あらすじ
女たちの世界
2040年の世界の東京。細胞硬化症に侵された水原怜人は、特効薬の開発を待つためにコールドスリープに入った。それから5年後、2045年の世界で目覚めた怜人は、世界の異変を目にする。MKウイルスが猛威を振るい、地球上の男性のうち99.9パーセントが死亡し、女性だけが生き残った世界へと変貌を遂げていたのだ。細胞硬化症が完治しコールドスリープから目覚めた男性は、MKウイルスに対する免疫を持っていることが判明しており、それは怜人を含め現時点では五人しか存在せず、彼らは「ナンバーズ」と呼ばれていた。ナンバーズは、種の保存を最優先目的とし、人類の希望として手厚く保護・管理されていた。国際連盟「UW」は人口増やすべく、ナンバーズに対してメイティングによる子作りを強く奨励し、目覚めたばかりの怜人も子作りを希望する女性たちをあてがわれる。しかし怜人は、再会の約束を交わした橘絵理沙のことを気にかけ、メイディングの話を拒絶。MKウイルスの研究を行っていた絵理沙が、数年前から消息不明になっているのを知った怜人は、彼女に代わって特効薬を開発すると宣言。男性五人に対して50億人もの女性が存在する世界で、怜人は甘い誘惑の数々に翻弄されながらも、絵理沙の行方を追いながら薬の開発に奔走する。その中で怜人は絵理沙の残したスマートリングの映像から、MKウイルスが人の手で作られた人工ウイルスである可能性を知る。さらに怜人は、全世界に向けた演説を行なうよう鬼原から依頼され、不安定な世界で生きる女性たちに怜人自身の存在を明かし、希望を捨てないよう呼びかける。出演の条件として外出許可と研究施設の使用許可を求めていた怜人は、MKウイルスの研究を開始するのだった。
第3の男
三人目のナンバーズである土井翔太は、かつての高校で不良たちに目を付けられ、いじめられるという散々な日々を送っていた。さらに彼は難病の細胞硬化症を患い、学校を去ることになってしまう。世界が今よりもマシになっていて欲しいと願いながら眠りについた翔太は、5年後にコールドスリープから目覚め、担当官となった神谷花蓮のプロデュースのもと、2045年の世界で高校生活をやり直すことになる。かつて世の中に絶望していた翔太を待っていたのは、男子の姿が消え多くの女子に囲まれた日々と、かつてあこがれていた担任教師の羽生柚希であった。翔太は授業のあと、花蓮に案内されて柚希と再会を果たし、無事に目覚めた翔太を見て感涙した柚希は、翔太に「ご褒美」を与えるようにと花蓮に言われる。この日の夜をきっかけに柚希と結ばれた翔太は、何度も逢瀬(おうせ)を重ねては、彼女の魅力に取りつかれていく。その一方でクラスメイトの女子ともなかよくなり、一見順調な毎日を送っていた翔太だったが、柚希としばらく会えない日々が続いていた。花蓮に言われてしばらくは交代でクラスメイトを泊めることになった翔太は、最初にやって来た一条奈都の着替えを手伝ったのをきっかけに、彼女とも関係を持つ。以前から自分の立場に疑問を持っていた翔太は、不安が募る中で花蓮から、この学園の女子たちはすべて翔太とのメイティングのために用意されたという衝撃的な事実を知らされる。一方、ワクチン開発に苦悩する水原怜人は、新たな担当官となった黒田マリアと片桐麗亜に連れられて、日本で最初の犠牲者が出た地域である慶門市に向かっていた。そこで最初の犠牲者となった老人の妻、谷口恵美の入院先を訪れた怜人たちだったが、彼女は怜人を認めず口を開こうとしない。そんな中、怜人の人柄や思いを知った恵美は次第に心を開いていくが、彼女は何者かによって毒物を混入され、容態が悪化。怜人は恵美から託されていた写真立てと、橘絵理沙が残したリングを合わせた瞬間に現れた、MKウイルスの論文データを手に入れる。
転校生
心の支えだった羽生柚希と会えない日々が続き、やきもきした日々を過ごしていた土井翔太は、クラスメイトの柊春歌や東堂晶とも関係を持つようになる。女子たちとの蜜月の関係にもどこか満たされず、神谷花蓮から柚希の転任を知らされた翔太は、自暴自棄になって、進んで周囲の女子の体を求めるようになる。そんな中、2040年の世界で翔太と同じクラスだった星野汐音が転校して来る。タレントを目指しているという理由で翔太に近づいてくる汐音に対し、彼は願いを叶える(かな)対価として大胆な要求をする。一方、MKウイルスの情報を探り続ける水原怜人だったが、スナイパーに狙われるなど、その身に危険が及ぶようになる。危機感を覚えた怜人は黒田マリアたちと共に、MKウイルスの研究者が何人も慶門市にある廃病院で消息を絶っているという、衝撃的な事実をつき止める。そこがMKウイルスの製造場所ではないかと疑った怜人たちは、研究者たちがかかわっていた廃病院に忍び込むが、そこにいた技術長官たちに命を狙われ、駆けつけたクロエ・マンスフィールドとその部下たちによって救出される。怜人たちはクロエから国際連盟「UW」日本支部の秘密や、留学生として日本に来ていたはずの彼女の正体など、衝撃的な事実を次々と聞かされる。一方、慶門市の学園では翔太の寵愛(ちょうあい)を求める女子たちが次々と競い合うようになり、誘惑は過激さを増していた。魅力的な夢心地の世界に浸るうちに、翔太は次第に欲深く変わっていき、内に秘められていた欲望を抑えられなくなっていく。そんな中、校内には以前からスパイ目的で潜んでいた怪しげな女子生徒が、ある組織とひそかに連絡を交わしていた。
外の世界
女性へのあらゆる望みが叶う酒池肉林のような甘美な日々を送る土井翔太は、かつての劣等感を払拭しながら、過去にはありえなかったほどの自信をつけていく。そんな翔太の周辺では、ある日突然、爆破テロ事件が勃発。すぐ近くにいたエリカをかばって背中を負傷して治療を受けていた翔太は、目覚めたあとに神谷花蓮の本当の野望を聞かされ、彼女と結託するようになる。テロ事件の直後、「イザナミ」を名乗るテロ組織が電波ジャックをしたうえで、全世界に向けた放送を開始する。その中には、水原怜人が捜し続けていた橘絵理沙の姿もあった。コールドスリープ中の第4のナンバーズ、木根渕善がイザナミに拉致されたという情報を得た怜人は、テロ組織に絵理沙がいることを悟り、激しく動揺していた。同時に世界放送によって国際連盟「UW」への疑いも強まっていき、徐々にクロエ・マンスフィールドのことが信頼できなくなった怜人たちは、収監中の鬼原から情報を得たうえで、現在のUW日本支部からの出奔を決意。一旦自室に戻って来た怜人は、彼のことを待っていた翔太と花蓮に初対面する。甘い生活を経て身も心も生まれ変わった翔太の欲望は留まることを知らず、彼は花蓮と共に大きな権力を手に入れるべく動き始めていた。翔太との対面後、絵理沙への思いを募らせる怜人は脱出を開始する前に、周防美来にも同行を依頼。美来からは予想外の返答が帰ってきたものの、二人の会話はクロエが差し向けた刺客によって遮断される。そして、駆けつけた片桐麗亜たちに助けられ、無事に日本を脱出した怜人たちは、イザナミの案内人に導かれて台湾に到着する。しかし、怜人たちの出航を見送り日本に残った美来と麗亜は、怜人をアメリカに連れて行くつもりだったクロエに拘束されてしまう。
占われる未来
