あらすじ
第1巻
東京生まれ東京育ちの都飯美は、新卒で青森にある青森○×新聞社に入社した。右も左もわからない青森での暮らしにとまどい、先輩社員の津軽の濃ゆくて難解な津軽弁に翻弄されつつも、飯美は津軽の指導と、青森のグルメや自然、温かい人柄に感動し、青森のよさを体感していく。そんなある日の昼食、何か青森らしいものが食べたいと考えていた飯美に津軽が差し出したのは、取材先の土産として買ってきた津軽名物「いがメンチ」。ちょっと苦手なイカが食材ということで、身構える飯美だったが、食べてみると思っていた食感と違っていて、そのおいしさを堪能する。しかし、ふと考えてみると、特に鮮度を必要としないこの料理を青森でわざわざ食べる必要があるのかと、疑問に思ってしまう。そんな飯美を見て、津軽が次に差し出したのは、鯵ヶ沢産のいがメンチだった。津軽に勧められるままに食べた飯美は、その明らかな違いに驚愕する。そして、これこそがいがメンチを青森の地で食べる理由であると感動し、青森の魅力にどんどんはまっていく。(第1話「いがメンチ」。ほか、17エピソード収録)
第2巻
青森にある青森○×新聞社に勤めている都飯美は、先輩の津軽と共にイルミネーションでにぎわう弘前を訪れた。冬の弘前の町を取材する目的だったが、なりゆきで観光協会の人たちが行う町の除雪作業を手伝うことになった。観光客が歩きやすいように歩道の雪をきれいに除雪し終え、ひとしきり汗をかいたところで、飯美と津軽は観光協会の方からお昼ごはんを御馳走になる。塩気のあるものが食べたいという飯美のリクエストに応え、津軽が提案したのはラーメンだった。青森ならではのお薦めのラーメンがあると、津軽が連れて行ったのは煮干しラーメンのお店。実はラーメンの大好きな飯美だったが、唯一煮干しを使ったスープだけは苦手としていた。煮干しのえぐ味に苦手意識があり、気が進まないながらも、目の前に置かれたラーメンのいい香りに誘われ、恐る恐るスープに口を付けると、想像していたものと違って濃厚なうま味に驚く。すっかり煮干しの虜になってしまった飯美は、煮干しが体に染み渡るのを感じつつ、午後も雪かきに励む。(第19話「煮干しラーメン」。ほか、17エピソード収録)
登場人物・キャラクター
都 飯美 (みやこ めしみ)
東京生まれ、東京育ちの女性。大学卒業後、たまたま受けた青森の青森○×新聞社に新卒で入社することになった。現在は本社勤務の青森で暮らしているが、まだ青森になじむことができず、特に難解な方言に悪戦苦闘の日々を送っている。また、青森のグルメに関しては、興味はあるがまだよく知らず、それに加えて懐疑的。会社の先輩である津軽や、同期の八戸雪から勧められ、少しずつ青森グルメの素晴らしさを知っていく。仕事に関しても、まだまだ勉強の余地ありで取材一つとっても、満足にできていない。しかし津軽からの優しいフォローを受けつつ、めきめきと実力をつけて成長中。子供の頃にイカの寿司を食べてのどに詰まらせて以来、イカには少々苦手意識を持っている。高校時代は陸上部に所属していたが、最近はすっかり体力が落ちている。
津軽 (つがる)
青森在住の女性。都飯美が入社した青森○×新聞社の本社に勤める先輩で、強烈な津軽弁を話すため、話している内容を理解するのはかなり難しい。地元を離れて、青森でがんばっている東京人の飯美に青森のよさを教えようと、さまざまな食べ物を紹介する。髪型はいつもお団子に丸めたひっつめ頭で、非常に小柄な体型をしている。極限までお腹がすくと、意識をなくしてどんどんしぼんでいくが、回復するには青森のグルメが必要。父親は早くに病気で亡くし、母親は家計を支えるべく寮完備の都会の工場に勤めているため、離れて暮らしている。時には女子高校生になったり、時にはカニ売りのおじさんになったり、時には太宰治になったりと、謎の変身スキルを持っている。
