王様ゲーム

王様ゲーム

金沢伸明の小説『王様ゲーム』のコミカライズ作品。「王様ゲーム」に巻き込まれた金沢伸明をはじめとする少年少女たちの、命懸けの戦いと惨劇を描いたサバイバルホラー。「E★エブリスタプレミアム」で配信された作品で、2011年1月に双葉社よりコミックスが発売された。2011年12月に原作小説版が実写映画化。2017年8月にテレビアニメ化。

正式名称
王様ゲーム
ふりがな
おうさまげーむ
原作者
金沢 伸明
作画
ジャンル
ホラー
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

王様ゲーム開始

県立玉岡高校に通う金沢伸明のクラスメートたちに、「王様」を名乗る謎の人物から「王様ゲーム」というメールが届く。不審に思いながらも当初は簡単な命令ばかりだったため、クラスメートたちは面白半分でメールに書かれた命令に従っていた。しかし、3番目の命令が「秀樹が里美の胸を触る」という内容だったため、クラス中の空気が一変する。次の日に里美が学校を休んだことで、この命令に従わなかった秀樹と里美が、翌日に首を吊って自殺してしまう。伸明たちの携帯電話には、「命令に服従しなかったため、二人に罰を与える」というメールが届いていた。王様の正体が明らかにならないまま、クラスメートの死をきっかけに、伸明は王様ゲームが本物のデスゲームではないかと疑い始め、次第にそれは確信に変わっていく。そんな中、次の命令でなかよくなったばかりのクラスメート・田崎大輔が首を吊って死亡することが決まる。落ち込んだ大輔を元気づけ、助けようと奔走した伸明であったが失敗に終わり、大輔は翌日には首を吊って死亡していた。悲しみに暮れる間もなく、伸明は「王様ゲーム」によって大輔が死んだことをクラスメートに告げ、この「王様ゲーム」が本物であり、命令に従わなければ死に直結すると警告する。緊張が走る中で送られてきた次の命令は、親友の橋本直也上田佳奈の人気投票であることがわかり、獲得票数が少ない方が罰を受けるというもので、伸明は直也を救うためにクラスメイトに頼み込んで彼に投票するように懇願する。さらに伸明は、周囲の反対を押し切って今回の投票を取り仕切ることになる。圧倒的に佳奈が有利な中でスタートしたその投票は、伸明の機転によって直也が勝利を収める。しかし、敗北したことにショックを受けた佳奈は、王様の命令で死ぬくらいならと窓から飛び降り自殺を図る。負けた佳奈が王様から下された罰を実行しないまま死亡したため、代わりに直也へ新しい命令が下されることになる。

王様探し

当初は簡単な内容ばかりだった「王様ゲーム」は過激化し、命令に従わないクラスメートたちはなんらかの罰を受け、命令メールの内容もどんどん過激になっていき、生徒たちは精神的に追い詰められていく。王様からの命令に背いた罰として、すでに1年B組の四人が命を落として残り28人となっていた。橋本直也に下された命令は、「10分以内に性交できなければ焼身自殺」という過酷な内容だった。限られた時間と実現不可能な究極の命令の中、金沢伸明は直也の命を守るために、その場に居合わせた本多智恵美といっしょに部屋に閉じ込め、急いで性行為をするように告げる。智恵美の協力もあって断腸の思いで直也の命を守り抜いた伸明だったが、次は平野奈美が「自分で自分に命令を下す」という、いつもとは異なる不可思議な命令を受けていた。そして奈美は、「王様に触る」という命令を自分に下すことで、クラスメートの中に潜んでいると思われる王様の正体をつき止めようとする。以前からクラスメートの中に王様がいると考えていた伸明も、これで「王様ゲーム」を終わらせることができると思っていたが、彼らを襲う恐怖と絶望の連鎖はとどまることを知らなかった。次の日、奈美は予定どおりクラスメートに順番に触っていくが、彼女と伸明の予想は外れ、クラスの中から王様を見つけることができないまま、無情にも彼女のタイムリミットがせまっていた。周囲から責められた奈美は思わず学校を飛び出し、責任を感じた伸明は急いで彼女を追いかける。

