あらすじ
第1巻
高校生の綾瀬菜乃花は、中学時代に上杉鷹人と交際した際のトラウマが原因で、恋愛に臆病になっていた。そんなある日、今なお癒えない心の傷と戦っていた菜乃花は、帰宅途中に立ち寄ったファーストフード店で、別れ話中のカップルに遭遇し、その際耳にした男の子の言葉に、中学時代の自分自身を重ね合わせて涙する。翌日菜乃花は、昨日別れ話をしていたカップルの男の子と偶然に出会う。声だけで昨日の彼だと気づいた菜乃花は、自分が欲していた答えに合致する彼の優しい言葉を聞いて、とっさに告白してしまう。見ず知らずの女子高校生からの突然の告白に驚きつつも、優しく話を聞いてくれた彼は、中学生の「桐山隼太」と名乗り、今は誰とも付き合う気がないからと菜乃花の告白を断り、その場を立ち去ろうとする。自分がなぜ隼太に告白したのか、何の経緯も説明できずに隼太とのかかわりを絶つ事を受け入れたくなかった菜乃花は、自分のメールアドレスを書いたメモを隼太に渡し、友達から始めたいと伝えるのだった。そして3日、あきらめかけていた菜乃花のもとに、隼太からのメールが届く。
第2巻
少しずつだが、順調に桐山隼太との距離を縮めていた綾瀬菜乃花は、そんな他愛もない日々に幸せを感じていた。しかし、友達である自分に何の相談もなく恋愛し、一人で突っ走っている菜乃花に苛立ちを覚えていた優子は、その思いを菜乃花にぶつけ、二人の仲は険悪になってしまう。そんな中、優子の彼氏、大地が優子をだしにして菜乃花をカラオケボックスへと誘い出す。菜乃花は誰もいない密室で、大地に襲いかかられて絶体絶命のピンチを迎えるが、防犯カメラで異変に気づいたカラオケ店員によって救われ、事なきを得る。その店員は、中学時代に付き合った彼氏の上杉鷹人だったのだ。菜乃花は、鷹人との久しぶりの再会に動揺するが、相変わらず強気で迫って来る鷹人に対して、好きな人がいる事を告げるが、鷹人はそんな菜乃花を強引に引き寄せ、無理矢理キスをする。思わぬ形でファーストキスを奪われる事になった菜乃花は、あまりのショックに心を痛めるのだった。
第3巻
上杉鷹人からキスされた事を言い出せないまま、綾瀬菜乃花は桐山隼太との距離を縮めていった。隼太の優しい笑顔を前に、隠し事をしているという後ろめたさを感じながらも、菜乃花は次第に日常を取り戻していく。そんなある日、大地との和解をきっかけに、菜乃花は優子や千里のカップルと、隼太を誘ってトリプルデートをする事になった。初めて隼太といっしょに長い時間を過ごせる事に、菜乃花はテンションが上がる思いだったが、行き先が「マミー牧場」に決まった瞬間、表情を曇らせる。それは中学時代、社会見学先で訪れた場所であり、鷹人と付き合い始めたばかりの頃の、苦い思い出のある場所だったのである。デート当日、マミー牧場へとやって来た一行は、いい天気の中、楽しい時間を過ごす。菜乃花は無意識に、鷹人と隼太を比較するような発言を繰り返してしまうが、本人にその自覚はまったくなかった。しかし隼太は、そんな菜乃花の様子に違和感を覚え始める。
第4巻
バレーボールの大会を目前に控え、桐山隼太は練習に忙しい日々を送っていた。「マミー牧場」でのトリプルデート以来、隼太と会えずに寂しい思いをしていた綾瀬菜乃花は、優子や千里のアドバイスを受け、部活中の隼太に差し入れを持って行く事にする。しかし部外者は、立ち入り禁止という決まりがあったため、菜乃花はバレーボール部のマネージャー、マネに差し入れを託して帰宅。一方の隼太は、菜乃花からの差し入れを通して、自分が彼女を好きになっている事に気づく。そして隼太は菜乃花を花火大会に誘い、その時に自分の思いを伝えようと決意するのだった。一方で、隼太の元彼女でもあるマネは、菜乃花の存在にジェラシーを感じていた。隼太への気持ちを残していたマネは、バレーボール部員の洋に、隼太との別れを誇張して語る。マネに対して密かに思いを寄せていた洋はそれを聞いて逆上し、花火大会の日に無理矢理練習の予定を入れ、隼太と菜乃花のデートを邪魔しようと画策する。
