あらすじ
第一巻・鼠
仙女の萬々は、あらゆる意味で規格外な体力と霊力、そして非常識な行動の数々によって、人々を苦しめる妖怪たちを片っ端から退治して回っていた。その結果、人間の住む世界からは妖怪がほぼ消え失せ、平和な時代が訪れた。退治した妖怪を「妖怪帳」と呼ばれる図鑑に記録していた萬々は、これを有効利用する方法はないものかと考えていた。そんな中、焼き芋をくるんでいた新聞を何げなく見たところ、現在は空前の出版ブームで、人気作を生み出せば億万長者にのし上がれることを知る。そして、一攫千金のために、妖怪帳を週刊少年チンプに連載するという手段を思いつき、弟子の娘々に対して、妖怪帳を週刊少年チンプを出版している臭A社に持ち込むように命じる。娘々は妖怪帳を背負い、臭A社の本社があるというカンダーラに向けて旅立つのだった。一方、長らく引きこもり生活を送ってきた初代漫☆画太郎(カッパ)は、山田太郎が暴虐の限りを尽くし、それを見逃せなかった玄奘の手によって力を封印される予知夢を見て、その内容を漫画にしたためる。その内容に自信を持ったカッパは、少年チンプへの掲載を志すが、初代漫☆画太郎の祖母から予知夢がカッパにのみ宿っている特殊な能力であることを聞き、さらに太郎がかつての同級生であったことを思い出す。こうして自分の漫画に実在の人物が登場することに気づいたカッパは、出演の許可を得るために太郎と玄奘の足どりを追うが、その中で武器屋の集団に絡まれ、太郎についての情報を洗いざらい暴露するように脅されてしまう。
第二巻・丑
武器屋の集団の手によってとらわれの身となった初代漫☆画太郎(カッパ)は、社長とその部下であるほういちに拘束されて窮地に陥るが、近くにいるという山田太郎と武器屋の集団を戦わせて、そのスキをついて逃げることを思いつく。そして、運のよさに助けられて武器屋の集団を全滅させることに成功し、さらに偶然ながらも太郎と玄奘を発見する。カッパの持つ原稿を読んだ太郎は、自分の姿が週刊少年チンプに掲載されることにすっかり乗り気になり、印税の半分を渡すことを条件に出演を快諾する。しかし、それを聞いていた玄奘や、彼の愛馬であるナンバーセブンもまた、それぞれ作品に出ていることを指摘し、彼らにも印税を分け与える羽目になる。さらに、恒常的に作品のネタを思いつくには太郎たちと共に旅をして取材をすることが必須だとせまられ、その結果、天竺へ立ち寄ることを余儀なくされるのだった。そんな中、太郎に懸けられた多額の賞金を狙う賞金稼ぎの一団が現れる。現在の太郎が、かつての姿とまったく異なることに気づかない閣下は、太郎から聞いたでたらめの情報を信じ込み、太郎を狙う賞金稼ぎたちでにぎわう酒場へと向かうが、1日前に太郎が退治されたことを聞かされる。賞金をあきらめきれない賞金稼ぎの一団は、退治した本人を抹殺して賞金を横取りすることを決意。コックリの催眠術で警察署長から情報を引き出し、現在の姿を知られていない太郎が自作自演で賞金を騙し取ったことを知るのだった。一方、かつて太郎と戦った安倍孔明もまた、彼が賞金を持ち逃げしたことに気づき、警察署長に三体の式神を貸し与えて太郎の居場所を探るように依頼する。警察署長はイヌの嗅覚を頼りに太郎を追うが、賞金稼ぎの一団と鉢合わせになってしまう。窮地に陥った警察署長はゴーレムを召喚し、彼らに立ち向かうのだった。
第三巻・寅
キノコパワーを発揮させることでゴーレムを倒した賞金稼ぎの一団は、閣下の地獄絵巻グソで警察署長を葬り、山田太郎がいるというペニースへとたどり着く。しかし、オタク、オカマ、ウスラがナンバーセブンによって蹴り殺され、怒り心頭となった閣下は、太郎やナンバーセブンを殺害するように指示する。予知夢によって、自分を含めた一行が皆殺しにされることを知った初代漫☆画太郎(カッパ)は、太郎と玄奘が離れれば予知を回避できることを知り、口八丁手八丁で玄奘を止めつつ、太郎をサポートする。その結果、太郎は賞金稼ぎの一団を皆殺しにすることに成功し、カッパたちは危機を脱するのだった。一方、萬々の妖怪帳を週刊少年チンプに連載させるためにカンダーラの臭A社へ向かって旅立った娘々は、トンネル村にゾンビが大量発生したことで道を封鎖され、立ち往生していた。お札を貼り付けることでゾンビを倒せることを目の当たりにしたネルトンは、封鎖を解除するためにゾンビを倒してほしいと娘々に依頼する。娘々は予想以上に多いゾンビに苦戦を強いられるものの、工夫を凝らすことでゾンビを全滅させ、トンネル村の封鎖を解除することに成功する。こうして娘々はあらためてカンダーラへの道を踏み出すが、トンネル村の先にあるドブス村もまた、村から道へ通じる門を封鎖していた。
第四巻・卯
ドブス村の道を通れず困っていた娘々は、村長のズーブーから、チョブ太という妖怪が美女を攫(さら)っていることと、その影響で村人が暴徒と化していることを知り、退治するために彼の住処へと向かう。そして、チョブ太をうまく言いくるめたことで危地を脱し、ついにカンダーラへたどり着くことに成功する。一方、初代漫☆画太郎(カッパ)や山田太郎の一行もまた、天竺より先にカンダーラに到着しており、活気に満ちた街を見学していた。しかし街の住人から、かつてはさらににぎわっていたが、新たに太守に就任した石頭珍次郎が規制を強化したことで、主にエロ本目当ての観光客の足が途絶えてしまったことを聞かされる。太郎たちは不意に規制が強化されたことを疑問に思う中、石頭の使いからディナーの誘いを受ける。一行は突然の朗報に沸き立ちながら、石頭の待つ宮殿を目指すが、太郎がパンダパンダの最新話を読みたいがために勝手に臭A社に向かい、カッパもそのあとを追うことになる。玄奘は彼らを気に留めず、一人で石頭のディナーを楽しもうとするが、そのあとを太郎たちに息子を殺害された武田鉄八が追跡していた。太郎もまた、楽しみにしていたパンダパンダを読んだところ、規制によって内容を大きく変えられていたことに憤り、その元凶である石頭の殺害に向けて動き出すのだった。
登場人物・キャラクター
初代漫 ☆ 画太郎
食の国で初代漫☆画太郎の祖母と二人で暮らしている少年。年齢は13歳。赤子の頃に両親ともども雷に打たれており、両親はそのまま他界し、初代漫☆画太郎自身も生死の境をさまよった挙句、頭頂部がハゲてしまった。さらに、幼稚園時代に山田太郎から「カッパ」と呼ばれていじめられ、そのショックから8年ものあいだ引きこもるようになり、現在は週刊少年チンプを読むことを何よりの楽しみとしている。かつて父親は画家を、母親は小説家を生業としており、自身は漫画を描くことを得意としている。また、予知夢によって未来を見ることが可能だが、本人は長いあいだそのことに気づいていなかった。予知夢を基に描き上げた珍遊記に絶対の自信を持ち、これをカンダーラの臭A社に持ち込むことで漫画家デビューすることを志す。のちに太郎や玄奘と合流し、彼らと共にカンダーラを目指すことになる。おとなしい性格ながら、やや自分本位なところがあり、厄介ごとに巻き込まれることも多い。しかし意外と肝が据わっており、難事を切り抜ける能力に長けている。予知夢を見られることに気づいてからはその傾向に拍車がかかっており、武器屋の集団や賞金稼ぎの一団に襲撃された時も、予知夢を頼りに的確な行動を行い、自分の命と珍遊記の原稿を守り抜いている。
