異世界王子 -狼憑きと森うさぎ-

女子高校生の山田杏は、突然地面に現れた扉から、おとぎ話的なモチーフが散りばめられた異世界に迷い込んでしまう。もとの世界へ戻るために仲間と旅をする杏の冒険を描く、ほのぼのトリップファンタジー。「異世界王子」シリーズの1作目で、「ミステリーボニータ」2011年4月号から2011年6月号にかけて連載された。続編に後日談を描いた『異世界王子 -囚われの金の夢-』『異世界王子 -うたかたの王国-』がある。

正式名称
異世界王子 -狼憑きと森うさぎ-
作者
ジャンル
転生
レーベル
ボニータコミックス(秋田書店)
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概要・あらすじ

父子家庭で育った女子高校生の山田杏は、ある日いきなり、父親から再婚したい相手がいると聞かされる。しかし相手はどんな人か、新しい家庭に自分の居場所はあるのかと悩んでしまい、なかなか素直に受け入れることができない。それでも父親のためにも了承しなければ、と悩む杏の前に突然、見慣れない生物、ケシーが出現。興味を引かれてケシーに近付いた杏は、足元に現われた扉から、暗闇へと落下してしまう。

真っ暗な森の中に降り立った杏は、黒い狼のクロに助けられ、うさぎ耳の少年、シロの家に連れて行かれる。2人の会話により杏は、ここが、今まで自分がいた世界とは違う世界だということを知る。もとの世界に帰りたいと2人に告げると、シロは、杏と同じように異世界から訪問者としてこのイマーゴにやって来て、そのまま居ついた爺さんのもとへ連れて行ってくれる。

かつて、イマーゴと元の世界を繋ぐ扉を作ったという爺さんは、その扉を通れば、元の世界に帰ることができると語る。それを聞いた杏は、シロとクロと一緒に、扉が設置されているという銀の国を目指すのだった。

登場人物・キャラクター

山田 杏

中高一貫教育の女子校に通っている女子高校生。普段はショートカットの髪型で、パンツ姿というボーイッシュな服装を好んで着用している。かつて学習発表会で王子役を演じ、女子生徒の人気を集めていた。実際は女性らしい服にも興味はあるものの、自分には似合わないと思っており、着ることはめったにない。友達思いなまっすぐな性格ながら、父さんに対しては反抗的な態度をとっている。 しかし、単身でイマーゴにやって来た後は、山田杏自身の携帯に残された父親からの留守電を聞いて涙を流すなど、本当は家族思いの優しい心の持ち主。

クロ

人狼の青年。山田杏が初めて出会った時は、青目に黒い毛並みの狼姿だったが、黒髪に狼の耳と尻尾を付けた人の姿をとることもできる。金の国の女王の怒りを買い、狼憑きと呼ばれる人狼にされて捕えられていた。現在は脱獄し、金の国、銀の国、黒の国のどこにも属していない。緩衝地帯である山の中で、シロと暮らしている。呪われた狼憑きであり、金の国の衛兵に追われているので、人前に出ることを嫌っている。 どうしてもという時は、耳を頭にピンでとめて、髪の中に隠すようにしている。当初は杏に対して、つっけんどんな態度を取り、ボーイッシュな杏が少女ということにも気づかなかった。しかし本来は、困っている人を放っておけない世話焼きな性格をしている。

シロ

ピンク色のストレートな長い髪に、女の子の服を着たうさぎ耳の少年。金の国、銀の国、黒の国のどこにも属していない。緩衝地帯である山の中で、クロと同居している。その正体は銀の国の王子で、好きな格好ができないことを嫌って城から逃げ出した、という経緯がある。王子でいる時は凛々しく男性的な服装を望まれていたが、今はクローゼットにたくさんのかわいい服を持ち、好きなものを着られる生活を楽しんでいる。 素直で社交的な性格で、細かなことにもよく気づき、ボーイッシュな山田杏が少女ということもすぐに見抜いた。杏に一目惚れし、一緒に住まないかと誘うが、断られた後は、杏がもとの世界に帰るための手助けをする気のいい性格。