第5巻
花火大会の人混みに乗じて携帯電話を盗まれてしまった綾瀬菜乃花は、犯人を追いかけて、一人で暗い場所へと入ってしまう。菜乃花はそこで待っていた男性二人組から暴行を受けそうになるが、助けに来た上杉鷹人によって事なきを得る。殴られて傷ついた鷹人は、介抱している菜乃花に自分の本当の気持ちを伝えようとする。しかしその時、部活帰りに菜乃花を探してやって来た桐山隼太の存在に気づいた鷹人は、菜乃花を強引に抱きしめ、菜乃花を2度にわたり助けた事、そしてこの先もその役目は自分が担う事を宣言。そして以前、菜乃花とキスした時の事を、あえて隼太に聞こえるように語るのだった。菜乃花が鷹人と会っていた事、キスした事を知った隼太は、あまりのショックに、今まで感じた事のない真っ黒な気持ちに捕らわれてしまう。そして、部活にすら真っ直ぐに向き合えなくなり、自分からレギュラーの座を降りる決意をする。一方の菜乃花は花火大会の夜、あの現場に隼太がいた事を知らないままで、隼太の異変にも気づく事はなかった。さまざまなすれ違いから、隼太と会えないまま時間が過ぎていったある日、菜乃花は鷹人から隼太がすべて知ってしまった事を聞かされる。
第6巻
桐山隼太は、綾瀬菜乃花への思いに捕らわれて自分を見失い、河原の高架下でたった一人、ボールを打ち続けていた。そこに、息を切らした菜乃花が姿を現す。必死になって隼太を探し続けた菜乃花は、汗だくでボロボロだった。そんな菜乃花に隼太は、鷹人とキスをしたのは自分と出会う前なのかと質問を投げかける。菜乃花の答えを聞いた隼太の姿に、もうどうにもならない事を悟った菜乃花は、涙に暮れる隼太にキスすると、さよならと告げてその場から立ち去るのだった。その後、隼太はコントロールしきれない頭で必死に考え、菜乃花のキスの真意に辿り着く。そして、立ち直るための第一歩を踏み出すため、部活へ戻る決意をする。一方の菜乃花は、隼太との関係に自ら幕引きをしてしまった事を受け入れられず、ふさぎ込んでいた。そんな中、上杉鷹人が菜乃花を訪ねて来る。隼太を失って呆然自失の菜乃花を見て、今こそ菜乃花を取り戻すチャンスと考えた鷹人は、自分の気持ちを打ち明けようとする。そこで菜乃花は、かつて自分が鷹人から望んでいないキスをされた事を思い出す。そして自分が、まったく同じ事を隼太にしたという事実に気づき、愕然とするのだった。
第7巻
綾瀬菜乃花のキスによって自分を取り戻した桐山隼太は、部活に戻り、すべてをやり直す決意をする。大会当日、ケガを負いながらも準決勝まで勝ち進んだ隼太は、何度も会場の中を見回して菜乃花を探すが、彼女の姿はなかった。菜乃花の事を信じようと決めた隼太は、菜乃花に翌日の試合を見に来てほしいとメールを送り、彼女が現れるのを待つ。隼太からのメールを受けた菜乃花は、翌日、もう一度隼太のもとへ戻りたい一心で、躊躇しながらも試合会場へと向かう。隼太は決勝戦にまで勝ち進んでいたが、ケガにより立っているのがやっとの状態にあった。それでも隼太は菜乃花のため、あきらめずに戦っていた。今度こそ、勝って菜乃花に思いを伝えようと決めた隼太は、試合中、スパイクを打った瞬間に菜乃花の姿を見つけ、そのまま倒れてしまう。そんな隼太の様子を見た菜乃花は、自分は彼のそばにいるべきではないと考え、その場を立ち去ろうとする。そこに姿を現れた上杉鷹人は、もう一度やり直そうと菜乃花に気持ちを打ち明けるが、そんな鷹人から守るように、隼太は菜乃花の手を取って走り出す。そして二人は、ようやくお互いの心からの思いを伝え合うのだった。