大切なもの

命令に背いた罰として、すでに五人が命を落とし、1年B組の生徒は残り27人となっていた。王様からの命令はエスカレートしていき、クラスメートたちは生き残るために憎しみ合い、時には罵り合うことも増えていく。命令をこなせなかった平野奈美は、河原まで追いかけてきた金沢伸明の目の前で、王様からの罰として視力を失ってしまう。だが、間もなく伸明に新たな命令が下され、その内容は「大切なものを一つ失え」という過酷な内容だった。河原で行方不明になった奈美を捜しながら、伸明は必死に命令をこなそうとするが、部屋にある物を壊しても一向に服従確認のメールは来なかった。そんな中で行方知れずとなっていた奈美から電話が入り、伸明に下された命令内容を知っていた彼女は、彼の命を守るために自分が命を絶つと言い出す。奈美を止めるために伸明はある方法で命令を実行し、服従確認のメールを確認したが、時はすでに遅く、彼が駆けつけた頃には奈美は入水自殺を遂げていた。伸明に淡い恋心を抱いていた奈美は、砂浜に伸明へのメッセージを遺していた。悲しみに暮れる伸明は無力さに打ちひしがれながらも必死に「王様ゲーム」の手がかりを見つけようとするが、その行く手を先回りしている人物が手がかりを消していることを知る。その人物が岩村莉愛だと判明し、同時に彼女がすご腕のゲーマーで世界的に有名なハッカー「カミハテ」であったこともわかる。王様を殺すことで、このデスゲームを終わらせようとする莉愛は、まるでゲームを楽しむかのように冷静に分析しつつ、がむしゃらに奔走するだけの伸明をあざ笑うような態度を取る。必要とあらばクラスメートも殺すと言い放った彼女と本格的に対立した伸明は、犠牲者を出さずに一人でも多くの友人を救い、王様に勝つ方法を探すと宣言する。そんな中、伸明は王様の正体をつき止めようとするが、再びエスカレートしていく王様の命令により、クラスメートの命が次々と失われていく。その日の命令内容は「クラス全員 この王様ゲームで不要なことを犯すな」で、その直後には立て続けに罰メールが届く。死んだクラスメートたちが犯した「不要なこと」とは何かを考え、伸明はある一つの答えにたどり着く。

夜鳴村

王様ゲーム」によって18名もの命が奪われたことに悲嘆し、岩村莉愛の行動に翻弄される金沢伸明のもとに、友人の上田陽介を通して驚くべき情報が舞い込む。それは過去に「王様ゲーム」が行われた「夜鳴村」の存在だった。このことを電話で告げた陽介は、これまでに調べ上げた情報を伸明に送信して死亡する。地図からも消された夜鳴村では、32年前に王様ゲームが行われており、村人全員が死亡したという情報だった。伸明は陽介が遺してくれた希少な情報を基に、一人で夜鳴村へ向かうことになる。携帯電話もメールも存在しない時代、当時の王様ゲームは手紙を通して行われていたという推測から村の郵便局へたどり着いた伸明は、何者かが村で起こった事件を調べていた痕跡を発見。それは本多智恵美と同じ苗字の本多奈津子という女性が遺したレポートだった。さらに夜鳴村を調べていた伸明の背後から突然凶器が振り下ろされ、彼は気を失う。伸明を襲ったのは陽介の恋人・丸岡香織で、彼女は陽介の死を隠して一人で行動する伸明に強い疑惑を抱いていた。伸明こそが王様だと思い込んだ香織は、伸明を殺すことで復讐を果たそうとするが、大ケガをしながらも陽介の最期の言葉を伝えることで、彼女の誤解を解くことができた。だが、直後に陽介の死に涙した香織も罰を受けて死亡し、陽介に誓った約束を守れなかった伸明は後悔と罪悪感で、今まで我慢していた涙を流してしまう。涙を流すことが罰に直結することを知っていた伸明は死を覚悟するが、そんな彼の前に再び莉愛が姿を現す。一方、伸明の無事を祈る橋本直也は、伸明が罰を受けたというメールを受け取っていた。

