あらすじ
第1巻
紀元前1400年代。「アメン・ラー」を最高神として崇めるエジプト18王朝の時代。エジプトの王位継承権は正室より生まれた子が持つものの、王位は男性だけが継ぐものであり、女性は王になれないのが当たり前になっていた。正王妃の娘として正当な王位継承権を持っていても、女性であるために王になれない立場にいた王女のシェプストは、女に生まれた事を悔やむ日々を送っていた。そんな中、遠征に出ていた父親のトトメス1世が帰国し、父親を迎えたシェプストは次の遠征に同行させてほしいと申し出るものの、断られてしまう。女に生まれたばかりに王族らしい事ができないシェプストが苦悩する中、彼女の母親でもある正王妃のアハメスが病死する。ミイラとなった母親が眠る王墓を遠くから見つめながら、シェプストはある決意を胸に抱く。後日、しばらく部屋にこもっていたシェプストは、テーベで見かけた踊り子のタビアと再会。タビアを友人として王宮に迎え入れたシェプストは、彼女から女性としての仕草や作法などを学ぶようになる。お転婆だったシェプストは、タビアから学んだ女性らしさを少しずつ身につけていく。こうして、強く気高く自ら運命を切り開こうとするシェプストの奮闘が始まるのだった。
第2巻
トトメス1世の戦死後、トトメス2世は女遊びに明け暮れながら残虐な行為にも走るようになり、王の仕事にまじめに取り組まないようになっていた。トトメス2世は王としてふさわしくないと呆れるシェプストは、若くして書記官となった男性のセンムトと出会う。優れた知恵者というだけでなく、王族にも冷静な態度で接するセンムトに強い興味を持ったシェプストは、彼を呼び出してさまざまな勝負を挑む。センムトはシェプストと接する中で、トトメス2世にはない彼女の優しさや王族らしい気高さがある事を悟り、彼女に忠誠を誓うようになる。その後、トトメス2世は遠征で留守をするようになり、シェプストは彼に代わって神殿建設の視察へと向かう。国のために酷使されて倒れて行く労働者を目にしたシェプストは、国民の現状と自分の無力さを知り、自分は国民のためになにができるのかと思い悩むようになる。センムトの言葉で新たなファラオになる決心をしたシェプストであったが、トトメス2世と取り巻き達は彼女を認めなかった。さらに第2王妃となったソティスもシェプストを追い詰めるようになり、玉座を巡る権力争いは激しさを増していく。
第3巻
センムトが王宮を去ってから3年が経ち、トトメス2世の像も建てられ、王都は大きな権威を持って栄えつつあった。シェプストも政治に積極的に参加するものの、トトメス2世やアメン神官団の一部の神官はそれをよく思わなかった。そんな中、3度目の懐妊を迎えたソティスは産小屋にこもるようになる。ソティスはトトメス2世とのあいだに生まれた子供がいずれも女児であり、王の世継ぎを産めないと自暴自棄になっていた。妊娠している身で不衛生な産小屋で過ごすソティスを見かねたシェプストは、彼女にある取引を持ち掛ける。それはソティスを清潔な部屋に移して出産を助ける代わりに、産まれた子はシェプストが養子として引き取るというものであった。王宮に移ったソティスは男児を産むが、次王となりうるその子を巡り、王族や神官とのあいだでは権力争いが激しさを増していく。シェプストは男児の養母を名乗るものの、トトメス2世はそれを認めず、男児の乳母となった女性を殺害してしまう。この出来事をきっかけにトトメス2世の暴虐さは勢いを増していき、次第にネフェルにも危険が及ぶようになる。シェプストは必死にネフェルを守ろうとするが、トトメス2世達の企てに手を貸していたのは、シェプストが昔から信頼していた人物であった。
第4巻
