あらすじ
第1巻
高校1年生の大宮航は、入学早々遅刻した罰として、担任の春川由梨子が顧問を務める陸上部への体験入部を命じられた。航達の通う三久(みつく)高校の陸上部は今ひとつ目立たないうえ、新入部員がほとんど入部せずに困っていた。仕方なく見学に行った航は、そこでクラスで一番の美少女・結崎なずなが砲丸投げに打ち込む姿を見かけ、陸上に興味を持つ。こうして陸上部に入部した航は、テニス部の友人・鹿島圭太郎も交えていっしょにトレーニングをしたり、部長の二上錦から身体づくりについて学んだりと、少しずつ力をつけていく。そんなある日、航は先輩の三笠千鶴から、もうじき行われる記録会での自分の参加種目を決めておくようにと告げられる。なずなから改めて砲丸投げの面白さを教わった航は、砲丸投げ選手としての参加を決意。当日に向けて練習に励むが、そこで錦から衝撃の事実を知らされる。実は記録会は自由参加で、入部して日の浅い1年生は参加しなくてもいいのだという。航は拍子抜けしながらも、当日なずなからいっしょに頑張ろうと言われ、自分なりに全力を尽くす事を決意する。
第2巻
記録会当日、結崎なずなに応援された大宮航は張り切っていたが、ルールを正しく理解していなかったせいで失敗し、いい結果を出せずに終わってしまう。悔しさを覚えた航はなずなに、もっと頑張りたいので、またいっしょに練習してほしいと頼む。なずなは快諾して二人の関係は深まるのだった。こうして陸上部員としての決意を新たにした航は、さらに練習に打ち込み、その過程で東堂楓や秋月こはるといった先輩部員達との交流も深めていく。やがて迎えた夏休み。航達陸上部員は、春川由梨子の親戚が経営する民宿「しおかぜ」で3泊4日の合宿を行う事になった。しかし合宿初日、航は女子部員達が、好みの男性の話題で盛り上がっている姿を目撃してしまう。なずなは特に発言していなかったものの、航は砲丸投げ一筋のなずなの好みは、きっと二上錦のようなスポーツマンタイプだろうと考え、落ち込むのだった。その夜、夜風に当たろうと外に出た航は、偶然なずなと出会い、二人きりになる。
第3巻
大宮航は夏合宿で、結崎なずなが今は砲丸投げに夢中なため恋愛には関心がない事を知って安堵していた。こうして夏休みを終えた航達は、今度は秋の大会に向け、まずは地区予選突破を目指す事になる。航は砲丸投げ選手として出場する事になるが、今の記録では予選突破は厳しい状況にあった。そこで航はこれまでとは投げ方を変え、新たに回転投法を試してみる事にする。しかし回転投法は、かつてなずなもチャレンジしたものの、断念してしまったほど難しいものであった。一方その頃なずな達女子部員は、確実に予選を突破するために、部外から一人助っ人を呼ぼうと考えていた。そこでなずな達は黄田葵の勧めで、水泳部の王寺美里を誘う事にする。しかし美里は、中学時代陸上部のエースだったものの人間関係が元でトラブルを起こし、部内での居場所をなずなに奪われたうえ、最終的に退部せざるを得なくなった事を今も恨んでいた。そんな美里は、どうしても自分を勧誘したいのであれば、水泳で自分に勝ってみろと言い出す。なずなはその勝負を受けるが、敗北。しかし美里は、なずなの美里といっしょに大会に出たいという思いに心打たれ、参加を決意するのだった。
第4巻
三久高校陸上部は助っ人に王寺美里を迎え、地区予選会に挑む事になった。大宮航は予選突破のため8位以内を目指すが、まだ回転投法を完全に習得したわけではなく、緊張のまま当日を迎える。そして当日、航達が会場に到着すると、なぜか前回の優勝校・八乙女高校の小早川が、二上錦に執拗に絡んで来る。二人は知り合いで、特に小早川は錦をライバル視し、昨年大会で競う事を非常に楽しみにしていた。しかし、昨年の三久高校は先輩の意向で大会には出場しない方針であったため、二人の対戦は叶わなかった。結果、小早川は錦が自分を恐れて逃げ出したと思い込み、攻撃的な態度に出ていたのである。航はそんな二人の思わぬ因縁に驚きつつ、なんとか本番で回転投法を成功して無事に予選を突破する。しかし東堂楓は、八乙女高校からの妨害に遭い、100メートル走で失敗してしまう。これに腹を立てた女子部員達は、リレーで決着をつける事を決意する。そこでも結崎なずなは、妨害を受けるが見事勝利。そして八乙女高校からの妨害の証拠を見つけた三久高校陸上部は、小早川に、本選でもいい結果を出すので見ていろと宣戦布告する。