山田 太郎
13年前、雷とともに食の国に落ちてきた謎の少年。子供が欲しかったおじいさんとおばあさんに拾われ、「太郎」と名づけられた。幼い頃から狂暴な性格で、不思議な力を発揮しては方々で騒ぎを起こしていた。さらに、中学生になると猿の妖怪として覚醒し、不良軍団を一人で相手にしたり、盗んだ金で豪邸を立てるなど傍若無人の限りを尽くすようになり、次第におじいさんやおばあさんの手に負えないようになっていく。しかし、おじいさんたちから依頼を受けた玄奘が、宝珠のネックレスを使うことで力を封印され、さらに頭に緊箍児をはめられたことで玄奘に逆らえなくなり、やむなく天竺への旅路に同行することになった。週刊少年チンプを読むのが大好きで、中でも山下ムサシの描くパンダパンダが大のお気に入り。幼稚園時代は初代漫☆画太郎(カッパ)のことを「カッパ」と呼んでいじめていたが、再会してからは陽気でノリのいい性格になっており、彼の漫画を描く能力を高く評価するなど、それなりになかよくなった。一方で、邪魔をした存在は容赦なく殺害しようとするなど、封印される以前の狂暴さも残っている。また、山田太郎自らが出演している珍遊記を臭A社の週刊少年チンプ編集部へ持ち込むにあたって、連載が決まったら印税の半分を寄越すようにカッパに要求したり、力を封印される前と現在の姿がまったく異なっているのをいいことに自作自演で、自らに懸けられた賞金を騙し取ろうとするなど、金にがめつい。
娘々 (にゃんにゃん)
萬々山で萬々の従者を務めている少女。おとなしく礼儀正しい性格で、萬々から受ける理不尽な命令も、文句一つ言うことなく忠実に遂行する。身体能力はかなり高く、重いものを難なく持ち上げたり、そのまま自在に移動したりすることも可能。また、通常の人間が再起不能になるダメージを受けても、すぐに立ち直るほどの再生能力を持っている。空前の作家ブーム到来を好機と見た萬々が、「妖怪帳」と呼ばれる図鑑を週刊少年チンプに連載させるため、彼女から週刊少年チンプを発行している臭A社のあるカンダーラに持ち込むように言われ、単身でカンダーラへと向かう。お人よしな点が災いして、萬々以外の人物から利用されることも多かったが、大抵の場合は娘々自身が得をする結果に終わるなど、強運に助けられている。反面、仙術の扱いは今一つで、お札を使った簡単な術しか使用することができず、トンネル村におけるゾンビとの戦いでは、封印のためのお札を用意しようとしたところ、逆に彼らを強化してしまったりと失態も目立つ。
萬々
萬々山に住んでいる老年の女性。高名な仙女として知られており、人間をはるかに上回る体軀と、それに見合った怪力を誇るほか、類いまれなる霊力を身の内に秘めている。未知の妖怪を見つけ出すことに生きがいを感じており、あらゆる場所を巡っては妖怪を強引に封印し、その生態を記載して「妖怪帳」と呼ばれる図鑑を作成している。このような嗜好を持つことから、妖怪からはほぼ天災のような扱いを受けているが、妖怪に脅かされていた人間からは神のように信仰されることもある。雑用などは弟子の娘々に押しつけて、萬々自身は妖怪帳の執筆などの趣味に興じたり、酒を飲んだりするなど自由気ままに過ごしていたが、ある時、現在は漫画家になれば大儲けができるという情報を聞きつける。そこで、妖怪帳を漫画として週刊少年チンプに連載させ、多額の印税を獲得しようともくろみ、今まで書き記した妖怪帳のすべてを娘々に持たせ、週刊少年チンプを発刊している臭A社のあるカンダーラを目指すように命じる。
玄奘
高僧の男性。ふだんは女性のような口調で話すが、怒ったり驚いたりした際は、僧侶らしくない汚らしい言葉を使い出す。もとから強い霊力を持っているが、静かな部屋で精神集中を行うことで戦闘タイプに変化し、強力な妖怪たちとも互角以上に渡り合えるようになる。初代漫☆画太郎が珍遊記を持ち込むためにカンダーラに向かっていることを知った際には、玄奘自身が出演しているという理由で原稿料を要求したり、カンダーラで太守の石頭珍次郎からディナーに誘われた時は、まったく遠慮することなく、むしろ嬉々として応じたりするなど、損得勘定をすることが多い。一方で、僧侶としての役割がかかわることは無償で引き受けることもあるなど、仕事に関しては独自の美学を持っている。山田太郎の所業に耐えかねたおじいさんとおばあさんが、彼を懲らしめてほしいと神に願ったところに姿を現し、太郎の退治を無償で引き受ける。そして、太郎の並はずれた妖力に苦戦を強いられつつも、玄々から賜った宝珠のネックレスを使って力を封じることに成功させる。さらに、彼の頭に緊箍児を嵌めることで逆らえないようにした挙句、更生のために天竺への同行を命じた。それ以降は、太郎や愛馬のナンバーセブンと共に天竺への旅を続けている。
ナンバーセブン
玄奘の愛馬として天竺への旅に同行している馬で、性別は不明。仲間内からはおもに「ウマ」と呼ばれているが、賞金稼ぎの一団との戦いにおいて、山田太郎の口から本名が「ナンバーセブン」であることが明かされている。ふだんはおとなしい性格で、愛嬌のある顔つきをしていることから、駄馬扱いされることも多い。一方で狂暴な一面を秘めており、いざとなればオカマやオタクを一撃で蹴り殺すほどの、すさまじい脚力を発揮する。また、初代漫☆画太郎が珍遊記を持ち込むためにカンダーラに向かっていることを知った際には、ナンバーセブン自身がわずかながら出演しているという理由で原稿料を要求したりと、主人の玄奘や、同行者の太郎に似て金にがめついところがある。
老人
娘々がお使いをしている最中に砂浜で出会った老年の男性。もとは漁師をして暮らしていた青年で、ある時子供たちにいじめられていたカメを助けることで竜宮城へと連れられた。しかし、その先で待っていた人魚に騙されて生気を吸われ、老人の姿になり果ててしまった。砂浜に戻ったあとは、共犯であったカメに対して子供と同じようにいじめることで憂さ晴らしをしていたが、娘々に止められる。自らを騙したカメに対しては憤懣(ふんまん)やるかたない様子を見せ、娘々がカメと共犯でないかと疑うなど判断能力も低下していた。しかし、娘々も自分と同じように騙されたと気づいた時には心配する様子を見せ、萬々が彼女を助けに行くことを知った際には道案内を買って出るなど、本来は利他的な性格をしている。昔話に登場する「浦島太郎」がモデル。
