世界観
舞台は現代日本にある架空の都市三門市。約4年前に異世界から侵攻してくる怪物、近界民の大規模な侵攻を受けた三門市は、近界民への対策を秘密裡に進めていた組織「ボーダー」に救われ、近界民は撃退された。以後も三門市では小規模な近界民の襲撃が断続的に発生し、ボーダーは三門市に本部を置いて近界民対策に務める。三門市側もボーダーを受け入れ、市民たちは概(おおむ)ね平穏な生活を送っている(実際は三門市以外でも世界各地で小規模な侵攻が起きているが認知されておらず、国際的にも三門市が近界民対策の最前線と認識されている)。
ただし、現実には異世界にも惑星国家と呼ばれる多種多様な世界が存在し、それぞれに地球人と同様な知的生命がいるため、本来は近界民と一括(くく)りにすることはできない。しかし一部の惑星国家が「トリオン兵」と呼ばれる怪物を兵器として三門市に送り込んでいるものを、三門市側は「近界民」と呼称するままとなっている。のちに異世界の一つ、アフトクラトルからの侵攻で地球人と同様な姿の近界民が確認された後は、「人型近界民」という名称が用いられるようになった。
トリオン兵とは「トリオン」という生体エネルギーのような物で構成される擬似生命体であり、侵攻は地球人を攫(さら)ってそのトリオンを獲得するのが目的である。トリオン兵には地球の通常兵器では効果が薄いため、4年前の侵攻では大きな被害を受けた。しかしボーダーは秘密裡に近界民の技術を得ており、トリオンを利用した器具トリガーによってトリオン兵を撃退しうる力を得ている。このためボーダーは近界民の一部と交流があるものの、4年前の大規模侵攻で被害を受けた構成員も多いことから、組織内での近界民に対する好悪は様々である。
作品が描かれた背景
作者の葦原大介へのインタビューによれば、『賢い犬リリエンタール』の連載を終了した後、次回作は少年誌という媒体をより意識し「勝負もの」を志向して構想が練られた。既存の競技を題材にするよりも「一からルールを考えたバトル物」という方向へシフトし、その条件に合う題材としてSFバトルというジャンルが選ばれるに至った。
この連載前に、プロトタイプとなる読み切り作品として『実力派エリート迅』が発表されている。この読み切りは『ワールドトリガー』の主要キャラクターである迅悠一の原型となるキャラクターを主人公として、近界民ボーダーの設定が既に登場していた。ちなみに、この『実力派エリート迅』が描かれる半年前に東日本大震災が起こっており、テレビでの報道が悪役のイメージに影響を与えたとされている。
もう一つの原形として、2009年に発表された読み切り『トリガーキーパー』が挙げられる。舞台は異星人がもたらした技術、トリガーによって繁栄した地球で、地球人の少年が異星人の少女と偶然出会い、トリガーの裏にある秘密に関わる。トリガー起動時のキーワード「トリガー・オン」など、この作品から『ワールドトリガー』に持ち込まれた要素も多い。
あらすじ
近界民との邂逅
4年前から謎の異世界「近界」の侵攻を断続的に受ける三門市では、防衛組織「ボーダー」が設置され、未知の脅威から市民の生活を守っていた。ボーダーのC級隊員であることを周囲に隠して生活を送っていた中学生の三雲修は、謎の転校生、空閑遊真と出会い、ひょんなことから友人になる。修は遊真と接するうちに、彼が「門(ゲート)」の向こうから来た「近界民」であることや、父親の友人を捜してこの世界に来たことを知る。日本の常識を知らない遊真に振り回されながらも、監視を兼ねて彼と行動を共にする修はある日、学校で強力なトリオン兵に遭遇。訓練用のトリガーしか持っていないため敵との実力差を痛感した修は、遊真の力を借りて敵を撃破するも、C級では認められていない独断の戦闘を上級隊員から咎(とが)められてしまう。なんとか処罰を免れた修は、かつて命を救ってくれた迅悠一と再会を果たし、彼に助けられることが増えていく。一方で遊真は、近界民に狙われやすい体質の雨取千佳を修から紹介され、遊真、修、千佳の三人で行動することも増えていく。そんなある日、とある任務に参加した遊真の正体が近界民であることがボーダー本部に知られてしまい、彼は近界民を憎む一部の過激派から命を狙われる羽目になる。そんな遊真は三輪隊と戦闘になるが、空閑有吾の形見である「黒トリガー」で返り討ちにする。戦いは悠一が仲裁に入ったことで収束するが、城戸正宗は遊真を始末してでも彼の黒トリガーを回収しようと画策。それを察知した悠一は遊真を入隊させることで、隊員同士の戦闘禁止という規定を盾に遊真を守ろうと考える。悠一の提案を一度は断ろうとする遊真だったが、トリオン兵に連れ去られた兄と友人を助けるという目的を持つ千佳を、修といっしょに手助けするために入隊を決意。しかし今度は、遊真の黒トリガーを狙う城戸派の混成部隊が送られ、新たな戦闘が開始される。悠一は穏健派の忍田真史のサポートを受けて迎撃することになり、真史に従う嵐山隊のサポートを受けながら混成部隊を打ち破る。
ボーダー入隊
迅悠一は自らの黒トリガーを本部へ返却することで、空閑遊真の黒トリガー回収を目論む過激派の動きを封じ込めたうえで、彼の防衛組織「ボーダー」への入隊許可を得ることに成功。悠一のおかげで遊真とトリオン兵に狙われやすい体質を持つ雨取千佳の三人は正式にボーダー隊員となり、三雲修と共に悠一の所属する玉狛支部に迎えられることとなった。近界に連れ去られた兄と友人を捜している千佳の目的のためには、単に入隊するだけでなく遊真、修と共に三人でチームを組む必要があった。三人はいつか遠征が許されるランクにまで昇格して近界に遠征に行くことを決意しながら、それぞれの師匠のもとで修行に励むこととなる。入隊式の当日に行われた新入隊員の戦闘訓練では、新人でありながらもともとの実力者である遊真が注目を集める一方で、千佳も狙撃手としての常人離れした才能を見せ始めていた。そんな中、修は黒トリガーを返却した悠一の行動に疑問を抱くA級部隊隊長の風間蒼也に対戦を申し込まれ、模擬戦を行うことになる。圧倒的な実力差の相手に一矢報いようともがく修は、持ち前の知識と知恵を活かして反撃を試みる。20戦以上戦って最後の相打ち以外はすべて敗北に終わった修だったが、蒼也と引き分けた噂(うわさ)ばかりが広まっていき、ボーダー内の有名人になっていく。
大規模侵攻
三雲修、空閑遊真、雨取千佳が防衛組織「ボーダー」の中で頭角を現していたある日、多数の「門」が次々と開いて近界の国々の一つである「アフトクラトル」からの大規模侵攻が始まった。修をはじめとするB級以上のボーダー隊員は緊急出動し近界民の排除へと乗り出すが、軍事大国であるアフトクラトルは新型のトリオン兵「ラービット」や、強化された複数の黒トリガーを使いこなし次々と各地を蹂躙(じゅうりん)していく。混乱の生じる戦闘はやがて、4年半前の第一次侵攻を超える大規模な乱戦に発展し、それぞれの部隊はラービットの前に苦戦を強いられる。その目的は、国土を維持するためトリオン能力の高い者を見つけ出し、生きたままアフトクラトルに連れ去ることにあった。C級隊員の救出のために動き出した修と木虎藍は、ラービット相手に奮闘するも次々と敵が現れたことで絶体絶命のピンチに陥る。そして、ボーダー最強部隊である玉狛支部の「玉狛第1」が出動し、強敵を難なく倒して戦局を有利な方向へ進めていく。だが安心したのも束(つか)の間、「角つき」と呼ばれている強力な人型近界民が急襲し、アフトクラトルとの本当の戦いが始まる。国宝級トリガーを持つウィザに遭遇した遊真は足止めを食らいながらも、レプリカの本体を送ることで修たちを助けようとする。一方、千佳を連れて基地を目指す修は、侵攻隊の隊長を務めるハイレインに遭遇。高いトリオン能力を持つ千佳を捕獲するために、特殊なトリガーの攻撃を受けた千佳はキューブ化されてしまう。周囲の者も次々とキューブ化され再びピンチに陥った修は、キューブ状態の千佳を守りながらボーダー基地への帰還を目指す。その頃、基地に侵入したエネドラに立ち向かうべく、それまで指揮官を務めていた忍田真史が急遽(きゅうきょ)参戦し、黒トリガーを持つエネドラとノーマルトリガー最強の真史の猛攻がぶつかり合っていた。真史がエネドラを、遊真がウィザを撃破したことで戦局が好転していくが、修のもとに駆けつけたレプリカは敵に真っ二つにされてしまう。近界民排除に駆けつけた三輪秀次も遠くに転送され、基地の手前にたどり着いた修はあと一歩のところで、ハイレインたちの襲撃を受ける。そんな修を援護するため、ウィザとの戦闘を終えたばかりの遊真も奮闘を続けていた。
B級ランキング戦・前半
近界民による大規模侵攻に対し、防衛組織「ボーダー」は総力をあげて辛くもアフトクラトルの侵攻隊を撃退するが、その際に数十名のボーダー隊員が連れ去られ、オペレーターを中心に数名の死者も出る結果となった。さらに、雨取千佳を守りながら基地に向かっていた三雲修は、帰還直前に重傷を負って入院する結果となった。ボーダーはさらわれた隊員たちを救出すべく、今までにない規模の遠征計画を打ち出す。近界と行き来できるこの遠征に修たちが参加するには、空閑遊真、千佳と共にB級部隊同士が点数や昇格を巡って戦う「B級ランキング戦」に参加する必要があった。復帰した修は、大規模侵攻での活躍を評価され昇格した遊真と千佳と共に、修が隊長を務めるB級部隊「玉狛第2」を正式に結成。修たちはB級ランキング戦に玉狛第2として出場することになり、さらなる昇格を目指すようになる。初戦を突破した修たちは、B級中位グループの長距離戦型として知られる荒船隊と、接近戦型の諏訪隊との三つ巴(どもえ)の戦いをすることになる。作戦を練り上げた修たちの戦闘は白熱し、もとからA級に匹敵する実力を持つ遊真と、膨大なトリオン量を活かして大砲のような攻撃ができる千佳、戦術に工夫を凝らす修の活躍により勝ち進むことができた。しかし、第3戦ではB級上位の那須隊、鈴鳴第一・来間隊とぶつかることになり、次第に総合力不足があらわになっていく。嵐の川辺という予想外のフィールドに苦しめられながらも、遊真をはじめとする攻撃手三人が激突する西岸では、那須隊の狙撃手が均衡を崩す鍵として動き出す。一方の東岸側では、那須玲を中心に射撃戦が激化していた。結果的には那須隊との激闘を制するも、修は自分の実力不足を痛感し、B級トップクラスの二宮隊と影浦隊とぶつかる第4戦を前に、射撃戦の専門家のもとへ相談に向かう。A級隊員との特訓を重ねたうえで本番に臨む修だったが、早急に緊急脱出を強いられ玉狛第2は惜敗に終わる。隊長として今回の敗戦に打ちひしがれる修はある人物の助言を受け、迅速な部隊強化の一手として迅悠一を勧誘する。大胆な行動の裏にはチームの未来のために下した決断と、遊真の過去や目的を知る修の秘めたる思いがあった。