王様ウイルス

次々に1年B組の仲間たちが死亡し、金沢伸明を含めた生存者はわずか10名にまで減っていた。大切な友人を失った悲しみに暮れる間もなく、残りわずかな生徒のあいだで、生き残りを懸けた過酷な最後の戦いが始まろうとしていた。伸明の死を悲しむ橋本直也たちの携帯電話には、新たな命令メールが届く。次の命令はクラスの中から一人がサイコロを振り、サイコロを振った者は出た目の数だけクラスメートを指名するというものだった。しかし、サイコロを振った者にも指名された者にも罰が与えられるため、誰もその命令を実行に移す者はいなかった。直也は伸明が死んだことで絶望する中、自分が本多智恵美だけは守り抜こうと決意するものの、誰もサイコロを振ろうとせずに刻々と時間が過ぎていく。そこで岩村莉愛から呼び出された直也たちは近くのダムに集合すると、クラスメートたちの前に伸明が姿を現す。実は、夜鳴村で伸明が涙を流した頃には命令のタイムリミットが過ぎており、伸明は罰の対象とならなかったのだ。伸明の元気そうな姿を見た直也と智恵美が安堵する間もなく、サイコロの命令を巡ってクラスメートのあいだで仲間割れが発生する。狂気と恐怖の中で絶対に死にたくないと言い張る阿部利幸は、智恵美を人質にして生き残ろうとする。そして、サイコロを振ることになった直也だったが、運悪く6の目が出てしまい、絶望と苦悩の中で六人のクラスメートを指名することとなった。卑怯な方法で直也を脅す利幸の凶行を見かねた藤岡俊之は利幸を止め、彼と自分を指名してこの命令を終わらせるように直也に告げる。言われたとおりに指名した直也は、彼の必死の努力で生き残った伸明たちの前で命を落としてしまう。こうして生き残ったのは伸明、智恵美、莉愛の三名だけとなった。ノートパソコンを取り出した莉愛は、夜鳴村での情報と伸明から手に入れた情報を基に、次の0時が来るまでに王様の正体をつき止めようとする。

関連作品

小説

本作『王様ゲーム』は、金沢伸明の小説『王様ゲーム』を原作としている。原作小説版は双葉社「双葉文庫」から刊行されている。

漫画

本作『王様ゲーム』の続編として、栗山廉士の漫画『王様ゲーム 終極』がある。『王様ゲーム 終極』は本作から7か月後に始まった新たな「王様ゲーム」に巻き込まれる金沢伸明たちの戦いを描いたサバイバルホラーで、双葉社「アクションコミックス」から刊行されている。

メディア化

ソーシャルゲーム

2011年11月から、本作『王様ゲーム』の原作小説版『王様ゲーム』のソーシャルゲーム『王様ゲーム』がMobageで配信された。ソーシャルゲーム第2弾の『王様ゲーム -共闘-』が2013年3月からMobageで、同年5 月からmixiで、同年10月からdゲームで、それぞれ配信された。

実写劇場版

2011年12月から、本作『王様ゲーム』の原作小説版『王様ゲーム』の実写劇場版『王様ゲーム』が公開された。監督は鶴田法男が務めている。キャストは、金沢伸明を桜田通が、本多智恵美を熊井友理奈が演じている。

テレビアニメ

2017年8月から、本作『王様ゲーム』と栗山廉士の漫画『王様ゲーム 終極』のTVアニメ版『王様ゲーム The Animation』が、AT-Xほかで放送された。メインストーリーは『王様ゲーム 終極』をベースにしながら、『王様ゲーム』のストーリーを回想シーンとして挿入する型式となっている。監督は佐々木勅嘉、総作画監督はそらもとかん、アニメーション制作はセブンが務めている。キャストは、金沢伸明を宮野真守、本多智恵美をM・A・Oが演じている。

登場人物・キャラクター

金沢 伸明 (かなざわ のぶあき)