八戸 雪 (はちのへ ゆき)
青森の八戸出身の女性。ぱっつん前髪のロングヘアで、かなりの巨乳の持ち主。青森○×新聞社では、都飯美と同期入社のために仲がいい。南部地域の郷土料理に詳しく、飯美に郷土料理を解説する場合には、津軽に負けじと声高になることが多い。好きな男性がいたが、スレンダーな女性が好きと言われて失恋した。それをきっかけに、ダイエットを試みるものの体調を崩して断念した。しかし美形なため、出先では男性に声を掛けられることが多くあり、結構モテるタイプ。仕事では、たまたま事件現場に遭遇し、スクープを取ったために新人賞を受賞したことがある。のちに八戸支社へ異動となり、八戸市に引っ越すことになる。
下北 海 (しもきた うみ)
下北半島にある、青森○×新聞社のむつ支局に勤めている女性。入社後、すぐに自分の地元だったむつ支局に配属された。上司は配属直後に仕事を教えてもらってからは、月に一度しか訪れないため、基本的に一人で支社を任され、仕事をしている。ツインテールの髪型で、人当たりが少々キツめ。都飯美があいさつ回りのためにむつ支局を訪れた際には、きつく当たりながらも、心の底ではかなりの歓迎モードだった。いつも一人で仕事をしているため、話し相手や食事をする相手がいることに喜びを感じているが、素直ではない性格から、うまく表現できない。その様子は子供っぽく、わがままな男の子のよう。
ばっちゃ
津軽の祖母で、青森の十三湖付近に住んでいる。和装のひっつめ髪で、サイズ感や顔立ちも津軽とよく似ており、当初は都飯美から津軽が老婆に変装しているとカンちがいされたほど。津軽が学生の頃は、出稼ぎに行った母親に代わって津軽と生活を共にして、何かと面倒を見ていた。何かにつけて津軽弁由来の「ろぉ~」と言うのが口癖。
かっちゃ
津軽の母親。夫を早くに病気で亡くしたため、当時まだ学生だった津軽をばっちゃに託し、家計を支えるために寮完備の都会の工場へ出稼ぎに出ている。時折青森に帰って来ては、思春期真っただ中の津軽のわがままを聞き、母親としてやれることをこなし、また仕事に戻ることを繰り返していた。
東北院 富腹 (とうほくいん とみはら)
東北ゴージャス新聞社に勤める女性。八戸地方の郷土芸能「八戸えんぶり」を取材に訪れた際、青森○×新聞社の都飯美と津軽と出会った。東北六県で一番売れている新聞会社のため、勝ち誇ったような態度と、他社の記者をバカにするような傲慢な態度を取った。名前だけでなく容姿もかなりゴージャスで、縦ロールのロングヘアに特徴的な尖った前髪をしている。
少年 (しょうねん)
むつ市にある大湊基地にいた少年。35年ぶりに新しい護衛艦が配置されるということで、息子に着艦式を見せたい一心の父親に連れられてやって来た。しかし、到着した時にはすべてのイベントが終わったあとで、何もなくなった港で取材終わりの都飯美と津軽と知り合った。その際、見逃してしまった着艦式の写真を見せてくれるという飯美らといっしょに、海自カレーを食べに行くことになった。将来は海上自衛官になって、艦艇で働きたいという夢を持っている。
南部 (なんぶ)
八戸にある、青森○×新聞社の八戸支局に勤めている女性。津軽とはライバル関係にある。南部地域の地元愛が強く、津軽愛の強い津軽とは何かとケンカになってしまう。キャップをかぶり、漢字の「尺」の字の形をした特徴的なまゆげがチャームポイント。
下北 大地 (しもきた だいち)
下北海の兄。むつ市で行われる下北半島最大の祭り「田名部まつり」に兄妹で参加した際、取材にやって来た都飯美と津軽と知り合う。