カメ
人魚に付き従っている、亀の妖怪。ふだんはおとなしく弱弱しいように自らを装っているが、実際は狡猾な性格で高い格闘の腕を持ち、催眠効果のあるガスを吐くほか、水中で呼吸をできる機能を他者に分け与える能力などを備えている。人魚が清い心を持つ人間の精気を好物としていることから、わざと他者にいじめられて同情を誘い、助けに来た人間を言葉巧みに騙して人魚に差し出すという手段を取っており、娘々や老人が、実際にこの被害に遭っている。人間とは本来、言葉を交わすことができないが、特に清い心を持つ人間はカメの言葉を理解できる。そのため、カメと会話ができた娘々のことを、人魚への供物として最適だと考えて海の底へと連れ去った。
人魚
深海にある「竜宮城」と呼ばれる城で暮らしている妖怪。人間の上半身と魚の下半身で構成されている。非常に醜い外見をしているが、妖術を使うことで美しい姿に変化させられる。清い心を持つ人間の精気が大好物で、従者のカメを使ってエサとなる人間を竜宮城に招いては、「乙姫」と名乗ってもてなす素振りを見せて油断を誘い、精気を吸い尽くして老いさせるという凶行を繰り返している。かつては大勢の同族がおり、海の中で一大勢力を築いていたが、そのほとんどが萬々によって乱獲されたことで、現在は最後の一人となっている。そのため、萬々に対しては強い敵愾心と恐怖心を抱いているが、娘々が彼女の弟子であることには気づいていない。人魚の肉には不老長寿の効果があるといわれており、萬々によって乱獲された原因の一つとなっている。
妖怪クリクリ
人魚に付き従っている妖怪で、クリオネのような容貌をしている。カメと共に、竜宮城で暮らしていた。陸に上がることがほとんどなく、珍しい妖怪として知られている。娘々の行方を追って竜宮城に乱入してきた萬々に捕えられ、妖怪帳に記載された挙句、ヒョウタンの中に封印されてしまう。
おじいさん
食の国に住んでいる老年の男性。子供に恵まれず、妻であるおばあさんと二人で暮らしていた。ある日、天から降ってきた赤ちゃんを発見し、太郎と名づけて育てる。しかし、成長するにつれて狂暴化する山田太郎の扱いに苦慮するようになり、訪れた玄奘に対して太郎を懲らしめてもらうように依頼した。ふだんはおとなしく礼儀正しい性格だが、太郎の暴挙によってストレスを溜め続けており、玄奘によって太郎の自由を封じられた時は斧で殴りかかろうとしたりと、狂暴な一面を見せることもある。
おばあさん
食の国に住んでいる老年の女性。子供にめぐまれず、夫であるおじいさんと二人で暮らしていた。ある日、天から降ってきた赤ちゃんを発見し、太郎と名づけて育てる。しかし、成長するにつれて狂暴化する山田太郎の扱いに苦慮するようになり、訪れた玄奘に対して太郎を懲らしめてもらうように依頼した。太郎の暴挙によってストレスが溜まっており、玄奘が太郎の動きを封じた際には、おじいさんと共にバットで殴りかかった。
初代漫☆画太郎の祖母
食の国に住んでいる老年の女性。息子夫婦を亡くしており、現在は孫の初代漫☆画太郎(カッパ)と二人で暮らしている。幼い頃から8年ものあいだ部屋の中に引きこもっていたカッパを心配しており、週刊少年チンプを毎週買い与えていた。しかしある時、カッパが突如部屋から出た挙句、執筆していた珍遊記をカンダーラの臭A社に持ち込んで漫画家デビューを志したことを聞き、仰天した。そしてその際に、カッパの父親が画家として、母親が小説家として活動していたことを明かし、カッパ自身にもその才能が受け継がれたことを確信する。飛び蹴りで木の扉を蹴破るなど、老年ながら高い身体能力を誇る。
社長
武器屋の集団の頭目を務めている男性。ファッションセンスが独特で、胸に「外道」と書かれたシャツを着ており、その上にマントをまとっている。自分の思いどおりにならない相手を傷つけたり殺害したりすることもいとわないような、横暴な性格の持ち主。一方で、気をきかせられた際には素直に礼を言うなど、筋の通った一面を見せることもある。火薬砲や火薬鳥などの兵器を開発しており、それらを高く売り込む機会をうかがっている。偶然ながら遭遇した初代漫☆画太郎から、1億円もの賞金が懸けられている山田太郎が近くにいるという情報を聞き出し、彼を抹殺することで、開発した武器の有用性を世の中に知らしめようと企む。漫☆画太郎の『地獄甲子園』に登場する「外道高校野球部監督」がモデル。
ほういち
武器屋の集団に所属している男性。社長への忠誠心が高く、彼がかんしゃくを起こしたことで耳を銃で撃ち抜かれてもなお、文句を言わず忠実に従っている。一方で猜疑心が非常に強く、山田太郎を抹殺するために捕えた初代漫☆画太郎(カッパ)の発言を逐一疑い、彼を戦慄させている。そして、ついにはカッパが武器屋の集団を欺いていたことを見破るが、予知夢を利用したカッパの計画を崩すには至らず、最終的には彼の逃亡を許してしまう。漫☆画太郎の『地獄甲子園』に登場する「ほういち」がモデル。
閣下
賞金稼ぎの一団のリーダーを務めている、肥満体型の男性。ふだんは部下思いの温厚な性格で、慎重な判断を下す視野の広さも持っているため、部下たちから慕われている。一方で、一度怒ると手がつけられないという欠点も見られ、かわいがっていたペットのシロが殺害された際には、キノコパワーを発揮することで地獄絵巻グソを発動し、シロの死因を作った警察署長に制裁を加えている。山田太郎に懸けられた賞金の1億円を狙っており、部下と共に彼を狙おうとするが、既に賞金がほかの人の手に渡っていることを知ると、その賞金を横取りしようと動き出す。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』に登場する「中井奇一」、『樹海少年ZOO1』に登場する「槙原ひろみ」がモデル。
オニ
賞金稼ぎの一団に所属している男性。ドクロを模した甲冑を着込んだ武闘派で、前線に立って戦うことを好んでいる。キノコパワーを発揮することで本物の鬼のような姿になり、鬼畜ラッシャーなどの大技を使えるようになるなど、一団の中でもトップレベルの戦闘力を誇る。山田太郎との戦いでは、キノコパワーを二重に発揮して体を巨大化させ、一気に彼を葬ろうとしたが、初代漫☆画太郎の差し金によって太郎が力を封印される前の状態に戻ったことで逆に圧倒され、返り討ちに遭う。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』や『樹海少年ZOO1』に登場する「オニ」がモデル。