県立玉岡高校1年B組に在籍する男子。出席番号は12番。茶髪の短髪で、明るく社交的な性格をしている。正義感が強く、親友の橋本直也をはじめとする友人たちから頼りにされている。音楽が趣味で時折エレキギターを演奏しており、将来はプロのミュージシャンとしてメジャーデビューすることを夢見ている。クラスメートの本多智恵美に好意を抱き、自ら告白して付き合うようになった。当初はほかのクラスメートと同様に、王様から届くメールを小馬鹿にしていたが、クラスメートたちの死を目の当たりにして「王様ゲーム」が本物だと確信し、友人たちの死を止めるために奔走する。「王様ゲーム」序盤で死亡した田崎大輔から貰ったブレスレットを、形見として大切に身につけている。ゲーム中盤で「大切なものを一つ失え」という命令を受け、部屋の物を次々と壊したが命令を実行したことにならず、苦悩の末に智恵美に別れを告げることで命令をクリアして生き残る。この際に「王様ゲーム」が終わったら、智恵美に謝罪して関係を取り戻すことを考えている。王様の正体をつき止めようとする過程で岩村莉愛と対立し、必要とあらばクラスメートも殺すと言う彼女に対抗し、一人でも多くの友人を救って王様に勝つと決意する。あらゆる手段を講じて、友人の死を阻止しようとするもののかえって悪い結果となり、つねに友人の死と「王様ゲーム」の過酷さに苦悩している。それでもあきらめずに王様に抗い、直也、智恵美と共に生き残って平和な日常を取り戻すことを誓っている。また、「王様ゲーム」がイタズラではないとわかったあとは、何かとクラスメートの励ましや説得を試みたり、命令実行の進行を取り仕切ったりと、クラスのリーダーとして活躍している。クラスメートから頼りにされることが増える一方で、一部のクラスメートからは王様ではないかと疑われている。ゲーム終盤では自ら夜鳴村へ調査に赴いて生還し、智恵美、莉愛と共に最後の戦いに挑む。身長は178センチ。

本多 智恵美 (ほんだ ちえみ)

県立玉岡高校1年B組に在籍する女子。金沢伸明のクラスメートで恋人でもある。出席番号は24番。茶髪のロングヘアをポニーテールにまとめている。明るく思いやりのある性格で、少々涙もろい一面がある。「王様ゲーム」が開始される前、伸明に告白されて付き合うようになった。恋人の伸明と共に「王様ゲーム」に巻き込まれるが、どんな過酷な状況でもつねに彼を思って行動している。伸明の親友である橋本直也とも仲がよく、三人でいっしょにいることが多い。伸明が「大切なものを一つ失え」という命令を下された際、彼から電話で別れを一方的に告げられるが、それでも彼のことは大切に思っている。ゲーム中盤では音信不通になって直也と連絡がつかなくなるが、それは岩村莉愛に携帯電話を盗まれていたためで、彼女からは王様ではないかと疑われていた。伸明が携帯電話を取り戻して再び恋人関係となり、ゲーム終盤では人質に取られてしまう。この際に脚に重傷を負うものの伸明、莉愛と共に生き残り、最後の戦いに挑む。幼少期に母親の本多奈津子は失踪しており、ゲーム終盤に彼女が王様の正体や「王様ゲーム」と深くかかわっていた事実を知る。携帯電話の通信量が異様に多いことから、莉愛からは王様ではないかと疑われていたが、実際は意図せずに「王様ウイルス」の拡散源になっていたためである。料理上手。

岩村 莉愛 (いわむら りあ)