第8巻
時間は穏やかに流れ、2学期が始まろうとしていた。桐山隼太は、綾瀬菜乃花がいる藤山高校への受験を決め、菜乃花から勉強を教わりながら二人だけの時間を過ごし、仲を深めていた。そんなある日、菜乃花のクラスに、超進学校、松川男子高校にいたはずの上杉鷹人が転入して来る。鷹人はそのルックスから、一気に学校中の女子の注目の的になった。これまでの事もあり、どこかぎこちなく接する鷹人と菜乃花だったが、そんな二人に上級生の烏丸桜治が声を掛ける。烏丸の声は隼太にそっくりで、菜乃花も一瞬惑わされるほどだった。烏丸はなぜか菜乃花に執着し始め、付き合ってほしいと告白する。しかし、相手の気持ちを理解しようともしない、あまりにも一方的な烏丸に恐怖さえ感じた菜乃花は、その申し出を断るのだった。そんな中、菜乃花と鷹人の関係が校内で噂され始める。それは、二人の関係を知った千里が発端だったが、優子をかばうために咄嗟に口から出てしまった悪気のないものだった。だがその噂が原因で、菜乃花は校内でどんどん孤立していく。
第9巻
綾瀬菜乃花は、上杉鷹人との噂が原因で、校内で孤立状態にあった。噂は誤解を呼び、誤解は嫉妬を産み、悪口を増幅させた。菜乃花は友人を守るため、優子と千里とも距離を置こうと二人を遠ざける。学校でどんな状況にあっても、桐山隼太という存在があれば、菜乃花は頑張る事ができた。そんなある日、菜乃花は隼太から、いっしょにいられなくなると衝撃の言葉を聞かされる。隼太は3か月後に親の転勤でアメリカに引っ越す事が決まり、菜乃花のいる藤山高校の受験もできなくなってしまったのである。突然の事にすっかり動転した菜乃花は取り乱し、隼太にそばにいてほしいと全力で引き留めようとする。一方で、鷹人は健介を介して隼太にコンタクトを取り、自分が菜乃花の学校に転入した事、菜乃花と同じクラスにいる事、自分のせいで菜乃花が孤立状態にある事を打ち明ける。そして、隼太ならどうするか、彼に判断を仰ぐ。隼太から、菜乃花の味方になってあげてほしいと言われた鷹人は、困惑しつつも菜乃花を守りたい一心で、優しく接し始め、友人として関係を修復する。
第10巻
孤立した綾瀬菜乃花を救いたい一心で奔走した結果、上杉鷹人は友人としてではあるが、自分と菜乃花との関係を修復する事に成功した。しかしそれは本来望んだものではなく、鷹人の気持ちは再び不安定になっていく。そんな中、学校では文化祭の準備が進められていた。菜乃花のクラスではお花畑をモチーフにしたカフェに決まったが、菜乃花の中は「マミー牧場」の花畑のイメージがあった。しかし菜乃花の心の中にあるのは、鷹人と行った時のものではなく、桐山隼太と行った時の思い出であった。それを知った鷹人は、菜乃花の中に自分がまったく存在していない事に気づき、絶望する。そんな鷹人の心のスキを、烏丸桜治は巧みに利用する。そんな中、隼太は謎の電話を受ける。聞き覚えのある声のその男は、「綾瀬菜乃花にフラれた男」と名乗り、気味の悪い事を一方的に話し続け、隼太を牽制。心配になった隼太は藤山高校を訪れ、菜乃花に詳しい話を聞いたうえで、烏丸について密かに調査を始める。そして迎えた文化祭当日。心配を拭いきれないまま、隼太と菜乃花がいっしょに過ごす最後の文化祭が幕を開ける。