オカマ
賞金稼ぎの一団に所属している性別不明の人物。センムと共に一団の参謀役として活躍しており、閣下へのアドバイスでそのあとの方針を決められることが多い。また、キノコパワーを発揮すると、胸が肥大化した異様な姿になり、身体能力が向上するほか、必殺技の鬼畜ビームを放つことができる。母性本能が旺盛で、仲間たちの精神的なケアなども得意としている。一団の仲間たちと共に、山田太郎に懸けられた1億円の賞金を狙っていたが、すでに賞金が誰かの手に渡ったことを知ると、賞金を得た人物を襲撃して1億円を奪い取ることを提案している。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』や『樹海少年ZOO1』に登場する「オカマ」がモデル。
センム
賞金稼ぎの一団に所属している男性。オカマと共に一団の参謀役として活躍しているほか、暴走しがちな閣下をなだめて、落ち着かせる役割を担うことも多い。キノコパワーを発揮することで光の力をまとうことができ、光の速さでダッシュできるようになるほか、必殺技の光速チョップを使えるようになる。一方、キノコパワーを使っても身体機能自体は大きく変化することはなく、反動で大きなダメージを受けるようになってしまったりと、身体能力においてはほかのメンバーに一歩劣っている。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』や『樹海少年ZOO1』に登場する「センム」がモデル。
コックリ
賞金稼ぎの一団に所属している男性。主に諜報活動を得意としており、催眠効果のある吐息を吐くことができる。一方でキノコパワーを発揮することはできず、戦闘要員としては向いていない。警察署長を吐息で眠らせ、さらに催眠術をかけることで山田太郎に懸けられた1億円を持ち去った人物に関する情報を聞き出すなどの活躍を見せた。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』や『樹海少年ZOO1』に登場する「コックリ」がモデル。
ウスラ
賞金稼ぎの一団に所属している男性。頭より先に手が出るタイプで、周囲の空気を読まない行動を取るために問題を起こしてしまうことが多い。キノコパワーを発揮することで、全身の体毛が一気に成長してほかのメンバー以上に異様な姿になるほか、必殺技のモジャモジャ地獄を使用可能になる。オタクとは対照的な性格をしているが能力の相性がよく、ゴーレムとの戦いでは互いのキノコパワーの長所を生かすことで、その動きを完全に封じることに成功している。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』や『樹海少年ZOO1』に登場する「ウスラ」がモデル。
オタク
賞金稼ぎの一団に所属している男性。陰気かつ用心深い性格で、よくも悪くもその性格が事態を進展させることが多い。キノコパワーを発揮することで全身が液化して泥のような姿に変化し、必殺技であるベトベト地獄を使用可能になる。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』や『樹海少年ZOO1』に登場する「オタク」がモデル。
シロ
閣下がペットとして飼っている白い犬。馬に匹敵するほどの大柄な体軀を誇り、もっぱら閣下の乗り物として利用されている。賞金稼ぎの一団と異なってキノコパワーを発揮させられず、戦闘要員としてはカウントされていない。閣下からはつねにかわいがられており、戦いの中で命を落とした際には激しいペットロスに陥らせ、強い怒りと虚無感を覚えさせた。
安倍 孔明
食の国に住んでいる、陰陽師の男性。玄奘に匹敵する霊力の持ち主で、姿を自在に消すほか、瞬間移動するなどといった能力を持つ。かつて名もなき町が怪の国に占領されていた際に立ち上がり、仲間たちと共に怪の国と戦って圧政に終止符を打った。その結果、食の国の治安は劇的に改善されており、このことから住民たちに英雄として広く慕われている。また、力を封印される前の山田太郎とも戦ったことがあり、霊能者の界隈からも一目置かれている。ある日、太郎が倒されたと聞かされ、彼の遺体が晒されている場所に足を運ぶが、その遺体が偽物であることを一目で見抜き、警察署長に対してイヌ、ゴーレム、伝書鳩の式神を預け、太郎が討伐された事案の真相を探るように依頼した。
超々
名もなき町で町長を務めている、老年の男性。かつて名もなき町が怪の国に制圧されていた時は、賄賂が足りない、年貢が少ない、などといった理不尽な理由でひどい暴行を受けていた。安倍孔明たちの活躍によって怪の軍勢が退けられたことで、現在は町も平和を取り戻しているが、支配下にあった時の辛い記憶が今でもトラウマになっている。そのため、ふだんは穏やかな性格だが、トラウマの影響から時折人が変わったように狂暴な一面を見せることがある。これは、名もなき町の恩人の一人である孔明に対しても例外ではない。
警察署長
名もなき町で警察官を務めている男性。多少横暴なところが見受けられるものの、職務には真摯に取り組んでいる。食の国を救った安倍孔明のことを英雄視しており、彼が警察署を訪れた時は平伏している。山田太郎に懸けられた1億円の賞金を管理していたが、ある日かつてとまったく別の姿になった太郎の自作自演にだまされ、賞金を奪い取られる。さらに、賞金を狙ってやって来た賞金稼ぎの一団に押し入られ、コックリの催眠術にかかって賞金を奪われたことを暴露させられた。この失態を取り返そうと、孔明の助けとなるべく太郎の行方を追うことを申し出て、彼から式神のイヌ、ゴーレム、伝書鳩を借り受けた。そして、イヌの嗅覚を頼りに太郎を追うが、その先で賞金稼ぎの一団と出くわしてしまい、式神を頼りに彼らと戦う羽目になる。
イヌ
安倍孔明が従える式神の一体で、真っ黒な犬のような見た目をしている。スピードと嗅覚が優れていることから、目標の追跡などに役立てられることが多い。一方で、攻撃能力については心もとなく、賞金稼ぎの一団がキノコパワーを発揮して強化された際は、式神でありながら恐怖のあまり逃げ去ってしまっている。ふだんは孔明の持つ札に封印されているが、息を吹きかけることで姿を現す。山田太郎の捜索に利用するべく、孔明から警察署長に貸し与えられた。
ゴーレム
安倍孔明が従える式神の一体で、巨大な石人形のような見た目をしている。ふだんは孔明の持つ札に封印されているが、地面に張り付けることで姿を現す。山田太郎の捜索に役立てるため、孔明から警察署長に貸し与えられた。式神の中でも特に体が大きく、さらにその巨体に見合った強い力を持っている。また、戦闘能力も非常に高く、賞金稼ぎの一団と争った際は、単体で敵の全員を圧倒していた。しかし、賞金稼ぎの一団がキノコパワーを発揮したことで形勢が逆転してしまう。