ガロプラの急襲
ボーダー隊員たちが特訓に励む中、防衛組織「ボーダー」本部では、上層部と上級部隊による緊急対策会議が招集される。大規模侵攻の爪痕が残る中で、近界からは新たな脅威がせまっていたのだ。アフトクラトルの属国「ガロプラ」が、ボーダーの遠征艇を狙っていることが明かされ、エネドラからの情報や迅悠一の予知を頼りにA級トップチームがその対応に当たることになり、迎撃準備を整える。一方、過酷なB級ランキング戦を勝ち抜くためにレベルアップを目指す三雲修は、B級部隊「玉狛第2」に加入する可能性がある適任者を探していた。実力不足に悩む修は木虎藍に教えを請い、ワイヤーを張るトリガー「スパイダー」で味方をサポートする方法を教わる。そんな中でガロプラによる侵攻が開始され、本部基地を襲撃するトリオン兵たちとの攻防戦に乗じて基地内に侵入していた隊長のガトリンたちを、トップ攻撃手の立川慶をはじめとする四人の精鋭が迎え撃つ。外の警戒区域では、新種のトリオン兵「アイドラ」に苦戦を強いられ、副隊長のラタリコフに遭遇した三輪隊の戦闘も始まっていた。基地内では、遠征艇へせまり来る侵入者の背後からせまる那須玲たちの前にも、ガロプラの精鋭が立ちはだかる。一方、仲間に置き去りにされてから故郷への帰還を企てて抜け出したヒュースは、ガロプラの兵士、レギンデッツとの接触を試みる。母国に見捨てられたと悟ったヒュースが、レギンデッツを倒したことで戦闘は終結し、ボーダーは遠征艇の死守に成功。そしてB級ランキング戦・第5戦が開始され、玉狛第2は香取隊、柿崎隊と激突するが、空閑遊真はいきなり香取葉子の強襲に遭う。彼女をフォローする若村と三浦を待ち受ける修は、以前に教わったスパイダーを活かした遊真とのコンビネーション、そして新装備に切り替えた雨取千佳によって手痛いダメージを与える。慎重に様子をうかがっていた柿崎隊が割って入るも戦いは膠着状態になり、状況を打開すべく次の一手を打ち出した玉狛第2は千佳の砲撃を仕掛けるも、柿崎隊と香取隊が連動したことで戦況が一変。数的不利に見える状況の中で、修たちの新たな戦術が真価を発揮する。
B級ランキング戦・後半
遠征に向けた戦力強化を目指すB級部隊「玉狛第2」は、ヒュースの入隊を防衛組織「ボーダー」上層部に掛け合うも、近界民であるだけでなく情報提供を拒むような態度が目立つヒュースに、上層部は難色を示す。そこで三雲修は、近界へ向かう際の有能な案内役として、遠征におけるヒュースの価値を主張。それに対して城戸正宗は、雨取千佳を遠征に連れて行くのを条件に、取引を持ちかける。動揺する修だったが、千佳が条件を受け入れたことで成立し、ヒュースは正式にボーダー隊員となる。入隊式当日でヒュースを見送った修たちは、王子隊と生駒隊と激突するB級ランキング戦・第6戦に挑む。開始直後、王子隊は修に狙いを絞る策に出るが、B級部隊「玉狛第2」の戦略は王子隊の動きを封じ込めようとする。そんな中、生駒達人は射程距離も破壊力も抜群の旋空弧月を炸裂(さくれつ)させ、空閑遊真を追い詰めていく。大乱戦を生き残ったのは達人だったが、4点を獲得した玉狛第2の勝利となる。一方、入隊式を終えたヒュースは、初日にいきなりポイントを大量獲得し、B級隊員にまで昇格していた。ヒュースが正式に加入したことで新たな玉狛第2が始動し、玉狛支部には古参のミカエル・クローニンと林藤ゆりが帰還し、二人からは玉狛支部、そしてボーダーがまだ「旧ボーダー」であった頃の過去が語られるのだった。第7戦を前にして隊員たちの過去や思いが交錯していく中、修はヒュース加入で戦力増強が着実に進んでいる状況の中でも、胸の奥に引っかかるような不安を感じていた。そんな不安を押し殺して当日を迎えた修は、開始前に迅悠一から励ましの一言を受けて第7戦に挑む。この戦いは、玉狛第2に入隊して間もないヒュースのデビュー戦でもあった。開始直後から、鈴鳴第一は夜の市街地ステージを選択し、光と暗闇を利用した屋内戦の攻防で敵チームを追い込んでいく。そんな鈴鳴第一の環境戦術を封じた遊真とヒュースは影浦隊と鈴鳴第一の戦闘に割り込み、激しい屋内戦の中でヒュースが本領発揮する時が来た。しかしヒュースは、なぜか切札であるはずのトリガー「バイパー」を使用せず、その理由はあとで話すと言いながら別のトリガーを使用して戦う。
B級ランキング戦・最終戦
期待以上の動きを見せたヒュースの活躍により、B級ランキング戦・第7戦はB級部隊「玉狛第2」の勝利で幕を閉じ、三雲修たちはB級3位への昇格を果たす。最終戦となる第8戦がせまる中、修はC級隊員のあいだでヒュースのことを近界民と疑う噂が流れているのを知って動揺するも、迅悠一の言葉を思い出してある行動に出る。そして最終戦の通知が届き、対戦相手は二宮隊、弓場隊、生駒隊だと判明する。弓場隊対策のために修と空閑遊真はある人物を紹介され、助言を受けながら戦術を組み立てていくことになる。遊真と別れた修は、No.1射手として有名な二宮匡貴の強さの本質が、1対1の攻防であると知る。弓場隊の作戦室を案内された遊真はひょんなことから、遊真にあこがれを抱いている帯島ユカリと手合わせした結果、隊長の弓場拓磨とも1戦を交えることができた。一方、作戦会議でヒュースに指摘されて以来、人を撃つことへのためらいに悩み続ける雨取千佳は、屋上で師の木崎レイジたちに見守られながら、千佳自身の過去や本音に向き合っていた。新たな決意を胸にした千佳は、最終戦で鉛弾ではなく通常の弾丸を使用することになり、彼女の火力を活かせれば有利に戦えると判断した修は、心配しながらも彼女の提案を採用する。予定どおりやって来た最終戦当日、それぞれの部隊は仲間と共に、特訓と作戦を積み上げたうえで最後の戦いに挑む。この戦いは、千佳が本当に人を撃てるのかと、匡貴への対抗策が鍵となっていた。それを確かめるべく、匡貴は千佳がいる方向を狙ってトリガー「サラマンダー」による爆撃を仕掛け、彼女は遊真に守られながら「ハウンド」で応戦。この射撃戦の反対側エリアでは、一人離れた位置に転送されたヒュースが孤立していた。序盤からマークされていたヒュースは、生駒隊と弓場隊に囲まれて集中攻撃を食らい、早くからダメージを受けてしまう。ヒュースの危機を察知した修は、千佳の狙撃で突破口を作ろうと試みるも、ここで逃さず仕留めようとする3隊の猛攻が彼を襲い、ヒュースはさらなるダメージを負ってしまう。乱戦の中で、ヒュースは千佳の「メテオラ」で自分もろとも爆撃する作戦を提案。だが、狙いを定めて構える千佳の爆撃を阻止しようと遠くから弓場隊の狙撃手、外岡が狙い撃ちしたことで不発に終わり、彼女たちの作戦は失敗してしまう。
遠征選抜試験
B級ランキング戦最終戦を切り抜けたB級部隊「玉狛第2」はB級2位に昇格し、遠征選抜試験への切符を獲得した。同時期に行われたB級中位最終戦では香取隊、諏訪隊、那須隊の3隊がそれぞれの未来を賭けて激闘を繰り広げていた。一方、防衛組織「ボーダー」内部では、次の大規模遠征に向けた動きが活発化していた。そんな中、久しぶりに忍田真史と忍田瑠花が訪れ、彼女はしばらくのあいだ玉狛支部に滞在することになるが、林藤陽太郎の姉でもある彼女にはある秘密があった。瑠花の正体に疑問を抱く三雲修と空閑遊真は、迅悠一に誘われてガロプラの遠征兵たちと対面し、合流した林藤匠と共にある交渉を試みる。その中で悠一から聞かされたのは、陽太郎と瑠花がかつて近界に存在した王国「アリステラ」の王族という、驚きの事実だった。匠はラタリコフに対し、遠征の妨害を仕掛ける任務から手を引いてもらう代わりに、ボーダーの遠征予定を内部から一定期間遅らせるという条件を出して取引を持ちかける。その条件を了承したラタリコフは、発信機機能の付いたトリガーを玉狛支部に預ける。ランキング戦後の休息も束の間、遠征メンバーを選ぶ遠征選抜試験の説明会が始まるが、今回の試験ではかつてない大規模遠征に向け、今後のボーダーの主力でもあるB級中位以上の隊員の適性や能力もテストされることになった。さらには、それぞれの隊員が現在所属している部隊ではなく、一部のA級隊員のB級部隊のメンバーをシャッフルした11の臨時部隊を結成したうえで進められること、試験に参加しないA級隊員は審査官を務めるというルールも判明する。当然ながら玉狛第2のメンバーも別々の部隊に割り振られることになるが、修たちは必ず全員で遠征に行くことを誓い、それぞれが属する臨時部隊で試験に挑むことになる。第1次試験は、遠征艇内を想定した閉鎖的な施設で、さまざまな課題をこなしながら仲間と1週間を過ごす「閉鎖環境試験」。7番隊「諏訪隊」の一員となった修は、慣れない相手にとまどったりトリオンが不足するトラブルに遭遇しながらも、協力して過酷な試験に挑んでいく。
作風
前の連載『賢い犬リリエンタール』がハートフルなコメディであった事に対し、『ワールドトリガー』は連載開始時の作者コメントで「今回は厳しめの世界を描こうと思います」と宣言された。「異世界からの侵攻とそれに立ち向かう人間たち」が主題の本作は、その宣言通り、前作よりもシリアスな雰囲気で進行している。ただし、絵柄がバトル物としてはすっきりした線であること、日常生活シーンではコメディ的なやり取りも見られることもあって、重苦しい雰囲気になることは少ない。
