紅葉の棋節

紅葉の棋節

伝説と謳われながら夭折した棋士の弟が、兄の背中を追って将棋界の頂点である竜王を目指す、熱血青春将棋漫画。落ちこぼれの少年が、天才女子高生棋士の弟子になった事から才能を開花させていく。「週刊少年ジャンプ」2018年24号より連載。

正式名称
紅葉の棋節
ふりがな
もみじのきせつ
作者
ジャンル
将棋
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概要・あらすじ

蔵道紅葉は、プロ棋士の養成機関「奨励会」への入会を目指す中学1年生。奨励会の受験資格は、15歳以下のアマ全国大会でベスト4以上の成績が必要だった。しかし紅葉は、いつもベスト16どまり。毎年、綿貫という少年と当たり、負け続けていた。紅葉は、負けるたびに自分の不甲斐なさに憤慨し、ロッカーに頭突きを食らわせるなど、大騒ぎしていた。

紅葉がプロ棋士を目指すのは、彼の兄、蔵道桜が原因だった。桜は、伝説と謳われた天才棋士だった。「桜流」と呼ばれる天才的な攻め将棋で、人々を魅了するスターだった。だが、2年前の竜王戦決勝第七局の最中、持病がたたって絶命したのだ。紅葉は夭折した兄の代わりに、竜王になる夢を叶えたかったのだ。春の全国大会で、またしてもベスト16に終わった紅葉は、一か月後の夏の全国大会での挽回を誓って帰宅する。

自宅の風呂に入ろうとすると、鼻歌まじりで湯船に浸かる女性がいた。それは、史上初の女性プロ棋士、市原銀杏六段だった。なぜ、将棋界のスターが自宅の風呂に裸で、と混乱する紅葉。紅葉は知らなかったが、じつは銀杏は、桜の弟子だったのだ。紅葉は、風呂から上がった銀杏を、桜が使っていた屋根裏の将棋部屋に案内した。

そこで、銀杏は紅葉に「自分の弟子になり、竜王を目指せ」という。15歳以下のアマ全国でベスト4以上にならなくても、プロ棋士の弟子になり、師匠に推薦してもらえば、奨励会受験が可能なのだ。自分が桜の弟だから、お情けで言っていると考え、紅葉は銀杏の申し出を断った。

すると、銀杏は「私の裸を見たクセに」と難癖をつける。窓から大声で「裸を見られた」と叫ぶ銀杏を、紅葉は慌てて制止した。そして、1か月後の全国大会の綿貫戦までの「お試し師匠」という条件で、銀杏に将棋を教わる事になった。翌日から早速、将棋部屋での特訓が始まる。銀杏は飛車・角・香車をなくした四枚落ち。格下相手の大ハンデだが、それでも紅葉は手も足も出なかった。

対局後に将棋を振り返る「感想戦」で、銀杏は紅葉に、なぜ攻め将棋である「桜流」で指すのかと尋ねる。その問いに紅葉は、思いつめた表情で「この将棋で竜王にならなければ意味がない」と答える。銀杏は両手で、紅葉の顔をぐいっと持ち上げ、盤面ばかり見ていないで、「たまには顔を上げろ」とアドバイスする。

それから1か月間、二人はひたすら将棋を指した。紅葉は銀杏に一局も勝てないまま、大会前日を迎えた。どうしてそんなに強いのか、と尋ねる紅葉に、銀杏は「今を精一杯楽しもうとしているから」と答える。病気の痛みに耐えながら、最後まで将棋を楽しもうとした桜のようになりたいと思っただけだという。そして紅葉に、今すぐ桜流を捨てろと指導する。

桜流で指す限り、絶対にプロにはなれないと言い放った。そして、桜流ではない将棋を教えた。翌日、いよいよ全国大会当日。毎年負け続けている因縁の相手、綿貫との対局が始まった。防戦一方となった紅葉は、このまま銀杏に教わった指し方を続けていいのかと悩む。落ち込んで盤面を見つめていた紅葉の脳裏に、「たまには顔を上げろ」という、いつかの銀杏の言葉が浮かぶ。

紅葉は顔を上げて相手を見つめた。すると、兄、桜の向かいで、何万局と将棋を指してきた事を思い出した。紅葉は桜流ではない一手を指した。綿貫は動揺しながら、攻め続けるが、攻めきれない。紅葉は、桜の天才的な攻め将棋を受け続けてきた「受ける将棋」の天才だった。銀杏は、大会前日にその事に気づき、紅葉に桜流を捨てさせたのだ。

兄の攻めをいなし続けてきた事を思い出した紅葉は、「桜流」の呪縛から逃れ、天敵、綿貫に勝利した。その後、大会で初のベスト4入りした紅葉は、銀杏に改めて弟子入りを志願する。こうして、伝説だった蔵道桜に導かれた二人は、師弟として結びつき、後の棋界に新たな風を送り込む事になるのだった。

登場人物・キャラクター

蔵道 紅葉 (くらみち もみじ)

奨励会への入会を目指す中学1年生の少年。赤毛と黒縁メガネが特徴。精一杯努力するが、毎年、全国大会のベスト16どまりという落ちこぼれ。勝ち気な性格で、全国大会で負けるたびに、ロッカーに頭突きで八つ当たりを繰り返す。伝説と謳われながら夭折した兄、蔵道桜の遺志をついで、将棋界の頂点である竜王になりたいと思っている。しかし、結果が出せず、世間からは「才能で魅せた兄の\"桜\"に対し、才能を枯らしてしまった\"落ち葉\"だ」と揶揄される。 ある日、桜の弟子だった、史上初のプロ女性棋士、市原銀杏と出会い、師弟関係を結ぶ。銀杏によって、「受ける将棋」で魅せる天賦の才能が開花する。

市原 銀杏 (いちはら いちょう)

史上初の女性プロ棋士。六段。「銀姫(しろがねひめ)」の愛称を持つ。黄色いロングヘアーが特徴。12歳でアマ名人になり、奨励会入会。15歳でプロ棋士になった天才。伝説と謳われながら夭折した蔵道桜の弟子。桜が亡くなった後、竜王を目指す意味を見失っていた時、桜の弟である蔵道紅葉を将棋大会で見かける。負けて暴れる紅葉を見て、見失ったものを一緒に見つけられるのではないかと考え、紅葉に接触。 押しかけ師匠のような形で、紅葉の指導を開始する。

蔵道 桜 (くらみち さくら)

蔵道紅葉の兄。小学校4年生で全国優勝を果たし、奨励会に入会した天才。相手の反撃を許さない攻め将棋「桜流」で、人々を魅了した伝説の棋士だったが、2年前の竜王戦第七局の最中に、持病を悪化させ帰らぬ人となった。

クレジット

監修

三枚堂 達也

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