第5巻
結崎なずなは秋の大会に向けて、新たにステップバック投法を習得する事に決めた。なずなは初心者ながらも奮闘する大宮航の姿を見て、自分ももっと努力したいと考えるようになったのである。そんななずなに心打たれた航は積極的に協力し、ついに大会当日が訪れる。本番では、まず100メートル走で二上錦と小早川が全力で戦い錦が勝利。こじれていた二人の関係も、元の良好な状態に戻る。次の女子砲丸投げでは、なずなと庄次矢衣子が最高記録を更新しあうほどの白熱の戦いを繰り広げ、なずなが勝利するのだった。そしてとうとう男子砲丸投げが始まり、航の出番となる。しかし航は、これだけいい記録を残したなずなが、砲丸投げの強豪校である一河高校に勧誘されてしまうのではないかと不安を覚える。その予想は見事的中する事となり、動揺した航は吉野アレキサンダーに大きな差をつけられてしまう。しかし、勝ち目がないながらも航は最後まであきらめず必死に戦い、そんな航の姿を見た他校の選手達もまた奮起。男子砲丸投げは全体的にいい結果を収め、航も8位入賞を勝ち取るのだった。
登場人物・キャラクター
大宮 航 (おおみや わたる)
三久(みつく)高校1年4組に在籍する男子で、大宮彩音の兄。前髪を目の上で切った、藍色のショートカットヘアにしている。まじめで気弱なため、頼み事を断れない性格。三久高校入学直後、遅刻した事を理由に、担任の春川由梨子から陸上部に体験入部する事を命じられる。そこで仕方なく見学に行ったところ、クラスメイトの結崎なずなが楽しそうに砲丸投げをする姿を見かけ、なずなと親しくなりたいという理由で入部を決意する。 スポーツはあまり得意ではなく、陸上部に入るまでは砲丸の重さも知らなかった。しかし、なずな達といっしょに練習をするうちその楽しさに目覚め、砲丸投げ選手として活動するようになる。趣味はゲームで、特にホラーゲーム「ゾンビハザード」シリーズが好き。 陸上部入部までは、妹の彩音とよく遅くまでいっしょにゲームをして過ごす不規則な生活を送っていた。しかし、入部後は時間が取れなくなってしまい、部活疲れもあって、夜はすぐに眠るという規則的な生活に変わった。
結崎 なずな (ゆいざき なずな)
三久(みつく)高校1年4組に在籍する女子で、大宮航の思い人。陸上部に所属しており、種目は砲丸投げ。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした明るいピンク色のロングヘアにしている。授業中は髪をおろしているが、部活中はポニーテールにしてまとめている。一見細身だが、しっかり筋肉の付いた体型をしている。同級生に対しても敬語で接する生まじめな性格。 吉野アレキサンダーからは「子うさぎちゃん」と呼ばれている。一見寡黙で近寄りがたい雰囲気を漂わせているが、不器用で口下手なだけで、実際は穏やかな人物。父親の影響で幼い頃からスポーツに親しんでおり、特に砲丸投げが大好き。記録を伸ばすため、日々真剣にトレーニングに励んでいるのはもちろん、競技をしない時も砲丸を握りしめていたり、女子用とは重さが違う男子用の砲丸にまで関心を示したりするほど、砲丸投げを愛している。 そのため高校に入学してすぐ陸上部に入部し、一人で黙々と練習していた。しかし、航が陸上部に入部したのをきっかけに、少しずつ周囲とコミュニケーションを取るようになっていく。子供の頃から身体を鍛えており、非常に力持ちである。 しかしスポーツ万能というわけではなく、球技は苦手で、水泳もさほど早くは泳げない。
二上 錦 (ふたがみ にしき)