第11巻
文化祭の最中、桐山隼太は突然何者かに襲われて意識を失い、監禁されてしまう。そんな隼太が目を覚ますと、目の前に姿を現したのは烏丸桜治だった。自分の過去を語り始めた烏丸は、隼太の問いかけに対して、「なくしたものを取り戻す」と答えるのだった。その後、文化祭の後夜祭が始まるが、綾瀬菜乃花は教室で一人、隼太の帰りを待ち続けていた。だが、そこに現れたのは上杉鷹人だった。鷹人は、烏丸の暗示により、菜乃花を自分だけのものにするべく、二人の時間を止めようと心中を計画していた。教室で最後のひとときを過ごすうち、菜乃花の言動が、病んだ鷹人の正気を取り戻すが、そこに現れた烏丸が菜乃花を連れ去る。その頃、隼太はようやく監禁されていた場所から抜け出し、正気を取り戻した鷹人と合流して菜乃花を救いに走る。学校の外階段に追い詰められた烏丸は、菜乃花を抱いて身を投げようとする。鷹人と隼太が烏丸の腕をつかんだ事で間一髪落ちるのを防いだものの、落下は時間の問題。そんな中、烏丸は菜乃花にどちらか一人、道連れにする方を選ぶようにささやく。
第12巻
綾瀬菜乃花は、学校の4階から転落した事で、半年間の記憶を失ってしまった。学校生活に大きな影響はないものの、菜乃花にとって一番大切だったはずの、桐山隼太の存在がかき消されてしまっていたのだ。隼太はそれを知って以来、菜乃花の前から姿を消したままになっていた。隼太がもうじきアメリカへ行く事が決まっている事もあり、優子や千里も、どうする事もできないジレンマに悩まされていた。一方、上杉鷹人はクラスメイトとして菜乃花と接していくが、これまでのわだかまりが噓のように良好な関係を築き始める。そして鷹人は、卑怯とわかっていながらも菜乃花とやり直したい事を明かし、二人は再び付き合い始める事になる。そんな様子を見た千里は、我慢ができずに隼太に会いに行く。だが、アメリカへの出発を3日後に控えていた隼太は、今の自分は菜乃花にとっていない方がマシだと語る。その直後、菜乃花が偶然通りかかった事で、菜乃花が隼太に告白した時と同じ状況が再現される形になるが、菜乃花は隼太にまったく気づかないまま通り過ぎてしまう。この状況に心を痛めつつも納得した隼太は、そのまま渡米し、菜乃花の前から完全に姿を消す。
第13巻
交際を始めた綾瀬菜乃花と上杉鷹人は、順調に穏やかな時間を過ごしていた。しかしある時、菜乃花は、自分が鷹人を怖がらずに接する事ができるようになったのは、いつからだろうと疑問を感じるようになる。自分の失った半年間に、なにがあったのか気になり始めた菜乃花は、何の気なしに鷹人に問いかけるが、その時の鷹人のこわばった表情を見て、菜乃花はますます疑念を脹れあがらせていく。不安になった菜乃花が、同じ質問を千里に投げかけると、千里からまったく身に覚えのない、「自分がとても好きだった人」の話を聞かされる。だが、携帯電話でのメールのやり取りなどを確認しても、千里が話す「桐山隼太」という人の事はまったく思い出せない。鷹人にその名を尋ねても、失った記憶を呼び覚ます事にはつながらなかった。そうこうするうちに、菜乃花は鷹人の真っ直ぐな思いを受け、純粋に彼に惹かれていく自分に気づき始めていた。鷹人はそんな菜乃花にキスしようとするが思いとどまり、かつて、自分が無理矢理菜乃花にキスした時の事を打ち明ける。そして、いつか本当に菜乃花が自分の事を好きになったら、キスする事を許してほしいと約束を交わす。そのまま二人は何も進展する事なく、2年の歳月が流れる。