反UW勢力「イザナミ」の村に捕らわれ、「聖奴隷」となった木根渕善は、2040年の世界で出会った安保ころんと安保恋子に再会する。妻との再会を望む善の願いも空しく、イザナミの女性たちの企(たくら)みにより、極限状態の体となった善のもとには多くの女性たちが集い、イザナミの村では肉欲の限りを尽くす儀式が始まろうとしていた。女性たちの策略により極限状態から覚醒した善は、儀式の末にイザナミの主「イザナギ」に目覚め、欲望を爆発させていく。一方、国際連盟「UW」から離れるために日本を脱出した水原怜人は、橘絵理沙が滞在する台湾に到着し、二人はようやく再会を果たす。しかし平和なひと時も束(つか)の間、怜人たちは海外の反UW組織に会うために、香港へ向かうこととなった。その頃、UW日本支部では火野恭司が、クロエ・マンスフィールドと取引を交わした土井翔太と正反対の境遇を受けていた。神谷花蓮の画策によりさらなるメイティングを進めていく翔太に対し、恭司は女性との接触をはじめとする行動を制限されていたのである。さらに花蓮の勧めで北山玲奈と翔太が密会し、軟禁状態の恭司を交えた権力争いが、新たな動きを見せ始める。その頃、香港に到着した怜人一行にはアクシデントが発生し、ピンチを冰冰に救われ、中華全土の権力を持つ呂のもとへ案内してもらうことになる。一方、恭司の周辺の女性が妊娠したという噂(うわさ)を耳にした東堂晶は、自分も子供が欲しいと翔太にせまり、久しぶりに二人きりになった翔太は積極的な彼女に興奮を抑え切れずにいた。その頃、香港でMKウイルスの結晶を手にした怜人たちは、それを基にワクチンを作り出すことを決意し、次なる目的のためにロスアニア公国の姫であるアナスタシアに会いに行く。到着早々、アナスタシアから婚礼の儀をせまられた怜人だったが、彼女の協力により国内の研究施設を使えるようになる。
絵理沙の過去
ワクチンを作るためには水原怜人自身の男性ホルモンを活性化させるため、誰かと一夜を共にしなければならない、とラギーニ・シンに指摘された怜人は、そのための相手を一人だけ選ぶという究極の選択をせまられる。命を懸けたワクチン開発実験のため、いくつかの条件のもとで周囲の女性たちと一人ずつ向き合っていくことになった怜人だが、橘絵理沙からは距離を置かれてしまう。一方、自分の番がせまっていた龍造寺朱音は、怜人を楽しませるために入念に準備を整える。そして最後の一人は、ここ最近怜人のことを避けていた絵理沙だった。怜人は冰冰に聞いた話から絵理沙の不調を疑い始め、真相を聞こうと別行動中だった絵理沙のもとを訪ねる。そこで絵理沙の過去、そして現在の絵理沙が病気により子供を産めない体になっていることを知り、一人で苦しんでいた彼女の本音を知った怜人は改めて思いを伝え合い、ついに二人は結ばれる。一方、日本では火野恭司の子を宿した日下部ゆかりの分娩日が近づいていた。さらに、日本で怜人の無事を祈り続けていた周防美来の正体が、絵理沙のクローンであったことが判明する。そんな事実を知らぬままの怜人は、シンたちの協力を受けながらワクチン開発に臨む。しかし、実験の最中に怜人の体からは血が流れ出し、彼の体をMKウイルスが蝕み始める。一時は死にかけた怜人だったが、駆けつけた絵理沙、そして遠くからの美来の声に励まされるように、生きたいと強く願って生還を果たす。数々の困難の末に仲間たちとワクチンを完成させるも、本性を現すかのようにナンバーズ抹殺を決意したクロエ・マンスフィールドが動き出し、ゆかりと共に脱出していた恭司と怜人は命を狙われるようになる。逃亡先の九州でゆかりは無事に出産を終えたが、そこへ襲来したクロエたちに仲間の命を奪われ、怜人たちはかつてないほどの窮地に追い込まれてしまう。その場に駆けつけた土井翔太と神谷花蓮に救われ、さらに木根渕善が率いる反UW勢力「イザナミ」の協力もあって、怜人たちはクロエを退けることに成功する。
一万倍の女たち
数々の悪事を暴かれた国際連盟「UW」の権威は失墜し、水原怜人たちが命懸けで完成させたMKウイルスのワクチンによって、世界には平穏が訪れたと思われていた。しかし、そのワクチンにはある人物による罠(わな)が仕掛けられており、コールドスリープから目覚めた男性たちには重大な異変が現れるようになる。そして時は流れ、2049年の世界では「アフターワクチン時代」が到来し、ワクチンの恩恵を受けた男性約5000人が、社会復帰を果たしつつあった。しかし男性たちの体からは、性的欲求と生殖機能が失われたうえに、女性の数に対して男性が少ない状況も続いていた。そんな中、3年前にコールドスリープから復活し東京でハウスメイトの雨宮牡丹と暮らす少年、金村陸は、自分の中に性欲が目覚めつつあることに気づいていた。同性の学友たちとは異なる状況の自分に動揺するも、誰にも相談できず一人で悩む陸の前には、彼の専属担当官を名乗る溝下乃薔薇が現れる。陸が特別な存在であると語る乃薔薇の手配によって、彼の下宿先には上級生の保世ひまわり、花山院百合愛、倉持蘭の三人が、新たなハウスメイトとして加わることとなる。年上の女性に囲まれる共同生活をスタートさせた陸は、下宿先での日常やデートを通して、新たなハウスメイトたちと交流を深めていく。その頃、土井翔太と神谷花蓮の策略で濡れ衣を着せられ身を隠す生活を送っていた怜人は、怜人自身の性欲が消失してしまった状況に苦しみながらも、仲間たちの協力を得て男性たちの能力を取り戻し、世界を救うための努力を続けていた。しかし、アメリカでは新組織「UW」により、三賢者の命令を受けたクロエ・マンスフィールドたちが、恐ろしい計画の実行に向けて準備を始めていた。一方、乃薔薇から初体験の相手をハウスメイトの中から選ぶという指令を下された陸は、デートの末に牡丹と結ばれ、初めてのメイティングを終える。それに感動した乃薔薇は陸をさらなるメイティングに誘い込もうと、彼とハウスメイトたちを沖縄旅行に連れて行く。そこで陸と二人きりの宿泊を懸けたビーチバレー大会が開始されるが、予想外の人物が立ちはだかり、試合は激しさを増していく。
メディア化
ボイスドラマ
2017年5月から6月にかけて、本作『終末のハーレム』のボイスドラマが、『J+』のボイスドラマコーナーで公開された。脚本は南出祐司が務めている。キャストは、水原怜人を山谷祥生が、周防美来を伊藤静が演じている。
テレビアニメ
2022年1月から3月にかけて、テレビアニメ版『終末のハーレム』が、TOKYO MXほかで放送された。当初は2021年10月から放送予定だったが、「先行特別放送」として第1話のみを放送。配信および第2話以降は上記日付へ延期となった。監督は信田ユウ、キャラクターデザインは小関雅が務めている。キャストは、水原怜人を市川太一が、周防美来を白石晴香が演じている。
登場人物・キャラクター
水原 怜人 (みずはら れいと)
国立先端医科大学に通う青年。生真面目で誠実な性格をしている。もみ上げが長めの紺色の短髪で、優秀な頭脳の持ち主。大学の麒麟児(きりんじ)として期待される医大生だったが、2040年の世界で致死性の難病、細胞硬化症を患い、特効薬の完成を待ちながらコールドスリープに入った。この直前に幼なじみの橘絵理沙に告白し、彼女と再会の約束を交わしていた。2045年の世界では治療が施された状態でコールドスリープから目覚め、MKウイルスによって豹変した世界に直面する。これ以降はナンバーズとして手厚く保護・管理されることになるが、国際連盟「UW」から派遣された多数の女性とのメイティングをせまられることになる。体は健康ながら、絵理沙への思いからほかの女性からのメイティングはすべて拒否し続け、コールドスリープ中の水原龍をはじめとする男性たちを救うため、そして消息がわからなくなった絵理沙を見つけるために、彼女が携わっていた研究を引き継ぎ、MKウイルスの詳細解明に尽力するようになる。また身の安全を図るため、ボディガードの翠や看護師の龍造寺朱音とつねに行動を共にしている。火野恭司に次いで2番目にコールドスリープから目覚めたため、「ナンバー2」とも呼ばれている。メイティングを拒否する姿勢はUW日本支部の首脳陣から酷評・問題視されている一方、周囲の女性からは好意を抱かれ慕われている。何かと対照的な恭司からは、初対面から友人として親しい関係を築いており、状況に応じて情報交換をするなど協力し合っている。UWへの疑いが強まってからは日本を脱出し、台湾で絵理沙と再会を果たす。香港へ移動したあとに絵理沙の過去を知るも、思いを伝え合って彼女と結ばれた。2049年の世界では、長かったもみあげを切り落とした短髪に変わり、国立感染症研究所の主任研究員を務めている。しかし濡れ衣を着せられる形で、男性の生殖能力消失の責任を押し付けられて政府預かりの立場に置かれ、性欲も失っている。それでも男性たちを救うための研究を続けており、いずれは周防美来とのあいだに子供を作ることで、絵理沙の願いを叶(かな)えることを誓っている。
