空の帝国

急死した特殊能力を持った帝王イデアのクローン・ローズは様々な葛藤や思いを抱きながら、もう一人のイデアのクローン・イデムと争う。その陰謀の背後にはイデアに対する複雑な感情があった。イデア本人も死んでおらず、ラストに一度は甦る。

概要・あらすじ

初めて世界を統一した帝王イデアが数年で死去し、世界は再び騒乱の時代に突入した。額に薔薇のようなアザのある少年ローズイデアのクローンで、失敗作として処分されかけた。だが、イデアの力があることが判明し王宮に。実は、王宮にあったイデアの遺体が盗まれ、クローン作成ができなくなっていたためローズは重要な存在となっていた。

盗んだのはイデアの狂信者で、その後、怪盗キッドに盗まれ右目に売られる。その右目が新たなクローンのイデムを制作。イデムローズを倒し、王宮の主となる。右目を援助するエンデという国のヒンメル王が加わり、ローズイデムの戦いは激しくなる。イデム右目から自由になるためローズと手を組んだが力尽き死亡。

ローズは復活したイデアから、すべてをまかされる。

登場人物・キャラクター

ローズ

額にバラの形のアザがある少年。2月29日生まれで、見かけは16歳くらい。実際は誕生後1年くらい。膨大な文書を一読しただけで記憶・理解したり、念動力を使えたりなど、不安定ながら強大な力を持つ。英理の研究をそっくり使ってダストに作られたイデアのクローン人間。失敗作として処分されるところを逃げ出し、怪我で行き倒れていたところをリリカに保護される。 王宮に連れ戻され、イデアとして扱われた。自分の存在を否定されることになるため、イデアと呼ばれることを嫌った。イデアがリリカを好きだったことを知り、その気持ちもクローンなのかと悩む。その後、右目の連れてきたイデムに敗れて王宮から投げ出されたが、伯爵に助けられ、伯爵が守っていたイデアの力を手に入れた。 イデムとの戦いで死にかけたこともあるが、イデアの力を発揮して生還。イデムから協力して世界を統べることを提案される。イデムを看取るとき、自分の兄弟だったから何をされても憎めなかったと伝える。自らイデアの姿を見ることを決意。 柩の中のイデアを見てクローンであることを実感し、うちひしがれる。だがイデアが目覚め、イデムの再生を願うとかなえられてしまう。その代わりにイデアから託された願いは「君に全てをまかせる」。そして、国王に即位する。

リリカ

黒い瞳に黒い髪の短い縦ロールを頭の左右で赤いリボンで結んだ女の子。肘まである長い手袋を外さない。捨て子だったため、自分の出自のてがかりになるかも知れない幼いころからの腕の傷を消すことはできず、それを隠すための手袋。チャイナ風のミニのワンピース姿が多い。3月3日生まれの16歳。ディスオーダ出身。 荒くれ者のアイドルだが、鞭を持つと圧倒的に強く、「猛獣使い」の異名とともに恐れられている。一緒に暮らしていた黒ヒョウを失ったとき英里に声をかけられ、同居するようになった。イデアに好意を抱かれているが、好かれる心当たりがなく戸惑っている。行き倒れていた自分の名前が分からなかったローズを拾い、額のアザからローズと名付けた。 それを切っ掛けにローズと英里とともにイデアを巡って冒険。英里が好きだが、それを承知でアタックしてくるローズも嫌いではない。

英里 (えいり)

右目にメガネのような端末をつけている紫色の瞳の少年。この右目は義眼。11月10日生まれの18歳。ジオリア出身。イデアの親友でもある。3歳でASと呼ばれるエリート養成機関に預けられ、10歳までに医学と言語学の博士号を取得。遺伝子工学のルービック・リッジウェイ博士の養子になる。 この頃、イデアと知り合った。最初は大嫌いだったという。イデアに協力して世界を統一。王宮出入りの科学者だが、王宮とは距離を置いている。イデア暗殺未遂事件で恋人を失い、自らも失明した助手・右目に請われ右目を移植した。自分はクローニングに向かない体質のため、再生を行わず義眼を使っている。 リリカはイデアの想い人なので保護したが、特別な感情はないらしい。イデアの死後、イデアから指示されたクローン研究を含め、その復活の研究をしている。リリカが拾ってきたローズを保護し、その出自を明らかにした。イデムの登場でイデアのクローンの片方だけの味方はできないと言いつつ、ローズを助けてイデア復活を目論む。 復活したイデアからクローンの成功を感謝される。意図的にイデアと完全に同じでないクローンとして作ったローズは、イデアの理想の姿だった。

