概要・あらすじ
タイ内務省警察局中央犯罪捜査部(CSD)の第7課、通称・犯罪制圧特課のボスであるワッサン大佐は、買収には応じず、正義を追及するエリート刑事。プライベートでは日本人の美人妻と過ごし、美味しいタイ料理を愛する女性好きなオヤジだった。ある日、港に日本人のヤクザとタイ人の売春婦の遺体が上がる。この殺人事件の裏には、取引価格4億バーツ(約17億円)ものヘロインが絡んでいる、という匿名の投書を受け取っていたワッサンは、事件の調査に乗り出す。
マイペンライ(のんびりいこうぜ)の精神で調査を進めるワッサンだったが、事件の裏には軍上層部が絡んでいることを知る。ワッサンは、渡りきれるか溺れ死ぬか、自分は大河(チャオプラヤー)に落ちた犬だと覚悟を決め、真相究明のために奔走する。
登場人物・キャラクター
ワッサン
タイ人の中年男性。年齢は38歳。タイ内務省警察局中央犯罪捜査部(CSD)の第7課(通称・犯罪制圧特課)のボスで大佐。チェンマイのスラム出身ながらも名門大学を卒業し、日夜タイ全土で起こる凶悪犯罪と戦うエリート刑事。日本に留学していたことがあり、日本語が堪能。偽名を使う時は、「ヨッシー吉川」と名乗る。汚職がはびこるタイ警察内において、まったく買収されることなく職務をまっとうする姿は、部下からも尊敬されている。 とはいえ、堅物なわけではなく、女と食い物が好きな気さくな人物。
ミーシュ
アカ族出身のタイ人少女。年齢は16歳。ワッサンが摘発した売春宿で働いていた。店にいた40人の女の子のうち39人がエイズに感染しており、唯一感染していなかった。殺されたアマとは幼なじみ。
内田 譲二 (うちだ じょうじ)
タイで死体となって発見された日本人のヤクザ。年齢は45歳の男性。広域暴力団M会系内田組組長。タイ入国は12回目で、日本へのヘロイン密輸容疑により、タイ警察が内偵調査中だった。遺体は全裸で、片手をアマの遺体と針金でつながれていた。数か所に46口径の銃弾を受けて絶命後、顔面をひどくつぶされている。
アマ
チェンライ県メートー村の少数民族アカ族の出身のタイ人少女。年齢は17歳。内田譲二と一緒に死体で発見された内田に身請けされるまでは、ヤワラーの新天澄という売春宿で働いていた。遺体の状況は内田と同じ。
キョウコ
ワッサンの妻で、日本人。黒髪のショートカットにメガネをかけた知的な美人。ワッサンとの間にマリカという娘がいる。事件の調査にあたってキョウコの身にも危険が及ぶかもしれないからと、日本へ一時的に帰るようワッサンに言われるが、拒否する肝の座ったところがある。しかし、ワッサンの車が爆破されるのを目にし、娘を連れて友人の家へ身を寄せるよう考えを改めた。
荻原 (おぎわら)
ワッサンが日本に留学していた時の大学の先輩。学生時代は柔道でオリンピックに出場し、金メダルを獲ることを目標としており、ワッサンにも柔道を指導していた。タイ米の視察のためにタイを訪れ、19年ぶりにワッサンと再会する。いまでは頭も薄くなり、すっかりオッサンになっている。
アンチャリー
NGOに所属するタイ人の女性。ミャンマー国境付近の森林乱伐問題を調査するために、ワッサンに協力を求める。森林乱伐にはタイの軍上層部が絡んでおり、命の危険を感じながらも、問題追及をやめようとしない勇気を持つ。菜食主義。
チャラライ
ワッサンの幼なじみの女性。ワッサンと同じスラム出身で、痩せこけた少女だった。食べ物屋の屋台で成功し、いまでは自分のレストランを持つほどになっている。すっかり巨乳の魅力的な女性に成長し、偶然ワッサンと再会する。「ワッサン兄ちゃん」と呼び、ワッサンが初恋の相手だった。ムエタイ好き。
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