聖ロザリンド

聖ロザリンド

愛くるしい笑顔のかわいらしい少女ロザリンドは、欲望のおもむくまま無邪気に人を殺す殺人鬼だった。天使のような少女が本当は悪魔の子と気づいた両親や執事の苦悩が描かれる。

正式名称
聖ロザリンド
ふりがな
せいろざりんど
作者
ジャンル
ホラー
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概要・あらすじ

母親とともに、故郷の英国からギリシアのロドス島に引っ越してきたロザリンドは8歳の女の子。ハサウェイ家の屋敷に住み、メイドや執事とともに、裕福な生活を送っていた。引っ越し直後から、ロザリンドの周囲の人間が不審な死を遂げる。ある日、ロザリンドの狂気を目撃した執事は、良心と葛藤するものの、少女がすべての殺人事件の犯人だと言い出せない。

その後も殺人は止まらず、次々と毒牙にかかる犠牲者たち。娘が殺人者と知り苦悩する両親。警察も凶悪殺人犯ロザリンドを追い始める。

登場人物・キャラクター

ロザリンド・ハサウェイ

8歳の女の子。大富豪ハサウェイ家の一人娘。かがやくような金髪、バラの花びらのようなほほを持つ天使のような少女だが、裏の顔は凄惨な殺人鬼。同時に、純粋な心を持ち、信仰心が篤く、ウソが大嫌い。犠牲者たちとの約束を叶えるために、欲望のままに殺人を重ねる。瞳の色はブルー。身長は110センチほど。

アルフレッド

ギリシアのロドス島にあるハサウェイ家の屋敷の執事。物語前半のストーリーテラー。ロザリンドの母親が生まれる前から、ハサウェイ家に仕えている。屋敷の周囲で次々に起こる不審な事件にロザリンドが関わっていることに気づき、葛藤、苦悩する。最後はコブラの毒でロザリンドを手にかけようとするが、寸前に思いとどまり、ロザリンドをかばって死亡。

ミケーネ・ハサウェイ

バーナード・ハサウェイの妻でロザリンドの母親。ロザリンドが8歳になったばかりの2月にハサウェイ家の屋敷に引っ越してくる。屋敷の周囲で次々に起こる不審な事件をとても心配している。ヤング刑事の殺害現場を目撃して真相を知り、アルフレッドに相談するものの、用事を頼み、留守中にロザリンドに睡眠薬を飲ませ、拳銃で無理心中をはかる。 ロザリンドは早期に発見されたため助かり、自分だけが死んでしまった。

バーナード・ハサウェイ

ロザリンドの父親。イギリスで博物館館長をしている大富豪。妻亡き後、続けて亡くなったアルフレッドの日記を読み、娘が10人もの人を殺した連続殺人犯と知り、修道院に預ける。その後、修道院を脱走し、罪を重ねながらロンドンに戻ろうとするロザリンドを追うが全て失敗する。

マダム・メリイ・カンタベリイ

ロザリンドがイギリスに住んでいたときの犠牲者。「自分が死んだら金の置時計をロザリンドに渡して」という手紙をロザリンドに渡す。ベランダに置かれた氷に足を滑らせ、転落死。ロドス島に行く前日に葬儀があり、ロザリンドは置時計を弁護士から受け取る。

ダリア

ロザリンドのいとこ。ウソつきで意地悪な9歳の女の子。ロザリンドたちが引っ越ししてきたとき、ハサウェイ家の屋敷に母パティと泊まりにきていた。「指輪を触らないで取れたら、あげる」とダイヤの指輪を自慢する。トリカブト粉末入りのココアを飲まされ、指輪がついたまま、指を噛みちぎられた。 最後は、ベランダから海に突き落とされて転落死。

パティ

ダリアの母親。ダリアの死後、「娘のところに行きたい」と口にするようになる。ロザリンドから真相を知らされ錯乱する。枕もとに現れたロザリンドから逃げようとして、誤ってツルに首を引っかけてしまう。遊んでいると勘違いしたロザリンドが身体にぶら下がり、そのまま首を吊って死亡。

アンリ=ブールボン

ミケーネの兄でダリアの父親。パリの研究所に勤務。娘、妻の死後は、アテネに異動。ミケーネの様子を心配したアルフレッドの知らせを受け、ミケーネの最後に立ち会う。パティの形見のロケットペンダントを身につけており、「自分が死んだらロザリンドにあげる」と約束している。 屋根の上で日光浴中、ロザリンドが大量にぬったロウで滑り落ち、転落死。

メムノン=ブールボン

過去のブールボン家に生まれた殺人鬼。犠牲者の指を噛み切って銀の宝石箱にためていた。1913年5月30日にノッソス刑務所で断頭の刑に処せられる。処刑時には16歳だった。

イリアス

ロザリンドの友達。ハサウェイ家の屋敷の近くにある赤い屋根の別荘に住んでいる男の子でランの花が好き。ロザリンドに好きだと言って喜ばせるが、本命はマルガリータ。焼却炉でマルガリータとデート中、ロザリンドに火を付けられ焼死。

マルガリータ

イリアスのガールフレンド。父親はシナリオライター。ロザリンドがイリアスに気があることを知り、意地悪をする。

コティ

ハサウェイ家の屋敷のメイド。ピピという名の小鳥を飼っている。「自分が死んだらピピをあげる」と主人公と約束する。ロザリンドは崖の上からコティを落とそうとするが、通りがかった野良犬が小鳥を食べてしまう。ロザリンドは犬に毒入りの肉を食べさせて殺し、腹の中から小鳥を取り出してコティにプレゼントする。

シスターたち

サン・マリノ修道院で暮らす神に仕える女性たち。ロザリンドが風邪気味のシスターたちに飲ませようと井戸に投げ入れた強い薬(実は青酸カリ)により、12人全員が死亡。死ぬ間際「主のそばに行きたい」と言っていた院長の願いを聞き、全員を十字架に磔にする。

ヤング刑事 (やんぐけいじ)

アテネ警視庁殺人課の刑事。令状を持ちハサウェイ家の屋敷を訪れる。ロザリンドが数多くの殺人事件に関係しているとミケーネに告げるが相手にされない。逃走したロザリンドを追いかけるが、セメント工場の砂の上に落ち、砂に埋もれて死亡。

場所

ハサウェイ家の屋敷 (はさうぇいけのやしき)

ギリシアのロドス島にある屋敷。ロザリンドの両親が結婚式を挙げた館。長年、アルフレッドが執事として仕えている。

サン・マリノ修道院 (さん・まりのしゅうどういん)

ロザリンドが父によって預けられた修道院。12人のシスターたちが共同生活を送っている。

その他キーワード

宝の箱 (たからのはこ)

ロザリンドが犠牲者から取り上げた「戦利品」がしまってある。指輪がついたままのダリアの指、殺人現場を覗き見し、ロザリンドに殺されたホームレスのベンの両目玉など。

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