神武

神武

ナムジ(大国主命)の息子ツノミ(賀茂健角身命)がイワレヒコ(神武)に仕え、大和王朝の礎を作るまでを描いた歴史ファンタジー漫画。『ナムジ』の続篇にあたる作品。

正式名称
神武
ふりがな
じんむ
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

ナムジの息子ツノミは沖ノ島で育ったが、邪馬台国の軍に侵略され、於投馬(いずも)へ連れて行かれる。於投馬の相続権を持つ弟のツノミは王にしたてられるが、何かと諍いを起こすツノミは命を狙われ、大和へと逃がれた。叔父オオドシのもとで成長したツノミは、その後、邪馬台国へ向かい、ヒミコの孫・イワレヒコに仕え、彼を大和の王に迎えるべく動き始める。

登場人物・キャラクター

ツノミ

ナムジとタギリの長子。沖ノ島で育つ。父ナムジが隠れて後、相続権を持つ弟ツヌヒコと共に於投馬(いずも)に連行されるが、命を狙われ、叔父オオドシの治める大和に逃れた。その後、邪馬台国の皇子イワレヒコに仕え、オオドシの死後、彼の娘ミトシの婿にイワレヒコを迎えるよう尽力する。 日本神話の複数の神、加茂建角身命(カモツヌミノミコト)、八咫烏(ヤタガラス)、阿遅鉏高日子根尊(アヂスキタカヒコネノミコト)がモデルとなっている。

イワレヒコ

ヒミコの孫で邪馬台国(やまとこく)の皇子。聡明で、人の和を尊ぶ気質を持つ。幼少の頃、邪馬台国とクマソの争いを収めたことが縁となり、ツノミが臣下として仕えるようになった。日向(ひむか)の皇子として成人し、クマソ族長の娘アビラツヒメと結婚した。しかし、大和纒向(まきむく)のオオドシの娘ミトシとの婚姻がもちあがり、アビラツヒメを置いて東国へと向かう。 婚姻に反対するミトシの祖父ナガスネヒコとの戦いをへて纒向に入ったイワレヒコは、ツノミらに支えられ、大和の王となる。天皇家の祖・神武天皇がモデルとなった人物。

タギリ

ナムジの妻でツノミの母。邪馬台国の女王ヒミコを母とする。沖ノ島でツノミら3人の子供を育てたが、夫のナムジが隠れて後は、末子ツヌヒコの後見として於投馬(いずも)に住んだ。日本神話の女神で宗像三女神の多紀理毘売命(タキリビメ)がモデル。

ツヌヒコ

ツノミの弟。成長後も言葉を発せぬ子供だったが、邪馬台国(やまとこく)ヒミコの策謀で、於投馬(いずも)の王とされた。言葉を発しない身ながら、オオドシの霊言を受け、ツノミを大和纒向(まきむく)に向かわせた。後、釣りに出かけて水死してしまう。日本神話の神・言代主命(コトシロヌシノミコト)がモデル。

テルヒメ

ナムジとタギリの娘。ツノミの妹。母タギリと共に、於投馬(いずも)の王となったツヌヒコと暮らす。邪馬台国(やまとこく)より派遣された夷守(ひなもり)若日子と結婚したが、サルタヒコの謀略により夫を殺害されてしまう。

オオドシ

スサノオの三男。ツノミの叔父。大和纒向(まきむく)を統治する。於投馬(いずも)に居づらくなったツノミをツヌヒコを通した霊言で大和に呼び寄せ、保護した。すぐれた見識を持つ王としてよく国を統治し、邪馬台国のヒミコも彼を競争相手として最も恐れていた。 日本神話の神饒速日命(ニギハヤノミコト)がモデル。

ミトシ

オオドシの娘。ナガスネヒコの姪。幼少の頃よりツノミに想いを寄せていたが、大和纒向(まきむく)の国の後継者として邪馬台国(やまとこく)の皇子イワレヒコを婿とした。イワレヒコとの間に子供をもうけたが、ツノミへの想いは断ち切れず、その後彼の元に身を寄せた。

ナガスネヒコ

。大和の豪族で武人。アビヒコの弟でミトシの叔父。イワレヒコとミトシの婚姻に反対し、軍勢を率いて、イワレヒコ一行を襲撃した。古事記に登場する大和の豪族那賀須泥毘古(ナガスネヒコ)がモデル。

アビヒコ

元大和の族長。ナガスネヒコの兄でミトシの叔父。占いと薬の製造に長けている。イワレヒコが大和纒向に婿入りすると、重傷のナガスネヒコを連れ、船に乗って、いずこかへ姿を消した。