刀や銃を模した武器によるバトルシーンが多いにも関わらず、陰惨さがあまり感じられないのも本作の特徴。その原因として、戦闘時の肉体がトリオンで出来た「トリオン体」に換装される設定が挙げられる。トリオン体での戦闘時に受けたダメージは元の肉体に影響せず、戦闘不能になった際は「緊急脱出(ベイルアウト)」という強制送還のシステムもある。このため、登場人物が両断や穴だらけにされることがあっても、死亡や重傷といった事態にはなりにくい(皆無ではない)。
ボーダー隊員の大部分は10代後半の少年少女(トリオン能力が年をとるごとに衰えるため、若い方が有利という理由づけがなされている)であり、数名のチーム分けや競技化された模擬戦による組織内対戦、そして日常での交流が描かれることで、多くの戦いがスポーツライクな性質を持っていることも、陰惨さの除去に役立っている。その反面、主人公チームといえど、いわゆる「ご都合主義」でいきなり強くなり実力差のある相手に勝利するという展開にはなりにくく、連載開始時の「厳しめの世界」という姿勢は変わっていないと思われる。
特殊背景
『ワールドトリガー』の主な舞台となる世界では、誕生日の星座が黄道十二星座の代わりに「はやぶさ座(3月21日~4月19日)」、「ねこ座(4月20日~5月20日)」といった独自の星座に置き換えられており、世界設定が完全に現実と同一でないことが分かる。
この独自の十二星座は、『賢い犬リリエンタール』でも用いられていたが、両作品の明確なリンクは現在のところ見られていない。『賢い犬リリエンタール』の主人公、リリエンタールがバッジの図案やヌイグルミとして小さく描かれている場面もあるが、ストーリーとの関係はなく、ファンサービスの域を出ないものと思われる。
本作本編において、各登場人物はシリアスな雰囲気に合わせて等身を高く描かれているが、想像などのイメージシーンやアイコン的に描かれる場合は、ギャグ漫画調にデフォルメされた3頭身ほどの姿で描かれる。このデフォルメしたキャラクターはコミックスのカバーを取った表紙と裏表紙に数名ずつ描かれ、それぞれ作者による、真偽の定かでない冗談めかしたキャラクター紹介が添えられている。
『ワールドトリガー』とぼんち揚げ
登場人物の一人、迅悠一が好物として持ち歩き、他人にも積極的に勧める菓子として、実在の菓子「ぼんち揚げ」が作中にたびたび登場する。これを受けて、製造発売元のぼんち株式会社とのコラボレーションが企画され、2014年春、『ワールドトリガー』描きおろしイラストによるパッケージのぼんち揚げが発売された。TVアニメ化と連動したキャラクター商品展開の一部ではなく、独立した企画である。
通常、ぼんち揚げの販売地域は関西に集中しているが、このコラボレーションぼんち揚げは期間限定ながら広範囲で販売された。
メディア化
テレビアニメ
2014年10月から2016年4月にかけて、本作『ワールドトリガー』のテレビアニメ版『ワールドトリガー』がテレビ朝日系列で放送された。監督は本郷みつる、キャラクターデザインは海谷敏久が務めている。キャストは、三雲修を梶裕貴、空閑遊真を村中知が演じている。当初は原作のストーリーから大幅な変更のないまま進行したが、原作の連載に追いついたため、2015年10月からはテレビアニメ版オリジナルのストーリーが描かれていた。作品独自の世界観や設定・用語が多いこともあって、番組の終わりにはデフォルメしたキャラクターによるミニコーナー「ワールドトリガーを100倍楽しむ講座」が挿入されている。2021年1月からは続編として『ワールドトリガー 2ndシーズン』、2021年10月からは『ワールドトリガー 3rdシーズン』が放送された。
ヴォイスコミック
2013年12月から、本作『ワールドトリガー』のヴォイスコミック(VOMIC)が、情報番組「サキよみ ジャンBANG!」で放送され、2014年1月からVOMIC公式サイトで配信された。キャストは、空閑遊真を皆川純子が、ナレーションを喜山茂雄が演じている。
ゲーム
2015年9月から、本作『ワールドトリガー』のPlayStation Vita用ゲーム『ワールドトリガー ボーダレスミッション』が発売された。ジャンルは協力&チーム対戦アクションとなっている。また、2015年7月から2018年2月にかけて、スマートフォンゲーム『ワールドトリガー スマッシュボーダーズ』が配信された。こちらのジャンルはスマッシュアクションとなっている。
舞台
2021年11月から12月にかけて、本作『ワールドトリガー』の舞台版『ワールドトリガー the Stage』が、東京都のステラボールと大阪府のサンケイホールブリーゼで公演された。脚本・演出は中屋敷法仁が務めている。キャストは、空閑遊真を植田圭輔が、三雲修を溝口琢矢が演じている。
登場人物・キャラクター
三雲 修 (みくも おさむ)
三門市立第三中学校に通う3年生の男子。黒髪短髪で眼鏡をかけている。初登場時の年齢は15歳。地味な雰囲気を漂わせた少年で、左利き。正義感が強く、職務に忠実でまじめな性格をしている。防衛組織「ボーダー」のC級隊員であることを隠していたが、校内で起こった戦いの中で周囲に知られることになる。転校して来た空閑遊真が近界民だと知り、彼の面倒を見つつ行動を共にするようになる。ある目的でボーダーに入隊するが、体力もトリオンも凡庸なため戦闘員としては不十分と判断され、一度は不採用になった過去を持つ。この際にボーダーを探るために基地に接近し、敵に襲われていたところを迅悠一に助けられたことがある。玉狛支部で訓練を積んで射手となり、経験を重ねるうちに徐々に周囲の評価を受けるようになる。模擬戦をした風間蒼也や師匠の烏丸京介からは、知識や経験を最大限に活かして策を練る姿勢を高く評価されている。他人であっても人を守るためであれば強い意志を見せ、時には命を投げ出すかのように、不利な強敵にも立ち向かう。常識人なため遊真には驚かされたり振り回されたりしているが、つねに周囲を気にかける面倒見のよさから、彼に「面倒見の鬼」と評される。幼なじみの雨取千佳が近界民に狙われていることを心配し、つねに彼女を守ろうとする。イレギュラーな「門」の発生源を発見した功績でB級隊員に昇格したあとは、千佳の目的をサポートするために、彼女や遊真とチームを組んで遠征隊を目指すようになり、修行に励んでいた。大規模侵攻ではC級隊員の避難を援護しながら、近界民に狙われる千佳を守り、重傷を負いつつも敵を撤退させる決め手を作ったことを評価され、一級戦功を上げた。しばらくは入院していたが、復帰後にはB級に昇格した遊真、千佳と共にB級部隊「玉狛第2」を結成し、隊長を務めるようになる。当初は「レイガスト」を中心とするトリガーで戦う攻撃手だったが、昇格後は銃手用トリガーも使用するようになり、周囲の勧めもあって射手への転向を目指している。5月25日生まれのうさぎ座。身長は168センチで、血液型はA型。好きなものは親の手料理と橋。
空閑 遊真 (くが ゆうま)
三門市立第三中学校に転校して来た3年生の男子。三雲修のクラスメイト。初登場時の年齢は15歳。真っ白な短髪で、実年齢よりも小柄な体格をしている。近界で育った少年だが、修と知り合って彼がボーター隊員だと知ると共に、自らの正体が近界民であることを明かす。日本のことには疎く非常識な言動が多いが、素直な性格をしている。ややドライに見えるが仲間への気配りや思いやりを欠かさず、年上には礼儀正しく接する。防衛組織「ボーダー」のA級隊員にも匹敵する、豊富な戦闘経験や高い戦闘力を持つ。幼少期から空閑有吾と共にさまざまな近界の国を巡りながら戦闘技術などを教わり、共に近界民同士の戦争に傭兵(ようへい)として参加していた。その中で瀕死(ひんし)の重傷を負った際に、有吾から与えられたトリオンの体で生きている。この際に有吾が命と引き換えに作った指輪型の黒トリガーに、瀕死状態となった空閑遊真の肉体を封印された。これ以降は髪が白くなって睡眠も不要になり、有吾から他人のウソを見抜くサイドエフェクトを引き継いだ。ふだんの肉体もトリオン体であるため重傷を負っても再生可能だが、成長はせず11歳の見た目のままで生きている。また、封印された本来の肉体は徐々に死へ近づいており、これが死ねば現在のトリオン体の方も消滅する。あまり個人的な感情では動かないタイプの合理主義者であり、冷静な現実主義者でもある。当初は無関係な相手を助けなかったが、有吾に似た修のことを放っておけず、彼を心配したり積極的に助けたりしている。当初は有吾の遺言に従い最上宗一を捜すことと、有吾をよみがえらせることを目的としていたが、ボーダーでも不可能とわかりボーダーに入るつもりもなかった。しかし、友人となった修や千佳とチームを組むために入隊し、玉狛支部のC級隊員となり、遠征のためのA級昇格を彼らと共に目指すようになる。入隊後は黒トリガーを使用しないが、ボーダーのトリガーに慣れていない状態でもA級隊員に負けない実力を見せる。小さな体を活かせる「スコーピオン」や、「グラスホッパー」を用いた機動戦を得意とする。身長は141センチ。好きなものは日本の食べ物。
雨取 千佳 (あまとり ちか)