三久(みつく)高校陸上部の部長を務める2年生の男子で、種目は100メートル走。前髪を真上に上げて立て、暗い赤色の髪を、後ろでひとつにまとめている。非常にがっしりとした筋肉質の体型をしている。筋肉自慢で練習熱心なまじめな性格だが、もともとは太りやすい体質で、小学生の頃は太っていた。そこで地元の陸上教室に入ったところ、当時高校生だった春川由梨子に出会い、密かに思いを寄せるようになる。 その後、三久中学で陸上選手として目覚め、オリンピック選手も夢ではないと言われるほどに成長する。しかし正しいフォームで走る事を絶対とする当時の顧問とそりが合わず、顧問の勧める八乙女高校ではなく、由梨子のいる三久高校に進学した。女子部員がなりふり構わず真剣に練習する姿をセクシーだと感じており、それを見るために部活をやっているようなものだと公言している。 特にユニフォーム姿の女性が好きだが、それは由梨子の影響が大きい。東堂楓とは、同じ100メートル走選手というのもあり、まるで同性のように親しく付き合っている。そのため、楓に思いを寄せられている事には気づいていない。「青汁豆乳サイダー」という、一風変わった飲み物が好き。
三笠 千鶴 (みかさ ちづる)
三久(みつく)高校陸上部でマネージャーを務める2年生の女子。前髪を眉上で短く切り、黄緑色のロングヘアを、後頭部で一本の三つ編みにしてまとめている。秋月こはるからは「ちぃちゃん」と呼ばれている。まじめで指導熱心な性格。部活動、特に運動部の活動が盛んな三久高校において、陸上部は今ひとつ存在が薄い事に悩んでいる。そこで、どうにかして陸上部を盛り上げたいと考えていたところ、春川由梨子の命令でやって来た大宮航と出会う。 それ以来、先輩後輩として親しく付き合っていく事になる。部員達の記録を伸ばしたいが、一人一人に合わせた指導をしないと逆効果になってしまうと考えている。そのため、各部員達にさせたいトレーニングと、実際に彼らがこなせそうなトレーニングのギャップに悩む事もある。 部活動のかたわら、ファミリーレストラン「Fami Res」でアルバイトをしている。
東堂 楓 (とうどう かえで)
三久(みつく)高校陸上部に所属する2年生の女子で、種目は100メートル走。前髪を真ん中で分けて額を見せ、顎の下まで伸ばした金色のボブヘアにしている。中性的な雰囲気で、男性のような口調で話す。容姿が、大宮彩音のお気に入りキャラクターであるアルフレッドによく似ている事から、彩音には「アルフレッド」と呼ばれ慕われている。 部内一の俊足で、県大会入賞も期待されるほどの優秀な選手。さらに美形である事も手伝って、友人の秋月こはるからは王子様扱いされている。しかし、東堂楓自身はそれを誉め言葉とは捉えておらず、もっと女性らしくしなくてはと思っている。密かに二上錦の事を、同じ100メートル走の選手としても、異性としても意識しているが、錦には気づかれていない。 実は怖がりで、お化けを恐れるかわいらしい一面もある。
秋月 こはる (あきづき こはる)
三久(みつく)高校陸上部に所属する2年生の女子で、種目は走り幅跳び。前髪を目の上で切り、顎の下まで伸ばした薄紫色のボブヘアの一部だけを三つ編みにしてまとめた髪型をしている。明るく親しみやすい性格だが、やや思い込みが激しく、妄想にふける一面がある。高校の入学式の日に東堂楓と出会って一目惚れをし、以来、恋愛感情を抱いている。 楓の中性的で格好よく、スポーツ選手としても優秀な一面に強くあこがれており、自分の知る中で最も素敵な陸上選手はつねに楓でなくてはならないと考えている。そのため、高校2年生の夏、1年生の結崎なずなも、短距離走を走らせたら早いのではないかという噂を知り、驚く。そこで、楓の方が優れている事を証明するために、二人を競争させる事を思いつく。 結果は楓の勝利だったが、これを機になずなとも親しくなり、以来先輩後輩としてなかよく付き合っていく事になる。部員としてはあまりまじめに練習しておらず、そのせいで太り気味な事に悩んでいる。また、子供の頃に犬に追いかけられたのがきっかけで、犬が苦手。
春川 由梨子 (はるかわ ゆりこ)
三久(みつく)高校1年4組の担任で、陸上部の顧問を務める若い女性教師。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、胸の高さまで伸ばしたロングヘアを一つにまとめて、眼鏡をかけている。スポーツが盛んな三久高校において、陸上部の存在が今ひとつ薄い事に悩んでいる。そこで、ある春、入学早々遅刻して来た大宮航を、無理やり陸上部に体験入部させる。 これがきっかけで航が入部した事により、担任教師としても、部の指導者としても航とかかわるようになっていく。高校生の頃は地元の陸上教室の先生を務めており、小学生に走りを教えていた。二上錦とは実はその時に出会っているのだが、当時錦が太り気味で、今とは大きく違う姿をしていた事から、春川由梨子はしばらく気づいていなかった。 しかし、夏休みに親戚から指摘された事で思い出した。