橘 絵理沙 (たちばな えりさ)
国立先端医科大学に通う女性。水原怜人とは、10年以上同じ学校に通って来た幼なじみ。やや太めの眉毛で、青紫色のロングヘアと青緑の瞳、シミ一つない美しい肌を持つ美女。少々気が強く、言い出したら聞かないところはあるものの、ふだんは穏やかで優しく一途な性格で周囲からも好感を抱かれている。怜人の思いに気づき橘絵理沙も彼に好意を寄せていたが、特に行動を起こすことなく、共に過ごしてきた。2040年の世界では、怜人から難病治療のためにコールドスリープに入ることを聞くと共に告白され、目覚めるまで待ち続けることを伝えた。大学卒業後は動物研究所でMKウイルスの研究に勤しむことになるが、2042年頃に突然姿を消し、2045年の世界においても消息は不明のままとなっている。また、行方がわからなくなったあとに何者かが研究室に侵入したことにより、MKウイルスに関する研究データはほとんど失われてしまっている。実はパンデミックの裏に潜む陰謀を追う中で反UW勢力「イザナミ」に加入し、幹部の一人として男性復権派を率いている。また、MKウイルスが人工ウイルスである可能性を示したデータを、ビデオメッセージと共に怜人に残していた。のちに台湾で怜人と再会を果たし、イザナミを離れてしばらくは彼と協力しながら行動を共にする。しかし途中からは怜人を避けるようになり、体調不良を疑って会いに来た彼に、婦人科系の病気で子供を産めない体になっていることを打ち明けるものの、互いに思いを伝え合って結ばれた。また、日本に戻った際に周防美来と初めて対面し、クローンとして生まれた彼女の苦悩を瞬時に理解して、親しい関係になった。その後は怜人たちのワクチン開発に全面的に協力し、病気によって死期がせまっていたこともあって、美来に臓器を提供したうえで命を落とす。この際に、自らの命を託した美来とのあいだに子供を作って欲しいと、怜人に懇願した。
水原 まひる (みずはら まひる)
水原怜人、水原龍の妹。ツインテールの髪型をした美少女で、気が強くはっきりした性格。極度のブラザーコンプレックスであり、2人の兄のうち、特に怜人が大好き。時間がある時は、身寄りのない女性や子供が集まる「難民ホーム」に出入りし、子供たちにお菓子を配るなど、ボランティアに勤しむ日々を送っている。
周防 美来 (すおう みら)
水原怜人の専属担当官を務める女性。外見は橘絵理沙によく似た巨乳美女だが、それ以外の情報は謎に包まれている。絵理沙と同じ紫色のロングヘアで、真っ白なまつ毛と左目下のホクロが特徴。基本的にはクールかつ無表情で感情を顔に出すことがないため、周囲には冷たい印象を与えている。怜人の身の回りの世話や外部との接触まで、生活のすべてをサポートしている。実はかなりの大食いであり、特に甘い食べ物には目がないがまったく太らず、プロポーションと美肌を保っている。メイティングを拒み続ける玲人には悩まされているものの、基本的に怜人に対しては好意的かつ協力的に接しており、理解者の一人として献身的に振る舞っている。しかし、怜人のメイティングをまったく進められなかったことから、彼の担当官を解任されてしまう。これ以降は、後任となった黒田マリアと片桐麗亜への引き継ぎのため、メイティング候補者の一人として怜人のグループに所属するようになる。その正体は、優秀な研究者である絵理沙のバックアップとして作られた彼女のクローンであり、「美来」という名前は「絵理沙の鏡」という意味を込めた「ミラー」から付けられていた。2043年に国際連盟「UW」日本支部に勤務するまでは、成長促進器によって体を無理やり成長させられながら、怜人の担当官となるための教育を幼い頃から受け続けていた。絵理沙本人とは幼少期にカプセル越しで対面したことがあるが、この時点では周防美来が彼女のクローンであるという自覚は持っていなかった。高速学習装置や成長促進器を何度も使用したことから体への負担が大きく、これらを緩和するための調整を定期的に受けなければ、生命活動を維持できず体調を崩してしまう。また常人より大食いなのも、クローンの体質上、カロリーを大量消費するためである。趣味・特技は暗記。好きなものは食事、苦手なものは空腹に耐えること。
水原 龍 (みずはら りゅう)
水原怜人、水原まひるの兄。両親がいなかったため、怜人とまひるの親代わりとなり、2人を守り育ててきた。明るく優しい性格で、妹弟にも慕われている。怜人がコールドスリープに入った後、MKウイルスにより世界が混乱をきたし、自分も感染したため、コールドスリープに入った。そのため、コールドスリープから目覚めた怜人とは入れ違いとなってしまい、まだ再会は果たせていない。 なお、感染者はコールドスリープによって病気の進行が遅らせられるものの、ウイルスが消失したわけではないため、その余命は残り約1年ほどといわれている。
火野 恭司 (ひの きょうじ)
致死性の難病、細胞硬化症を患い、コールドスリープしていた男性。コールドスリープ中に開発された薬によって、病気は完治している。金髪の短髪で、色付きの眼鏡をかけている。明るく陽気な性格でチャラいように見えるが、まじめで誠実な一面もあり、情に厚く仲間思いでもある。愛称は「きょうちゃん」。2040年の世界ではバンド活動を趣味とする平凡なフリーターだったが、2045年の世界では最初のナンバーズとして目覚めたため、「ナンバー1」とも呼ばれている。水原怜人とは対照的に、世界の変貌をすぐに受け入れると共に、メイティングには人一倍積極的であり、さまざまな女性と気兼ねなく交流ができる、この状況を、この世の楽園と称讃しながら楽しんでいる。そのため、火野恭司の子供を妊娠して出産を控えた女性は多数存在する。フレンドリーなため初対面の怜人にも好意的に接し、彼にとってもよき理解者となっている。元は機械が作った食事を提供されていたが、食欲がわかないという理由で人間の作った料理を求めたため、さまざまなジャンルで超一流の料理人が腕を振るうことになり、その後のナンバーズの食事にも影響を与えている。メイティングに積極的な一方、スケジュールを管理される毎日や満ち足りた状況には飽きを感じており、刺激を求めて芸能界の美女をはじめ新しい相手をつねに探しており、水原まひるのことも気に入るがメイティングは断られている。メイティングを満喫する姿は、メイティングに消極的な怜人に複雑な思いを抱かせ、陽気な言動が一部の女性を寂しがらせる原因ともなっているが、これまで交流を深めてきた女性たちへの思いは真剣であり、子供ができた時には面倒を見ようと覚悟を決めている。のちにメイティングを含めた行動を制限されて軟禁状態となり、国際連盟「UW」への疑いを強めたことから、妊娠した日下部ゆかりをはじめとする女性たちを連れて脱出し、九州に逃げる。
北山 玲奈 (きたやま れな)
火野恭司のメイティング相手の1人。映画などで活躍していた女優。北山玲奈が出演した映画を恭司がとても気に入り、何度も見ては彼女を褒めちぎっていた。そのため、石動寧々子が、恭司とのメイティングに抜擢し、サプライズ的に利用された。メイティングに積極的な態度を示す女性が多い中で、初々しさが見られる、数少ないタイプ。