三門市立第三中学校に通う女子。三雲修の幼なじみ。初登場時の年齢は13歳。常人を遥かに上回るトリオンを持つため、近界民から狙われることが多く、頻繁にトリオン兵の襲撃を受ける。1本のアホ毛が目立つ黒髪ボブヘアにしている。おとなしく内気に見えるが、芯は強く友人思いな性格をしている。愛称は「チカ子」。過去に近界民のことを友人と兄の雨取麟児に相談したのちに彼らが行方不明になったため、それを自分のせいと思い込み、他者を巻き込みたくない思いから人付き合いに消極的になっていた。当初は友人と麟児を探しながらも、防衛組織「ボーダー」と無関係な生活を送っていたが、修を通して空閑遊真と出会い、のちに遊真と共に入隊し玉狛支部に所属するC級隊員となる。運動能力が低く争い事も苦手な性格から戦闘員としては未熟だが、あり余るトリオンにより、戦闘では驚異的な破壊力を発揮する。持久力や集中力を活かして狙撃手となり、入隊式のオリエンテーションではトリオンを活かした砲撃で周囲を驚かせ、一部のあいだで「トリオンモンスター」などと評されるようになる。トリオン反応を察知でき、自分のトリオンを隠せるサイドエフェクトを持つ。入隊後は木崎レイジの指導を受けながら修行に励んでいたが、間もなく起こった大規模侵攻では敵に狙われ、ハイレインによってキューブ化される。修の奮闘により無事に生還したのち、上層部判断による特例で修と遊真のポイントを移行する形でB級隊員に昇格し、彼らと共にB級部隊「玉狛第2」を結成した。主な使用トリガーは、膨大なトリオン量を活かしやすい対戦車ライフル型の「アイビス」。人を撃てない優しさから、遠方から建物などを砲撃して仲間を援護する戦い方が主流となっている。愛娘と離れて暮らしている鬼怒田本吉からは気に入られ、何かと贔屓(ひいき)されている。かなりの白米好きで、焼き肉屋などでも白米ばかり食べているほど。2月11日生まれのかえる座。身長は140センチで、血液型はA型。好きなものは小動物、子供、白米、働くこと。
迅 悠一 (じん ゆういち)
防衛組織「ボーダー」の玉狛支部に所属するS級隊員の青年。初登場時の年齢は19歳。明るい茶髪の短髪で、任務中はサングラスをかけている。大人っぽく飄々とした性格で、自らを「実力派エリート」と称する自信家でもあるが、実力はトップクラス。最上宗一の弟子でもある。4年前にボーダーが組織として公になる以前から所属している古株でもあり、ボーダー上層部からも一目置かれると共に、頼りになる兄貴分として周囲からの信頼も厚い。かつてトリオン兵に襲われていた三雲修を助けたことがあり、この出来事は彼がボーダーに入るきっかけの一つとなっている。他人の少し先の未来が見える予知のサイドエフェクトを持ち、一度目にした相手であれば目の前にいない者の未来も予測可能。ただし、未来が漠然としているうちはすべての可能性が見えるため、読み違えることもある。これらの能力から、「俺のサイドエフェクトがそう言ってる」が口癖になっている。過去に近界に遠征に行ったことがあり、近界民の理解が深く空閑遊真にも当初から友好的に接していた。いい加減なところもあるが面倒見がよく、ボーダー内で危うい立場にあった遊真や修を何度か助けており、彼らを気にかけて時には相談にも乗っている。大規模侵攻では、C級隊員の避難や援護を務める中で交戦したヒュースを捕えた功績を高く評価され、一級戦功を上げた。揚げ煎餅の「ぼんち揚げ」が大好物で、箱で購入してはいつも持ち歩いて食べていると共に、周囲の人にも分けることがある。当初は希少な黒トリガーの「風刃」を使用し、サイドエフェクトを連携させながら圧倒する戦法が主流だった。しかし、上層部に遊真の入隊を認めさせるために風刃を返却したため、A級隊員に戻ってソロの攻撃手となった。風刃を失ったあとは「スコーピオン」や「エスクード」といったトリガーを使用している。かつては三門市立第一高等学校に通っていた。4月9日生まれのはやぶさ座。身長は179センチで、血液型はO型。好きなものはぼんち揚げ、女子のお尻、暗躍すること。
木崎 レイジ (きざき れいじ)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。玉狛支部の玉狛第1「木崎隊」の隊長を務める。初登場時の年齢は21歳。通常の万能手とは異なり狙撃手の経験があるため、近接・中距離・遠距離のすべてをカバーできる、ボーダー唯一の完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)。明るい茶髪のスポーツ刈りで、大柄で筋肉質な体格なため、初登場時は宇佐美栞から「落ち着いた筋肉」と紹介されていた。冷静で無表情が多く、落ち着いた態度で後輩たちを引っ張る玉狛支部の兄貴分的な存在。レスキュー隊員だった父親を過去に亡くしているが、父親のことをとても尊敬しており、過去に教わったことをボーダーの任務でも生かしている。雨取千佳の入隊後は彼女の師匠を務めてさまざまな助言を与え、玉狛支部の隊員たちには手料理を振る舞うなど面倒見がよく、林藤陽太郎のヘルメットを作るなど手先もかなり器用。特殊な改造トリガーホルダーによってチップを大量に装備したり、専用トリガー「全武装(フルアームズ)」を活用したりした大胆な制圧戦を得意とする。大規模侵攻では後輩の烏丸京介と共に小南桐絵と合流し、C級隊員のフォローに回る中でヴィザ、ヒュースと交戦し、時間稼ぎのための持久戦に持ち込み、倒される直前にヴィザの脚に重傷を負わせる。B級ランキング戦後半では、人を撃てないことに悩む千佳を栞と共に励まし、彼女が悩みを克服する手助けをしている。オペレーターを務める林藤ゆりに好意を抱いており、彼女の前ではふだんの冷静さが崩れて珍しく緊張したり、照れるような表情が増える。7月2日生まれのつるぎ座。身長は191センチで、血液型はA型。好きなものは自己鍛錬と料理で、得意料理は肉たっぷりの野菜炒め。
小南 桐絵 (こなみ きりえ)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子高校生。玉狛支部の玉狛第1「木崎隊」の攻撃手を務める。ふだんはお嬢様の通う女子校に通っている。初登場時の年齢は17歳。嵐山准の従妹でもある。ふだんは茶髪のロングヘアで、後頭部に目立つ羽根型のアホ毛が特徴。トリオンによる戦闘体は過去の髪型で登録されているため、換装すると髪型がボブヘアに変わり、アホ毛も2本に増える。表情豊かで物事をはっきり言うタイプで、かなりの負けず嫌い。かなり素直で子供っぽい性格から、人の冗談をすぐに信じ込んでしまうため、周囲にからかわれたり騙されたりすることもある。攻撃手個人ランク3位を誇る実力者であるとともに、旧ボーダー時代からの古株の一人で、迅悠一よりも早くからボーダーに入隊していた。近界民に近い戦い方を得意としている。空閑遊真の入隊後は彼の師匠となり、ボーダーのトリガーに不慣れな彼を徹底的に指導する。トリオンの燃費を無視した火力重視の巨大斧型専用トリガー「双月」で戦い、「メテオラ」による爆撃も使用する。理屈よりも感覚で戦っているために解説は得意ではなく、B級ランキング戦では解説役を務めるものの、ほかの解説役と比べてあまりうまくできていなかった。7月28日生まれのぺんぎん座。身長は157センチで、血液型はB型。好きなものはお菓子、フルーツ、赤いもの。
烏丸 京介 (からすま きょうすけ)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。玉狛支部の玉狛第1「木崎隊」の万能手を務める。初登場時の年齢は16歳。愛称は「とりまる」。家族は両親のほかに二人の弟と二人の妹がいる。黒髪短髪のイケメンでクールに見えるが、無表情なままで先輩の小南桐絵をからかうなどちゃめっ気のある性格をしている。師の木崎レイジからは技術だけでなく、ポーカーフェイスも受け継いでいる。過去に太刀川隊に所属していたことがある。玉狛支部に移ったばかりの三雲修の師となり、親身に相談に乗りながら銃手としての戦術やトリオンの分割などを指導した。大規模侵攻では、レイジや桐絵と共に修たちの援護に駆けつけ、修たちのもとで残ってC級隊員を護衛しながら、敵に立ちふさがることで修を逃がした。実家が貧しいためにボーダーの任務以外にもスーパーや新聞配達などのアルバイトをしており、木虎藍をはじめとするボーダーの女性はもちろん、アルバイト先でも女性にモテている。使用トリガーは「弧月」「アステロイド」「バイパー」を装備した突撃銃型トリガーで、これらによる近距離戦闘をこなしながら「エスクード」で防御し、特にレイジとの連携で高いコンビネーションを発揮する。短期決戦向けの専用オプショントリガー「ガイスト」は、5種のパラメータのうち一つを特化することができ、たとえば「斬」に特化した「ブレードシフト」などがある。ただしガイスト使用中は戦闘体であるトリオン体が不安定になるため、トリオンの漏出量が通常よりも増え、戦えるのはわずかな時間になる。B級ランキング戦・最終戦の前に修たちから頼まれ、二宮匡貴と同じ格好をして特訓相手を務めた。5月9日生まれのねこ座。身長は178センチで、血液型はO型。好きなものは家族、とんかつ。
宇佐美 栞 (うさみ しおり)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子高校生。玉狛支部のオペレーターを務める。初登場時の年齢は17歳。米屋陽介の従妹でもある。黒のロングヘアで眼鏡をかけており、眼鏡に強いこだわりを持つ。マイペースで気さくな性格をしており、ふだんはおちゃめな発言も多いが、隊員たちへの面倒見のいい平和主義者で、玉狛支部メンバーからの信頼が厚い。世話好きなのはもちろん、トリガーの知識も豊富というのもあって、悩みの多い三雲修からの相談にもよく乗っている。玉狛第1・木崎隊に所属しているがB級部隊「玉狛第2」が結成されたあとは彼らのオペレーターも兼任している。過去に近界への遠征に参加したことがあり、昔は風間隊に所属していた。学業はもちろんオペレーターとしても優秀で、特にB級ランキング戦では修たちを的確にアシストしていた。4月27日生まれのうさぎ座。身長は160センチで、血液型はO型。好きなものは眼鏡、読書、人の世話。
