火の鳥 未来編

火の鳥 未来編

火の鳥に永遠の命を与えられた山之辺マサトは、核戦争で滅び去った地球で、再び生物が海から誕生し進化していくのを見守る存在になる。円環構造をなす火の鳥シリーズの時間的な末尾にあたり『火の鳥 黎明編』へと回帰するスケールの大きなSF作品。

正式名称
火の鳥 未来編
ふりがな
ひのとり みらいへん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
怪談・伝奇
レーベル
その他(小学館クリエイティブ)
巻数
既刊2巻
関連商品
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概要・あらすじ

西暦3404年、地球は急速に死にかかっていた。人々は荒れ果てた地上に別れを告げ、地下都市永遠の都を世界五カ所につくり電子頭脳の指令に基づいた暮らしをしていた。人類戦士山之辺マサトは、タマミと暮らしていたが、彼女は人間を堕落させる者としてすべて処分されたはずの不定形生物ムーピーであった。

タマミを殺せというロックの命令に逆らいタマミをつれて地上へ逃げた山之辺マサトは、猿田博士と出会う。一方、五つの永遠の都は、電子頭脳同士の対立から核戦争を起こしてすべてが消滅してしまう。わずかに残った人類である山之辺マサトの前に火の鳥が現れ、新たな人類が生まれるまで見守るという使命を与えて彼に永遠の命を授ける。

彼は肉体が滅びても、宇宙生命(コスモゾーン)として存在し続け、生命が海から再び誕生し進化していく様を見ていくことになる。

登場人物・キャラクター

山之辺 マサト (やまのべ まさと)

ヤマトの人類戦士。階級は二級宙士。ひそかに、人間の女タマミに化けたムーピーを飼っている。タマミを殺せというロックの命令に逆らいタマミをつれて逃げる。核戦争で地下都市のすべてが滅ぶと、山之辺マサトの前に火の鳥が現れ、新たな人類が生まれるまで見守るという使命を与えて彼に永遠の命を授ける。 彼は肉体がほろびても、宇宙生命(コスモゾーン)として存在し続け、繰り返される生命進化のドラマを見守る。永劫の月日の後、火の鳥が再び現れ、彼も火の鳥という宇宙生命(コスモゾーン)の集合体の一部となる。

タマミ

人間の女に化け、山之辺マサトに飼われている不定形生物ムーピー。猿田博士のために、強い生命力を持つ自分の体を研究に差し出す。人間の姿をうしなってもムーピーとして500年の寿命を全うする。

猿田博士 (さるたはかせ)

160歳。星から星へと遍歴し、あらゆる型の宇宙生命(コスモゾーン)を研究した後、地球に戻ると、地下都市での生活を嫌って地上のドームに残り、人工細胞から進化させた動物や人間を育てる研究をしている。それらの生物は未完成で人工羊水から出たとたんに崩壊してしまう。天才的な頭脳を持ちながら、巨大な鼻と醜い顔のために女性がよりつかず孤独に生きている。

ロック

人類戦士。階級は一級宙士。ハレルヤに選ばれた精子と卵子によってチューブから生まれる。山之辺マサトと同期だが出世が早かった。核爆発ですべての地下都市が滅びる間際に地上へ逃げ出し、猿田博士のドームにたどり着くが、地震で損傷したドームに放射能が入り込んだため、死を覚悟して外の世界で最後を迎える。

ブラドベリイ

猿田博士が人工細胞で作り出した人間。読書好きでゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読む。人工羊水の筒の中で生きることに飽き、博士に懇願して外へと出るが、そのとたん崩壊してしまう。

モニタ少佐 (もにたしょうさ)

レングード最高司令官。電子頭脳ダニューバーの計算を絶対であるとし、ヤマトから脱走した山之辺マサトの引き渡しを拒む。

火の鳥 (ひのとり)

『火の鳥 未来編』の登場する不死鳥。人工細胞から生物を作り出そうとする研究に行き詰まった猿田博士の前に現れる。太陽や、惑星も生きており、宇宙生命(コスモゾーン)であり、自分は地球の分身であると告げる。山之辺マサトの前に現れ、新たな人類が生まれるまで見守るという使命を与えて彼に永遠の命を授ける。

ムーピー

『火の鳥 未来編』に登場する生物。シリウス12番星から地球に連れてこられた不定形生物。あるものはムク犬、あるものは熱帯魚、あるいは美しい花となって人間以外の生物を喪った社会でペットとしてかわいがられて繁殖した。しかし、人間の脳細胞を超音波でくすぐり、見たい夢を見させる力を持っており、それはムーピー・ゲームと呼ばれ、人間を堕落させるとされたため、すべてのムーピーが処分されることとなった。

ロビタ

『火の鳥 未来編』の登場するロボット。猿田博士に60年仕えている助手ロボット。猿田博士のことを知り尽くして、その孤独を慰める。ロックに破壊される。

永遠の都

ユーオーク、ピンキング、レングード、ルマルエーズ、ヤマトの五つがある。それぞれ、500万人が暮らし、おのおの電子頭脳によって統御されている地下都市群。

宇宙生命 (うちゅうせいめい)

『火の鳥 未来編』に登場する概念。猿田博士の前に現れた火の鳥が心の声で語りかけた概念。それは、太陽や、惑星も生き物と見なす。世界いたるところに、形も大きさも色も重さもない宇宙生命(コスモゾーン)が飛び回り、それが物質に入り込むことでその物質がはじめて「生き」てくるというもの。

その他キーワード

ハレルヤ

『火の鳥 未来編』に登場する機械。永遠の都ヤマトを統御する電子頭脳。個人の恋愛まで統制する。レングードの電子頭脳ダニューバーと意見を対立させレングードを破壊するように指令を出す。

ダニューバー

『火の鳥 未来編』に登場する機械。永遠の都レングードを統御する電子頭脳。その存在に敬意を表し「聖母機械」と呼ばれる。

ムーピー・ゲーム

『火の鳥 未来編』に登場する仮想現実。シリウス12番星から地球に連れてこられた不定形生物ムーピーは、人間の脳細胞を超音波でくすぐり、見たい夢を見させる力を持っており、ムーピーよってもたらされる夢の世界で遊ぶことをムーピー・ゲームとよび、人類を堕落させるとしてムーピー狩りの原因となった。

関連

火の鳥 (ひのとり)

火の鳥と呼ばれる超生命体が見守る古代から超未来にわたる人類の叙事詩。 関連ページ:火の鳥

書誌情報

火の鳥 未来編 2巻 小学館クリエイティブ〈その他〉

第2巻

(2013-12-20発行、 978-4778032623)

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