伝書鳩
安倍孔明が従える式神の一体で、鳳凰のような見た目をしている。ふだんは孔明の持つ札に封印されているが、札を空に投げることで姿を現す。山田太郎の捜索に役立てるため、孔明から警察署長に貸し与えられた。孔明を呼び出す能力を持っており、秘密結社マッキのメンバーによる猛攻に遭うことでピンチに陥った警察署長の手により、孔明に助けを求めるために召喚された。
ネルトン
トンネル村の村長を務めている老年の男性。村の中で突如として大量のゾンビが発生したため、やむなく村を封鎖している。老いながらも、封鎖箇所を破って這い出てきたゾンビを棒で殴るなど、行動力に優れている。また、村や村人を守りたいという気持ちが強く、ゾンビに襲われているという現状を打開する手段を求めていた。そんな中、カンダーラに向かうべくトンネル村を通りかかった娘々がお札を使うことでゾンビを無力化させた場面を目の当たりにすると、彼女にゾンビを退治するように依頼する。
ヌケ作
トンネル村に住んでいる男性。ネルトンと同様に、トンネル村に発生したゾンビを恐れており、彼らに村を占拠されている現状を嘆いている。考えなしに行動するところがあり、娘々がぶつかったことで薄くなった封鎖箇所を触ったためにゾンビに封鎖を破られ、そのまま襲われてしまう。
魚くん
萬々山に住んでいるオスの妖怪。魚でありながら人間に似た体つきをしており、陸上でも活動ができる。カンダーラに派遣した娘々に代わって、萬々から雑用としてこき使われていた。しかし、酒を持ってくるように要求されたところ、誤って魚の鮭を持ってきてしまい、萬々の怒りを買う。
龍々 (ろんろん)
かつて娘々と共に萬々によって拾われた少女。娘々とは非常に仲がよく、龍々自身は娘々に対してレズビアンと思しき愛情を抱いている。成長したあとは下働きとして、萬々にこき使われていた。しかし、娘々と異なって反抗的な態度が目立ったことから、罰としてひょうたんに封印されてしまう。そして、長いあいだそのまま放置されたことで、次第に萬々の記憶から抜け落ちていき、封印したことはおろか名前すら忘れられていた。娘々をカンダーラに派遣し、魚くんを誤って殺害したことで下働きを失った萬々によって封印を解かれ、彼らの代わりに働くように命じられる。反抗的な性格は変わっておらず、萬々の言うことに逆らってばかりいたが、娘々を人質に取られたため、やむなく従うようになる。娘々以上の再生能力を誇り、明らかに致命傷といえる傷を負っても、瞬時に元に戻ることが可能。また、霊力も娘々より上で、縮地の法などの高度な術も使いこなせる。
山下 ムサシ
カンダーラの出版協会に所属している、漫画家の男性。41歳の独身で、スリーサイズはB129.3センチ、W129.3センチ、H129.3センチ。「A級漫画ライセンス」と呼ばれる資格を持っており、週刊少年チンプにパンダパンダを連載している。漫画家としての才能は極めて優れているが、すぐに放浪するという悪癖があり、休載の頻度が非常に高い。それにもかかわらず、山田太郎をはじめとしてパンダパンダのファンが非常に多いため、打ち切られずに済んでいる。また、狂暴な一面を持っており、うっかり落とした財布を拾った太郎に襲い掛かり、包丁でめった刺しにしようとしたこともある。初代漫☆画太郎がカンダーラに向けて旅立った翌週に、久しぶりに休載から復帰し、最新号の週刊少年チンプにパンダパンダの最新話を掲載した。しかし、石頭珍次郎が発令した規制によって、女性キャラの裸にモザイクがかかったことに消沈し、再びカンダーラを抜け出して放浪の旅に出てしまう。
ズーブー
ドブス村の村長を務めている、老年の男性。ドブス村の付近にチョブ太が現れ、美女をさらっていっている現状を重く見たことから、ドブス村の出入り口を封鎖した。しかし、封鎖の真意はチョブ太を遮るためだけではなく、美女たちがいなくなったためにフラストレーションが溜まった村の男性たちの暴動を防ぐことにあり、娘々がドブス村に入ろうとした際は「かわいいからダメ」とはっきり断っている。また、カンダーラの新しい太守になった石頭珍次郎が、規制によってエロい漫画を次々に打ち切っていることも把握しているなど、世間の風評にも敏感。
チョブ太
ドブス村の美女たちをさらっているブタの妖怪。醜い男性のような見た目をしているが、その外見に反して年齢は13歳と若い。凝視した相手をマネキンに変化させる妖術や、「変身」と呼ばれる能力を自在に使いこなす。好色な性格で、女性を強姦しようともくろんでいるが、あまりに醜いことと、嫌がられると発作的に相手を殺害してしまう悪癖、そして使用できる術との相性が致命的に悪いといった理由などから、うまくいったためしがない。しかし、チョブ太を怖がらない娘々と出会ったことで、彼女を強姦しようと思い立ち、油断を誘おうと話し合いに応じるフリをした。
ペヨン 次郎
「冬の空豆」と呼ばれる芝居に参加している、俳優の青年。整った見た目をしており、その容貌から女性ファンが多い。チョブ太がつけ狙っている少女がペヨン次郎のファンであることから、変身の対象として目をつけられる。そして、変身に必要となる髪の毛を奪い取ろうと狙われるが、その際に、実は頭が禿げていてふだんはカツラを付けていることがバレてしまう。
モエ山 モエ子
「冬の空豆」と呼ばれる芝居に参加している女優。ふだんから胸を露出しており、変身を使って人間の姿に化けていたチョブ太がそれを目撃したことで股間を勃起させ、変身を解除させてしまう。元の姿に戻ったチョブ太を見て悲鳴を上げ、それに反応したチョブ太によって殺害された。
ポポちゃん
巨大な綿胞子のような形状をした妖怪。かつて萬々によって妖怪帳に記されていた、娘々がカンダーラに向かう最中に持っていたお札が張り付いたことで実体化し、妖怪帳の中から逃げ出してしまう。空を飛べるだけあって逃げることに長けており、娘々の追跡を振り切り、カンダーラに到着してもなお捕まらずにいた。特に人間に被害を及ぼす様子もなかったため、娘々はポポちゃんの捕獲を断念し、偶然出会った初代漫☆画太郎に対して、ポポちゃんの絵を妖怪帳に記すように依頼。その結果、見逃される。
石頭 珍次郎
カンダーラの太守を務めている男性。かつては小説家で、官能小説を多く書いたことで若者たちから人気を集めていたが、引退してからは自分の書いた小説のせいで青少年の健全な育成を阻害したと思い込むようになり、太守に就任してからはお色気方面に関して過剰な規制をしくようになった。その結果、パンダパンダの作風がねじ曲げられ、さらに山下ムサシの放浪癖を悪化させたために週刊少年チンプの読者などからひんしゅくを買い、カンダーラ自体の活気にも悪影響を及ぼしてしまう。玄奘のことを噂に聞いており、実際に彼と出会った時は敬意を表しつつ、ディナーに招待した。