龍造寺 朱音 (りゅうぞうじ あかね)
水原怜人専属の女性看護師。周防美来の手により手配された。主な役割は怜人の健康管理。酒好きで色気があり、巨乳の持ち主。隙あらば何かと怜人に迫って来る。看護師とは思えないほどの大柄かつ怪力で、かなり強引なところがあるため、怜人は初対面時に、看護師ではなくボディーガードだと勘違いした。
翠 (すい)
水原怜人専属の女性ボディーガード。周防美来により手配された。寝る時はくまのぬいぐるみを抱いているなど、あどけない少女のように見える。実際は、巨大な熊を一撃で倒すほどの、かなり腕の立つボディーガード。任務を遂行する際には、スイッチが入ったかのように冷酷な目つきに変わる。
石動 寧々子 (いするぎ ねねこ)
火野恭司の専属担当官を務める女性。恭司が順調にメイティングを進めているため、担当官として高い評価を受けている。しかし、周防美来に対して憎まれ口を叩くこともあり、性格は屈折気味。恭司が複数の女性とメイティングに励む様子を見ながら、自身も何度となく自慰に及んでいる。
鬼原 (きはら)
UWの日本支部で国務長官を務める中年女性。日本支部内ではリーダー的存在で、主に外交を担っている。水原怜人を矢面に立たせた裏で、火野恭司をはじめとした他の4人のナンバーズを利用し、本部には秘密のまま、人類にとって重要な計画を進めようとしている。
技術長官 (ぎじゅつちょうかん)
UWの日本支部で技術長官を務める女性。主に科学技術の研究や保全に関することを担っている。有能だが常識に欠け、日常的に口汚く人を罵っている。メイティングを拒む水原怜人を「ヘタレ肉バイブ」と呼び、自分の助手を利用して強制的にメイティングさせようとするなど、強引なところもある。怜人を矢面に立たせた裏で、火野恭司をはじめとした他の4人のナンバーズを利用し、本部には秘密のまま、人類にとって重要な計画を進めようとしている。
民生長官 (みんせいちょうかん)
UWの日本支部で民生長官を務める女性。主に、食糧計画や人民管理を担っている。水原怜人を矢面に立たせた裏で、火野恭司をはじめとした他の4人のナンバーズを利用し、本部には秘密のまま、人類にとって重要な計画を進めようとしている。
総務長官 (そうむちょうかん)
UWの日本支部で総務長官を務めるおだんご頭の女性。主に、広報に関することを担っている。水原怜人を矢面に立たせた裏で、火野恭司をはじめとした他の4人のナンバーズを利用し、本部には秘密のまま、人類にとって重要な計画を進めようとしている。
司法長官 (しほうちょうかん)
UWの日本支部で司法長官を務める無口な老女。主に、司法や警察に関することを担っている。水原怜人を矢面に立たせた裏で、火野恭司をはじめとした他の4人のナンバーズを利用し、本部には秘密のまま、人類にとって重要な計画を進めようとしている。
神谷 花蓮 (かみや かれん)
土井翔太の専属担当官を務める女性。無造作に跳ねた金髪のロングヘアで、リボンカチューシャとストライプ柄のハイソックスを愛用している。明るく天真爛漫(らんまん)なノリの軽い性格で、小悪魔的な魅力にあふれている。外見は女子高校生くらいに見えるが、実年齢は不明。翔太に対しては学園をはじめとする日常の疑似環境を用意し、学園生活を通して彼が女子と交流し、自然な流れでメイティングにつなげることができるように整えている。ふだんは翔太の身の回りの世話を中心に行い、クラスメイトの一人として、学園での生活を共にしている。いつも笑顔で楽しそうに話すが、愛らしく見える笑顔の裏には威圧や揶揄(やゆ)などが張り付いており、かなりの腹黒さと強い野望を隠し持っている。冴(さ)えない翔太を大人の男にするために、女子をけしかけるなどあらゆる手を使って、彼を女性とのメイティングに導こうとしている。ほかのナンバーズやその担当官に対抗心を燃やし、翔太よりも先に目覚めていた水原怜人や火野恭司よりも効率のいい計画を立案している。これらの優秀な働きは鬼原から称讃されており、ほかの担当官以上に期待を寄せられている。当初はこの世の男性が翔太だけであるかのように話していたが、メイティング計画の暗部を把握しており、自分の境遇に疑問を持ち始めた翔太に、ほかのナンバーズの存在を明かした。さらには何かと利害が一致している翔太を世界一の男性に導くことで、自らが一番偉くなりたいという真の野望を明かし、納得した彼と結託するようになる。これらの野望を明かしたあとは、目的のために翔太の周囲の女性を利用したり彼への忠誠を試すなど、冷酷な一面を見せるようになる。また、翔太を成長促進器によって大人の男性に成長させ、身も心も生まれ変わった彼と共に、時には国際連盟「UW」を出し抜くほどの優れた知略で周囲をコントロールしていく。翔太が望めばメイティングに応じるつもりでいるが、子供ができたあとも担当官の仕事は続けたいと宣言している。2049年の世界では日本の大統領となった翔太の首席補佐官にまで出世し、ワクチンを作り出した怜人たちの功績を横取りする形で、翔太と共に日本を支配している。
土井 翔太 (どい しょうた)
慶門市の市立高校に通う男子。2040年の世界で細胞硬化症と診断され、コールドスリープに入った。白っぽい短髪で黒ぶちの眼鏡をかけており、憂鬱そうな暗い表情を浮かべている。内気でオタク気質なところがあり、アイドルグループ「Q's」のファン。2045年の世界で目覚めたあとはナンバーズの一人として、MKウイルスで大きく豹変した世界に直面する。火野恭司、水原怜人に次ぐ3番目に目覚めたため、一部の関係者からは「ナンバー3」と呼ばれている。両親の離婚以来、父親と暮らしていたが、母親のもとには病気で入院している「まゆ」という妹がおり、時おり連絡を交わしている。かつては鈍くさい性格で、白髪が多いことから陰湿ないじめを受け、周囲への憎しみを抱え込む一方で、あこがれていた担任教師の羽生柚希に心配される日々を送っていた。2045年の世界では以前通っていた高校と学生寮を、生活の場となる「学園」として与えられ、神谷花蓮のプロデュースもとで高校生活をやり直すこととなる。花蓮の後押しもあって柚希と結ばれ、柚希と初めてのメイティングを終える。ほかの女子生徒とのメイティングを推奨されるが、柚希だけを一途に愛したいという思いから避けていた。しかし、柚希に会えない日が続いたのをきっかけに、一条奈都や柊春歌をはじめとする女子とも関係を持つようになる。以前から抱いていた自分の境遇に関する疑問を語った際に、学園の生徒のすべてがメイティングのために集まった女子であることを聞かされる。その後は、ほかの学年の女子ともメイティングに励むようになり、内なる欲望を少しずつさらけ出していくと共に、復讐(ふくしゅう)対象である星野汐音やエリカには冷酷な一面も見せるようになる。テロ被害に遭ったのをきっかけにメイティングセンターに避難後、花蓮の本当の野望を知り、結託するようになった。さらに花蓮の勧めにより、成長促進器によって立派な大人の姿に成長し、身も心も生まれ変わった。髪型をオールバックに変えて眼鏡を外し、装いや雰囲気も大きく変わっている。
羽生 柚希 (はにゅう ゆずき)
2040年当時、土井翔太の担任教師を務めていた女性。いじめを受け、何かと孤立しがちだった翔太を陰ながら支える存在となっていた。2045年の世界では、翔太が円滑にメイティングを進められるように配慮し、翔太のファーストメイティングの相手となった。スリーサイズはバスト94cm、ウエスト56cm、ヒップ85cmで、Hカップの巨乳の持ち主。 温和で心優しく、生徒からも慕われている。
柊 春歌 (ひいらぎ しゅんか)