県立玉岡高校1年B組に在籍する女子で、金沢伸明のクラスメート。出席番号は6番。銀髪のセミロングヘアで、制服の上からパーカーを着用している。冷淡な態度でクラスメートと接するため、友人は一人もいない。無表情で口数が少なく、ミステリアスで謎めいた雰囲気を漂わせた美少女。クラスでは完全に浮いているため、「王様ゲーム」の王様かその関係者ではないかと疑われていた。「王様ゲーム」が始まってからは、正体不明の王様に勝つために手段を選ばず行動し、時には自らを王様と自称するなど、何かと伸明を困惑させて対立していた。実はすご腕のゲーマーで、世界的に有名な天才ハッカー「カミハテ」でもあり、王様を殺すことでこのデスゲームを終わらせようとしている。まるでゲームを楽しむかのように冷静に分析しながら、がむしゃらに奔走するだけの伸明を見下している。死亡したクラスメートの携帯電話に残されていた情報を、伸明に先回りして奪っていた。そして、必要とあらばクラスメートも殺すと宣言したことで、伸明とは本格的に対立していく。のちに本多智恵美を含めた三人の女子生徒の携帯電話を盗み出し、交換条件として伸明が持っている王様の情報を要求した。ハッキングを得意としており、伸明から得た情報を基にデータ分析し、ゲーム終盤では王様の正体が「王様ウイルス」であることをつき止めた。豊富な知識や才能に恵まれながらも、真剣になれるゲームに勝つこと以外には興味がなく、生きることや夢を抱くことには意味を見いだせずにいる。不可解な行動の数々は、自分とは対照的な方法で王様に勝とうとする伸明を、自分に何かあったときの保険としていたためであった。

橋本 直也 (はしもと なおや)

県立玉岡高校1年B組に在籍する男子。金沢伸明のクラスメートで親友でもある。出席番号は21番。巨乳好きで美乳マニアを自称している。明るい茶髪の短髪で、ワイシャツの上からパーカーベストを着用している。明るい性格で友人思いながら小心者な一面があり、頼りになる伸明とつねに行動を共にしている。本多智恵美に好意を寄せており、「王様ゲーム」ではつねに伸明と智恵美のためを思って行動している。ゲームの序盤の人気投票で死亡した上田佳奈の代わりに「10分以内に性交できなければ焼身自殺」という命令が下された際、伸明から智恵美と性行為をするように告げられるが、二人の関係を壊すくらいなら自分が死んだ方がいいと拒絶した。伸明の必死の説得の末に殴られて気を失い、気絶したまま智恵美の協力によって命令をクリアし、二人のおかげで命を取り留める。その後は王様の正体を探る伸明に協力しつつ、過酷になっていく王様ゲームを切り抜けていたが、残りの生徒が10人となったゲーム終盤でクラスの誰かがサイコロを振るという命令が下り、振って出た目の数だけクラスメートを指名するという過酷な状況を強いられる。阿部利幸の暴走で智恵美が人質に取られても、最後まで伸明と彼女のことだけは守り抜いた。しかし、指名者も最終的に死ぬという命令だったために、六人をすべて指名し終えたあとは伸明と智恵美の前で体がちぎれて死亡した。身長は160センチ。

王様 (おうさま)

県立玉岡高校1年B組の生徒を「王様ゲーム」に巻き込んだ謎の人物。命令メールをはじめとする「王様ゲーム」に関するメールを、生徒全員に送信している。また、服従しなかった者に罰を与える形でゲームを進行させている。命令の実行が確認された際、「服従確認」というメールを送っているが、どこから生徒の様子を見ているのかは不明で正体は謎に包まれており、人間であるのかすら不明。1年B組の生徒たちのそれぞれの人間関係や性格まで細かく把握しており、時にはゲーム内容とは外れるメールを送るといった形で、間接的に生徒を死に追いやることもある。ゲーム終盤で、その正体が強力な暗示法から生まれた「王様ウイルス」であることが発覚した。

田崎 大輔 (たさき だいすけ)

県立玉岡高校1年B組に在籍する男子で、金沢伸明のクラスメート。出席番号は17番。生真面目で気弱な性格で、眼鏡をかけている。実家は資産家で、親は医者をしているために将来は医者になると周囲から思われていたが、実際はミュージシャンを目指しており、歌もうまい。「王様ゲーム」が原因で酷い目に遭って落ち込んでいたところを伸明に励まされ、同じくミュージシャンを目指している彼と意気投合して親友となる。しかし「王様ゲーム」の命令で、クラスメートの八尋翔太の恨みを買ってしまい、一時的に命令権を得ていた彼の命令が原因で、首吊り自殺が決定する。しばらくは伸明と橋本直也によって守られていたが、タイムリミットの次の朝に首を吊って死亡していた。友人になってくれた伸明へのプレゼントとして、お気に入りのブレスレットを手紙といっしょに遺していた。この出来事によって、伸明は「王様ゲーム」が本物のデスゲームだと確信するきっかけとなった。

