概要・あらすじ
昭和19年、出版統制令が出され、限られたものしか出版を許されない時代。絵などを描いていること自体裏切り者と言われる中、美術部に所属する大寒鉄郎はコッソリとマンガを描いていたが、軍事教練で教官に睨まれ特殊訓練所に送られ、さらに軍需工場へ勤務動員される。工場でも人目を忍んでマンガを描き続ける大寒鉄郎。
偶然知り合ったオペラ歌手志望の岡本京子と工場で再会するが、大阪大空襲で工場は爆撃を受け、岡本京子は顔にひどい怪我を負ってしまう。
登場人物・キャラクター
大寒 鉄郎 (おおさむ てつろう)
南野中学校美術部に所属している。軍事教練で教官に睨まれ特殊訓練所に送られ、さらに軍需工場へ勤務動員される。作者の手塚治虫自身がモデルとなっている。
岡本 京子 (おかもと きょうこ)
宝塚音楽学校の生徒。軍需工場の倉庫部へ勤務動員され、大寒鉄郎と再会。オペラ歌手となる夢を抱くが、空襲で顔に悲惨な傷を負う。
場所
軍需工場 (ぐんじゅこうじょう)
『紙の砦』に登場する工場。大寒鉄郎と岡本京子が勤務動員で働かされた工場。岡本京子は倉庫部。大寒鉄郎は旋盤工場勤務だが、作業をさぼってマンガを描き、トイレの壁に張って発表の場とする。大阪大空襲によって焼失。
イベント・出来事
大阪大空襲 (おおさかだいくうしゅう)
『紙の砦』で起きる戦争被害。昭和20年3月、米軍の空襲により町は見渡す限り焼け野原となり、大寒鉄郎と岡本京子が勤務動員で働かされた工場も爆撃を受け、宝塚歌劇の舞台を夢見ていた岡本京子は顔にひどい傷を負う。