土井翔太とのメイティングを希望する女性。クラスでは、翔太の前の席に座っている。スリーサイズはバスト78cm、ウエスト54cm、ヒップ76cm。Bカップと胸は小さめで、柊春歌自身もそれを気にしているが、形の良い美乳の持ち主。アニメや声優が大好きで、好きなことの話になると、周りが見えなくなる傾向にある。
東堂 晶 (とうどう あきら)
土井翔太とのメイティングを希望する女性。翔太のクラスメイトで、バレーボール部ではエースを務める。スリーサイズはバスト92cm、ウエスト58cm、ヒップ90cmで、Gカップの巨乳の持ち主。自分の打ったバレーボールが、翔太の額に当たってしまったことを気に病んでいる。りりしくも、シャイな性格。
一条 奈都 (いちじょう なつ)
土井翔太とのメイティングを希望する女性。クラスでは翔太の隣の席に座っている。スリーサイズはバスト87cm、ウエスト60cm、ヒップ86cm。着やせするタイプながら、Eカップの巨乳の持ち主。実家は歴史ある旧家という生粋のお嬢様で、金持ち。その立場をうまく利用し、入浴も着替えも1人ではできず、夜1人で眠ることができないと、翔太に甘えてメイティングに成功する。
黒田・レイン・ちふゆ (くろだれいんちふゆ)
土井翔太とのメイティングを希望するハーフの少女。負けず嫌いで気が強い。翔太のクラスメイトだが、見た目は小学生くらい。飛び級で翔太と同じクラスに入ったという天才的頭脳の持ち主だが、運動は苦手。子供体形のため、スリーサイズは不明で、胸はぺたんこ。
黒田 マリア (くろだ まりあ)
周防美来に代わり、新たに片桐麗亜とともに水原怜人の専属担当官を務めることになった女性。技術長官が信頼を置く、研究職に携わる人物。MKウイルス研究するにあたり、役に立つと期待されている。ずぼらで、基本的に服を着ない傾向にあり、ショーツに白衣だけという、あられもない姿で施設内を歩くこともしばしば。
片桐 麗亜 (かたぎり れあ)
周防美来に代わり、新たに黒田マリアとともに水原怜人の専属担当官を務めることになった女性。それまでは、UWの「撫民官」として市民と交流し、市民をなだめるという重要職に就いていた。そのため、外界のことに詳しい。当初は怜人を「見境なく女性に襲い掛かる変態」と罵っていたが、玲人がメイティングを拒絶し続けていることを知ると、今度は男性としての責務を果たさないことに対してキツくあたる。 美来とは、以前から知り合い。
安保 恋子 (あぼう ここ)
反UW勢力「イザナミ」に所属する少女で、安保ころんの娘。2040年の世界ではころんや父親を通して木根渕善に会ったことがあり、年上の善のことを呼び捨てにしたりアイドルグループ「Q's」のチケットをねだったりするなど、わがままを言いながらも懐いていた。2045年の世界ではイザナミの村で、母親のころんと共に医療班に所属している。目覚めた善のもとへ現れた際には成長して髪型も変わっていたため、彼からはすぐに気づかれなかった。ころんと共に善を誘惑してメイティングに励み、彼がイザナギに覚醒したあとはイザナギ派として活動するようになる。
木根渕 善 (きねぶち ぜん)
ナンバーズの中で、4番目に目覚めた「ナンバー4」の男性。巻き毛を黒髪短髪にしている。2040年の世界では、恋人のミキと豊かに暮らすために、営業マンとして製薬会社に勤務していた。しかし難病の細胞硬化症と診断され、コールドスリープに入る前に妊娠したミキと結婚式を挙げる。2045年の世界では目覚める直前に反UW勢力「イザナミ」に拉致されており、イザナミの村で目覚め、聖痕という焼き印を刻まれるなど怪しい儀式に巻き込まれる。元上司だった出芽輝奈から、希望者の女性とメイティングをするための「聖奴隷」となることを強いられ、村に監禁されたまま女性たちから無理やりメイティングさせられる日々を送る羽目になる。何度も脱出を試みたが失敗し、妻のミキに会うことも叶わぬまま、祭の儀式「聖心祓穢」を経てイザナミの主「イザナギ」として覚醒した。イザナギに覚醒しているあいだは髪の毛が逆立って猛獣のような顔つきに変わり、欲望を爆発させて女性の体を貪る暴君と化すが、覚醒中の記憶はまったく覚えていない。
柳 律香 (やなぎ りっか)
慶門市の市立高校に通う女子。日焼けした肌とウエーブのかかった金髪のロングヘアで、派手なネイルや下着を好む。一人称は「あーし」。神谷花蓮の用意したくじ引きを経て、メイティング候補者の一人として土井翔太へ差し向けられる。しかし、積極的でオープンな性格から、似たような派手なクラスメートからいじめを受けていた翔太には苦手意識を持たれ、避けられていた。のちの肝試しでペアを組み、MKウイルスで亡くなった兄への思いを口にした際に、翔太と結ばれてメイティングを果たす。
安保 ころん (あぼう ころん)
木根渕善の取引先であるアポロン病院の院長の妻で、安保恋子の母親。カールのかかったロングヘアで、垂れ目が特徴。豊満なプロポーションの美女。2040年の世界では夫の病院で看護師を務め、夫を通して善と何度か会ったことがある。2045年の世界ではイザナミの幹部になり、イザナミの村で彼と再会を果たす。村の統率者の一人として医療班を率いており、看護師の知識をもとに媚薬も作っている。娘の恋子と共に善を誘惑してメイティングに励み、彼がイザナギに覚醒したあとはイザナギ派として活動するようになる。コールドスリープ中の夫のために定期的に都心に通っているが、善への興味や好意から夫への関心は薄れてしまっている。
武者小路 薫 (むしゃのこうじ かおる)
火野恭司のメイティング候補者の女性。恭司のテニスの相手をしたあと、風呂での奉仕を担当したのをきっかけに、メイティング候補者の一人となる。金髪のツインテールの髪型に金色の瞳を持つ美少女で、石動寧々子やリカを上回る巨乳の持ち主。恭司のグループの中では古参であり、彼に強い好意を寄せている。当初はリカとケンカをしていたが実際は仲がよく、メイティング意欲が失われつつあった恭司を心配した寧々子と共謀していただけで、これが功を奏して彼の意欲を取り戻させることに成功した。
星野 汐音 (ほしの しおん)
慶門市の市立高校に通う女子。ロングヘアをポニーアップにまとめている。2040年の世界では土井翔太のクラスメートの男子生徒から人気が高かったが、いじめられている翔太のことを気にも留めず無視していた。2045年の世界では、昔から目指していたタレントになるという目的のためだけに、翔太のクラスに転入してくる。芸能界需要が激減しているためにタレントになるのは難しく、翔太に近づいたのも国際連盟「UW」日本支部に媚びて、タレントへの道を確実にするためであり、ほかの女子のように翔太に好意を持っているわけではない。しかし、翔太にとっては復讐対象の一人であったため、屋上でほかの生徒の前でのメイティングを強要される。その結果として、国民向けテレビドラマの面接を受けることが叶うが、最終面接として翔太とのメイティングを強要された。
三賢者 (さんけんじゃ)
国際連盟「UW」世界本部の統治者として君臨する女性たち。右目にスコープをしている「老女」、スキンヘッドの「淑女」、ほほに斑のある「少女」の三人がいるが、いずれも本名は不明。年齢や出身地はバラバラで、優れた知性と男嫌いな性質が共通点となっている。2049年の世界では最高評議員として新組織「MW」を率いており、引き続きクロエ・マンスフィールドに男性撲滅を命じるとともに、彼女に厳しい教育を繰り返している。
林 葉句露 (はやし はくろ)
慶門市の市立高校に通う女子。セミロングヘアで、眼鏡をかけている。他人の姓に「氏」を付けて呼ぶ癖があり、小難しく理屈っぽい話し方をする。生真面目な性格の毒舌家で、ノンフィクションの人文科学を好む現実主義者。学生寮ではクラスメートの小雪と同室となり、彼女と共に土井翔太とのメイティングを果たした。2049年の世界では、大統領補佐官として翔太をサポートしている。