急死したトトメス2世に代わり、新王「トトメス3世」となったジェフティと、摂政となった皇太后のシェプストによる共同政権が始まった。幼いジェフティに代わり政権を握ったシェプストは、昔からの理想を実現するため、さまざまな改革に挑むようになる。シェプストはかつて栄えていた古都、アヴァリスの再建計画を提案するものの、アメン神官団の同意を得られず苦戦していた。そんなシェプストは、王墓建設に携わる建築家となったセンムトと、数年ぶりに再会する。アヴァリス再建計画は、イネニの後継者となったセンムトに一任される事となった。シェプストがセンムトとの再会に戸惑う中、ジェフティの武術指南役として武将のソベクが配属される。シェプストはソベクからいきなり愛を告げられ、センムトの事が気になっている彼女の心は、大きく揺り動かされるのだった。そんな中、王宮の庭園では夜になると美しい「ぶどう踏みの歌」が聞こえるようになり、その美声の主がタビアであると噂され、彼女は多くの男性から求婚されるようになっていた。まったく身に覚えがなく困っていたタビアは真相を探る中で、使用人のマフこそが歌声の主であったと知る。
第5巻
摂政となった皇太后のシェプストは下エジプトや隣国に積極的に赴き、外政に力を入れるようになる。シェプストは侵略や略奪による支配ではなく、周辺国と交易関係を築き上げる事で平和的に利益を得ようという、新たな理想を掲げていた。だが、女性の摂政をよく思わない者から見下される事も増え、シェプストはさらなる苦悩を重ねる。一方、ソベクと離されて以来、シェプストだけでなく周囲の者に対して疑心暗鬼になっていたジェフティは、イプの紹介でサトイアフと出会う。ジェフティは神のお告げを聞いたサトイアフから、ジェフティ自身が選んだ新たな妃を娶るよう提案される。神のお告げを利用してジェフティをコントロールしようとするイプを警戒するハプスネブは、ジェフティを心配するようになる。そんな中、シェプストはセンメンと共にメンフィスの離宮にて、交易相手となった周辺国からの大使を宴でもてなす。シェプストは大使達に穏便で友好的な交流関係を築こうと持ち掛けるが、女性である彼女を摂政として認める者は少なかった。大使達から見下されていると悟ったシェプストは席を外し、装いを大きく変えて彼らの前に姿を現すのだった。
登場人物・キャラクター
シェプスト
エジプト第18王朝のトトメス1世と王妃アハメスとのあいだに生まれた王女。男勝りな性格で武芸に長けており、異母兄のセティ(トトメス2世)との手合わせにも何度も勝利している。いずれは父親のあとを継いで王になる事を夢見ていたが、周囲に認めてもらえず、正統な王位継承権を持っていても女性では王になれない立場から、女に生まれた事に苦悩する。セティが王になる頃には、成長を重ねて聡明な女性に育つが、男勝りで気高いところは変わっていない。タビアから女性らしい振る舞いや仕草を学び、表向きは気品のある女性のように振る舞うようになるが、幼少期の体験により女性として見下される事を嫌悪している。トトメス2世となったセティと結婚して彼の正王妃となるが、夫となった彼には心も体も許していない。トトメス2世と結婚したのもあくまで父の望みを叶えるためであり、彼の事は王としてふさわしくないと思っている。幼い頃から獣と心を交わす事ができ、昔から飼っているブブと話す事もできる。戦などで遺体を残さず死んだ死者の依り代とした人形を集めて祈りを捧げるなど、敵味方問わず奪われる命を思う、慈悲深い心の持ち主。のちにジェフティの養母となり、幼い彼に代わって摂政として政権を握る。実在の人物、ハトシェプストがモデルとなっている。
トトメス2世 (ととめすにせい)
シェプストの異母兄。本名は「セティ」。幼少期からシェプストとの手合わせには何度も負けており、女性でありながら侮れない力を持つ彼女の事をよく思っていない。成長後は4代目ファラオとして即位し、名前を「トトメス2世」に改め、シェプストと結婚する。父親のトトメス1世からは後継者として期待されているが、女好きで傲慢な性格が災いし、一部の者からは恐れられたり反感を抱かれている。トトメス1世の戦死後は、傲慢で残虐な面がより強く表に出るようになり、王としての仕事にもまじめに取り組んでいない。妻となったシェプストからはまったく信用されておらず不仲気味で、ハレム宮を中心にほかの女性を連れ込んでいる。ハレム宮の女性の中でもソティスの事を特に気に入っていたが、彼女が女児しか産まないのを知った途端、次第に放置するようになる。のちに、ネフェルやシトレを利用してシェプストを貶め、追い詰められた彼女とのあいだに子を設ける。しかし、ジェフティが生まれて間もない頃に、スネルセト達の計略により謎の病で倒れる。心身共に弱り果てて自暴自棄になり、最終的にシェプストに毒を盛られて息を引き取った。実在の人物、トトメス2世がモデルとなっている。