ピィ

白くふわふわした綿毛のような姿をしているケシーの幼体の1匹。中でもピィは「星持ち」といわれる、いずれ群れを率いるようになる個体。元来のケシーは仲間と群れを作り、山田杏が住んでいた「あちらの世界」とイマーゴを行き来して、イメージの力であるエーテルを集めるはずだが、ピィは現在、群れからはぐれている。 道の真ん中にいたところを助けてくれた杏によく懐き、一緒に行動している。

ケシー

白くふわふわした綿毛のような形をした生き物。普段は群れで生活しており、山田杏が住んでいた「あちらの世界」とイマーゴを行き来して、イメージの力であるエーテルを集めている。人からエーテルを吸うこともあり、エーテルを吸い尽くされた人は意識を失い、最後には姿が消えてしまう。

爺さん

山田杏が住んでいた「あちらの世界」からやって来た、元訪問者の老人。世界を3回行き来した末に、イマーゴに居ついている。気さくで親切な性格で、家に訪れた杏とシロにもよく気遣っていた。自分が元いた世界とイマーゴを繋ぐ扉を作った人物でもあるが、自身は、元いた世界との間に絆がなくなってしまったため、帰ることはできない。 帰りたいと願う杏に、元の世界に通じる扉が銀の国の地下にあることを教える。

銀の国の女王

銀の国を治める女王。銀の城に住んでいる。山田杏がいた「あちらの世界」に通じる扉の鍵を持っている。縦ロールの長髪に、王冠を被ってドレスを着ており、古風な話し方をする。お気に入りだった王子、シロが、自由な服装がしたいからと城を飛び出した後は、国民に「気分屋」と言われるほど、機嫌が悪くなっていた。しかしシロが城に戻ったので、明るく慈悲深い態度となり、杏やクロとも友好的に接する。

父さん

山田杏の父親。杏を男手一つで育てた。ふわりとした短髪に、黒縁の眼鏡をかけている。仕事も家事もこなし、料理もうまいが、杏からは、心配性で口うるさく、鬱陶しいと思われている。再婚したい女性がいると告げると、すぐに杏がいなくなってしまった。そのため、自分の再婚が嫌で家出をしたのではないかと、杏のことを心配していた。物わかりの良い性格で娘を大切に思っており、杏が嫌がるなら再婚はしないと語っている。

場所

イマーゴ

山田杏が、地面に開いた扉から引きこまれてしまった異世界。金の国、銀の国、黒の国の3国があり、それぞれに城がある。ちなみにイマーゴとは、訪問者だった爺さんがそう命名しただけ。多くの住人は自らが住む世界を「こちらの世界」「ここ」などと呼び、明確な名前では呼んでいない。イマーゴではエーテルという力によって、イメージしたものを具現化することができる。 それには個々の能力が影響し、なんでも手に入るというわけではない。

その他キーワード

訪問者

イマーゴ以外の世界からイマーゴにやって来た人物。爺さんが作った扉を通れば、元いた世界に帰ることもできる。しかし、ほとんどの訪問者は、それぞれの世界で嫌なことや辛いことがあってイマーゴにやって来ている場合が多く、元の世界に帰りたいとは思っていない。ちなみにイマーゴから帰還できる訪問者は、元いた世界と自分の心に、強い絆を持つ人物だけである。

エーテル

イマーゴでは特に大切な、イメージをするために必要な力。人は皆このエーテルを持っているが、ケシーに吸い取られるなどしてこれを失うと、自分を失くして、最後には姿かたちも消えてしまう。エーテルが集まった場所を「スポット」と呼び、人間が紛れ込むと、自身が抱える不安が具現化され、惑わされることがある。

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