ラギーニ・シン
生命科学の博士を務めている。インド出身の女性。東ヨーロッパの小国・ロスアニア公国にある山小屋で隠遁している。ロングヘアで褐色の肌を持つ美女。額にはビンディーを付けており、切れ長の目で左ほほには大きな傷痕がある。精神集中のために、瞑想や火渡りを日課としている。薬学やウイルス学を中心に多くの実績を持つが、ロスアニアの特別研究施設で開発したワクチンの実験に失敗し、コールドスリープから目覚めたばかりの男性を救えなかったことがトラウマとなって以来、一人でひと気のない場所にこもるようになった。特別研究施設のすべてを知っている数少ない人物として水原怜人の訪問を受けたが、当初は過去のトラウマから協力を断っていた。しかしのちに、覚悟を決めてワクチン開発に乗り出した怜人のもとへ駆けつけ、全面的に協力するようになった。
花山院 百合愛 (かさんのいん ゆりあ)
東京中央第五中学校高等学校の高等部に通う女子。濃い茶髪をツーサイドアップにまとめている。才色兼備かつ完璧主義で、時折高飛車な態度を取ることがあるが、本来は勤勉でまじめな性格の持ち主。財閥令嬢であるため、リムジンで登下校している。学校の生徒会長を務めており、生徒たちから注目されるとともに、あこがれの対象となっている。登校時に偶然ぶつかった陸に胸を触られたことがあり、当初は彼に敵意を抱いていた。溝下乃薔薇の手配により、性欲に目覚めたばかりの陸のもとに、新たなハウスメートの一人として同居するようになる。料理をしたことがなかったために苦労しているが、苦手なことにも積極的に挑戦しており、陸との同居を経て練習を重ねている。
保世 ひまわり (ほせ ひまわり)
東京中央第五中学校高等学校の高等部に通う女子。金髪で色黒の肌を持ち、ヒマワリ型のヘアピンをつけている。溝下乃薔薇の手配により、性欲に目覚めたばかりの金村陸のもとに、新たなハウスメートの一人として同居するようになる。明るく積極的な性格で、事あるごとに陸にアプローチを繰り返している。放課後に学友の女子と共に陸や彼の友人を誘惑するものの逃げられたことがある。乃薔薇が企画した沖縄旅行中、牡丹に続いて2番目に陸と結ばれてメイティングを果たした。
呂 (るー)
中華全土に影響力を持つ女老板(ボス)で、冰冰の祖母。占い師の格好をした老婆で、水原怜人を認めた冰冰によって案内された彼らと出会い、占いによる助言や情報を与える。また、MKウイルスの結晶を怜人たちに託すとともに、監視役も兼ねた冰冰を同行させる。実はクロエ・マンスフィールドと内通している。
倉持 蘭 (くらもち らん)
東京中央第五中学校高等学校の高等部に通う女子。明るい茶髪のロングヘアで、耳に複数のピアスをつけた三白眼が特徴の不良娘。からかい上手で、やんちゃな性格をしている。2049年の世界では骨董品として扱われている、ガソリン式のオートバイクを宝物としている。実は喫煙者で隠れてタバコを吸っており、ふだんはタバコの代わりとして棒付きキャンディを咥(くわ)えている。溝下乃薔薇の手配により、性欲に目覚めたばかりの金村陸のもとに、新たなハウスメートの一人として同居するようになる。純情な陸のことをからかうことが多いが、意外と面倒見がよく、彼のことを弟のようにかわいがりながら世話をしている。好きなものはバイクとタバコ。
アナスタシア
東ヨーロッパの小国・ロスアニア公国の王女。サイドヘアを巻き上げたロングヘアで、白いドレスをまとった美少女。愛称は「アナ姫」。MKウイルスの情報を求めてやって来た水原怜人と出会い、いきなり婚礼の儀を申し込む。手強い変わり者と噂されているが、コールドスリープ中の家族に代わってロスアニアを守りたいというまじめな思いで行動しており、父親や兄をはじめとする男性たちを救おうと尽力している。これらの事情とロスアニアの内情を怜人に話したあとは、ワクチンを作ろうと励む彼を支援するため、国内に残された特別研究施設を提供した。
日下部 ゆかり (くさかべ ゆかり)
火野恭司のメイティング候補者の女性。真ん中分けのロングヘアで、スレンダーな体型をしている。恭司が中学生の頃に交際していた少女によく似た容姿をしている。一見大人っぽく見えるが、性格や言動はかなり子供っぽい。恭司のことは敬称ではなく愛称で呼び、彼を兄のように慕っている。恭司の最初の子供を妊娠し、出産を控えた頃に恭司たちに連れられて九州に逃亡する。洞窟内で赤ん坊を出産し、恭司によって「火野恭一」と名づけられた。
溝下 乃薔薇 (どぶした のばら)
金村陸の専属担当官を務める少女。神谷花蓮の後輩でもあり、彼女にあこがれを抱いているため、言動や性格などは影響を受けている。姫カットに整えた黒のロングヘアで、笑ったときに目立つギザ歯が特徴。明るくいつも笑顔を浮かべ、陸には最初から好意的に接している。陸が目覚めた2046年以来、彼に気づかれないようにひそかに見守り続けていた。陸が性欲に目覚めていったのを察知して接触を図り、保世ひまわりをはじめとする新たなハウスメートを手配して、自らも陸と同居して身の回りの世話をするようになる。陸に対しては、担当官としてだけでなく個人的な愛情や執着心を寄せている。事あるごとに陸がハウスメートたちとメイティングできるように仕向けては、その様子をひそかに見届けている。また、いわゆる「寝取られ」に萌える性癖を持ち、陸がほかの女性と結ばれていく姿に悲哀を感じながらも、それに興奮しながら見守っていることがある。
クロエ・マンスフィールド
留学生として来日したアメリカ人の白人女性。姫カットに整えた金髪のロングヘアで、左胸にあるタトゥーを露出させている巨乳美女。陽気で人懐っこい性格をしている。日本語は少々不慣れで、特に敬語の使い方をよく間違えている。慶門市を訪れていた水原怜人と、サウナで出会った。その正体は国際連盟「UW」世界本部の一員で、UW平和維持活動局の局長を務めている。怜人には明るく振る舞いながら好意的に接しているが、その内には日本人や男性を見下す冷酷な本性を秘めている。三賢者と同様に男性を毛嫌いするとともに、憎しみに近い感情を抱く。一時期は土井翔太や神谷花蓮とも結託していたが、本性を現したあとにはナンバーズの抹殺をもくろむようになり、武装した部下を引き連れて殲滅(せんめつ)作戦を展開し、怜人たちを追い詰めるものの失敗に終わる。2049年の世界では、弱体化したUWを一新した新組織「MW」の絶滅省長官として過激派を率いており、男性絶滅を願う過激な思想はますます先鋭化されている。しかし4年前から、三賢者の教育を受け続けているために体の負荷が大きく、調整や投薬が欠かせない体質になっている。
榊 光 (さかき ひかる)
慶門市の市立高校に通っている女子。ベリーショートでボーイッシュな風貌をしている。土井翔太のクラスメートだが、ほかの女子とは異なってメイティング目的ではなく、ナンバーズである翔太をさらうために潜入しており、彼には好意を持っていない。その正体は反UW勢力「イザナミ」の一員で、橘絵理沙とは動物臨床実験研究所時代から親しい関係であり、彼女と同様に男性復帰を目指す同志でもある。研究所から絵理沙と共に逃亡したあとは難民に紛れて行動していたが、絵理沙の依頼によって翔太のクラスに紛れ込みながら、隠密行動の数々を通して彼女をサポートしている。また、水原怜人が日本を脱出して台湾に向かった際には、船を手配して彼を絵理沙のもとへ案内した。
谷口 恵美 (たにぐち えみ)
