概要・あらすじ
小田原で桃源霊障相談所を開設し、依頼者、あるいは陰陽師の元締め的な存在である傍箕家より依頼を受けている桃源津那美。彼に持ち込まれた、鬼がかかわるふたつの事件を描いた短編連作。女子高生相原悠美の依頼により吸血鬼魔王ドラキュラ伯爵と戦う第1の物語、および、高校に封じられた鬼との戦いを描く第2の物語からなる。
登場人物・キャラクター
桃源 津那美 (とうげん つなみ)
黒のロングコートを着た長身の男性。アルビノのため髪も肌も白い。女性に間違われるほどの美貌の持ち主。また、陽光の下でも影が非常に薄い。桃源霊障相談所(所在地は小田原)の所長。依頼者より霊障の相談を受け、これを解決することを生業とする。外見は10代後半~20代前半だが、実際の年齢は81歳と、見た目と実年齢が乖離している。 火種と呼ばれる起爆能力、および炎を自在に操る能力を持つ。専門は鬼退治で傍箕家より鬼族退治に関する全権を委任されている。源氏の血を引くとされ、津那美の「ツナ」は渡辺綱(わたなべのつな)の名に由来する。同作者の『支配者の黄昏』にも登場する。
前田 洸 (まえだ こう)
調査などで桃源津那美のアシスタントをする男性。強靱な肉体と徒手での戦闘能力を有しており、その力はプロレスラー2人を30秒で再起不能にするほどである。誰に対しても不遜な態度を取るが、剛胆で陽性な性格のため津那美など、仲間からは受け入れられている。調査のために月刊プロトコイル編集部のルポライターを名乗ることもある。
真言 繰美 (しんごん くるみ)
眼鏡をかけた20代の女性。桃源津那美の秘書として桃源霊障相談所の電話対応、事件の調査、依頼者の保護などを行う。津那美の娘で、ふたりきりのときは津那美のことをパパと呼ぶ。
傍箕 綾之助 (わきみ あやのすけ)
陰陽師や霊や妖怪に関する事件を司る傍箕家現当主。眼鏡をかけた20代の男性。桃源津那美の要請に応え、鬼退治のために必要な道具や力を貸す。強度のネクロフィリアで、婚姻を結んだ相手は1週間程度で自殺することになる。津那美の美貌を気に入っている。
魔王ドラキュラ伯爵 (まおうどらきゅらはくしゃく)
『火閻魔人』に登場するキャラクター。2020歳になるという吸血鬼。吸血された者は5日後、吸血鬼となる。相原悠美を間に桃源津那美を知り、津那美に興味を持つ。「闇の支配者」とのことだが、詳細は不明。
座幻鬼 (ざげんき)
『火閻魔人』に登場するキャラクター。魔王ドラキュラ伯爵の手下。剃髪した男性として描かれるが、名前が表すとおり一角を持つ鬼である。鬼人と蔑まれると逆上する。鬼火を操る能力を持つ。
相原 悠美 (あいはら ゆみ)
魔王ドラキュラ伯爵の配下の人狼に父親を殺され、桃源津那美に助けを求めた女子高生。魔王ドラキュラ伯爵に吸血されてしまったことで、吸血鬼になりつつある。
忌弥童子 (いまわみどうじ)
『火閻魔人』に登場するキャラクター。柄波高等学校にある結界に封じ込められていた鬼。56年前、桃源津那美に滅ぼされ、黄泉の国に落ちていたが、21年前に現世に復活。津那美に復讐するべく力を蓄えていた。餓飢鬼業廉無や餓鬼人形といった妖術を使う。
大沢 (おおさわ)
柄波高等学校の校長を勤める男性。柄波高等学校には鬼が封印された結界が存在するが、この封印のために、「5年に1度3人の男子生徒と1人の女子生徒を犠牲(いけにえ)として結界内に入らせること」と先代の校長より聞かされており、これを実行していた。しかし、教頭が惨殺される事件が発生。 傍箕家に連絡したことで桃源津那美が同校に派遣される。娘である大沢和美も、柄波高等学校に通っている。
長谷川 洋子 (はせがわ ようこ)
柄波高等学校教頭の娘。父親が鬼に喰い殺される現場を視てしまったが、誰もこれを信じてはくれず、精神に異常をきたしたと思われ、入院させられている。
明怜依 (あれい)
傍箕の壺と呼ばれる、鬼を封じ込める壺を作ることが出来る盲目の麗人。左目の下に泣きぼくろがある。壺が必要とされる時を察し、前もって製作に入ることが出来る。
集団・組織
傍箕家 (わきみけ)
『火閻魔人』に登場する一族。日本の陰陽師および霊や妖怪等がかかわる事件の全てを司り、政界とも関わりが深いようだが、詳細は不明。現当主は傍箕綾之助。
その他キーワード
傍箕の壺 (わきみのつぼ)
半径一里以内で滅びた鬼は永遠にその中に封じられるという壺。大量虐殺をした鬼にのみ使用が許されるとされていたが、桃源津那美が鬼退治を担当するようになってからは、津那美の威厳と伝説を守るためにも使用されるようになる。