太刀川 慶 (たちかわ けい)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。A級1位「太刀川隊」の隊長と攻撃手を務める。初登場時の年齢は20歳。個人総合ランク1位、攻撃手個人ランク1位を誇るトップクラスのボーダー隊員。うねりのある黒髪短髪で、顎ヒゲを生やしている。好戦的でひょうひょうとした性格で、ライバルの迅悠一とは何度も競い合っている。実戦よりはランキング戦を好み、ポイントを稼ぐことや勝つことを趣味としている。このように誰よりも戦いを好む一方で、日常では大学の単位が危うくなったり人の名前を読み間違えたり、いつも何かを食べていたりなどかなり天然で抜けている。忍田真史から剣術を教わった弟子でもあるが、忍田派ではなく城戸派に属している。しかし、真史との仲が悪いというわけではなく、実際は城戸派の遠征重視の考えに賛同しているだけである。大規模侵攻では真史から新型トリオン兵の排除という任務を与えられ、一人で11体も撃破した功績を評価され、特級戦功を上げた。のちのガロプラ侵攻では、悠一の予知を逆手に取って敵を抑え込み、ほかの攻撃手と連携してガトリンを撃破した。トリガーは「弧月」を愛用し、二刀流で戦う。オプショントリガーの「旋空」や「グラスホッパー」を使用することで、射手と同等の間合いで戦える。B級ランキング戦では解説役を務める。8月29日生まれのおおかみ座。身長は180センチで、血液型はA型。好きなものはうどん、餅、コロッケ、ランク戦で勝つこと。
出水 公平 (いずみ こうへい)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。A級1位「太刀川隊」の射手。初登場時の年齢は17歳。明るい茶髪の短髪にしている。ボーダー内では希少な、トップクラスのトリオン量を誇る。特に火力重視の物量戦を得意とする天才で、弾丸を大量にばら撒いた全体攻撃や絨毯(じゅうたん)爆撃もできる。ブラフやハッタリを含む弾による陽動やおとりなどもこなし、戦略家というだけでなく仲間を補佐する役割もこなしている。銃手用トリガーや弾丸をうまく使い分けながら攻撃陣のサポートに回ることも多く、アシストの名手としても有名。大規模侵攻ではハイレインの攻撃を自分の放った弾丸で相殺したり、得意としているトリオンの精密操作で合成弾を作り出して攻撃するといった、高度な技術も見せている。これらの合成弾を生かした戦術でほかの部隊とも連携しながら敵を撃破し、一級戦功を上げた。B級ランキング戦では解説役を務める。9月21日生まれのおおかみ座。身長は175センチで、血液型はB型。好きなものはエビフライ、コロッケ、みかん、全攻撃。
風間 蒼也 (かざま そうや)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。A級3位「風間隊」の隊長と攻撃手を務める。初登場時の年齢は21歳。黒髪短髪で小柄な体格をしている。木崎レイジたちと同年代だが、童顔で背が低いため、中学生に間違えられることが多い。しかしあまり気にしておらず、緊急時・平時を問わず冷静な表情をほとんど崩さない。個人総合ランク3位、攻撃手個人ランク2位の実力者。クールで辛らつな言動も見られるが、他者への評価や対応が的確で、周囲からの人望や信頼は厚い。空閑遊真や三雲修のために黒トリガーを返却した迅悠一の行動に疑問を抱いて修に模擬戦を持ちかけた結果、25戦して圧勝。最後だけは引き分けに持ち込んだ修を弱いと評価しつつも、彼の戦い方やあきらめない姿勢に将来性を見いだすような言葉で激励していた。のちに、悠一が使っていた「風刃」の使用者候補に挙がっていたが、辞退している。旧ボーダー時代のボーダーに所属していたことがあり、林藤匠の弟子でもあった兄の「風間進」は近界民との戦いで死亡している。しかし近界民への復讐は考えておらず、遊真にもふつうに接している。主な使用トリガーは「スコーピオン」で、その変形特性を生かした戦術を得意とする、ボーダー本部屈指のスコーピオン使いでもある。これに加え、ステルス効果のある「カメレオン」を活用し、奇襲攻撃を得意としている。B級ランキング戦では解説役を務める。9月24日生まれのみかづき座。身長は158センチで、血液型はA型。好きなものはカツカレー、牛乳、自己鍛錬。
緑川 駿 (みどりかわ しゅん)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子中学生。A級4位「草壁隊」の攻撃手を務める。初登場時の年齢は14歳。入隊して1年足らずだが、すでにA級隊員として活躍している実力者。迅悠一に命を救われた過去があり、彼の大ファンでもある。ふだんは生意気でませているところもあるが、悠一の前では子供っぽくはしゃぐこともある。当初は悠一の誘いで玉狛支部に入った三雲修に嫉妬し、模擬戦を挑んで大人数の前で恥をかかせようともくろむものの、修本人がそれに気づかず、代わりに空閑遊真の怒りを買うことになる。遊真とも模擬戦をした結果、彼の実力を認め、修にも謝罪したことで和解。これ以来は遊真と修にも素直になって懐いており、トリガーの使い方を教えたり個人ランク戦の相手を務めたり、ほかのボーダー隊員を紹介したりしている。ほかの先輩からの評価も高く、遊真からも期待されており、戦闘経験や戦術はすばやく吸収している。大規模侵攻では出水公平たちと組んでランバネインと交戦し、遊真との戦いを生かして敵を撃破した功績を評価され、一級戦功を上げた。主な使用トリガーは「スコーピオン」と複数の「グラスホッパー」で、展開したグラスホッパーのあいだを跳ねて移動しながら、「乱反射(ピンボール)」によって連続攻撃が可能。
嵐山 准 (あらしやま じゅん)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。広報を多く受け持つA級5位の部隊「嵐山隊」の隊長と万能手を務める。初登場時の年齢は19歳。小南桐絵の従兄でもある。三門市ではメディアへの露出が多く、後輩の木虎藍と共に市民からの知名度が高い。明朗快活で感情豊かな正義漢ながら、温厚で心が広く家族思いな一面も併せ持つ。三門市立第三中学校に通う弟妹を溺愛しており、面倒見がよく後輩からの信頼も厚い。嵐山隊は広報活動が多いため、一部の者からは「容姿だけで選ばれた宣伝用のマスコットチーム」などと思われがちだが、防衛任務においてもA級上位チームと遜色ない実力を持つ。以前は隊長とエースを兼任していたが、藍の加入後は彼女にエースの座を譲った。正義感の強さは藍と共通しているが、彼女とは対照的に隊務規定を含むルールに対して、おおらかで柔軟な考えを持つ。このため、隊務規定を破ってまで弟妹を守ってくれた三雲修には感謝を示し、その後も彼には友好的に接している。忍田派の一員でもあり、空閑遊真の黒トリガー争奪戦では忍田真史から直々の命令を受け、迅悠一に加勢した。使用トリガーは突撃銃型を使用するほか、「アステロイド」と「メテオラ」を使い分けながら「テレポーター」による瞬間移動もこなして戦う。一時期は悠一が使用していた「風刃」の使用者候補の一人だったが、広報の仕事を理由に候補からは外れた。7月29日生まれのぺんぎん座。身長は179センチで、血液型はO型。好きなものは弟妹、犬、海の幸。悠一と容姿がよく似ており、年齢や血液型も同じだが、詳細な関係性は不明。
木虎 藍 (きとら あい)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子中学生。中学生ながらA級隊員に上り詰めたエリート隊員。初登場時の年齢は15歳。黒のショートヘアで、自分にも他人にも厳しい性格をしている。ボーダーの広報を受け持つA級部隊「嵐山隊」のエースであるためテレビに出る機会も多く、一般人からの知名度が高い。拳銃型やナイフ型のトリガーを使いこなす万能手。先輩の烏丸京介にあこがれを抱き、彼の前ではふだんのクールな態度が一変する。努力家で正義感が強い分、エリート意識や同年代への対抗意識が強く、特に三雲修が注目されている時などはムキになりやすく、当初はC級の彼がトリオン兵を倒したと聞いて、一方的なライバル意識を抱くようになった。隊務規定をはじめとするルールにも厳格で、C級でありながらトリガーを使用して戦った修を罰するべきと進言したこともあり、これ以降も彼には厳しい言動が目立つ。ウソを見抜く力を持つ空閑遊真の指摘や、修とは視点や価値観が異なっているのを理解するうちに態度が改善されるも、彼が京介の弟子になったと知って再び嫉妬心を抱くようになった。その一方で、努力家な面や将来性を含めた修の本質や性格を理解し、B級ランキング戦で実力不足に悩む彼から指導を請われた時は、ワイヤー型のトリガー「スパイダー」を活かしたサポート戦術を伝授した。修に厳しくするのは、無償の優しさが将来的に彼の重荷になると考えているためである。年上には舐(な)められたくない、同年代には負けたくないと思っているが、年下からは慕われたいと思っているため、黒江双葉に冷たくされることにはいつもショックを受けている。B級隊員になった時点では銃手として活躍していたが、弾丸だけで戦えるほどのトリオンを持たなかったため、ナイフ型の「スコーピオン」も使う万能手になった過去を持つ。これ以降は拳銃型トリガー「アステロイド」とスパイダーを使い分けながら、スコーピオンを併用している。6月26日生まれのつるぎ座。身長は161センチで、血液型はA型。好きなものは自己鍛錬と辛い食べ物。
加古 望 (かこ のぞみ)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子大学生。A級6位「加古隊」の隊長と射手を務める。初登場時の年齢は20歳。ロングヘアで、口下にホクロがある美女。名字のイニシャルが「K」のみの女性チームを率いており、同様のイニシャルを持つ優秀なボーダー隊員を見るたびにスカウトしており、空閑遊真を気に入ってスカウトしたこともある。A級以上に許されたトリガーの改造を生かし、「ハウンド」や「スコーピオン」を感覚的にあやつっている。チャーハン作りが趣味だが、好奇心から変わった食材を混ぜるために10回に2回はゲテモノチャーハンを生み出してしまい、試食させられた隊員の多くがその犠牲となっている。
