聖-天才・羽生が恐れた男-

聖-天才・羽生が恐れた男-

重い腎臓病を抱えた少年・村山聖が将棋と出会い、プロ棋士として歩んでゆく物語。聖が自らの命を賭けて将棋に打ち込む様を熱く描いている。実在したプロ棋士・村山聖の29年の生涯を描いたセミドキュメンタリー作品。生涯のライバル羽生善治をはじめ、多くのプロ棋士が実名で登場する。聖の師匠だった森信雄が監修している。

正式名称
聖-天才・羽生が恐れた男-
ふりがな
さとし てんさい はぶがおそれたおそこ
作者
ジャンル
将棋
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

広島出身の少年・村山聖は、5歳のころに重い腎臓病にかかり、入院中心の生活を送らざるを得なくなっていた。不自由な自分の境遇に落ち込むだったが、自分が心底から熱中できる「将棋」に出会う。自らの命の限界を知り、長くは生きられないと悟っているは、中学生にしてプロ棋士に弟子入りし、わき目も振らずにプロ棋士に、そして「名人」の位への道を進んでゆく。

登場人物・キャラクター

村山 聖 (むらやま さとし)

実在したプロ棋士。広島県出身。父と母、兄と姉の5人家族。5歳のころに腎臓病「ネフローゼ」にかかり、以降は長期入院生活を送る羽目になった。持病が原因で顔が丸くむくんでいる。己の身に起きた不幸を受け入れられず荒れた時期もあったが、病院で仲良くなった直人や友子の、命に限りがあっても精一杯生きる姿勢に心打たれ、いじけることをやめにした。 そして直人に教えられた将棋に魅せられ、のめりこんでゆく。プロ棋士・森信雄の弟子となり、14歳で奨励会に入会した。その後めきめきと頭角を現わし、「怪童丸」と呼ばれた。入会から2年10か月の驚異的スピードで四段に昇段し、17歳でプロ棋士となった。 戦法は終盤の粘り強さが持ち味である。病気と闘い苦しみながらも、生涯のライバル羽生善治をはじめ、多くの強豪と熱戦を繰り広げた。「名人」の位を目指し続けたが、癌が再発し、29歳でその短い生涯を終えた。

高橋 直人 (たかはし なおと)

村山聖と同じ病院で入院生活を送っていた少年。喘息の持病を持つ。母親の再婚先の家族からは厄介者扱いされていた。聖とは親しく、彼に将棋の面白さを教え込んだ。病気の身でも懸命に生きることの大切さを聖に気づかせ、幼くしてこの世を去った。

谷川 浩司 (たにがわ こうじ)

実在するプロ棋士。14歳でプロ棋士になり、21歳の時に史上最年少で名人のタイトルを獲得した。少年・村山聖は入院仲間の直人が持っていた将棋の本で谷川浩司の輝かしい活躍を知り、彼を目標として将棋に打ち込むようになっていった。

羽生 善治 (はぶ よしはる)

実在するプロ棋士。東京出身。小学生のころから多くの子供将棋大会で優勝し注目を集めた。全国小学生将棋名人戦の会場で、村山聖と対戦はしなかったが、廊下で会話をかわした。この初対面から、両者は常に互いをライバルとして意識し続けた。15歳で鮮烈なプロデビューを果たし、大物棋士たちを次々と負かし、将棋界の新時代の中心となった。 史上初の七冠タイトル独占を達成した天才。

佐藤 康光 (さとう やすみつ)

実在するプロ棋士。京都出身。小学生のころ、全国小学生将棋名人戦において村山聖と対戦した。荒々しく攻め立てる聖を冷静に対処し、退けた。

森 信雄 (もり のぶお)

実在するプロ棋士。まだ中学生だった村山聖を弟子にとり、彼の師匠となった。将棋の腕は立つが実生活ではズボラ。怒りっぽいが情に厚い。聖と濃密な師弟生活を送り、第二の親のような存在として、聖に大きな影響を与えた。疑似親子のような師弟関係は、森が結婚するまで続いた。

加瀬 伸治 (かせ しんじ)

父親の反対を押し切り、高校を中退しプロ棋士を目指した。だが伸び悩み、奨励会の年齢制限におびえる日々を送っていた。村山聖が奨励会に入会してきた初日に対戦した。新入りの小僧をいたぶってやろうとしたが、聖の圧倒的な粘り強さの前に敗北した。聖の才能に一目置いた加瀬は、先輩として物事を教えたり、将棋の腕を磨き合ったりし、深く交流した。 しかし、昇級のかかった局面でよりによって聖と対局する羽目になった。逡巡はあったが両者とも本番ではがっぷり四つで闘い、最後は加瀬の負けで終わった。この勝負で燃え尽きた加瀬は奨励会を退会し、将棋ライターに転職した。

美樹 (みき)

村山聖と同じ病院で入院生活を送っていた少女。入院していた多くの少年少女が若くしてこの世を去ったが、聖と美樹は何とか日常生活を送れるまでに成長できた。プロ棋士になるという子どものころからの夢を叶えた聖のことを尊敬している。結婚して母親になりたいという夢を持つ。 聖の初恋の相手。

集団・組織

奨励会 (しょうれいかい)

『聖-天才・羽生が恐れた男』に登場する実在の組織。プロ棋士の養成機関。厳しい規定と細かい年齢制限がある。四段に昇段した者がプロ棋士になれるが、26歳までに四段になれなかった場合、退会せねばならない。多くの少年たちがプロ棋士を目指しこの組織でしのぎをけずるが、狭き門ゆえに7割以上の者は脱落してゆく。

シマケン

『聖-天才・羽生が恐れた男』に登場する実在の組織。プロ棋士島朗が立ち上げた将棋の研究会。メンバーは年下の世代の羽生善治、佐藤康光、森内俊之。上記の三人や関西で活躍する村山聖ら新鋭たちが将棋界を変えると感じた島朗が、旧弊な不文律や上下関係が横行する将棋界にとらわれずに、純粋に将棋そのものを論理的に突き詰めてゆくために結成した。 当時は珍しかったパソコンを導入して合理的な分析・研究を重ね、後の世代に大きな影響を与えた。

SHARE
EC
Amazon
logo