あらすじ
第1巻
成績優秀で容姿端麗な篠崎姫乃は、厳格な父親から「交際をするならば結婚前提であるべき」と言われてきたことから、学生であるうちは恋愛はしないと決めている。そんなある日、姫乃は丸山和樹から告白を受ける。和樹は学年でトップの成績を誇り、さらに整ったルックスながら、変人として有名な人物だった。和樹は友達の多々良真から、そろそろ女性経験をしてはどうかと熱弁され、学校内で唯一顔と名前が一致する姫乃に告白をしたのだと正直に打ち明ける。1か月だけでいいから交際しようと提案する和樹に対して、姫乃はほかの女子生徒に迷惑をかけてはいけないと考え、その申し出を受け入れる。そして姫乃はこの1か月で、和樹を常識的な人間に矯正しようと決意する。(第1話「男女交際に恋心は必要か?」。ほか、10エピソード収録)
第2巻
ある日の放課後、なんの確認もせず突然キスをしてきた丸山和樹に対して、篠崎姫乃は大いに動揺する。とりあえず姫乃は彼を避けるようになるが、同時にこのままでは和樹を常識的な人間に矯正することができないまま、交際期間が終わってしまうと頭を悩ませる。そんな姫乃に親友の御厨奏は、周囲のことなど気にせず、自分の好きにしたらいいとアドバイスを送る。(第12話「揺らぎ」。ほか、10エピソード収録)
登場人物・キャラクター
篠崎 姫乃 (しのざき ひめの)
高校3年生の女子。年齢は18歳。成績は学年2位と非常に優秀で、文系科目が得意。成績優秀なうえに容姿端麗で非常にモテる。一方で生真面目で融通が利かない性格から、時には周囲に冷淡な印象を与え、一部の生徒からは裏で「氷姫」と呼ばれている。高校2年生までのあいだに告白してきた男子生徒のことをほとんどふってしまったため、3年生になってからは平和な日々を過ごしていた。篠崎姫乃自身は恋愛に興味がないわけではないが、父親から「交際をするならば結婚前提であるべき」と言われており、学生である自分にはまだ結婚は早いと考えている。しかし、とりあえず女性経験をしてみたいと思っている丸山和樹からでたらめな告白を受け、彼がほかの女子生徒に被害を与えてはいけないと、1か月間限定で交際をスタートさせる。そのあいだに和樹を常識的な人間に矯正する予定だったがうまくいかず、大いに振り回されてしまう。姉の篠崎妃や親しい友達からは「姫ちゃん」、多々良真からは「姫っち」と呼ばれている。
丸山 和樹 (まるやま かずき)
高校3年生の男子。年齢は17歳。篠崎姫乃とは別のクラスに在籍している。学年トップの成績を誇り、理系科目が得意。喜怒哀楽を表情に出すことなく、感情の起伏がほとんどない。クラスメイトからはロボットのようだと評され、「メカ山」と呼ばれている。成績優秀で容姿端麗ながら、一般常識やデリカシーに欠けており、モテるタイプではない。多々良真から、そろそろ女性経験をしたほうがいいと熱弁され、学校内で唯一顔と名前が一致する姫乃に告白する。その際、丸山和樹自身の女性経験のために告白したことや、姫乃に特別な感情を持ってないことも正直に伝えている。それを受けて姫乃が、ほかの女子に被害が及ばないようにと危機感を抱いたことで、でたらめな告白ながらも受け入れられ、以降は1か月間限定で交際をスタートさせる。
御厨 奏 (みくりや かなで)
高校2年生の女子。篠崎姫乃と同じクラスに在籍している親友。マイペースな明るい性格で、姫乃と丸山和樹が交際していることをおもしろがっている節がある。二人を尾行することもあり、その際に出会った多々良真と親しくなる。幼い頃から御厨奏自身となかよくしてくれている姫乃に対して、言葉には出さないものの感謝しており、誰よりも幸せになって欲しいと願っている。真からは「カナッペ」と呼ばれている。
多々良 真 (たたら まこと)
高校3年生の男子。篠崎姫乃とは別のクラスに在籍しており、丸山和樹のクラスメイト。容姿端麗で学年10位に入るほど優秀なことから、女子生徒たちからはまるで王子様のようだと、特別扱いされている。表向きは社交的で明るい性格の持ち主だが、実は何ごとにも臆病で慎重なタイプ。自分に集まってくる女子生徒と軽いノリで接しているが、本当は何を話していいのかわからず終始緊張している。感情の起伏がほとんどない和樹といっしょにいるのが心地よく、何かと行動を共にしている。和樹に対して「そろそろ女性経験をしてみるべきだ」と上から目線のアドバイスを送ったが、多々良真自身も交際したことがなく、ただ見栄を張っただけ。しかし、和樹が姫乃と交際をスタートさせたことで、和樹を取られるのではないかと不安を抱くようになる。和樹を尾行した際に出会った御厨奏と親しくなり、情報交換をしている。
成宮 (なるみや)
高校2年生の女子。篠崎姫乃と同じクラスに在籍している。小麦色の肌をしたいわゆるギャルだが、なぜかまじめなタイプの姫乃とウマが合い、なかよくしている。姫乃が変人の丸山和樹と交際を開始したことを知り、姫乃が傷つくのではないかと心配している。
篠崎 妃 (しのざき きさき)
篠崎姫乃の姉。年齢は28歳。厳格な父親と反りが合わず、家を出て一人暮らしをしているが、たびたび実家に帰っている。生真面目な姫乃とは正反対の性格の持ち主で、何ごとにもノリが軽く適当な性格の自由人。惚れっぽいことから恋愛経験も豊富だが、いつもふられてばかりいる。姫乃のことを溺愛しているものの、彼女からは軽くあしらわれている。姫乃と丸山和樹の交際を知ってからは興味津々で、和樹に対して何かとちょっかいを出す。
丸山 和泉 (まるやま かずみ)
丸山和樹の妹で、丸山大和の姉。和樹のことが大好きで、相手にされたい一心で髪を染めるなど、こじらせた言動が多い。外見は和樹と似ておらず、感情表現が豊かで社交的な性格をしている。和樹と篠崎姫乃が交際していると知った当初は嫉妬したものの、容姿端麗な姫乃には勝てないと落ち込んだ。しかし、義理の姉としては素晴らしい女性だと考え直し、以降は姫乃に好感を抱いている。
丸山 大和 (まるやま やまと)
丸山和樹と丸山和泉の弟。小学校6年生で、年相応の無邪気でヤンチャな性格をしている。見た目は和樹と似ておらず感情豊かだが、何かを企んでいる時の表情は非常によく似ている。和樹のことが好きな和泉からは、少々ぞんざいな扱いを受けることが多い。和樹と篠崎姫乃が交際していることについては、特になんとも思っていない。
片岡 (かたおか)
篠崎姫乃たちが通う高校で、教師を務める男性。言いたいことははっきりと口にするタイプで、悪気なく姫乃を傷つけることが多い。姫乃と丸山和樹が交際することは、お互いにとってよい刺激になるだろうと、温かく見守っている。
児島 (こじま)
篠崎姫乃たちが通う高校で、教師を務める女性。とにかく面倒ごとを嫌い、生徒たちは問題を起こさなければそれでいいという考えの持ち主。合理主義者でドライな性格ながら、その素っ気なさがかえって生徒たちから支持を得ている。姫乃には有名大学に進学して、児島自身の評価を上げてもらいたいと考えており、本人にもそのことを伝えている。