鹿島 圭太郎 (かしま けいたろう)
三久(みつく)高校1年4組に在籍する男子で、大宮航の友人。部活はテニス部に所属している。前髪を上げて結んで額を全開にしたウルフカットヘアにしている。明るくお調子者で、航とは中学時代からの付き合い。そのため、大宮彩音とも知り合いである。その後、航といっしょに三久高校に入学し、航が陸上部に入部したのを機に、いっしょにトレーニングするようになる。 しかし、実際は結崎なずな達女子部員の、競技中のセクシーな姿を見たいという不純な動機で参加しているところがある。大の女性好きで、もし自分が陸上競技をするなら、女性に人気が出そうな種目、たとえば短距離走がいいと考えている。
黄田 葵 (きだ あおい)
三久(みつく)高校に通う1年生の女子で、結崎なずなの幼なじみ。部活は女子バスケットボール部に所属している。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばしたボブヘアを、耳の下の位置で二つに結んでいる。子供の頃からバスケットボールが大好きだが、三久高校入学直後、女子バスケットボール部のレベルの高さを知り、ここでは自分は通用しないのではと悩む。 しかし、なずなの昔から変わらない姿を見て気を取り直し、スタメンを目指して努力する決意を新たにした。スポーツはどれも得意で、ほかの部活の助っ人を頼まれる事も多い。三久中学校出身で、王寺美里とは当時から知り合い。そのため、高校1年生の夏に優秀な短距離選手として、陸上部員達に美里の存在を教えた。
王寺 美里 (おうじ みさと)
三久(みつく)高校に通う1年生の女子。前髪を眉の高さで切り、顎の高さまで伸ばした紫色のウェーブボブを、頭の左側に集めてまとめたサイドテールヘアにしている。生まじめな性格で、上昇志向が強く練習に熱心に取り組んでいる。子供の頃から走るのが大好きで、小学生の頃は、成績とは無関係に走る事自体を楽しんでいた。その後、三久中学校に進学して陸上部の短距離走エースとなる。 これがきっかけで、単純に走るのを楽しむのではなく、できるだけいい成績を収めたいと考えを変えるようになる。しかし次第にまじめすぎる王寺美里と、ほどほどに頑張ればよいと考えるほかの女子部員のあいだに軋轢が生じる事となった。これが原因で、大会に向けたリレーの練習中、事故が発生。顧問が美里には任せられないと判断した事で、美里は外され、代わりに砲丸投げ選手である結崎なずなが選手に選ばれる事となった。 この結果にショックを受けていたところ、なずな達リレー選手が大会でいい結果を収めた事で陸上を続けるのが嫌になり、退部。その後、三久高校入学後も水泳部に入っていた。しかし、1年生の夏、なずなから誘われた事で、しばらく助っ人として陸上部に参加する事になる。
庄次 矢衣子 (しょうじ やいこ)
一河高校陸上部に所属する1年生の女子で、種目は砲丸投げ。前髪を眉上で切り揃えたショートカットヘアにしている。非常に大柄でがっしりとした体型で、胸が大きい。『ドラえもん』に登場する剛田ジャイ子に似ている事から、周囲には「ジャイ子」と呼ばれる事もあるが、庄次矢衣子自身はこのあだ名を嫌っており、ジャイ子と呼ばれると怒る。 結崎なずなとは高校1年生の春、記録会で知り合った。当初は砲丸投げ選手としては細身のなずなを見くびっていたが、なずながいい記録を残した事で考えを改める。これをきっかけにさらに砲丸投げに打ち込むようになり、なずなというライバルができた事を密かに喜んでいた。その後、なずな達が一河高校陸上部の練習風景を見に来た際は、吉野アレキサンダーの意見もあり仕方なく見学を認めたり、秋の大会ではなずなと1位を争ったりと、なずなといい関係を築いていく。
吉野 アレキサンダー (よしの あれきさんだー)