黒江 双葉 (くろえ ふたば)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子中学生。A級6位「加古隊」の攻撃手を務める。初登場時の年齢は13歳。A級隊員の中では最年少で、入隊直後から才覚を現して注目や期待を集めるスーパールーキー。明るい茶髪をツインテールにまとめており、小柄なためにトリガーは背中に背負っている。かわいらしい見た目だがかなりクールな性格で、別部隊のライバルに自分の手の内を教えることを嫌っている。先輩相手でもやや辛らつな言動が多く、隊長の加古望には懐いている一方、なぜか木虎藍には冷淡な態度が目立ち、年下に慕われたい彼女をいつも困惑させている。主な使用トリガーは日本刀型の「弧月」で、オプショントリガー「韋駄天」によって移動や斬撃を高速化することで、非常に素早い攻撃が可能。ガロプラ侵攻時は藍たちと共にトリオン兵「アイドラ」と交戦するが、韋駄天が敵に破られた途端に焦り出すなど、精神面や戦術面で年相応の未熟さを見せていた。山奥にある小学校に通っていた山育ちで、屈強な胃袋を持つために望のゲテモノチャーハンにも耐えられる。
三輪 秀次 (みわ しゅうじ)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。A級7位「三輪隊」の隊長と万能手を務める。A級部隊隊長の中では最年少で、かつては東隊に所属していた。前髪が長めの黒の短髪でクールな性格をしているが、少々気難しく苛烈な一面がある。過去の侵攻で姉をトリオン兵に殺された過去から、近界民への憎しみや警戒心は非常に強く、当初は空閑遊真にも敵意をむき出しにしていた。このため、近界民に対して融和的な考えを持つ迅悠一や玉狛支部とも不仲気味で、悠一のように飄々(ひょうひょう)としている立川慶のことも苦手としている。ボーダー上層部の会議にはよく列席しており、城戸正宗からの直々の命令で、遊真を狙い黒トリガーを奪おうとしたこともある。この争奪戦で悠一と交戦した際に、彼に自分と似たような過去があることや、遊真がボーダーに協力的な姿勢を持つことを知って動揺・苦悩する。これ以降も近界民への憎悪は消えていないものの、大規模侵攻以降は悠一に信頼を寄せるような素振りを見せ、遊真への態度もわずかながら軟化している。悠一が使用していた黒トリガー「風刃」使用者の候補者となり、悠一からも推薦されていた。大規模侵攻では風刃で敵を撤退に追い込んだ功績を高く評価され、特級戦功を上げた。主な使用トリガーは「弧月」と拳銃型トリガーで、着弾すると黒い重りに変わる特殊な汎用射撃オプション「鉛弾(レッドバレット)」を用いて、敵の動きを封じ込める戦法を得意とする。10月2日生まれのみかづき座。身長は174センチで、血液型はA型。好きなものは姉、ざる蕎麦(そば)、刺身、クッキー、近界民を駆除すること。
米屋 陽介 (よねや ようすけ)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。A級7位「三輪隊」の攻撃手を務める。初登場時の年齢は17歳。黒髪をカチューシャでまとめている。明るい性格でコミュニケーション能力が高く、後輩に助言するなど面倒見もよく、誰に対してもフレンドリーな態度で接している。好戦的ではあるが、ほかの三輪隊メンバーとは異なり近界民に対する憎悪はなく、空閑遊真が近界民と知りながらも当初から好意的に接していた。宇佐美栞の従弟でもあり、時には林藤陽太郎の遊び相手になっている。出水公平とは悪友のような関係を築いている。A級隊員としては優秀だが学力が低く、成績は同年代のボーダー隊員たちの中でも最低レベル。大規模侵攻では公平たちと組んでランバネインと交戦し、一級戦功を上げた。使用トリガーは槍型の「弧月」を使用する。戦闘時などに相手の意表を突く際は「…と思うじゃん?」と言う癖がある。11月29日生まれのくじら座。身長は175センチで、血液型はB型。好きなものは飲み物、戦闘、犬。
二宮 匡貴 (にのみや まさたか)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。B級1位「二宮隊」の隊長と射手を務める。初登場時の年齢は20歳。茶髪の短髪で、黒いスーツの隊服をまとっている。クールで厳格な性格をしており、辛らつな発言も多い。二宮隊はA級4位だったが、鳩原未来の規定違反の責任を取る形でB級に降格させられた。このためB級でありながら実力はA級並みであり、個人総合ランク2位、射手個人ランク1位を誇るだけでなく、トリオンの多さもボーダートップクラス。B級ランキング戦では第4戦と最終戦でB級部隊「玉狛第2」とぶつかり、第4戦の前には未来の行方を調べるために、雨取千佳と三雲修のもとを訪ね、未来と接触した可能性のある雨取麟児のことを尋ねた。これ以来、玉狛第2には厳しい評価を下しながらも、戦闘ログやランキング戦の結果などをチェックするなど気にかけている。射手1位となったあとでも足りない技術を教わるために年下の出水公平に頭を下げるなど、向上心が高くストイックだが、実はかなりの天然で第4戦の途中で膠着状態になった時は雪だるまを作りながら時間切れを待っていた。また、隊服のコスプレ感を避けるためにスーツを選んだ結果、かえってコスプレ感が増していることに気づいていない。主な使用トリガーは「アステロイド」と「ハウンド」で、精密なコントロールの腕とトリオン量を生かした弾数と威力を重視した高火力戦法を好み、多数の弾と威力の高い弾を、緩急をつけながら同時に活用することもある。トリオン量を生かした圧倒的な高火力はもちろん、かつては東隊の一人として東春秋の指導を受けていたことから、戦術面にも優れる。平時だけでなく、戦闘中もポケットに手を入れていることが多い。
犬飼 澄晴 (いぬかい すみはる)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。B級1位「二宮隊」の銃手を務める。初登場時の年齢は18歳。茶髪の短髪で、黒いスーツの隊服をまとっている。姉が二人いる。明るい性格でコミュニケーション能力が高く、二宮隊のムードメーカー的な存在。誰とでも友好的に接するが、表情と殺気が一致しないという理由で、影浦雅人からは一方的に苦手意識を持たれている。戦闘中以外でも対戦相手に駆け引きや揺さぶりを仕掛けてくる油断のならない人物で、B級ランキング戦・最終戦の前にはヒュースの正体を知らないフリをしながら小南桐絵をからかって探りを入れたり、三雲修に揺さぶりをかけたりしていた。主な使用トリガーはPDW型の銃トリガーで、「アステロイド」と「ハウンド」を弾丸として使用しながら、シールドもうまく使って柔軟に戦う。
辻 新之助 (つじ しんのすけ)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。B級1位「二宮隊」の攻撃手を務める。初登場時の年齢は17歳。宇佐美栞とはクラスメート。前髪が長めの黒の短髪で、黒いスーツの隊服をまとっている。三兄弟の次男であり、遼太郎という兄と、奏平という弟がいる。戦闘時はつねに冷静に行動し、特に仲間のアシストに長けている。ふだんはクールだが実は女性がかなり苦手で、同じボーダー隊員の女性相手でも目を合わせられず、思わず目を閉じて赤面しながら慌てるような態度に変わる。まともに向き合って話せるのは、付き合いの長い鳩原未来とオペレーターの氷見のみとなっている。遠征選抜試験では2番隊「王子隊」に選ばれ、周囲からは女性が二人もいるチームに所属したことを心配されていた。主な使用トリガーは「弧月」と専用オプショントリガー「旋空」で、相手の実力を見極めて冷静に立ち回る広い視野を生かし、B級ランキング戦でも味方のサポートに徹していた。
鳩原 未来 (はとはら みらい)
防衛組織「ボーダー」に所属していた女子高校生。かつてはB級1位「二宮隊」の狙撃手を務めていた。初登場時の年齢は18歳。東春秋の直弟子の一人で、木崎レイジの妹弟子でもある。また、絵馬ユズルに狙撃を教えた彼の師でもある。雨取千佳と同様に人を撃てない弱点を持っていたが、代わりに相手の武器を狙って破壊できる精密な狙撃術を持つ。雨取麟児と同時期に失踪して行方不明になっているが、この際に近界の「門」を探っていた麟児に協力していたことや、当時持っていたトリガーを麟児に横流しするなどの隊務規定違反の疑いで除隊となり、この責任を取らされた二宮隊はB級への降格処分を下された。ただし、ボーダー内でもこれらの事実を知っているのはごく一部であり、ユズルからは、鳩原村未来が人を撃てなかったことが原因で二宮隊が降格され、それに絶望した彼女が失踪したと思われている。
影浦 雅人 (かげうら まさと)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。B級2位「影浦隊」の隊長と攻撃手を務める。ボサボサした黒のツンツンヘアで、顎にマスクをしている。血の気が多く好戦的な性格で、元はA級6位だったが、隊務規定違反によって部隊ごと降格させられた。このため攻撃手ランクは低いものの、A級クラスの高い実力を持つ。愛称は「カゲ」。周囲の者の視線を通して、他人の感情を感じ取るサイドエフェクト「感情受信体質」を持つ。ただし、負の感情の場合はチクチクと刺さるような不快感を覚えるため、ストレスを感じてイライラしていることもあり、負の感情を放っていた生意気なC級隊員のトリオン体を一瞬で破壊する騒ぎを起こしたこともある。このように素行は悪いが根は単純で裏表がなく、仲間思いな一面もあり、似たようなサイドエフェクトを持つ空閑遊真や村上鋼からは理解されている。B級ランキング戦・第4戦と第7戦ではB級部隊「玉狛第2」とぶつかる。戦闘においてはサイドエフェクトを生かして殺気を感じ取ることで、不意打ちや狙撃を防ぐことも可能だが、遊真のように殺気を放たずに攻撃してくる相手には効果が薄い。しかし、そのような相手にもスリルを感じているため、遊真のことも気に入っており、時折個人ランク戦などを通して彼と交流している。主な使用トリガーは攻撃手用の「スコーピオン」で、刃を伸ばすように変形させることで放つ遠隔斬撃「マンティス」を得意としている。