イデア

16歳という若さで死んだ、初めて世界を統一した帝王。動物たちを自在に操り、数百の鳥を従えるという。10歳のときに英里と知り合い、一時姿を消したが13歳で再会。2人で協力して世界を統一し、たちまち巨大な帝国を作り上げた。お忍びでディスオーダを視察したとき、リリカと出会い恋したという。統治数年で急死したが、死因は不明。 英里には自分は死なないと言っていた。復活して同じ存在はいてはいけない、とローズと戦い圧倒。だが、それはローズの力の確認するためであった。ローズの願い、イデムを復活させると、自分の願いとしてローズにすべてを託す。「世界は遊び場の延長でしかなく、生き返らせることができるから、殺すこともなんとも思えない」という。 すべてをかなえる力を持つが、自らの「望み」は何もっていなかった。

イリヤ

目付きの鋭い青年。いつも黒づくめのスーツを着ている。12月31日生まれの27歳。以前はイデアの秘書官だったが、ローズが王宮に来てからは世話係。イデアのためには生命を捨てる覚悟もある。そうした狂信者グループの一員で、最初にイデアの遺体を盗んだ犯人。イデアは唯一なので、ローズの存在は認めたくないが、一方でイデアと同じ姿なので疎かにはできないという葛藤があった。 次第にローズを受け入れる。基本的に世話好き。ローズからイデアと呼ぶことを禁止されている。

キッド

右頬に3本の傷のある身長2mの大男。8月1日生まれの22歳。神出鬼没のよく知られる空賊で、イデアも手を焼いていたという。実は頬の傷はイデアに決闘でつけられたもの。前に立っただけで圧倒されたが、いつかは超えたいと思い慕っていた。イリヤの次にイデアの遺体を盗み、右目に売却した。弱いイデアであるローズには不満があったが、イデアを超えると言ったことで気に入る。 恋人のアヤ子にぞっこん。

右目 (みぎめ)

腰まで届く長い黒髪の男。7月7日生まれの23歳。元王宮の科学者で英里の右腕だったが、現在はヒンメルと行動を共にしている。世話役としてアイリーンという少女がいる。幼馴染みで婚約者だったサラとの結婚の一ヶ月前にイデア暗殺未遂事件が発生し、警護役になっていたサラが死亡。 この事件で失明した両目をクローンで再生せず、英里の右目をもらった。サラがイデアに憧れていて、イデアを見る英里の目がきれいだと言っていたことなどが理由。イデアへの恨みが深まり、イデアの望まなかった世界を作るためにイデムを作った。サラのクローンを作らなかったのは、同じ人間にならないことを知っていたためだとイデムに指摘され誤りを自覚。 イデムの最期に「おまえはイデアじゃない」と告げる。イデム再生後は父親代わりとなっている。アイリーンともいい仲になっているらしい。

イデム

ディスオーダで右目に作られたイデアのクローン。5月31日生まれで外見は16歳くらい。英里の研究を下敷きに薬物などでイデアの力を増幅していて、それなりに使うことができる。イデムはラテン語で「同じ、同一人物」で、右目が命名。右目を慕っていて、右目のためならなんでもする。 右目に連れられて王宮に現れ、ローズと戦って勝利。イデアの王冠を手に入れて即位する。ローズの存在はイデアが2人いることになるので恐れていたが、どんな計画からも生還されたため手を組むことを提案。新たなイデアのクローンを作らせないため右目の暗殺を図るが、ローズに反対され、無理がたたって能力を使えなくなり、ヒンメルの手下に誤射されて死ぬ。 右目がイデアを憎み、そのイデアになるように作られたことを自覚していた。イデアに近づくほど嫌われていくが、そうせざるを得なかった。復活したイデアにより再生されたが、本来の年齢として幼児にされる。右目に育てられている。

ダスト

背中まである天然パーマのふわふわ髪の男。英里の同級生で、王宮の科学者になったが、天才の英里には及ばないレベル。英里が王宮を出てからも、王宮で研究を続けている。英里に反対されていたが、その研究をコピーしてイデアのクローンを何人か作った。当初の目論見通りにできず、失敗作として処分したが、そのうちの一人が逃亡してローズとなった。 実はこの時点で英里はクローンがイデアと違う人間になるように作っていた。いくら天才でも実行しなければ意味がない、と英里に対抗している。

伯爵 (はくしゃく)

腰まである長い銀髪を奥襟のあたりでリボンで縛っている男性。長命な体質でイデアと同様の悩みを共有していた友人。ただし、特別な能力はない。森の奥の屋敷に妖精のキリーとキアラと一緒に住んでいる。屋敷は地下迷路の入り口で、迷路の奥にはイデアの遺産が眠っている。イデムに敗れて王宮から放り出されて川に流されたローズを拾った。 イデアからは自分でないイデアがやってくると予言されていたので、ローズに地下迷路を試させる。その後ローズたちと行動を共にする。「白髪」がなまって「伯爵」と呼ばれるようになった。

