概要・あらすじ
将棋の天才少年と呼ばれた安住浩一は、若くして新進棋士奨励会(通称、奨励会)に入会した。奨励会は、全国から将棋の天才少年が集まるプロ棋士養成機関である。安住は青春のすべてを将棋に賭けるが、四段になる事ができずに、年齢制限のルールにより奨励会を退会させられた。ここでは、26歳の誕生日までに四段(=プロ)になれないと、プロへの道を閉ざされてしまうのだ。
将棋しかやってこなかった安住は、途方に暮れた。それでも何とか挫折から立ち直り、3年後、安住はカラオケ店で働いていた。周りに笑顔を振りまき、どんなつまらない仕事でも進んでやった。明るく笑顔で、前向きにをモットーに、安住は新たな人生を歩んでいた。しかし、時間を持て余し、何をやっても楽しくない。
今の生活に不満はないはずなのに未来が見えないのだ。暗闇をさまようような日々を重ねて、安住はようやく気がついた。いくら目を逸らしても、将棋への思いは消えないのだと。将棋は安住の一部であり、向き合わなければ前に進めないのだ。安住は、プロのC級クラスの実力がある将棋ソフトを起動した。そして、ブランクのせいで負け続けるが、最後には勝利した。
コンピュータ将棋を指し続けた安住は、清々しい気持ちで朝を迎えた。そんなある日、安住はカラオケ店の後輩の女性、森麻衣に、デパート主催の「将棋まつり」に誘われる。森は、将棋ファンであり、安住が元奨励会員である事に気づいたのだ。将棋と向き合う事を決めた安住は、将棋まつりに参加、プロ棋士の指導対局を受けることになる。
指導対局を行うのは、明星六段。史上五人目の中学生プロ棋士として名を馳せた天才で、現在はB級2組という実力者。実は、安住が奨励会を辞めた最後の三段リーグで対戦し、黒星を喫した因縁の相手であった。安住の打ち筋に、余裕で応える明星だったが、しだいに自分が攻め込まれている事に気づく。力づくでひっくり返そうと躍起になる明星だったが、ついに安住が勝ちきった。
プレッシャーに押し潰されそうだった頃の将棋ではなく、本来の自分の将棋を取り戻した安住は、再び将棋の楽しさにのめり込んでいく。将棋が差したくてたまらない安住は、後日、蒲田の将棋センターを訪れた。そこで再会したのは、自分と同じくプロになれずに奨励会をやめた土屋貴志だった。
将棋が憎いはずなのに、やめられずに将棋センターに通っているのだという。二人は久しぶりに対局し、安住の勝ちで終わった。土屋の負けず嫌いは昔と変わらず、「今さら将棋で負けたぐらいでバカバカしい」と言いながら悔し涙を流した。二人の対局を見ていた将棋センターの管理者は、アマチュア大会に出るべきだと勧める。帰りの電車で安住は、アマ大会に出る決心をする。
それからしばらくして、安住と土屋は「全日本アマチュア将棋竜皇戦」に参加する。アマチュアの全国大会の上位進出者には、わずかだがプロになれるチャンスがあった。挫折の底からリスタートした安住の将棋人生が再び始まった。
登場人物・キャラクター
安住 浩一 (あずみ こういち)
カラオケ店で働く29歳の男性。天才少年棋士と呼ばれ、若くして新進棋士奨励会(通称・奨励会)に入会する。しかし、26歳までに四段になれずに、年齢制限のルールにより退会させられた。将棋から遠ざかる生活を3年間続けるが、将来が見えず、再び将棋と向き合う事で自分らしさを取り戻す。現在はアマチュア棋士として活躍。
森 麻衣 (もり まい)
安住浩一のアルバイト先であるカラオケ店の後輩。役者を目指して劇団に入っている女性。将棋マニアで、古い動画を見ていて、安住が元奨励会員だと気づく。安住をデパート主催の「将棋まつり」に誘い出す。
明星 (あけぼし)
18歳の将棋棋士。六段。順位戦はB級2組。センター分けの長髪が特徴。15歳という若さで、史上五人目の中学生プロ棋士になった天才少年。安住浩一の最後の挑戦となった三段リーグで対戦経験あり。その時は安住に勝利している。
土屋 貴志 (つちや たかし)
安住浩一と同じく年齢制限でプロになれなかった、元奨励会の青年。短髪に広めのおでこ、メガネが特徴。無愛想で卑屈な性格。蒲田の将棋センターで安住と再会する。将棋を憎んでいるはずなのにやめられず、将棋センターで素人相手にウサを晴らしていた。安住に誘われて、迷った挙げ句、アマチュアの全国大会に参加する。
クレジット
- その他
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鈴木 肇
書誌情報
リボーンの棋士 7巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2018-09-28発行、 978-4098600939)
第2巻
(2018-12-27発行、 978-4098601516)
第3巻
(2019-04-26発行、 978-4098603008)
第4巻
(2019-08-30発行、 978-4098603848)
第5巻
(2019-12-26発行、 978-4098604661)
第6巻
(2020-05-29発行、 978-4098606214)
第7巻
(2020-08-28発行、 978-4098606993)