絵馬 ユズル (えま ゆずる)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子中学生。B級2位「影浦隊」の狙撃手を務める。元はA級6位だったが、影浦雅人の隊務規定違反によって部隊ごと降格させられた。初登場時の年齢は14歳。鳩原未来から狙撃を教わった弟子であり、彼女から学んだ確かな腕を持つ。訓練を通して雨取千佳と知り合って以来、彼女のことが気になっている。未来が失踪した件で二宮隊を嫌っているというのもあって、B級ランキング戦中には千佳に手を貸すことがあった。また、かつての未来のように人を撃てない悩みを抱える千佳を心配し、未来のようになってほしくないという願いから、狙撃用トリガーに使えるオプショントリガー「鉛弾」の使い方を伝授した。B級ランキング戦では第4戦と第7戦でB級部隊「玉狛第2」とぶつかり、狙撃による仲間のアシストに回っていた。第7戦は遠征を目指す千佳たちに勝ちを譲ろうとも考えていたが、周囲に諭されたり千佳の遠征行きがすでに決まっていたりしたのもあり、玉狛第2が相手でも本気で試合に挑むことを決意した。遠征選抜試験の臨時部隊を決める際は千佳が指名された途端に、彼女と同じ部隊に入りたい一心で二宮匡貴に対して自分を選ぶように念じ、それに気づいた彼に指名されて8番隊「二宮隊」の一員となる。
生駒 達人 (いこま たつひと)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。B級3位「生駒隊」隊長と攻撃手を務める。初登場時の年齢は19歳。京都府出身で、関西弁で話す。黒髪短髪のオールバックで、戦闘時のみゴーグルを付けている。かなりマイペースな性格で、女子のかわいさを語るときや料理の感想を述べるときも真顔で話す。硬派なように見えて日常から任務中までボケた発言が多く、仲間からよくツッコミを受けているが、ボーダー隊員としては攻撃手個人ランク6位の実力者。敵を仕留めるときなどは、いつもカメラ目線になる。主な使用トリガーは「弧月」で、オプショントリガー「旋空」の扱いを得意としている。攻撃手の中でもトップクラスの間合いから放たれる斬撃は「生駒旋空」と呼ばれており、攻撃手キラーである弓場拓磨への対抗策として編み出された技でもある。女子にモテるためにギターを始めたが演奏を披露するタイミングがなく、迅悠一の助言で料理を始め、その腕前は遠征選抜試験で披露された。4月29日生まれのねこ座。身長は173センチで、血液型はB型。好きなものは女の子、食堂の新メニュー、サッカー、ナスカレー。
王子 一彰 (おうじ かずあき)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。B級5位「王子隊」の隊長と攻撃手を務める。初登場時の年齢は18歳。外側にはねた明るい茶髪の短髪で、面白いことが大好きで好奇心旺盛な性格をしている。かつては弓場隊の一員だったが、自分が隊長の部隊をつくりたくなって王子隊を結成した。「クーガー」や「アマトリチャーナ」など、対戦相手を含む知人や友人に変わったあだ名を付ける癖があり、作戦会議に使うアイコンも独自のデザインに変更するなど、独特な感性やこだわりを持つ変わり者。B級ランキング戦・第6戦ではB級部隊「玉狛第2」と生駒隊にぶつかり、三つ巴の大乱戦を繰り広げる。遠征選抜試験では隊長役を任されており、走れて剣が使えて面白い組み合わせというコンセプトで、生駒達人や帯島ユカリを指名していた。主な使用トリガーは「弧月」「スコーピオン」「ハウンド」で、これらを使い分けた変則的な攻撃を得意としている。1月11日生まれのかぎ座。身長は177センチで、血液型はB型。好きなものはオムレツ、クロワッサン、馬、チェス。
弓場 拓磨 (ゆば たくま)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。B級4位「弓場隊」の隊長と銃手を務める。初登場時の年齢は19歳。黒のリーゼントで眼鏡をかけている。インテリヤンキー風の見た目どおり、不良のような口調で話す理論派。礼儀には厳しく、初対面の相手にも道義や筋を通さないと気が済まない義理堅い性格で、後輩には戦い方だけでなく礼節についても指導している。迅悠一の使っていた黒トリガー「風刃」の使用者候補の一人でもある。B級ランキング戦・最終戦でB級部隊「玉狛第2」とぶつかることになり、試合前に弟子の里見を通して空閑遊真と知り合う。里見からは1対1最強の銃手と評されており、銃手でありながら攻撃手に近い戦い方をする。主にリボルバー式二丁拳銃型のトリガーを使用し、一度に撃てる弾数と弾丸の射程を切り詰めることで、威力・弾速重視の早打ちで攻撃する近接戦闘を得意としている。特に「弧月」使いを意識した戦法であり、攻撃手の斬撃がギリギリ届かない位置から一方的な攻撃が可能なことなどから、「攻撃手キラー」などと評されている。4月30日生まれのねこ座。身長は182センチで、血液型はAB型。好きなものは1対1の戦い、家族、仲間、パウンドケーキ。
帯島 ユカリ (おびしま ゆかり)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子中学生。B級4位「弓場隊」の射手。初登場時の年齢は14歳。黒のショートヘアで、色黒肌のボーイッシュな体育会系少女。「~っス」を多用する体育会系の口調もあって男と間違えられることが多く、空閑遊真からも当初は少年と思われていた。柔軟な発想力と鋭い判断力を持つ遊真には、以前からあこがれを抱いている。射手用トリガーのほかにも「弧月」を使用し、俊敏で軽い動きを得意としており、防御にも優れている。弓場拓磨の厳しい指導を受けながら、着実に成長を続けており、B級ランキング戦・最終戦で戦った遊真からも、強くなると期待を寄せられている。2月4日生まれのかえる座。身長は153センチで、血液型はB型。好きなものは運動、ゴマ団子、みかん、犬。
東 春秋 (あずま はるあき)
防衛組織「ボーダー」に所属する大学院生の青年。B級6位「東隊」の隊長と狙撃手を務める。初登場時の年齢は25歳。黒髪長髪の長身で、面倒見のいい兄貴分的な存在。狙撃手を中心に多くの後輩たちを指導し、木崎レイジをはじめとする優秀なボーダー隊員に育て上げてきたため、東隊隊員以外からも慕われ、信頼されている。かつては二宮匡貴や三輪秀次の所属するA級1位部隊の隊長を務めていたこともあり、新入隊員の教官を務めることも多い。狙撃の腕はもちろん指導者・指揮官としても優秀で、敵からも感心されるほど。ボーダー上層部からの信頼も厚く、B級でありながら緊急防衛会議に出席することがある。大規模侵攻では、出水公平をはじめとするA級隊員やB級部隊との混合チームの指揮官を務めて敵を追い込んだ功績を評価され、一級戦功を上げた。B級ランキング戦では作戦立案の大半を後輩に任せることで成長を見守っており、過去にも同様の方法で多くの後輩の成長をうながしてきた。別の試合では解説役を務めるが、わかりやすく的確な解説が多いため、解説役としての評価も高い。1月3日生まれのかぎ座。身長は186センチで、血液型はA型。好きなものは釣り、キャンプ、刺身、天ぷら。
香取 葉子 (かとり ようこ)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子高校生。B級7位「香取隊」の隊長を務める。エースを兼任する万能手でもある。初登場時の年齢は16歳。外側にはねた赤毛のセミロングヘアで、やや鋭い目付きの少女。家族は両親のほか、兄が一人いる。香取隊のオペレーターを務める染井とは家がとなり同士で、入隊前から仲のいい親友。傲岸不遜かつわがままで自信家な言動が目立つが、学業でも戦闘でも豊富な才能を持つ天才肌で、入隊から半年程度でマスタークラスにまでのし上がった。過去の近界民侵攻によって家が破壊されて瓦礫に埋もれていたところを染井に救われ、両親を失った彼女がボーダー入隊を決意したのを見て、自らも入隊を決意する。B級ランキング戦では試合前からメンバーとの口ゲンカが目立ち、周りを見下す発言をするなど連携がうまく取れないこともあったが、本来は仲間思いな性格をしている。また、遠征にも香取隊メンバーがいっしょでなければ無意味と言い張っている。主な使用トリガーは「スコーピオン」と拳銃型トリガーで、これらを活用した接近戦を得意としている。B級ランキング戦・第5戦でB級部隊「玉狛第2」とぶつかって以来、三雲修とは不仲気味。しかし遠征選抜試験では、修と同じ7番隊「諏訪隊」に所属する羽目になり、試験開始当初は修への愚痴や文句が目立っていた。10月18日生まれのみかづき座。身長は157センチで、血液型はO型。好きなものはゲーム、煎餅、友達、勝つこと。
村上 鋼 (むらかみ こう)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子高校生。鈴鳴支部所属のB級8位鈴鳴第一「来馬隊」の攻撃手を務める。初登場時の年齢は18歳。攻撃手個人ランク4位で、黒トリガー「風刃」使用者候補の一人でもある。明るい茶髪の短髪で、実直でストイックな性格をしており、大局的な視野の持ち主。睡眠を通して記憶を効率的に定着・整理して学習能力を大幅に高めるサイドエフェクト「強化睡眠記憶」を持ち、その日学んだ内容を睡眠によって自分の経験として取り込むことができる。何事も素早く上達できるが、これが原因で過去に仲間との人間関係に亀裂が生じたり、他人の努力を盗んでいるような罪悪感に悩んだりすることもあった。師匠の荒船や隊長の来馬の励ましを受けてからは、見たことのある相手の行動に短時間で対応するなど、自らのサイドエフェクトを戦いに生かしている。大規模侵攻では仲間が合同部隊と合流するための時間稼ぎを引き受け、複数のトリオン兵と戦い、立川慶の到着まで持ちこたえた功績を評価され、二級戦功を上げた。主な使用トリガーは「弧月」と「レイガスト」で、攻守共にスキのない使い分けを得意としている。