日本で初めてMKウイルスの犠牲になった男性の妻で、慶門市の病院に入院中の老婆。夫の死亡当時、遺体を日本政府によって解剖されて切り刻まれたことから、政府の後継である国際連盟「UW」日本支部を快く思っていない。このためUWには非協力的で、水原怜人たちが訪れた際にも、死亡した夫の詳細を話すことを拒んでいた。橘絵理沙とは、彼女が動物臨床実験研究所にいた頃からの知り合いで、ひそかに独自の回線で通信し、たびたび連絡を取っている。何度も訪問してくる怜人たちには次第に心を開き、夫の情報を翌日に話すつもりでいたが、何者かによって毒物を混入されて容態が悪化する。手術の直前に、怜人にMKウイルスの情報につながる写真立てを託す。
火野 恭一 (ひの きょういち)
火野恭司と日下部ゆかりのあいだに生まれた男児。2045年の世界で、メイティングによって最初に誕生した子供であるとともに希少な男児であり、恭司と同じくMKウイルスへの免疫を持って生まれた。髪色も含めて恭司とよく似ていることから、彼によって「恭一」と名づけられた。のちにゆかりと共に水原怜人たちのもとへ託され、彼の周囲の女性によって交代で世話を受けている。2049年の世界では3歳にまで成長し、怜人たちに手厚く保護されているものの、男性の増加を急ぐ土井翔太たちからは成長促進器を使った急成長を望まれている。
出芽 輝奈 (いずめ てるな)
反UW勢力「イザナミ」の幹部を務める女性。イザナミの村では統率者の一人として、農耕班などを率いている。鋭い目つきで、豊満なプロポーションの美女。2040年の世界では製薬会社の課長を務め、木根渕善の上司として彼に厳しく接していた。のちにMKウイルスの詳細を知った橘絵理沙に接触し、彼女をイザナミに引き込んでいた。2045年の世界ではイザナミの女性たちを率いて善を拉致し、目覚めた彼に儀式を施して自分たちの「聖奴隷」となることを強制し、善を支配するようになる。善がイザナギに覚醒したあとは、彼を信奉する「イザナギ派」という派閥を率いるようになる。
冰冰 (びんびん)
香港に住む女性。武装集団に囲まれた水原怜人たちのもとへ駆けつけ、彼らを助け出した。髪をシニヨンヘアにまとめ、ノースリーブのチャイナドレスを着用している。体中から桃の香りを漂わせた、謎の多い美女。気の強い性格だが、怜人や橘絵理沙を試す際にはいたずら好きな一面を見せていた。中華全土に影響力を持つ呂の孫娘でもあり、彼女のもとへ怜人一行を案内した。その後は怜人たちに協力して行動を共にしていたが、途中で呂がクロエ・マンスフィールドと内通していることに気づく。幼少期に母親を、5年前に父親を亡くしており、自立して料理や格闘を学んでいたため、戦闘力があり料理も得意としている。2049年の世界では怜人を心配し、漢方や医術について記された書物を高麗人参といっしょに送っている。
金村 陸 (かねむら りく)
東京中央第五中学校高等学校の中等部に通う男子。関東近郊の研究施設でコールドスリープをしていたが、2046年に目覚めた。ツンツンヘアで、やや中性的な容姿の少年。純情な性格で、周囲の女性からは弟のようにかわいがられている。目覚めてからは、親元から離されて下宿先のハウスメートの女性の世話を受けながら暮らしており、2049年の世界では10人目のハウスメートである雨宮牡丹の世話を受けながら学校に通っている。幼少時に母親が再婚したため、実家には義父の連れ子である「桜」という義姉がいるが、製薬会社で働いている彼女とは離れて暮らしている。女性に興味を持たない周囲の男子とは異なり、成長とともに自分が性欲に目覚めつつあることに気づき、一人で悩んでいたところで溝下乃薔薇と出会う。実は男性の性欲消失の影響を受けていないことからナンバーズの一人に数えられており、一部からは「ナンバー5」と呼ばれている。また、性欲が残ったままの性欲者(リビター)でもあり、希少な存在として監視・管理されている。乃薔薇の手配によって牡丹以外のハウスメートが増えることになり、保世ひまわり、花山院百合愛、倉持蘭ともいっしょに暮らし、美女に囲まれる日常に緊張しながらも彼女たちと交流を深めていく。また乃薔薇の作戦により、以前から気になっていた牡丹とデートを経て結ばれ、初めてのメイティングを終えた。
エリカ
慶門市の市立高校に通っていた女子。2040年の世界では土井翔太と同じクラスだった。ウエーブのかかったロングヘアをポニーテールにまとめている。2040年の世界では翔太をいじめる不良たちに混じって、彼へのいじめ行為に加わっていた。2045年の世界では薬物中毒者の難民と化しており、翔太のもとに首輪につながれた状態で連行され、彼と再会する。その後は翔太の寮室に監禁されて雑に扱われていたが、爆破テロの際には彼にかばわれた。翔太がメイティングセンターへ避難したあとは薬物中毒から解放され、恩人でもある彼を慕って従順になる。
雨宮 牡丹 (あまみや ぼたん)
金村陸の身の回りの世話をしながら同居しているハウスメートの女性。豊満なプロポーションと赤い瞳を持つ美女で、ふだんは黒のロングヘアをお団子状にまとめており、口元にはホクロがある。陸のハウスメートとしては10人目であり、彼を弟のようにかわいがっている。料理と家事全般を得意としている。溝下乃薔薇の手配により、陸のメイティングの候補者の一人となり、彼女や保世ひまわりたちを迎えることとなる。陸が以前から気になっていた相手でもあり、乃薔薇の後押しによって陸と結ばれ、デートを経て彼の最初のメイティングの相手となった。また、メイティングをした当日が誕生日だったため、陸からネックレスをプレゼントされている。
リカ
火野恭司のメイティング候補者の女性。メイティングに飽き始めた恭司の前に、新たな候補者として現れる。ロングヘアをシニヨンヘアにまとめた美女。2040年の世界では恭司のアルバイト先でウエートレスをしており、彼の先輩であると同時にあこがれのマドンナでもあった。2045年の世界でもメイティングセンターでウエートレスをしており、恭司との再会を経てメイティング候補者となった。水原まひるに一目惚れした恭司を見て嫉妬するほど、彼に好意を寄せている。ほかの女性とは異なり、恭司には敬称を用いず、昔と同様に君付けで気軽に呼んでいる。武者小路薫とは不仲に見えるが、メイティング意欲が失われつつあった恭司を心配した石動寧々子と共謀していただけで、実際は薫と仲がいい。
集団・組織
UW (ゆーだぶりゅー)
女性による国際連盟の名称で、総称は「United Women」。MKウイルスによって世界中の男性が死亡し、地球上のほとんどの国が無政府状態に陥ったため、女性による国際連盟が設立され、全世界の統治権が委譲された。この危機的状況を終わらせるために軍を出動させ、暴徒と化し女性たちを鎮圧して世界中を統制。その後、MKウイルスのワクチンを開発すべく、超高度AIを総動員したが、現在もその成果はあがっていない。 細胞硬化症によりコールドスリープ状態にある男性が、MKウイルスに免疫力を持っていることが発覚してからは、コールドスリープ中の男性5人について、1人ずつ順番にスリープを解除し、さまざまな実験に取り組み始めた。その最たるものが、人口増加を目的とした繁殖である。 だが、人工授精による受胎を試みるがことごとく失敗。ウイルスによるものかどうかはまだ定かではないが、現状で成功例はない。そのため、ナンバーズが持つ免疫が子に委譲されるかどうかなど、詳しいデータを取ることも目的の1つとして、セックスによる子作り・メイティングを、より多くの女性と行うことを強く奨励。 そのための環境づくりにも余念がない。
MW (えむだぶりゅー)
国際連盟「UW」の解体後、クロエ・マンスフィールドが男性を嫌悪・憎悪している過激派の女性たちを率いて、UW世界本部で再編した新組織。正式名称は「マザーズウーム(聖母の子宮)」。UWの時からワクチンに仕込んでいた性欲消滅物質「NOSEX」を中心とする計画により、男性の絶滅をもくろんでいる。かつてのUWで三賢者と呼ばれていた女性たちは、最高評議員としてMWを率いている。