上田 佳奈 (うえだ かな)

県立玉岡高校1年B組に在籍する女子で、金沢伸明のクラスメート。出席番号は9番。「王様ゲーム」序盤に下された命令により、橋本直也との命を懸けた人気投票で争うことになる。罰から逃れるため、男子生徒を誘惑するなどあらゆる手段を講じて票を獲得しようとした。実は以前から援助交際をしており、目的のために自分の体を売ることをなんとも思っていない。これらの手段で票を獲得して勝利を確信していたが、投票では僅差で直也に敗れ、罰を受けたくないと自ら教室の窓から飛び降りて死亡した。しかし実際に下された罰は、「好きな人への告白」であった。

平野 奈美 (ひらの なみ)

県立玉岡高校1年B組に在籍する女子で、金沢伸明のクラスメート。出席番号は22番。茶髪をボブヘアにしている。伸明が本多智恵美と付き合っていることを知っているが、以前から彼に思いを寄せている。「王様ゲーム」中盤で「自分自身が決めた命令を一つだけ下せ」という命令を受け、「王様に触る」という命令を自分に下すことでクラスメートから王様を見つけ出そうとした。伸明もこれで王様を見つけられると期待していたが、クラスメート一人ひとりに触っても命令をクリアできなかったため、タイムリミットと共に「永遠の闇を与える」という罰が下されて失明する。その次の日には伸明の前から姿を消していたが、伸明が大切なものを失えという命令を下されたのを知り、砂浜にメッセージを遺して彼の命を守るために海で入水自殺した。

上田 陽介 (うえだ ようすけ)

県立玉岡高校1年B組に在籍する男子で、金沢伸明のクラスメート。出席番号は8番。黒の長髪で、パソコンの扱いに長け、情報収集を得意としている。同じクラスの丸岡香織と付き合っている。伸明、橋本直也と仲がよく、「王様ゲーム」の当初から彼らと協力的に行動している。情報収集能力を生かして「王様ゲーム」の手がかりについて調べ上げ、夜鳴村の情報と位置をつき止めた。この時、自分に何かあった際は香織を守ってほしいと伸明に頼んでいる。それらを含めた情報を伸明に送ろうとするが、その日に下されていた命令の詳細を知らないままで涙を流してしまったために罰の対象となり、伸明にメールを送信後、自室で死亡する。

丸岡 香織 (まるおか かおり)

県立玉岡高校1年B組に在籍する女子で、金沢伸明のクラスメート。出席番号は27番。上田陽介と付き合っており、本多智恵美とも仲がいい。「王様ゲーム」で陽介が死亡したあと、伸明からは陽介が生きていることを聞いていたが、ほかのクラスメートから彼の死を知り、伸明を疑うようになる。一人で夜鳴村に向かっていた伸明を尾行して襲撃し、陽介の死を隠していた伸明こそが王様ではないかと誤解したままで復讐を果たそうとするが、伸明の必死の説明と説得によって誤解が解ける。しかし、陽介の死を悲しむあまり涙を流してしまい、その日に下されていた命令に背いたため、罰を受けて伸明の前で死亡した。

阿部 利幸 (あべ としゆき)

県立玉岡高校1年B組に在籍する男子で、金沢伸明のクラスメート。出席番号は2番。短髪でジャージを着用し、やや小太りな体型をしている。見た目と高圧的な態度から、一部のクラスメートに嫌われている。「王様ゲーム」では友人の藤岡俊之と共に行動している。ゲーム終盤、クラスの中から一人だけサイコロを振るという命令が下されたことで命の危険を感じ、どんな手を使ってでも生き残ろうと画策する。岩村莉愛から呼び出されたあと、誰もサイコロを振ろうとしないことや、ほかのクラスメートと口論になったことから、錯乱して本多智恵美を人質に取り、周囲に脅しをかける。サイコロを振る役を買って出た橋本直也を脅しながら智恵美の足を刺すなどの暴行を加えるが、見かねた俊之に止められ、俊之もろとも直也に指名されて死亡した。

