薬屋のひとりごと

薬屋のひとりごと

日向夏の小説『薬屋のひとりごと』のコミカライズ。作画のねこクラゲにとって初のコミカライズ作品となる。また、構成を務める七緒一綺は漫画家としても活動しており、『魔女の旅々』などのコミカライズ作品の作画を手がけている。本作『薬屋のひとりごと』とは別に、同様のコミカライズ作品『薬屋のひとりごと ~猫猫の後宮謎解き手帳~』が小学館「サンデーGXコミックス」より刊行され、そちらは作画を倉田三ノ路が務めている。架空の近世中華風世界の後宮に、下女としてさらわれてきた薬師の少女、猫猫(まおまお)が、持ち前の知識と少しばかりの正義感によってさまざまな謎を解き明かしていく姿を描いた中華後宮ミステリー。毒物に恍惚(こうこつ)とした反応を示す特徴的な探偵役を主人公にしている。一方で、皇族や国を取りまく秘話や歴史を相手取ることもあり、壮大な歴史作品としての一面も持つ。スクウェア・エニックス「月刊ビッグガンガン」2017年Vol.06より連載。「次にくるマンガ大賞 2019」コミックス部門第1位、「BOOK☆WALKER大賞2020」準大賞を受賞している。2023年10月、原作小説のテレビアニメが放送。

正式名称
薬屋のひとりごと
ふりがな
くすりやのひとりごと
原作者
日向夏
作画
ジャンル
推理・ミステリー
 
恋愛
レーベル
ビッグガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
関連商品
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薬屋の官女

主人公の猫猫は養父から薬屋の教えを受け、薬師として花街で働いていた。そんなある日、彼女は人さらいに捕まり、そのまま皇帝の後宮に下女として売り飛ばされてしまう。おとなしく年季が明けるまで、後宮で働くことにした猫猫だったが、猫猫は実は薬や毒が大好きなマッドサイエンティストだった。後宮で起こった陰謀を知り、持ち前の正義感から忠告をしたところ、高官の壬氏の目に留まり、寵妃である玉葉妃の毒見役に抜擢される。そして、誰もが嫌がる毒見役に嬉々として挑む猫猫は、後宮のさまざまな事件にかかわるようになっていく。

おしろいは毒

猫猫は人さらいに連れ去られて後宮に売られた立場であることから、ほどほどにまじめに働いてはいるが、給金は人さらいたちに送金されてしまうため、仕事への熱意はほとんどなかった。しかしある日、上級妃たちの赤子が次々と衰弱し、死んでいるとの話を聞く。宮廷医師はその原因を見抜けずにいたが、猫猫は聞いた話と実際にその場面を見たことで、すぐにその原因が化粧に使うおしろいに含まれた毒だと看破する。目立つことを嫌った猫猫は、若干の正義感から匿名でそのことを知らせる。猫猫はそれ以上深入りするつもりはなかったが、下女の中で文字が読み書きできる人物がほとんどいなかったため、壬氏にバレて彼に使い勝手のいい駒として利用される。

天女のような男とそばかす娘

本作は猫猫と壬氏の恋愛にも焦点を当てており、そばかすだらけの顔の猫猫と、天女のような美しさを放つ謎多き男・壬氏の掛け合いも魅力的に描かれている。最初は猫猫のことを「使い勝手のいい駒」「新しいおもちゃ」程度にしか考えていなかった壬氏だったが、猫猫との交流の中で少しずつ彼女に惹かれていく。一方、花街で育ったために恋愛に関してはドライな考え方を持つ猫猫は、壬氏にも塩対応で笑顔になるのは毒や薬がかかわるときだけだった。徐々に壬氏も猫猫の性格を知り、彼女を貴重な薬草や毒で釣って、無理難題を押し付けるのがお約束となっている。

登場人物・キャラクター

猫猫 (まおまお)

後宮下女の少女。肉付きのない小柄な体型で、顔にはソバカスがある。「小猫(猫ちゃんの意)」という愛称で呼ばれることもある。以前は花街に居を構える薬屋の娘だったが、人さらいにあって後宮に下女として売り飛ばされた。その育ちから薬と毒に関する豊富な知識と好奇心に加え、若干の正義心を持ち合わせており、病の原因調査を始めとした謎解きを得意とする一方で、自分の体を利用しての人体実験や毒物の摂取に快楽を覚えるといった悪癖の持ち主でもある。後宮に勤めた当初は尚服にかかわる下女として働いていたが、帝の寵妃(ちょうき)である玉葉妃とその娘の命を救ったことをきっかけに、彼女の侍女として毒味役となる。その際、後宮を管理する壬氏から使いやすい駒として認識され、間諜(かんちょう)まがいの行いから探偵の真似事(まねごと)まで、さまざまな厄介事を持ち込まれるようになる。絶世の美貌の持ち主である壬氏に惑わされない希有(けう)な人物の一人でもあり、それどころか、難題を持ち込む彼に対して毛虫を見るような目線を投げかける。このことが逆に壬氏に好かれる結果を招き、彼に執着されることとなった。

壬氏 (じんし)

後宮の管理を任せられた宦官の男性。後宮の貴妃たちをも圧倒する絶世の美貌の持ち主で、高順(ガオシュン)という宦官(かんがん)を付き人にしている。宦官ながら内侍省をはじめどの部屋にも属していない謎めいた人物でもあり、宦官長どころか帝の後見人のような振る舞いで後宮のすべてを監視している様子がある。帝の御子と上級妃たちが謎の体調不良を訴えていた事件の際、原因を突き止めた猫猫に興味を抱き、当初は使い勝手のいい駒として利用しようと近づいた。しかし、自分の美貌に目もくれないどころか毛虫のような眼差しを向ける彼女に次第に惹(ひ)かれ、執着するようになる。

クレジット

原作

日向夏

キャラクター原案

しの とうこ

構成

書誌情報

薬屋のひとりごと 13巻 スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉

第1巻

(2017-09-25発行、 978-4757554894)

第2巻

(2018-02-24発行、 978-4757556409)

第3巻

(2018-07-25発行、 978-4757557949)

第4巻

(2019-02-25発行、 978-4757559639)

第5巻

(2019-07-25発行、 978-4757562165)

第6巻

(2020-03-25発行、 978-4757565814)

第7巻

(2020-11-25発行、 978-4757568563)

第8巻

(2021-05-25発行、 978-4757572713)

第9巻

(2021-11-25発行、 978-4757575868)

第10巻

(2022-06-23発行、 978-4757579859)

第11巻

(2023-01-25発行、 978-4757583245)

第12巻

(2023-09-29発行、 978-4757588134)

第13巻

(2024-03-25発行、 978-4757590274)

薬屋のひとりごと 1巻~3巻お買い得バリューパック スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉

(2023-09-12発行、 978-4757587564)

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