概要・あらすじ
海辺の町に住むファッションデザイナーの佐野は、森展子と出会う。お互い一人暮らしでしばしば会うようになった二人は、それぞれの過去を話し出す。母に愛されていないという気持ちを抱えていた森展子は、佐野のアドバイスをもらいながら、ある決意して母の元を訪ねる。こうした日々を重ねるうちに森展子は佐野に対する愛情が募るようになる。
登場人物・キャラクター
森 展子 (もり のぶこ)
『海辺のカイン』の主人公の1人。肩まで伸ばした黒髪の女性。下宿先を探しに海辺の町の海岸沿いに来た際、佐野と出会う。学校を卒業したが定職に就かず、都心で深夜喫茶の歌手などのアルバイトをしている。幼い頃から母親とうまく行かず、女らしさに屈折した思いを抱いている。
佐野 (さの)
『海辺のカイン』の主人公の1人。ウェーブのかかった髪の女性。海辺の町に住む。ファッションデザイナーで、森展子よりは年上。森展子より約1ヶ月早く引っ越してきた。両親を早くに亡くし、兄弟と共に親戚の家で育つ。公園で森展子に声を掛け、家に誘う。
大谷 (おおたに)
ボブヘアーの女性。重要な賞をいくつも受賞したファッションデザイナー。佐野が出展し、森展子が訪れた展示会では人々の人気をさらっていた。
佐野の友人 (さののゆうじん)
口髭を生やした男性。佐野が自宅で開いたパーティーに訪れ、森展子と佐野の前で、体温計で体温を測り出す。
居酒屋のおかみさん (いざかやのおかみさん)
和服姿の女性。佐野が行きつけの居酒屋のおかみさん。猥談じみた話をする。
居酒屋の主人 (いざかやのしゅじん)
頭頂部が禿げ、髭を生やした眼鏡をかけた男性。佐野が行きつけの居酒屋の主人。
すぐ上の姉 (すぐうえのあね)
森展子のすぐ上の姉。幼い頃、妹である森展子をよくからかっていた。
一番上の姉 (いちばんうえのあね)
森展子の1番上の姉。実家で、子供達、森展子の母と共に住んでいる。
次女の姉 (じじょのあね)
森展子の二番目の姉。森展子が小学校の高学年の頃、長い入院生活を送った。
森展子の母 (もりのぶこのはは)
森展子の母親。森展子にとっては、良い思い出が少ない。久しぶりに訪ねて来た森展子を見て涙を流す。
佐野のおじ (さののおじ)
かつて仕事に行き詰まりを感じていた佐野に男性を紹介する。
佐野 努 (さの つとむ)
佐野の兄。森展子との会話の中に登場する。
カイン
『海辺のカイン』に登場する伝説の人物。旧約聖書に登場する兄弟の兄。親をめぐる兄弟の葛藤の象徴。
場所
海辺の町 (うみべのまち)
『海辺のカイン』に登場する町。森展子と佐野が住むようになった町。海から離れる程家賃は安くなるため、定職のない森展子は山側に住む。