本多 奈津子 (ほんだ なつこ)

夜鳴村に住んでいた研究者の女性で、本多智恵美の母親。智恵美の幼い頃に失踪し、現在も行方知れずのままとなっている。夜鳴村で村人が次々と死んでいく事件を機に、村の古い因習に基づいた強力な暗示法を発見し、それを世界平和のために役立てようと研究を進め、一つのプログラムとして完成させていた。智恵美が生まれたのをきっかけに研究の危険性を感じて中断したが、そのプログラムが「王様ウイルス」として増殖を始め、やがて王様ウイルスによって殺されてしまう。

場所

夜鳴村 (よなきむら)

山地にある県境にかつて存在した山村。金沢伸明たちの住む玉岡から数時間かかる場所にあるが、地図上からも消されているため、情報が極端に少ない。32年前の集団変死事件によって村人が全滅し、周辺の住民からも忌むべき土地として恐れられている。村は高い塀で囲まれて閉鎖されており、塀にあいている小さな穴が唯一の入り口となっている。かつて村人のあいだで「王様ゲーム」が行われていたが、携帯電話がないため、当時は手紙で命令が下されていた。

その他キーワード

王様ゲーム (おうさまげーむ)

県立玉岡高校1年B組の生徒たちが巻き込まれた謎のデスゲーム。「王様」を名乗る謎の人物から生徒たちの携帯電話に送られてきた奇妙なメールから始まり、当初は生徒同士がキスをするなど簡単な命令ばかりだったが、徐々に内容がエスカレートしていき、死の危険を伴う内容になっていく。主に毎日0時に王様から送られてくる「命令メール」に書かれた内容に従うことで進行するが、指定された時間内に指定された生徒が命令に従わない場合は、なんらかの罰が与えられることになり、「罰メール」が送られてくる。一方、命令が正しく実行された場合は、王様から「服従確認」のメールが届く。罰の内容は首吊り自殺や焼死をはじめ、死に至るものばかりだが、まれに「好きな人への告白」や「視力を失う」などの罰もある。最初のメールに書かれた基本的なルールとして、「クラス全員強制参加」「王様から届いたメールは命令に24時間以内に絶対に実行する」「命令に従わなかった場合は罰がある」「王様ゲームを途中でやめることは絶対にできない」の四つがある。当初は生徒が一人ずつ罰を受けて死亡していくことが多かったが、中盤で生徒全員を対象に泣くことが罰となる命令が下されたのをきっかけに、多くの命が失われた。死亡した生徒の携帯電話には、一文字だけ書かれた謎の未送信メールが一通だけ残されており、すべての文字をつなげると王様からのメッセージ文となる。

王様ウイルス (おうさまういるす)

王様の正体である、意思を持った謎のウイルス。人の死に対する恐怖をトリガーとし、強力な暗示を通して身体能力を無理やり稼働させたり全身の細胞に影響を与えたりすることで、通常であればあり得ないような死に方をさせる。夜鳴村で行われていた実験を基にある暗示法が生まれ、それが本多奈津子の研究によってプログラムとして完成する。研究を放棄した奈津子が王様ウイルスによって殺害されたあとは、彼女の娘である本多智恵美のクラスが「王様ゲーム」の実験場となった。すでにメールを通して世界中に広まっており、特に携帯電話を頻繁に見ている学生などはこのウイルスの暗示にかかりやすい。県立玉岡高校1年B組は智恵美の携帯電話をとおして王様ウイルスが拡散され、生徒たちは強力な暗示を含んだメールをとおして暗示にかかっていく。

クレジット

原作

金沢 伸明

続編

王様ゲーム 終極 (おうさまげーむ しゅうきょく)

同名のケータイ小説をコミカライズしたシリーズ作品で、『王様ゲーム』に続くシリーズ第2作目。原作小説はエブリスタでの総閲覧数4000万を突破。小説は双葉社によって書籍化されている。コミカライズに加え、2... 関連ページ:王様ゲーム 終極

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