編集長
カンダーラの臭A社で、週刊少年チンプの編集長を務めている男性。ふだんは肩書である「編集長」と呼ばれているが、「編臭長」と揶揄されることもある。漫画を見る目は厳しく、娘々が妖怪帳を持ち込んで週刊少年チンプに連載するように頼んだ時は、激しく叱責した挙句殴り飛ばすなど、常軌を逸した反応をすることもある。しかし、太守である石頭珍次郎が課した規制には従わざるを得ず、出版停止を免れるために、副編集長にお色気シーンなどにモザイクをかけるといった対応をさせていた。パンダパンダも例外ではなく、このことがきっかけで山田太郎を怒らせ、殴り込みをかけられてしまう。
副編集長
カンダーラの臭A社で、週刊少年チンプの副編集長を務めている男性。編集長と異なり、おとなしく礼儀正しい性格をしている。山田太郎に殴り込みをかけられた際に、事故死した編集長に代わって応対する羽目になる。さらに、パンダパンダに出てくる女性キャラが裸になっている場面にモザイクをかけたことを白状し、それが石頭珍次郎が制定した規制によるものであることも打ち明けるが、その事実があらためて太郎の怒りに火をつけ、結果的に彼が珍次郎を殺害しようともくろむきっかけをつくってしまう。
武田 鉄八
「サンビー砂漠」と呼ばれる地方で悪さを働いていた妖怪。「金八」「銀八」という息子がおり、彼らと共に玄奘たちを襲撃するが、山田太郎の反撃に遭って息子たちを殺害されてしまう。そのため、彼らの復讐をもくろみ、ひそかにあとを追っていた。そのうえで、玄奘がカンダーラにたどり着いた際に、石頭珍次郎からディナーに招かれたのを好機と考え、彼らが団らんしているあいだに宝珠のネックレスを武田流忍術を使うことで奪い取る。そして、ネックレスを飲み込むことで体と妖力が大幅に強化され、珍次郎を殺害するために現れた太郎に復讐すべく襲い掛かる。
玄々
強力な霊力を持っている老年の男性で、人間離れした巨体を特徴としている。弟子である玄奘を一人前の道士として鍛え上げ、最後に餞別として宝珠のネックレスを与えた。萬々とはかつて恋人同士だった。
ゾンビ
トンネル村で大発生した動く屍の集団。生きるものに見境なく襲い掛かる習性を持っている。動きは緩慢なため、単体なら村人でも対処が可能だが、つねに集団で行動しているため、ネルトンをはじめとした村人たちは、彼らから身を守るために入り口を封鎖せざるを得ない状況に陥っている。娘々がトンネル村に入った際に、勢い余って封鎖している扉に激突し、脆くなったところを破って侵入されたが、その際に娘々が投げつけたお札が命中すると、行動不能になった。これによって村人たちから娘々に白羽の矢が立てられ、娘々が単身でゾンビと戦う羽目になってしまう。
集団・組織
武器屋の集団
強力な武器を開発して売り払っている集団。社長によって率いられており、ほういちなどが名を連ねている。火薬砲や火薬鳥などの兵器を開発しており、強力な敵を倒すことで兵器の優位性を証明しようともくろんでいる。当初は倒すべき敵を見つけられずに難儀していたが、偶然遭遇した初代漫☆画太郎から、近くに1億円の懸賞金が懸けられている山田太郎がいるという情報を得たことで、彼を倒すべく動き出す。漫☆画太郎の『地獄甲子園』に登場する「外道高校」がモデル。
賞金稼ぎの一団
高額の賞金首を狙って暗躍している、ならず者の集団。閣下が頭領を務めており、オニ、センム、コックリ、オカマ、ウスラ、オタクなどが名を連ねており、ペットとしてシロが連れられている。全員が人間離れした姿をしており、目的のためなら手段を選ばない非情さを持ち合わせている。山田太郎からは「ザコキャラ集団」などと揶揄されていたが、コックリとシロ以外のメンバーは「スーパーキノコ」と呼ばれるキノコを食べることでキノコパワーを発揮することが可能で、互いのチームワークもあり、本気を出した際には太郎や玄奘すらてこずらせるほどの戦闘力を誇る。漫☆画太郎の『虐殺!!! ハートフルカンパニー』に登場する「ハートフルカンパニー」や『樹海少年ZOO1』に登場する「秘密結社・マッキ」がモデル。
場所
萬々山
食の国の周辺に位置する山。仙女の萬々と、彼女の下働きである娘々が暮らしている寺があるほか、山の洞窟には萬々によって封印された妖怪たちをおさめたひょうたんが所狭しと置かれている。寺では萬々が、ゴロゴロしたり酒を飲んだりと自堕落な生活を送っており、境内の掃除をはじめとした雑用は、すべて娘々に任せられている。娘々が妖怪帳を臭A社に持ち込むためにカンダーラに向かったあとは魚くんが雑用をこなしていたが、彼もうっかりした萬々に殺害されてしまい、龍々にその役割を押しつけられる。
食の国
初代漫☆画太郎らが暮らしている国。安倍孔明をはじめとした勇士たちが立ち上がり、怪の国の軍勢を打ち破ったことで圧政から解放され、現在は平和な日々が続いている。13年前に山田太郎が落ちてきた場所でもあり、国ではかつて傍若無人の限りを尽くした太郎に1億円もの賞金が懸けられており、現在もそれを狙う人々でにぎわっている。
カンダーラ
出版業界をはじめとした産業が盛んな国で、臭A社の本社が存在する。食の国すら圧倒するほどのにぎわいを見せており、訪れた初代漫☆画太郎や山田太郎を驚かせた。かつては今以上に活気に満ちあふれていたが、新たに太守となった石頭珍次郎の規制によって出版業界が落ち込みを見せたことで廃れ始める。
臭A社
カンダーラに本社を持つ大手出版会社で、週刊少年チンプを発行している。多くの漫画家や漫画家を志す若者、編集者などでつねににぎわっている。また、週刊少年チンプに漫画を連載している作家をはじめ、長者番付に名を連ねている人物も多い。しかし最近になって、カンダーラの太守である石頭珍次郎が規制を命じたことで、以前より業績が悪化する。
怪の国
かつて名もなき町を侵略して占領下に置き、圧政を強いていた国。名もなき町の住民たちを長いあいだ奴隷のように扱い続けており、中でも名もなき町の町長であった超々に対しては、賄賂や年貢が足りないなどといった理不尽な理由で苛烈な拷問にかけており、現在でもそれらの暴挙がトラウマとして残っているほど。しかし、食の国との戦争に敗れたことで国は解体され、名もなき町をはじめとした占領区も解放される。
名もなき町
超々や警察署長などが暮らしている町。かつて怪の国の制圧下にあり、圧政によって苦しめられてきた。しかし、安倍孔明をはじめとした食の国の精鋭の活躍によって怪の国が解体されたことで、長年の悪政から解放された。それ以降は慎ましくも平穏な生活が続いていたが、山田太郎に1億円の懸賞金が懸けられたことで賞金稼ぎが集まり、にぎわいを見せるようになる。