キリーとキアラ

『空の帝国』のキャラクター。ほぼ人間と同じサイズで背中に羽がある妖精。3月21日生まれの10歳。人工的に作られたもので、愛玩動物のように扱われていたところを、伯爵が保護した。伯爵の予想外にイタズラ好きでたくましい性格。人間を殺すことをなんとも思っていないので、同席している人間に不安を感じるとまず先に殺してしまう。 ストレートヘアで透明なトンボの羽が、気の強いキリー。少しカールした髪の白い蝶の羽が、おっとりしているキアラ。おそろいのリボンをしているが、自分たちでは結べず伯爵に結んでもらっている。二人とも伯爵が大好き。

ヒンメル

短い髪で眉も短い男性。6月6日生まれの24歳。砂漠の中にある隣国エンデの王。派手好みで豪華な服を常用している。オネエ言葉でしゃべる。右目の援助をしてイデムの即位をバックアップ。大臣職に就いた。イデアの力を利用しようと考えているが、イデアと直接争う気はない。

ブラッディ

褐色の肌をしたアンドロイド。肌は顔だけで、手は銀色。4年前の6月30日製造で見た目は20歳くらい。人間に対する服従機能を持たず、人を殺すために作られたらしい。装甲は硬く、拳銃程度では傷もつかない。イデムが右目を通してしか動かないためヒンメルがローズへの対抗用に呼び寄せたプロの殺し屋。 誤って少女を殺したことがあり、自分の力が強すぎると悩んでいる。ローズが強すぎる力をどう使うのか、興味を持っている。

ルービック・リッジウェイ (るーびっくりっじうぇい)

ぼさぼさの真っ白な頭髪・眉・鬚の老人。目も隠れている。12月3日生まれの90歳。エリート養成所のASで研究をし尽くした英里が興味を持ち、助手になろうとした遺伝子工学の教授。10歳の子供を助手にはできないと英里を養子に迎えた。絶滅動物の遺伝子を抽出し、クローンで増殖する研究をしていた。 他の研究員と衝突した英里に研究室の出入りを禁止し、遊ぶことを課題として与えた。このとき英里はイデアと知り合う。泥だらけで帰ってきた英里に研究室への出入りを許可。その後、体調を崩し英里の治療の甲斐もなく死去。研究は英里が引き継いだ。顔がそっくりな愛犬のアインシュタインは博士だけに懐いたが、博士の死後は英里だけに懐いた。

ミア

背中まである髪を奥襟のあたりでリボンで結んでいる少女。2月13日生まれの16歳。イデムが王宮に入ったとき、それまでの使用人を反乱防止に閉じ込めたため、強引に集められた王宮の使用人。おとなしくポーッとしているうっかり屋さん。王宮に来てすぐ、イデムにかばってもらったことがあり、イデムに恋している。 イデムが幼児として再生されてからも、早く大人になってお嫁にして欲しいと語りかけている。

ベリル

黒髪の少年。伸びた髪を後ろで縛っている。14歳。エメラルドの谷の住人で、村のリーダー格の父ダリルに憧れている。ローズが乗っていたキッドの船をブラッディに襲われ、誤ってエメラルドの谷に落ちたところを保護した。正体を明かそうとしないローズを怪しむが、ダリルに気にいられたのが納得できなかった。 ヒンメルに村が襲われ、ローズをかばってダリルが行方不明になったため、ローズを逆恨みする。ローズをヒンメルに売り渡したが、帰り際に衛兵が情報料を強奪しようとしていたことにローズが気づく。ローズにかばわれたことからヒンメルに人質にとられローズを脅す材料にされる。 ローズがヒンメルの出した条件を満たしたため解放され、父の評価が正しいことに感動。その後、ダリルは生還した。

場所

エメラルドの谷 (えめらるどのたに)

炭鉱の村だったが、エメラルドが産出すると判明。エメラルドは掘り尽くされたが、最後に出た巨大なエメラルドが遺伝子操作で生まれた竜に飲み込まれたと伝えられる。現在でもその竜を狙ってハンターがやってくる。ただ、住み着いている遺伝子操作の成れの果ての怪物は次第に強大になっている。

ディスオーダ

無秩序の町。イデアが世界征服をなし遂げたときも、この地には力が及ばなかったという闇が支配する場所。リリカが育った町で、右目が潜んでイデムを作っていた。

ジオリア

イデアが作った帝国の王都。中心に王宮があり、近代的なビルも建ち並んでいる。

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