トトメス1世 (ととめすいっせい)
エジプト第18王朝の王。シェプストとトトメス2世の父親。右目に大きな眼帯をしている。元は一介の軍人の出でありながら、戦地で名を馳せて王へのぼりつめた。ほほに大きな傷跡がある力強く勇ましい人物。上下エジプト統一後、さらに国境を南北に広げ、エジプトをさらなる大国に導いた。積極的に遠征して、ヌビアをはじめとする周辺の土地を手に入れる。のちにトトメス2世に王位を継がせてシェプストと結婚させるが、退位後の遠征で赴いたワワトの地で反乱軍の矢を受けて戦死する。実在の人物、トトメス1世がモデルとなっている。
シトレ
幼少期のシェプストを育てていた乳母の女性。お転婆なシェプストには振り回されがちだが、彼女が成長し王妃となったあとも彼女を助け、時おり衝突しながらも見守っている。アハメスからシェプストを任され、重い使命感を抱く一方で、正王妃となってからもトトメス2世とのあいだに子を成そうとしないシェプストとは、次第にすれ違うようになる。
アハメス
トトメス1世の正王妃。シェプストの実母。病気がちで、部屋にこもって療養している。強い娘に育ったシェプストを誇りに思いながら見守っている一方で、彼女が男に生まれなかったのを悔やんでいる事を心配している。シェプストが少女の頃に容態が悪化し、亡くなった。
ブブ
シェプストが幼少期から飼っている鳥。シェプストの能力により、彼女と心を通わせる事ができる。
タビア
幼少期のシェプストが城を抜け出した際に、テーベの街で見かけた踊り子の少女。のちにシェプストの希望で王宮に招かれ、友人となった。その後はシェプストの侍女となり、彼女が女性らしい振る舞いや仕草などを学ぶための教師も務めるようになった。シェプストが王妃となったあとも、たびたび彼女の相談相手になっている。踊りや楽器の演奏が得意で、控えめでおとなしい性格をしている。シェプストの気高さや強さにあこがれを抱きながら、よき理解者として彼女を支えている。実はとても音痴で、歌うのは苦手。
センムト
トトメス1世の死後、王宮に新しく配属された書記官を務める青年。20歳の若さで書記官となり、美男子である事から女性達から注目されている。王族相手でも媚びる事なくつねに冷静で、頭の切れる知恵者。トトメス2世の残虐行為を気に病む中で、シェプストと出会う。シェプストと接する中で彼女の気高さと優しさを知り、次第に忠誠を誓うようになる。のちにシェプストに思いを寄せるようになるが、スネルセトの策略で書記官を辞め、義兄のセンメンにシェプストの側近を任せた。その後は名前を「ウセル」に改めて王墓建設現場に移り、師となったイネニのもとで建築を学ぶ。イネニの死後は彼の後継者として新たな真理の場の長を務め、王墓建設現場の最高責任者となった。しばらくは身分を隠すように生きていたが、ジェフティが即位したあとにシェプストと再会し、古都、アヴァリスの再建計画にも携わるようになる。数年後には正式に王宮に復帰し、ネフェルウラーの教育係となる。天文学を通してネフェルウラーの心を開き、彼女を実の娘のように思いながら大切に育てるようになる。幼少期から星を観測するのが好きで、昔は天文観測官になるのが夢だった。外交から戻ったシェプストに改めて思いを告げ、感謝と忠誠の証として彼女の立派な王墓を建てる事を誓う。
センメン
センムトの義兄。書記官を辞めたセンムトの代わりに、書記官として配属された。幼少期から飲み込みが早く、好奇心旺盛な義弟のセンムトには振り回されがち。また、幼少期から優れたセンムトよりも劣っている事から、まったく自信が持てずにいる。少々気弱で頼りないながらも、書記官としてシェプストを支えている。
ソティス