一河高校陸上部に所属する1年生の男子で、種目は砲丸投げ。アメリカと日本のハーフで、2年前に日本に戻って来た帰国子女でもある。前髪を真ん中で分けたショートカットヘアにしている。中学時代からいくつもの大会で優勝して来た、一河高校のエース。性格も穏やかなうえ、美形で女性慣れしている事から、女子生徒から非常に人気がある。高校1年生の夏、大宮航達三久(みつく)高校陸上部の選手が一河高校まで練習風景を見学に来た事がきっかけで、航達と知り合う。 その際、同じ砲丸投げ選手である航にライバル宣言をされ、秋の大会で競う事になる。競技の際は回転投法を使うが、回転投法をする砲丸投げ選手は珍しい事を、淋しく思っていた。そのため航と出会い、選手としてだけではなく、友人としても関心を持ち、親しく付き合っていく事になる。 大宮彩音とは、秋の大会で彩音が応援にやって来た事で知り合う。その際、吉野アレキサンダーが彩音のお気に入りゲーム「夢の世界の王子様」に登場するレオンというキャラクターに似ていた事から、「レオン」と呼ばれるようになる。
富岡 三郎 (とみおか さぶろう)
一河高校陸上部でコーチを務める中年の男性。男子砲丸投げの日本記録を保持しているチャンピオンでもある。前髪を額が見えるほど短く切って角刈りにしている。太眉で非常にがっしりとした体型をしており、特に胸筋が自慢。砲丸投げの強豪校である一河高校に、一人でも多く優秀な選手を集めたいと考えている。そこで秋の大会で発見した結崎なずなを気に入り勧誘するが、断られてしまう。
小早川 (こばやかわ)
八乙女高校陸上部に所属する2年生の男子で、種目は100メートル走。前髪を真ん中で分けて額を見せ、刈り上げにしている。左目尻にほくろが一つある。三久中学校出身で、二上錦とは当時からの知り合い。同じ100メートル走の選手として、優秀で天才肌の錦に強くあこがれていた。しかし、錦が顧問ともめた事がきっかけで部活に来なくなってしまったうえ、強豪校の八乙女高校ではなく、無名の三久高校に進学してしまい、高校が別々になった事に強いショックを受ける。 それでも高校1年生の大会で競う事を楽しみにしていたが、三久高校陸上部が上級生の意向で大会を棄権した事でそれすら叶わず、錦への屈折した思いだけを強めていた。そのため、高校2年生の地区予選会でようやく錦と再会した際は、わざと見下すような態度を取ったり、三久高校の選手達に妨害行為をするなど、卑怯な行いを繰り返す。 しかし、秋の大会で錦と全力で勝負した事により、ようやく気持ちが晴れ、良好な関係を取り戻した。
黒木 (くろき)
八乙女高校陸上部に所属する女子。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、腰まで伸ばしたストレートロングヘアを、段をつけた姫カットにしている。目が細く、いつも目を閉じているように見え、関西弁で話す。目的のためには手段を選ばない性格。秋の地区予選会においてリレーのアンカーに選ばれ、結崎なずなと勝負する事になる。その際わざとコースの内側に寄り、となりのコースのなずなと接触したり、なずなの動揺を誘うなど卑劣な戦い方をする。 しかし、最終的にはなずなに敗北した。
大宮 彩音 (おおみや あやね)
中学2年生の女子で、大宮航の妹。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした藍色のストレートロングヘアにしている。アニメやゲームが好きなオタク気質で、特に「夢の世界の王子様」という作品に登場する、アルフレッドというキャラクターが大好き。航が高校に入学するまではよくいっしょにゲームをしており、自分同様内向的な航の存在に安心していた。 しかし、航が陸上部に入部して以来、すっかり規則正しく充実した生活を送るようになった事に驚いていた。そこで、中学2年生の夏休みのある日、変装して航が部活をする姿を見に行く事にする。その際三久高校陸上部の面々と出会い、アルフレッドにそっくりな東堂楓にあこがれるようになる。これがきっかけで秋の大会の応援にも参加するが、今度はそこで「夢の世界の王子様」に登場するレオンというキャラクターにそっくりな吉野アレキサンダーと出会い、彼にもあこがれるようになる。