灰色の陰陽師

灰色の陰陽師

猫野八置の初連載作品。舞台は「暮明(くらがり)」と呼ばれる人食いの化物が跋扈(ばっこ)する、現代日本に酷似した世界。公安「陰陽寮」に所属する陰陽師の物真鯖虎は、家族のように育ったペンギン型の暮明、きゅえと合体したことをきっかけに、陰陽師たちから追われる身となる。ヒト型の暮明で構成された組織「黎明」の仲間たちと共に生活する中で、人間と暮明の関係を変えるために自らを犠牲にした戦いに身を投じていく姿を描いたバトルアクション。秋田書店「週刊少年チャンピオン」2023年53号から2024年52号まで連載。

正式名称
灰色の陰陽師
ふりがな
はいいろのおんみょうじ
作者
ジャンル
バトル
 
異能力・超能力
レーベル
少年チャンピオン・コミックス(秋田書店)
巻数
全5巻完結
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暮明は人間になるために人間を食う

本作の世界では、「暮明」は人間を食べる危険な化け物として広く知られている。しかし、鯖虎と共に暮らす暮明のきゅえは、人間を食べずに生きていた。その理由について、ヒト型の暮明で構成された組織「黎明」のリーダー、崇祐は、「暮明が人間を食べるのは人間になるためだ」と語る。崇祐自身は人間の陰陽師だが、人間となった暮明のハルと恋に落ち、駆け落ちして半人半暮明の娘、アイをもうけた過去があった。この一連の出来事で、鯖虎は人間と暮明の違いについて深く考えるようになる。

人間への不信と暮明への複雑な感情

特等級暮明として指名手配された鯖虎は、人間から追われる身となった。鯖虎は暮明という理由だけで無差別に命を狙われ、時には卑劣な罠を仕掛ける人間たちを許せずにいた。一方で、黎明が人間を食べることを受け入れられず、その狭間で苦悩していた。しかし、命を冒涜するかのような陰陽寮の非道な行為を目の当たりにし、彼の心に変化が訪れる。鯖虎は黎明のメンバーを仲間として信頼する一方で、「殺す覚悟で向かってくる人間なら殺しても問題ない」という危うい考えに傾いていく。

陰陽寮と封印された災厄龍との因縁

鯖虎の両親は、かつて伝説の暮明につながる2体の暮明を封印することに成功するが、「術者がいなければ封印は解けない」という理由から、味方であるはずの陰陽師によって殺害されてしまう。陰陽寮は、その封印された「災厄龍」の復活を何よりも恐れており、封印解除の鍵となる可能性を秘めた鯖虎を危険視し、彼の命を狙うようになる。自分たちの都合で両親を殺し、今度は自分も殺そうとする陰陽寮に対して、鯖虎は憎悪を募らせ、敵対するようになる。厄災龍と、その厄災龍につながる2体の暮明の正体、そして鯖虎がこの因縁にどのようにかかわっていくのかが、物語の核心を成す大きな見どころとなっている。

登場人物・キャラクター

物真 鯖虎 (ものま さばとら)

公安「陰陽寮」に所属する、第二級陰陽師の少年。年齢は16歳。両親も陰陽師だったが暮明に殺され、現在はペンギン型の暮明、きゅえと共に生活している。しかし、監査官の瀬戸佳音にきゅえを匿っていることを見抜かれ、襲撃を受けるも、きゅえと合体し「灰色の陰陽師」と呼ばれる姿になった。そのため、陰陽寮から特等級暮明として指名手配されることになる。争いを好まないものの、自分の実力や状況を的確に見極め、最善の選択をする冷静さを持っている。また、異常なまでの自己犠牲精神も兼ね備えている。陰陽寮の五人の実力者「五芒星」の一人である茜刀悟とは旧友であり、彼を兄のように慕っていた。

(ばく)

「黎明」に所属する少女型の暮明。黒髪のストレートヘアにしている。全裸にオーバーサイズのTシャツを着ている。以前から鯖虎に注目しており、彼を黎明に勧誘した。その際、鯖虎の子種が欲しいとも語っている。黎明のメンバーは全員、悪人しか食べないと誓っているが、獏だけはつねに獰猛な気配を漂わせており、人間の善悪にかかわらず食べてしまいそうな危うさを秘めている。しかし、鯖虎と共に生活するうちに、獏にも人間に近い感情が芽生え始めていく。体中のどこにでも口を生やし、どんな物でも食べることから、「悪食」とも呼ばれている。

書誌情報

灰色の陰陽師 全5巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉

第1巻

(2024-05-08発行、978-4253285513)

第2巻

(2024-07-08発行、978-4253285520)

第3巻

(2024-09-06発行、978-4253285537)

第4巻

(2024-11-08発行、978-4253285544)

第5巻

(2025-01-08発行、978-4253285551)

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