概要・あらすじ
家の都合で東京で暮らすことになった九十九零は、高校生活初日の朝、不安と憂鬱、小さな違和感を抱きながら登校する。教室では、周囲の嫌な言葉ばかりがハッキリと聞こえ、その言葉が泥のように体にまとわりついてきた。やがて胸が苦しくなり、体の奥から何かが音を立てて広がってくるのを感じた九十九は、そこで目を覚ます。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。ふと前を見ると、机の上に、動物のようなものがいた。「キュウ」と鳴き声をあげるそれ(Q太)は、幻覚でもぬいぐるみでもなかった。周囲を見ると、何やら「人ならざるもの(人外)」がウロウロしているが、なぜか誰も気づいていないようである。怖くなった九十九は、家路を急いだ。まるで夢の中の世界のようだ。そう思いながら歩いていると、シルクハットに黒いコートを着た背の高い男が、九十九の行く手を阻んだ。顔の真ん中に目が一つだけのその男は、やはり人外であった。男は九十九の胸を引き裂くと、ぐいぐい手を突っ込んでくる。ずっと尾いてきていたQ太は、男の手に嚙み付いた。どうやら九十九を助けようとしているらしい。やがて九十九は意識を失い、気がつくと自宅のベッドで寝ていた。「全部夢だったのだ」。そう考える九十九だったが、ベッドの脇にQ太を見つけ、やはり現実だったのだと考えを改める。翌日の下校時、黒い物体に襲われた九十九は、弟切飛という青年に救われる。弟切によると、九十九を襲った黒い物体は「影(シャドウ)」と呼ばれるものであり、人間の憎悪や悪意の化身であるという。弟切は、「影」を駆除して回っているのだという。人外が見えるようになった九十九が「影」をおびき寄せていると考えた弟切は、九十九に協力関係を申し入れるのであった。
登場人物・キャラクター
九十九 零 (つくも れい)
高校1年生の男子。高校生活の初日、教室で突然眠気に襲われ、目が覚めると「人ならざるもの」が見えるようになる。以来、自分の心の化身として出現したQ太がいつもそばにいるようになる。また、人の憎悪や悪意の化身である「影(シャドウ)」に襲われるようになり、「影」を駆除する弟切飛という青年と協力関係を結ぶことになる。
Q太 (きゅうた)
九十九零の心の化身。高校生活初日、九十九が教室で突然眠気に襲われた際に出現する。四本脚の丸っこい姿、くりっとした目が特徴。「キュウ」と鳴くことから、九十九によって「Q太」と名付けられた。九十九の味方であり、彼が人外に襲われると、一生懸命助けようとする。
弟切 飛 (おとぎり とび)
人の憎悪や悪意の化身である「影(シャドウ)」を駆除しているという、謎の青年。黒っぽい服装と円筒型のスポーツバッグが特徴。九十九零が「影」をおびき寄せていると考え、彼を囮に利用しようと、協力関係を申し込む。
クレジット
- 原作
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Eve
- その他
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Eve
書誌情報
虚の記憶 4巻 KADOKAWA〈MFコミックス ジーンシリーズ〉
第1巻
(2020-12-25発行、 978-4046800473)
第2巻
(2021-12-27発行、 978-4046809599)
第3巻
(2022-12-27発行、 978-4046819826)
第4巻
(2023-09-27発行、 978-4046825988)