トンネル村
萬々山とカンダーラをつなぐ道の途中に存在する村の一つ。ネルトンやヌケ作などが暮らしている。突如として発生したゾンビの大群に占拠されており、現在はバリケードを張られ、限られた地区でテント暮らしを余儀なくされている。その影響でカンダーラに通じる道も封鎖されることとなり、訪れた娘々を困らせていた。しかし、成り行きから娘々がお札を使ってゾンビを無力化すると、その様子を目の当たりにしていた村民たちが、村の封鎖を解除する見返りとしてゾンビを退治するよう、彼女に依頼する。
ドブス村
萬々山とカンダーラをつなぐ道の途中に存在する村の一つ。「チョブ太」と呼ばれる妖怪に脅かされており、美女が軒並みさらわれたことで男性の村人たちが欲求不満になっている。その影響から、村を訪れた女性が男の村人に襲われる可能性が懸念され、事態を重く見たズーブーによってかわいい女の子が村を通過することが禁じられるようになる。娘々も例外ではなく、彼女が村の入り口に足を踏み入れたとたん、発情した村人に襲われそうになる。しかし、平地の法を使った彼女によって、難なく突破される。
その他キーワード
宝珠のネックレス
玄々が霊力を込めて作り上げた宝珠を連ねたネックレス。弟子である玄奘が天竺へ旅立つ際に、選別として与えられた。膨大な霊力が込められており、凶悪な妖怪であった山田太郎の力を封印するほどの威力を誇る。また、所有者の霊力を増幅させるという効果を持っているが、妖怪が体内に取り込むと大幅にパワーアップするという特性まで備わっているため、武田鉄八をはじめ、宝珠のネックレスを我が物にしようと企む妖怪はあとを絶たない。
緊箍児
問題児を矯正するために作られた、環の形をした頭飾り。持ち主である玄奘がお経を唱えることで、頭を締めつけたり、雷を落としたりできる。かつて食の国で山田太郎が暴れ回っていた際に、おじいさんとおばあさんから懲らしめるように依頼された玄奘によって使われ、宝珠のネックレスの効果で力を封印された際に頭にはめられた。さらに、太郎自身の力でははずすことができなくなっているため、現在の太郎は、緊箍児の存在によって玄奘に逆らえない状態となっている。
火薬砲
武器屋の集団が開発した兵器の一つ。巨大な大砲のような形状をしており、腕にはめることで使用が可能になる。並の妖術や爆裂魔法などをはるかに上回る威力を誇り、さらに呪文の詠唱を必要としないために速射性に優れているなど、さまざまな長所を持っている。初代漫☆画太郎(カッパ)の予知夢の中では実際に発射され、一撃でカッパの全身を粉々に爆破していた。社長は火薬砲を使うことで強力な妖怪を仕留め、その有用性を世間に知らしめようとしている。
火薬鳥
武器屋の集団が開発した兵器の一つ。小型ジェット機のような形状をしている。上に乗ってレバーをにぎり、さらにペダルを踏むと高速で飛行できるようになる。武器屋の集団から逃れた初代漫☆画太郎(カッパ)によって発見され、移動手段として用いられた。その速度はすさまじく、一瞬で山や平原を越えるほど。しかし、飛んでいる途中でカッパが取り扱い説明書を落としたことで着陸方法がわからなくなり、街を前にしながら墜落してしまう。
予知夢
初代漫☆画太郎(カッパ)に備わっている特殊能力。未来に自分およびその周りに発生する事象を、夢という形で予知できる。カッパは長らく予知夢を使えることを知らなかったが、1年前に見た予知夢を基に珍遊記を描き上げたところ、初代漫☆画太郎の祖母から珍遊記が現実で実際に起こったことだと教えられたため、この能力の存在に気づいた。予知夢の内容は絶対というわけではなく、夢と異なる行動を取れば悪い事態を回避することが可能。武器屋の集団や賞金稼ぎの一団に襲われた際には、いずれも予知夢の中でカッパが殺害されていたが、その原因をつき止められたことで最悪の事態を回避している。また、かつては1年後に起こる出来事を漫然と予知できるだけだったが、現在はすぐあとに発生する出来事を緻密に把握することができるようになっている。
平地の法
娘々が使用する霊術の一つ。特殊な呪文を記したお札を地面に貼り付けることで、どのような険しい坂でも、まるで平地と同じように移動できるようになる。ドブス村で発情した村人たちに襲われた際に使用され、ガケを軽々と踏破したことで村人たちの魔の手から逃げ延びることに成功する。
転送 (ふぁっくす)
玄奘が使用する霊術の一つ。離れた場所に一瞬で移動できる。詠唱せずに発動できるうえに、触れている人間も同時に移動できるなど利便性が高く、霊術の中では最も多用されている。
結界 (すてるす)
玄奘が使用する霊術の一つ。自分および身の回りにある建築物などを透明化させることができ、透明化したものは、見えなくなるだけではなくいっさいの干渉が不可能となる。また、発動するためには長時間の準備が必要となり、滞在していたレストランが賞金稼ぎの一団に襲撃された際には、用意のために初代漫☆画太郎に時間稼ぎの任が下された。
キノコパワー
賞金稼ぎの一団のメンバーたちが、パンツの中に忍ばせている「スーパーキノコ」と呼ばれるキノコを食べることで獲得できる能力。外見が異様な風貌になるほか、ゴーレムすら圧倒するほどのパワーを獲得できる。そのうえで、メンバー固有の必殺技を発動できるなど、使用前とは別次元の戦闘力を発揮させられる。さらに、重ね掛けをすることも可能で、キノコパワーを発揮している状態でスーパーキノコを食べると、さらに強く、禍々しい姿へと変貌する。一方で、体にかかる負担も大きく、1日に二回までが限度といわれている。また、特殊な修行を重ねていない人間がスーパーキノコを食べると、拒絶反応を起こして肉体が崩壊してしまう。ただし、山田太郎のように強大な力を封印されている状態の人物がスーパーキノコを食べた場合、本来の姿を取り戻せるという作用が存在することがのちに判明する。
地獄絵巻グソ
閣下がキノコパワーを発揮することで、使用可能になる必殺技。キノコパワーの効果で大きく肥大化した下半身から極大の巻グソを放ち、敵に巻き付ける。すさまじい異臭を放つという特徴を持っており、これを受けた相手は異臭に苦しむことになり、やがて力尽きてしまう。閣下はこの技を使って警察署長を仕留めることに成功するが、山田太郎に使用した際にはキノコパワーを逆利用されたことで破られる。
鬼畜ラッシャー
オニがキノコパワーを発揮することで、使用可能になる必殺技。全身を丸めることでトゲの付いた車輪に変形し、回転しつつ体当たりを行うことで対象を破壊する。その破壊力は賞金稼ぎの一団が使う必殺技の中でも群を抜いており、キノコパワーを使う前は手も足も出なかったゴーレムの足を一撃で粉砕するほど。しかし、山田太郎に対しては目立った効果を与えるには至らず、逆に跳ね返されてしまう。