イザナミ
国際連盟「UW」に反発する日本の反UW組織。「イザナミの村」という女性だけの村を拠点に活動しており、農耕班や漁業班に分かれて助け合いながら、原始的な生活を望んで自給自足での暮らしを送っている。2045年の世界ではテロを起こし、木根渕善をさらって目覚めた彼を「聖奴隷」として扱っている。男性復活を願う橘絵理沙たちの派閥と、儀式によって男性を奴隷として支配しようとする出芽輝奈たちの派閥に大きく分かれており、後者は儀式によってイザナギに覚醒した善との乱交を経て、彼を狂信する「イザナギ派」となっていった。2049年の世界ではイザナギ派を中心に、善とのあいだにできた何人もの子供たちを育てながら活動している。
場所
難民地区 (なんみんちく)
MKウイルスが原因で荒れ果ててしまった地区。ウイルスが蔓延し始めた頃、情報は錯綜し、無法者や絶望した男性たちが暴れ、さまざまな暴動が起きた。その後、街にはおびただしい数の死体が放置されたが、ウイルスの蔓延を防ぐため、死体は特定の地域に集められてから火葬された。そうした場所には誰も近づかなくなり、廃墟と化した結果、難民地区となった。 難民地区には「難民ホーム」と呼ばれる施設があり、身寄りのない女性や子供が集まっている。
その他キーワード
2040年の世界 (にせんよんじゅうねんのせかい)
科学技術の発展と新エネルギーにより、食料の生産やヒトとモノの輸送、情報通信、警備、医療などありとあらゆるものが機械の手によって行われている世界。先進国をはじめとした地球上のほとんどの地域で、人間は生活を維持するための労働から解放された。仕事とは、人生の充実感を得るために、一部の物好きや使命感に駆られた者のみが従事するものとなっている。
2045年の世界 (にせんよんじゅうごねんのせかい)
2040年の世界から5年後の世界。この世界では、MKウイルスの感染爆発(パンデミック)によって、地球上の人類のうち、男性の99.9%が死亡している。生き残った100万~500万人の男性は、コールドスリープ状態でかろうじて生きながらえているものの、実質的に世界の人口は半減。科学者も技術者も半数以下に減った。そのため、食糧生産システムをはじめ、さまざまな科学技術を維持することが難しくなっており、MKウイルスの撲滅と、生存に必要不可欠な技術以外は研究する余裕がないのが実情。 その結果、数多くの科学技術がロストテクノロジーとなった。ほとんどの国が無政府状態に陥り、一部暴徒も発生。事態を重く見た世界各国は、全世界の統治権を、女性による国際連盟・UWに委譲し、世界の安定を図っている。
MKウイルス (えむけーういるす)
「Male Killerウイルス(男殺しウイルス)」の略。その名前の通り、男性にしか感染しない新種のウイルス。2040年の世界で猛威を振るったこのウイルスは、感染すると全身の細胞が死滅していき、皮膚全体が紫色に変色。吐血をはじめ、さまざまな部分から血が噴き出して3日で死に至る。さらに、空気感染するため感染力が強く、約3か月という短い期間で地球全土に感染爆発(パンデミック)を引き起こした。 世界中のAIが総力をあげて特効薬の開発を続けているが、2045年の世界においても、まだワクチンも特効薬も見つかっていない状態となっている。また、致死性の難病と言われた細胞硬化症の感染と治癒に、何らかの因果関係があると考えられており、現段階で、地球上で活動可能な男性は、「ナンバーズ」と呼ばれる細胞硬化症治療後の5人のみとなっている。
メイティング
セックスによる子作りのことで、「種付け」と呼ばれることもある。世界から男性が死滅し、子供を作ることができなくなってしまったため、MKウイルスへの免疫を持つ水原怜人を含む5人の男性・ナンバーズと子供を作って人口を増やし、男性を増やすことを目的としている。その方法として人工授精も試されたが、ウイルスの影響によるものか、成功することはなく断念された。 そのため、子作りの方法には、セックスのみが用いられる。相手の女性は男性側の顔を確認したうえで、その男性との子作りを希望する候補者のみが集められているため、強要はない。また、メイティングにより子供を授かった女性は、家族とともに豊かで安全な生活が保障されている。
ナンバーズ
MKウイルスが猛威を振るう2045年の世界において、致死性の難病、「細胞硬化症」の治療のためにコールドスリープに入っていた男性のこと。難病の治療が施された彼らは、MKウイルスに対して免疫を持っており、地球上で唯一活動可能な男性として保護されている。ナンバーズは、1番に目覚めた№1と呼ばれる火野恭司、2番目に目覚めた№2と呼ばれる水原怜人、3番目に目覚めた№3と呼ばれる土井翔太を含め、全部で5人存在する。
ペンダント
水原怜人が小さい頃、兄の水原龍からプレゼントされたシンプルなペンダント。発信機が入っており、ある程度の距離までは追跡できる機能が付いているため、お守り代わりに大切にしていた。コールドスリープに入る直前、怜人に会いに来た橘絵理沙にこのペンダントを託し、目が覚めたら返してほしいと約束していた。絵理沙が消息不明となっている2045年の世界で、ペンダントを追跡してみると、「国外」と表示された。 それは絵理沙が、まだどこかで生きている可能性があることを示唆するものとなった。
2049年の世界 (にせんよんじゅうきゅうねんのせかい)
2045年の世界から約4年が経った世界。日本は共和国制に変わり、大統領となった土井翔太と神谷花蓮によって支配されている。「ウイルス共生社会」や「アフターワクチン時代」に移行し、水原怜人が完成させたワクチンによって男性たちが復帰したことで男女比は縮まったものの、男性約5千人に対して女性は約5千万人と、活動可能な男性が少ない状況は続いている。さらにワクチンに仕込まれていた性欲消滅物質「NOSEX」によって男性たちは性欲も生殖能力も失っており、思春期男子であっても性への興味は薄れてしまっている。それでも希少な存在として政府によって手厚く保護されており、少年を含むすべての活動可能な男性はハウスメートとして手配された女性の世話を受けながら、親元を離れて暮らしている。また政府によって、NOSEXを克服して男性の能力を取り戻すための研究が進められている。翔太たちがマスコミを使って印象操作した結果、男性の能力消失の責任や不満は、濡れ衣同然の形で怜人に押し付けられている。貧しさは緩和されているものの格差社会が解消されたわけではないため、一般市民の中には政府に不満を抱く者も多い。また日本以外の国では、コールドスリープ中の男性たちの解凍は中止されている。
クレジット
- 原作
-
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関連
終末のハーレム ファンタジア (しゅうまつのはーれむ ふぁんたじあ)
宵野コタローの漫画『終末のハーレム』の世界観や登場人物を一新したスピンオフ作品。古代の魔物に蹂躙(じゅうりん)され、人間世界が終末を迎えようとしているファンタジー世界を舞台にしている。そんな終末世界に... 関連ページ:終末のハーレム ファンタジア
書誌情報
終末のハーレム 18巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2016-09-02発行、 978-4088808192)
第14巻
(2022-01-04発行、 978-4088828534)
第16巻
(2022-09-02発行、 978-4088832548)
第17巻
(2023-05-02発行、 978-4088835501)
第18巻
(2023-06-02発行、 978-4088836249)