第14巻
綾瀬菜乃花は、「マミー牧場」へデートに行った際、ここが記憶にない桐山隼太との約束の場所だった事を思い出しながらも、同時に上杉鷹人への思いを再確認してしまう。一方の鷹人は、菜乃花の自分に対する思いを感じ、幸せを感じずにはいられなかった。そんなある日、菜乃花は街で偶然「ハヤタ」と呼ばれていた人物と出会う。彼こそが隼太であった。隼太は、菜乃花が自分の事を思い出していない事を察しながら、自分の存在が、菜乃花の中にわだかまりを作っている事に気づく。そして隼太は、鷹人の事が好きだと語る菜乃花に、「自分の事はそれほど好きになれなかったのだと思って忘れてほしい」と言い残し、その場をあとにする。その頃、事件のあとに昏睡状態となっていた烏丸桜治が目を覚まし、菜乃花の記憶を戻すカギは「隼太の声」である事を明かす。しかし、隼太はアメリカにいるあいだに火事に遭い、喉を潰してしまっていた。そのため、隼太の声を聞いても、菜乃花の記憶が戻る事はなかったのである。一方で、自分の中のわだかまりを解消した菜乃花は、心おきなく鷹人と幸せになれると考えていたが、その喜びと同じだけ傷つき、怒り狂っているもう一人の自分が存在している事を自覚し始めていた。
登場人物・キャラクター
綾瀬 菜乃花 (あやせ なのか)
私立藤山高校に通う女子。中学生の頃、上杉鷹人と付き合っていたが、彼氏が出来た事で友達とのバランスを取る事が難しくなったり、彼の噓や行動が理解できず、疲れて別れた。それがトラウマになり、恋愛には消極的になった。そんなある日、彼女と別れ話中の桐山隼太の話を聞き、彼の優しい考え方に惹かれ始める。隼太の考え方や優しさに惹かれ、顔も名前も知らない状態だったが、のちに偶然道ですれ違った彼に告白した。 基本的になにに対しても興味薄な印象だが、ここぞという時には行動的になる一面を持つ。思った事をうまくまとめられないため、自分の気持ちを言葉にする事ができない事が多い。冷静沈着な性格に見られがちだが、よくすべったり転んだりするかなりの天然。誕生日は3月3日、うお座生まれ。 身長は162センチで、血液型はA型。
桐山 隼太 (きりやま はやた)
桜ケ丘中学校3年生の男子。バレーボール部に所属しており、エースを務める。バレーボール部のマネージャーのマネと付き合っていたが、彼女が二股をかけた事を知り、別れ話を切り出した。その後、綾瀬菜乃花と出会い、突然告白される。生まじめな性格故に、見ず知らずの菜乃花に真摯に向き合ったうえできちんと断る事にしたが、行動的な菜乃花に押され、改めて友達から始める事にした。 菜乃花を知るに従って、どんどん菜乃花を好きになっていく。温厚で優しく、いつも相手の気持ちを一番に考え、何事にもポジティブで前向きな性格。小さい頃から転勤の多い両親のもと、転校を多く経験して来たため、あまり物事に執着しない。第二部では、父親の転勤に伴い、アメリカのヒューストンに引っ越す事になる。 誕生日は8月21日、獅子座。身長182センチで、血液型はO型。
上杉 鷹人 (うえすぎ たかと)