トトメス2世の側室の女性。第2王妃。元はイシス神殿の下級神官だったが、トトメス2世に気に入られて第2王妃となった。一見艶やかな女性だが図々しい言動が多く、色香で男性を惑わして利用するなど、その内には醜悪な野心を秘めている。ハレム宮で暮らす女性達を裏で支配しており、トトメス2世との子を身籠った女性を取り巻き達に暗殺させるなど、残虐な行為で自分の立場を守ろうとしている。悪事を知ったシェプストによって一時投獄されるものの、アメン神官団の力を借りてすぐに牢を出た。トトメス2世の正室であるシェプストに対しては、妬みや羨望のような複雑な感情を抱いている。のちにトトメス2世との子を身籠るが、いずれも女児であったため、王の世継ぎが産めないと自暴自棄になり、三人目の子を身籠ったまま産小屋で不摂生な生活をしていた。見かねたシェプストによって保護され、生まれた子を養子としてシェプストに預ける条件で王宮に移る。その後、シェプストの助けを借りながらジェフティを産んだ。
スネルセト
アメン神官団の神官を務める男性。トトメス2世の腹心。自分の立場や権力を守るためにトトメス2世に媚びを売り、周囲を利用しようとする醜悪な性格。トトメス2世と敵対しがちなシェプストの事はよく思っておらず、嫌味を吐いたり、彼女の邪魔をする事が多い。一時期はソティスともつながっていたが、彼女が女児しか産まないまま衰えていくのを知った途端に切り捨てた。密かに医者と手を組み、暴君となっていくトトメス2世を毒でじわじわ弱らせて、暗殺する計画を企てていた。トトメス2世の死後は、ジェフティに目を付けるようになる。
ハプスネブ
アメン神官団の神官を務める男性。トトメス2世とは異なり、国を思って行動しているシェプストには一目置いている。つねに明るく笑顔でいる事が多いため、なにを考えているかわからない面もあるが、さまざまな助言を与えてシェプストに力を貸し、彼女からも信頼されている。シェプストが摂政となったあとはアメン神官団を離れて王宮に移り、彼女に仕えながらジェフティの成長を見守るようになる。
イネニ
王家の谷の王墓建設現場の最高責任者を任された建築家の男性。トトメス1世、トトメス2世の王墓建設の総指揮を務めた。王墓建設に携わる労働者達の住まう真理の場の長でもある。王宮を追われて建設現場に配属されたセンムトの師となる。建築家として優れた知識と技を持つ老人で、弟子のセンムトにすべてを教えたあと、真理の場の長を任せて亡くなった。
ネフェル
シェプストの妹。純粋で素直な性格の可憐な少女で、運命の出会いや恋愛にあこがれを抱いている。のちにシェプストの頼みで、隣国ミタンニの王子、ワディと政略結婚する事になる。恋愛結婚を望んでいたため当初は乗り気ではなかったが、ワディとは自然に意気投合し、なかよくなった。
ワディ
エジプトの隣国ミタンニの王子。年齢は13歳で、控えめな性格。自分が妾の子である事を気にしている。父親と共にエジプトを訪問した際にネフェルと出会い、彼女の素直な性格に惹かれてなかよくなる。
ジェフティ
トトメス2世とソティスのあいだに生まれた男児。ネフェルウラーの異母兄。ソティスの出産を助けたシェプストが養母となり、実母のソティスとは離れるものの、王宮で健やかに育った。次期王候補であるためスネルセトなどに早くから目を付けられており、成長と共に権力争いに巻きこまれていく。3歳の頃に父親のトトメス2世が急逝し、彼に代わって新たなファラオ「トトメス3世」として即位した。のちにソベクから武術の修行を受けながら、少年王としてたくましく成長していく。摂政となったシェプストが政治の実権を得たため、公務や政治にあまりかかわれない事に不満を覚え、少しずつシェプストに反抗するようになる。稽古相手となったケティとの稽古中に事故で左目を負傷し、黒い眼帯をつけるようになる。ソベクが教育係から下されたのをきっかけにシェプストとすれ違うようになり、シェプストだけでなく周囲の者に対し疑心暗鬼になる中、イプの紹介でサトイアフと出会う。古代エジプトに実在した人物、トトメス3世がモデルとなっている。
ソベク