タニグク

沖の島から従うツノミの古くからの家臣。元々はツノミの父ナムジの部下だった。ツノミの無茶に何度も付き合うが、イワレヒコの婿入りを勧めにいった際、クマソに襲われ、そのケガがもとで命を落とした。古事記に登場するヒキガエルの神・多邇具久(タニググ)がモデル。

ヒミコ

邪馬台国(やまとこく)の女王にして巫女。イクツヒコ、クスヒ、タギリらの母。ツノミ、ツヌヒコ、テルヒメ、イワレヒコらの祖母。高みから人を照らす大巫女として君臨していたが、ナムジを使って於投馬(いずも)を支配しようとしたあたりから、現世の力に固執し始める。 以来、我執に囚われ、老い始めた。イワレヒコを大和纒向(まきむく)に婿に出すことを積極的に受け入れた。魏志倭人伝に伝えられる卑弥呼(ヒミコ)と日本神話の大神・天照大神(アマテラスオオミカミ)をモデルとする。

イタケル

スサノオの二男。オオドシの兄、ツノミの叔父。怪力の老人で大男。於投馬(いずも)熊野山一帯の草木の種を全国に植えて回っている。邪馬台国(やまとこく)とクマソの戦いでは、幼きイワレヒコを戦場に連れて行き、戦争をやめさせた。日本神話の神・五十猛神(いそたける)をモデルとした人物。

ワカヒコ

ヒミコの命で邪馬台国(やまとこく)から於投馬(いずも)に派遣された夷守(ひなもり)。サルタヒコの副官。ツノミと瓜二つの容貌をしている。ツノミの妹テルヒメと結婚したが、於投馬に積極的にとけ込み、よい政治を行おうとしたがゆえに謀殺されてしまった。報を受けて駆けつけたツノミだったが、顔かたちが似ていることから、ワカヒコが生き返ったと勘違いされ、人々に取り囲まれてしまう。 ワカヒコが殺されたことに納得のいかないツノミは、その喪屋を剣で破壊し、遺骸を抱きしめて復讐を誓った。日本神話に登場する天若日子(アメノワカヒコ)をモデルとした人物。

ウマシマチ

オオドシの息子。ミトシの兄。オオドシの死後、ツノミの考えに同調し、邪馬台国からイワレヒコを妹ミトシの婿として受け入れようとする。保身に走りやすい日和見的な人物で、ツノミとミトシの間に子ができたことで、ツノミの影響力が増すことを恐れ、排除しようと謀略をめぐらす。 古事記に登場する物部氏の祖・宇摩志麻遅命(ウマシマジノミコト)をモデルとした人物。

兄ウカシ (えうかし)

宇陀山の洞穴に棲む部族・土蜘蛛の族長。大和纒向(まきむく)に入ろうとしたツノミとイワレヒコに表向きでは協力を約束し、罠にかけて殺そうとする。しかし、ツノミとの縁でイワレヒコ側についた弟ウカシによって谷に落とされ、死亡する。古事記の登場人物・宇陀の兄宇迦斯(エウカシ)をモデルとした人物。

弟ウカシ (おとうかし)

宇陀山の洞穴に棲む部族・土蜘蛛の族長・兄ウカシ(えうかし)の弟。ツノミと大イノシシのタテガミをとる勝負を行い、敗れた。以来、ツノミのことを認め、気に入っている。後、宇陀と吉野の山人を集めて、イワレヒコとツノミの大和纒向(まきむく)入りを援助する。 古事記の登場人物・宇陀の弟宇迦斯(オトウカシ)をモデルとした人物。

ナムジ

ツノミ、テルヒメ、ツヌヒコの父。タギリの夫。前・於投馬王(いずもおう)。沖ノ島を本拠にムナカタ海人族を率い、於投馬の追手と十余年に渡って戦い続けていたが、邪馬台国(やまとのくに)の大軍を前にして、忽然と海の中に消え去った。その際、「生きて根の国に棲み、幽界に棲む!」と言い残した。

イセポ

窮地に陥ったツノミを度々助けた少女の霊。稲羽に生を受けた少女で、その名はウサギを意味する。ツノミの父親ナムジとも深い因縁を持つ。古事記に登場する因幡の白兎を元に創作された人物。

前作

ナムジ

2世紀後半の日本。後に大国主命と呼ばれるナムジが底辺からのし上がり、国造りに邁進するが、やがて倭国の覇権をめぐる戦いに巻き込まれていく生涯を描いた歴史ファンタジー漫画。古事記や日本書紀を題材にした作品... 関連ページ:ナムジ

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