超進学校の県立松川男子高校に通う男子。中学生の時、綾瀬菜乃花と付き合っていた元彼。いつも突っ張っていて、何事にも素直になれない気質。意地っ張りで執念深く、愛想が悪いうえに人の気持ちがわからないところがある、一般的にはかなり付き合いにくい人物。しかし、そんな性格をわかったうえで、根気強く付き合ってくれている唯一の友達が健介。 心にもない事を言ってしまうのが癖になっているせいで、菜乃花の事に関して友達に見栄を張ったり、噓をついたりした事があった。それを菜乃花本人に聞かれ、別れる原因となったが、菜乃花との関係が終わったとは高校に進学した今でも認めていない。高校生になり、偶然菜乃花と再会した時に無理矢理キスし、その後も菜乃花に異常なまでの執着を見せ続ける。 第二部では自暴自棄になった結果、松川男子高校を退学になりかけ、両親によって私立藤山高校へと転校させられる事となった。その際、菜乃花と同じクラスで、菜乃花のとなりの席になる。誕生日は11月11日、さそり座。身長174センチで、血液型はAB型。
千里 (ちさと)
私立藤山高校に通う女子。綾瀬菜乃花と優子の友達。ウエーブヘアが特徴。大学生の彼氏、羽山省吾と付き合っていて、今は彼氏の事で頭がいっぱい。悪気はないものの、何でも彼氏をからめて話す。そんな自分の思いとは裏腹に、菜乃花や優子が無関心な様子なのが悔しく、ついムキになってしまうところがある。そのうえ、菜乃花と優子が親密そうにしていると、自分だけがのけ者になったように感じて面白くない。 基本的に甘ったれのかまってちゃんで、恋愛がすべてと考えている。誕生日は6月23日、かに座。身長156センチで、血液型はO型。
羽山 省吾 (はやま しょうご)
男子大学生で、千里の彼氏。人の好い眼鏡男子。車を持っているために、綾瀬菜乃花と桐山隼太、優子と大地といっしょに「マミー牧場」へトリプルデートに行った際は、自らが車を運転して、みんなを連れて行った。大人の男性として、千里をエスコートする姿を見せる事もあったが、第二部では甘えてばかりの千里に愛想をつかし、別れる事となる。
優子 (ゆうこ)
私立藤山高校に通う女子。綾瀬菜乃花と千里の友達。賢くて面倒見がよく、何でもはっきりモノを言う性格。菜乃花のぼんやりしたところや、はっきりしないところ、菜乃花がどんな男子から告白を受けても断ってしまう事や、恋に関心がなさそうな態度を取る事に苛立ちを感じており、強く怒りをあらわにする事もある。また、菜乃花が何でも自分だけで決めてしまい、友達を頼らない事を悲しく思っている。 基本的に友達とは何でも相談し合い、深く付き合いたいタイプ。恋をしたいと考えるあまり、彼氏欲しさに大地に告白し、思いがけずOKをもらって付き合い始める。なにかと問題行動の多い大地ではあるが、その都度見放す事なく彼を理解し、母親のように厳しくも暖かく接する事で、その後も長く付き合う事になる。 誕生日は4月19日、牡羊座生まれ。身長は160センチで、血液型はB型。
大地 (だいち)
私立藤山高校に通う男子。優子の彼氏。女子に対して軽く、口調も荒めのチンピラ風男子。いつもいきがっているが、実は気が弱いところがある。優子の友達の綾瀬菜乃花に会ってから、従順そうな彼女に惹かれ、簡単にモノにできそうだと考えて菜乃花をカラオケボックスの一室へと連れ込み、手籠めにしようとした。しかしその一件を機に、優子との関係や自分自身を見直す事になり、その後はかなり落ち着き、優子自身への執着も見せるように変化していく。 第二部では心の弱さに付け込まれ、烏丸桜治に目を付けられて脅され、利用される。しかしその後は更生し、優子といっしょの大学へ行きたいと、まじめに勉強に取り組む様子も見せるようになる。
健介 (けんすけ)