アメン神官団のアメン師団で中将を務める青年。ジェフティの武術指南役となる。シェプストに思いを寄せており、彼女と出会ってすぐに思いを告げる。アメン神官団の差し金としてシェプストから警戒されていたが、ソベク自身は差し金のつもりはなく、アメン神官団とシェプストの架け橋になろうとしている。シェプストに対してはやや妄信的な言動が多く、彼女をよく翻弄させている。武人としての実力は高く、ジェフティからも信頼されていたが、ケティの処罰をジェフティに直接させて幼いケティを死なせた事件をきっかけに、シェプストの信頼を失う。ジェフティがトトメス2世のような暴虐な王に育つ事を恐れたシェプストにより、教育係から下ろされる。職を失ったあとは統一王国クシュとの国境地帯で警備を務め、エジプト最南端の地を守る将軍となり、外交に来ていたシェプストと再会する。
マフ
王宮で使用人をしている農家出身の青年。生まれつき体軀の小さい矮人で、幼児のような見た目をしている。歌が得意で、女性のような美しく高い声を出せる。王宮でタビアと知り合い、彼女に歌を教えた。ぶどうの収穫時に故郷で歌われてきた「ぶどう踏みの歌」が大好きで、夜には庭園でこっそり歌っていた。人前で歌うのは避けていたが、王宮の宴で歌声を披露した際にシェプストに気に入られ、彼女の希望により庭園などでも歌うようになる。
ネフェルウラー
シェプストとトトメス2世のあいだに生まれた女児。ジェフティの異母妹。母親のシェプストとはほとんど会わず、ふだんはハレム宮で過ごしている。おとなしく人見知りな性格で、特に大人の男性には慣れていない。勉強や運動は苦手だが、星を眺めるのが好き。王宮に復帰して教育係となったセンムトに教わるようになってからは天文学に興味を持ち、天文観測官を目指すようになる。
ケティ
ヌビア傭兵隊長の息子。シェプストによってジェフティの稽古相手となる。幼いジェフティと同年代の少年で、稽古を重ねる内に彼となかよくなった。しかし稽古中の事故でジェフティの目を傷つけてしまい、ジェフティの手で罪人として処罰され、命を落とす。
イプ
ジェフティを赤ん坊の頃から育てて来た乳母。ソベクと離れて以来、周囲の者を信用せず、荒(すさ)みがちになったジェフティに巫女のサトイアフを紹介する。一見優しくおだやかな女性だが野心を秘めており、サトイアフを通してジェフティに新たな縁談を持ち込み、利用しようとしている。
サトイアフ
女神イシスの巫女。乳母のイプがジェフティに紹介した。女神のお告げを聞いて人に伝える事ができる神秘的な女性。周囲の人間を信じられなくなったジェフティに神のお告げを伝え、アメン神官団やシェプストからの紹介ではない、新たな妃を娶るよう提案する。
集団・組織
アメン神官団 (あめんしんかんだん)
エジプトの神官団。軍神「アメン・ラー」を最高神として崇める。王族に次ぐ強大な権力を持ち、祭事や儀式だけでなく、王に代わって公務にかかわる事もある。スネルセトのように権力争いのために周囲を利用したり、王族の力を削(そ)いで神官による国の支配を目論む者も多く、シェプストとは対立しがち。
場所
真理の場 (しんりのば)
王墓建設現場の労働者達が生活している特別な村。別名「ディル・エル・メディナ」。作業場から往復2時間かかる距離にあり、王墓建設に関する機密事項を守るために、外界からは隔離されている。イネニが長を務めていたが、彼の死後はセンムトが長となった。
ハレム宮 (はれむきゅう)
王の妾をはじめ、王家にかかわる女性達が住まう特別な砦。シェプストの幼少期からの女友達も多く住んでいる。ソティスがトトメス2世の第2王妃となったあとは、彼女が女性達を従えて支配するようになり、不穏な空気が漂っている。
アヴァリス
かつてアジアからの異民族、ヒクソスによって支配されていた下エジプトの古都。シェプストの祖先である王族が奪い返し、エジプト領となって多くの神殿が建設され、通商の都市としても栄えていた。シェプストの先祖達が勇敢に戦った土地であったが、現在では神殿や神像をはじめとする建造物は荒れ果て、大半は農地となっている。シェプストによって再建計画が建てられ、壊れた神殿などの再生はセンムトに一任された。