鬼畜ビーム
オカマがキノコパワーを発揮することで、使用可能になる必殺技。キノコパワーの効果で大きく肥大化した胸の先から、高出力のビームを発射する。賞金稼ぎの一団が使う必殺技の中では最も射程距離が長く、そのうえ、伝書鳩を一撃で倒すほどの威力を誇る。ただし、一度発射すると胸がしぼんでしまうため、連射できないという欠点も持ち合わせている。
光速チョップ
センムがキノコパワーを発揮することで、使用可能になる必殺技。キノコパワーの効果で全身に生じた光を手先に集め、威力を高めた手刀を放つことで相手を切り裂く。威力もさることながら命中精度に優れており、スピードに優れたイヌの動きをとらえ、両断することに成功する。
モジャモジャ地獄
ウスラがキノコパワーを発揮することで、使用可能になる必殺技。キノコパワーによって全身に生えそろった体毛を自在にあやつり、敵に向けて絡みつかせる。体毛の強度は並はずれており、一度絡みついてしまえば、たとえ強大な力を持つゴーレムであってもねじ切ることができない。
ベトベト地獄
オタクがキノコパワーを発揮することで、使用可能になる必殺技。キノコパワーによって液体化した体をまとわりつかせて、敵の動きを封じる。液体化した体は凄まじい粘着力を持っており、強大な力を持つゴーレムであっても引きはがすことができない。
縮地の法
龍々が使用する霊術の一つ。「禹歩」と呼ばれる特殊な足さばきで地面に直接呪文を書き、移動速度を高速化する。縮地の法をひとたび使えば光のような速さで歩くことができ、すれ違った相手からも滅多に認識されなくなる。ただし、禹歩を行うためには、マイケル・ジャクソン並のムーンウォークを行えることが必須であるため、霊力のほかに身体能力や運動神経が備わっていなければ使うことができない。
変身 (へんすん)
チョブ太が使用する妖術の一つ。特定の人物の体毛を口の中に入れて頭の中で念じることにより、その相手とそっくりな姿に変化することができる。見た目のみならず、服装なども完璧にコピーできるうえに、声も元の人物とまったく同じになるため、見破ることはまず不可能とされている。しかし、使用している最中に股間が勃起すると効果が解除されてしまうという欠点を持つ。
武田流忍術
武田鉄八が使用する流派の忍術。気配を消すことで目に見えない状態を維持する「林」と、瞬時に長い距離を移動する「風」、口から高熱の火炎を吐き出す「火」、そして巨大な足で相手を踏みつける「山」があり、いずれも並みの人間はおろか、玄奘や山田太郎すら苦戦させる威力を持つ。宝珠のネックレスを飲み込むことで威力が増し、さらに「猛火」と呼ばれる必殺技を放つことが可能となる。
週刊少年チンプ
臭A社が発行している少年雑誌。連載されている漫画は老若男女問わず高い人気を集めており、初代漫☆画太郎(カッパ)や山田太郎も愛読している。その人気ぶりから、連載をもらえた作家は多額の印税を獲得できる可能性が高く、長者番付に載るほどの収入が期待できる。そのため、連載を勝ち取るべく自作の原稿を持ち込もうとする人も多い。カッパと萬々もそのうちの一人で、カッパは珍遊記を書き上げて自分で臭A社まで持ち込みに出向き、萬々は長いあいだ執筆してきた妖怪帳を娘々に持たせて、互いにカンダーラを目指して旅立っている。漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」がモデル。
珍遊記 (ちんゆうき)
初代漫☆画太郎(カッパ)が引きこもっていた時期に、予知夢を頼りに描き上げた短編漫画。カッパの居住地でもある食の国を舞台に、13年前に雷とともに落ちてきた山田太郎がやがて手のつけられない乱暴者に育ち、立ち寄った玄奘と戦って敗れ、共に天竺に旅立つまでの過程が描かれている。王道形式のバトルアクションだが、登場キャラであるおじいさんが「今回は24ページしかないから急げ!」と発言するなど、メタフィクションを意識したような面も見受けられる。カッパはこの作品に絶対の自信を持っており、臭A社に持ち込むことで漫画家デビューを果たすことを志している。また、初代漫☆画太郎の祖母は漫画の内容が実際に発生していたと主張しており、この発言がカッパが予知夢を使えることに気づくきっかけとなった。漫☆画太郎の『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』がモデル。
妖怪帳
萬々が捕獲した妖怪について記載した図鑑。妖怪の姿が描かれた絵と、その解説文が記載されている。妖怪コレクターとしての活動による記録として始められたものであり、およそ漫画の体裁を成していないが、萬々は絵と文字があるから漫画に違いないと強引に言い切っている。そして、週刊少年チンプに連載することで多額の印税を稼ごうと思い立ち、娘々に対して、臭A社に持ち込むように指示し、のちに副編集長の手によって、実際に連載されることとなった。
パンダパンダ
山下ムサシが発表している漫画作品。山田太郎からは「パンパン」の略称で呼ばれている。パンダが主人公を務めているが、美少女によるお色気シーンも含まれているのが特徴。週刊少年チンプに連載されている漫画の中でも特に人気が高く、ムサシに放浪癖があることから頻繁に休載しているが、あまりに好評を得ているために編集部からも打ち切られることなく連載が続いている。太郎は、カンダーラを訪れた際に見逃した分のパンダパンダを読むために、臭A社の地下にある倉庫にまで足を運ぶほど、この漫画を気に入っている。
ベース
珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち- (ちんゆうき たろうとゆかいななかまたち)
常識はずれの暴れ者・山田太郎が徳の高い法師・玄じょうに調伏され、彼と共に天竺を目指していく様を描いたギャグ漫画。中国四大奇書の一つ、『西遊記』を下地にしているが原作の要素は殆ど残っておらず、中盤から完... 関連ページ:珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-
前作
まんゆうき ~ばばあとあわれなげぼくたち~ (まんゆうき ばばあとあわれなげぼくたち)
大仙人・萬々の弟子である少女の娘々が、妖怪退治を強引に頼まれるなどしたあげく、最終的に主に萬々によってひどい目に遭わされるさまを主に描くギャグ漫画。キャラクターは、作者の後の作品『珍遊記2』で再登場す... 関連ページ:まんゆうき ~ばばあとあわれなげぼくたち~