超進学校の県立松川男子高校に通う男子。上杉鷹人の親友。鷹人とは中学生の頃からの腐れ縁で、鷹人のひねくれた性格もわかったうえで、付き合い続けている。元は桜ケ丘中学校の卒業生で、バレーボール部に所属していたため、桐山隼太の先輩でもある。高校生になった現在でも、OBとして中学校のバレーボール部の活動を見守るべく顔を出しては面倒を見続けている。 鷹人の綾瀬菜乃花への執着も理解しているが、状況を把握し、鷹人へは親身になったアドバイスを続けている。バレーボール部を通じて隼太の事をよくかわいがっており、気さくで頼りになる先輩。誕生日は2月14日、みずがめ座。身長は177センチで、血液型はO型。
マネ
桜ケ丘中学校に通う女子。バレーボール部のマネージャーを務めており、桐山隼太の元彼女。浮気が隼太にバレて別れる事になったが、その原因は隼太の気持ちを試したかったからだと、隼太に責任転嫁しようとした。もともとは自分の行いのせいで隼太にフラれる事になったが、隼太の優しさにより、対外的には隼太の方がフラれた事になった。そんな隼太の優しさが好きで、別れたあと、もう一度よりを戻そうと話し掛けるが、断られてしまう。 その後も隼太への思いをひきずったままになっていたが、夏の大会を前に綾瀬菜乃花の存在を知り、ジェラシーを抑えられなくなる。第二部では高校生となり、洋と交際する事になる。
洋 (ひろし)
桜ケ丘中学校に通う男子。バレーボール部に所属しており、桐山隼太の親友で、バレーボール部のマネージャーのマネに想いを寄せている。花火大会の日の夜に、なかったはずの練習予定を入れる事で、隼太と綾瀬菜乃花のあいだを邪魔しようと画策する。第二部では高校生となり、マネと交際する事になる。誕生日は9月10日、おとめ座。 身長168センチで、血液型はB型。
おじさん
健介のおじにあたるオシャレな中年男性。口ひげを蓄えている。川沿いにある喫茶店を経営している。毎年花火大会の日には、河原に店を広げてオープンカフェを営業している。今年は人手不足もあり、健介と上杉鷹人に手伝いを頼んだおかげで、大繁盛となった。
保 (たもつ)
桜ケ丘中学校に通う男子。バレーボール部に所属しており、洋や桐山隼太とは仲がいい。バレーボール部のレギュラーとして、試合に向けて努力はしているものの、部活よりも塾を優先し、どこかで頑張りきれていない事を気にしている。心優しく、友達に気遣いのできる人物。
女子生徒 (じょしせいと)
私立藤山高校に通う女子。烏丸桜治が、綾瀬菜乃花と上杉鷹人をめがけて、バケツの水を校舎の上から落とした際、とばっちりを受けて水をかぶってしまった。前にいた菜乃花は、鷹人にかばわれて事なきを得たのに、自分だけがみじめな思いをした事に腹を立て、菜乃花に関する校内の噂に尾ひれをつけ、真実でない噂を流した。
烏丸 桜治 (からすま おうじ)
私立藤山高校に通う男子。綾瀬菜乃花と上杉鷹人の会話を偶然聞き、菜乃花に興味を持った。その後、菜乃花に付き合ってほしいと言い寄るが、菜乃花にふられて激昂。自分の気持ちを否定され、拒絶された事で逆恨みに似た感情を持つようになる。子供の頃に、乗っていた車が転落事故を起こして頭に大ケガをしたため、後頭部に傷跡がある。 その時、それまでの記憶が欠落したほか、好きという感情が理解できないという後遺症がある。そのため、菜乃花に執着する鷹人の気持ちを知りたがり、鷹人にも付きまとうようになる。彼の声は、桐山隼太とそっくりである事から、その声を利用して隼太の周囲で不気味な動きを見せるようになる。また他人の感情を翻弄し、暗示にかけるような形で人をあやつる事ができる。 文化祭の時には、菜乃花を道連れに校舎の4階から飛び降りた事で頸椎を骨折。意識不明となり、2年以上昏睡状態に陥る。しかしその後目を覚まし、再び菜乃花を死に至らしめようと画策する。