル山に捕まった二娘と知り合い、一緒に脱獄してそのままカニ一家の味方となる。全体のフォルムは人間に近く衣服をまとっているが、頭部と両手が杵になっている。

(うす)

餅をつくための道具である臼。かつては殿様に献上する餅をつくのに使われるような良い臼だったが、ある日彼を妬んだ人間に糞尿を浴びせられ、持ち主から捨てられ落ちぶれた身となっていた。サル側の用心棒の1人である縄によって戯れに拉致されていたが、そこから救出され、カニ一家の味方となる。胴体の部分に顔があり、手足の生えた臼の姿をしている。

牛の糞 (うしのふん)

巨人のような姿をしているが、その正体は牛の糞。そのため、自分は誰からも忌み嫌われる存在であると考えていたが、臼に「肥料になればよい」と励まされて感銘を受ける。その後、サルとカニの合戦が大詰めを迎えた時に臼の味方として現れ、カニ一家に加勢した。

(はり)

サル山で用心棒をしている。武芸の達人であり、二娘の師匠でもある。強い敵と戦うことに喜びを感じるタイプ。手に太く長い針を持って戦う。手足があり人間と同じような服を着ているが、胴体から上の部分は巨大な針そのもの。

(ぼう)

サル山で用心棒をしている。実力者だが、自分は名もなき雑木だ、と自らを嘲り、ゆえに卑怯な手を使うことを厭わない無頼漢。人間に近いフォルムで衣服をまとっているが、全身が木でできている。また頭部の部分が外れるようになっており、それを手に持って武器として戦う。

(なわ)

「叔父貴」と呼んで慕っている棒に招かれ、サル山にやって来て3人目の用心棒となる。弱い物いじめが大好き、という困った性格の持ち主。その姿は長い縄そのものだが、先端部分に小さな人間の頭のようなものが付いており、その部分で喋る。

女王 (じょおう)

二娘と一娘の母親。フォルムは人間に近いがとてつもない巨体の持ち主で、かなりの乱暴者。強い者だけが後継者に相応しいと考えており、二娘が旅先でのたれ死んでも、あるいは一娘を倒して次の女王になっても、どちらでも構わないと思っている。棒に不意打ちされて大怪我をした栗の大親分を癒すことのできる、貴重な薬である「ぷろぽりす」を求めて巣に戻って来た二娘に対し、オス五郎とスポーツ競技で争い、勝つことを条件として提示する。

一娘 (いちじょう)

二娘の姉で、女王の座を狙う野心家。しかし、あまりカリスマ性に恵まれておらず、巣内には一娘よりも二娘の支持者の方が多い。二娘と一騎打ちで決着を付けることを望んでいて、旅に出た二娘を連れ戻すべく、生け捕りを条件に十両の賞金をかけている。外見は人間とさほど変わらない。

オス五郎 (おすごろう)

女王の巣に寄宿している、中年のオスバチ。本来、オスのハチは一定の年になったら旅に出るもので、それをしないオス五郎は出来損ないなのだが、戦闘能力は高いということもあって、女王の気まぐれにより巣に留まることを許されている。のちに、二娘に加勢してカニ一家の仲間になる。外見は人間とさほど変わらない。

その他キーワード

おむすび

カニ姉が偶然に拾った、人間が握ったおむすび。御曹司によれば、おむすびは「産霊」もしくは「産巣日」とも書き、握った人間の霊力が宿っていて、食べることで霊力を得て、知能を高めることができるという。これを食べた御曹司は、実際に人間の英知が脳に染みてきた、と語っている。

蟹光線 (かにこうせん)

カニ母が使う、両手の先から業火を放つカニの必殺技。棒や御曹司も知る、有名な技である。腕利きの用心棒である棒も針も、まともに浴びれば燃えたり溶けたりしてしまうため、逃走するしかなかった。しかし扱いが難しく、カニ母自身も自らの炎に巻かれ命を落とすことになった。

猿太極拳 (さるたいきょくけん)

猿の大旦那が使う武術。猿の大旦那は御曹司にこれを伝えるべく武術の秘密稽古を行っていたが、それを二娘が盗み見て、自分の技術として身に着けた。二娘はこの猿太極拳を得たことで、自らの師である針との最後の死闘に勝利する。

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