那須 玲 (なす れい)
防衛組織「ボーダー」に所属する女子高校生。女子のみで構成されたB級12位「那須隊」の隊長と射手を務める。初登場時の年齢は17歳。病弱だがトリオンに関する研究に協力するためにボーダーに入隊し、トリオン体のときは俊敏さと機動力を生かして優秀な動きを見せる。部隊のエースとしても活躍しており、単独でも高い戦闘力を誇る。B級ランキング戦・第3戦ではB級部隊「玉狛第2」、鈴鳴第一とぶつかり、暴風雨の河川敷のマップを選択することで鈴鳴第一を封じる作戦に出た。しかし雨取千佳の砲撃で切札が破壊され、空閑遊真に遭遇した頃にはトリオンが切れて敗北してしまう。ガロプラ侵攻の際はボーダーの遠征艇を狙う敵と戦い、遠征艇を死守することに成功した。使用トリガーは「バイパー」と合成弾「トマホーク」で、通常とは異なり戦況に応じたリアルタイムの弾道を設定して攻撃するという、希少な技術を習得している。これを生かした全方位攻撃は「鳥籠」と呼ばれている。
諏訪 洸太郎 (すわ こうたろう)
防衛組織「ボーダー」に所属する男子大学生。接近戦を得意とするB級10位「諏訪隊」の隊長と銃手を務める。初登場時の年齢は21歳。喫煙者で、よくタバコを咥(くわ)えている。口が悪い不良で、挑発的な言動も多く、よく声や態度を荒らげている。大規模侵攻ではハイレインによってキューブ化されるものの、復帰してからすぐにエネドラを訓練室に誘い、味方に敵の能力と対策を考えさせるための時間稼ぎに貢献していた。B級ランキング戦では第2戦でB級部隊「玉狛第2」とぶつかり、狙撃に気づかず飛び出した仲間を制止したり自らがおとりになったりなど、隊長として優秀な面を見せた。ガロプラ侵攻の際は、現場最年長として基地周辺の迎撃部隊の指揮を任され、二宮隊や木崎レイジたちと連携して敵を退ける。遠征選抜試験では臨時部隊のリーダーに指名され、7番隊「諏訪隊」の隊長となる。ほかのメンバーは勘を頼りに三雲修、香取葉子、隠岐を指名し、クジ番号があらかじめ操作されていた可能性にも気づいていた。戦闘では散弾銃型のトリガーを使用する。好きなものは推理小説、ビール、麻雀。
天羽 月彦 (あもう つきひこ)
防衛組織「ボーダー」に所属するS級隊員の少年で、万能手。初登場時の年齢は16歳。迅悠一をも上回る戦闘力を持つとされるが、ふだんの素行に問題があり、トリガー使用時の見た目がおぞましいことなどから、頼りになる一方で上層部の一部からは恐れられている。このため滅多に任務に出ることはなく、使用トリガーや能力の詳細は謎に包まれている。大規模侵攻では無人の町に集められた大量のトリオン兵を建物もろとも破壊し、悠一の担当区域にも加勢していた。どちらの区画でもトリオン兵を全滅させた功績を高く評価され、特級戦功を上げた。相手の強さをはじめとする情報を、色で認識できる不思議なサイドエフェクトを持つ。
城戸 正宗 (きど まさむね)
ボーダーの頂点に立つ、最高司令官。40代前半の男性。近界民を強く憎み、遊真には冷徹に接するが、ボーダーの強化や近界民への対抗という目的が一致する場合には、多少の融通を見せる。
忍田 真史 (しのだ まさふみ)
防衛組織「ボーダー」の本部長を務める男性。初登場時の年齢は33歳。黒髪短髪でふだんはスーツ姿だが、戦闘時は黒のロングコートを着用している。何よりも街の防衛が第一という信条で本部長を務めており、近界民に対しても中立を貫く専守防衛的な考えを持つ「忍田派」という派閥を率いる。正義感が強く良識ある人物で、隊務規定違反をしながらも市民を守ろうとした三雲修の勇気ある行動を評価し、当初から彼の処罰に反対していた。太刀川慶に剣術を伝授した彼の師でもあり、黒トリガーを使わずともノーマルトリガーだけで、攻撃手として最強クラスの戦闘力を誇る。現在は落ち着いた性格になっているが、若い頃はいくつものトラブルを起こしていたやんちゃな青年だった。空閑有吾には恩義があり、彼の息子である空閑遊真が城戸派に狙われているのを察知し、遊真を守るための救援策として、自らの派閥に属する嵐山隊を差し向けていた。大規模侵攻では指揮官をしていたが、本部基地に侵入したエネドラを止めるべく自ら出撃し、彼を追い詰めて本部襲撃を防いだ。主な使用トリガーは「弧月」で、エネドラが大量に作り出したダミーを次々と斬って破壊するほどの剣速を誇る。
林藤 匠 (りんどう たくみ)
防衛組織「ボーダー」に所属する男性。玉狛支部の支部長を務める。初登場時の年齢は34歳。黒髪短髪で眼鏡をかけている。迅悠一たちの直属の上司で、彼に似てひょうひょうとした性格をしている。空閑有吾に恩義を抱いており、空閑遊真を保護して安全を守るために玉狛支部に勧誘した。かつては風間蒼也の兄である「風間進」の師匠をしていたことがある。愛煙家。
鬼怒田 本吉 (きぬた もときち)
防衛組織「ボーダー」の本部開発室長を務める中年の男性。初登場時の年齢は48歳。城戸派の一員。タヌキを思わせる風貌で、小太りな体型をしている。高慢で不遜な態度が目立つが、「門」誘導システムを開発したりトリガーの量産を進めたりなど、数多くの功績を上げて防衛体制の強化に貢献してきた優秀な開発者。ボーダー上層部の一人だが、当初は空閑遊真を含めた厄介事を複数持ち込んでいた三雲修を毛嫌いしていた。実はバツイチで、離れて暮らす中学生の娘がいる。娘と年の近い雨取千佳のことを当初から気に入り、彼女には親心のような感情を抱いて何かと贔屓することもある。
林藤 陽太郎 (りんどう ようたろう)
玉狛支部で暮らす男児。初登場時の年齢は5歳。表向きは林藤匠の親戚ということになっている。カピバラの雷神丸をいつも連れ歩いており、時には背中に乗って移動している。動物と会話できるサイドエフェクトを持つが、意思疎通ができるだけで雷神丸を含む動物の大半には従ってもらえずにいる。三雲修たちによってB級部隊「玉狛第2」が結成されたあとは、彼らに対して先輩を自称しながら世話を焼こうとする。捕虜になったヒュースとは仲がよく、何かと彼を心配したり気にかけたりしている。その正体は、旧ボーダーと同盟国関係だった近界の国「アリステラ」の王子で、姉の忍田瑠花と共に三門市に逃げ、忍田真史たちの力を借りながらボーダーの一員として暮らすようになった。
雷神丸 (らいじんまる)
林藤匠がどこかから拾ってきた謎のカピバラ。林藤陽太郎と共に玉狛支部で暮らしており、彼からは犬だと思われている。玉狛支部のメンバーからはオスだと思われているが、実際はメスである。いつも相棒の陽太郎と行動を共にしており、彼を背中に乗せて移動していることもあるが、彼の命令を聞くことはほとんどない。見た目はただの動物だが、その正体は旧ボーダーと同盟関係にあった近界の国「アリステラ」の母(マザー)トリガーと直結する「冠トリガー」の一種であり、使命は陽太郎を守ること。
忍田 瑠花 (しのだ るか)
林藤陽太郎の姉。黒のロングヘアで、表向きは忍田真史の親戚ということになっている。その正体は、旧ボーダーの同盟国だった近界の王国「アリステラ」の王女。現在は防衛組織「ボーダー」本部で活動していることが多いが、たまに玉狛支部を訪れては、弟の陽太郎と遊んでいる。5年前にアリステラが滅んだ時に、アリステラの核となっていた母(マザー)トリガーを継承し、本部に持ち込まれたこの母トリガーを動かすことで、ボーダーの発展に協力してきた。ボーダーの協力によって自分と陽太郎が無事に生き延びられたことから、特に真史と外務・営業部長の唐沢には恩義を感じている。
ミカエル・クローニン
玉狛支部に所属するエンジニアの男性。ほかの部隊と共にスカウトに出ていたが、B級ランキング・第7戦の前に支部に帰還した。古風な表現や呼称を多用する。表向きはカナダ人ということになっているが、その正体は近界民であり、玉狛支部メンバーと東春秋のように遠征経験のあるボーダー隊員以外は、その事実を知らない。のちに玉狛支部の一員となったヒュースの正体を隠すため、彼とは親戚関係ということになった。
林藤 ゆり (りんどう ゆり)
玉狛支部に所属するオペレーターの女性で、林藤匠の姪。ロングヘアをポニーテールにまとめている。ミカエル・クローニンと共にスカウトに出ていたが、B級ランキング・第7戦の前に支部に帰還し、三雲修たちと対面した。旧ボーダーにも詳しい古株で、支部内の部屋に置かれていた写真を見た修に、旧ボーダーと玉狛支部の過去を語っている。
雨取 麟児 (あまとり りんじ)
雨取千佳の兄。かつて三雲修の家庭教師を務めていた。防衛組織「ボーダー」と無関係な一般人だが、トリオン兵に狙われやすい千佳のために鳩原未来の協力を得てトリガーを入手し、近界への「門」を探るうちに行方不明となる。失踪当時の年齢は20歳。失踪する前に千佳の抱える悩みについて修に相談しており、自分に何かあったときは代わりに千佳を守ってほしいと依頼していた。
空閑 有吾 (くが ゆうご)
『ワールドトリガー』の登場人物で遊真の父。ボーダー設立に関わった人物で、城戸正宗とは同期。遊真、レプリカと共に近界を旅していたが、瀕死の重傷を負った遊真を救うため自分の全トリオンで遊真の肉体を構成し、その引き換えに死亡した。遊真は有吾の命を復元する手がかりを求めてボーダーを訪ねたが、ボーダーの技術でもそれは不可能とされている。
最上 宗一 (もがみ そういち)
空閑有吾の友人で、迅悠一の恩師だった男性。故人。防衛組織「ボーダー」創設メンバーの一人でもある。かつては有吾のよきライバルでもあった。空閑遊真は死ぬ間際の有吾の言葉に従い、最上宗一に会うために近界からやって来たが、宗一が数年前に亡くなっていたために対面は叶わなかった。悠一が使用している黒トリガー「風刃」のもともとの使用者でもある。
ハイレイン
アフトクラトルの遠征部隊の隊長を務める近界民の男性。アフトクラトルに君臨する「四大領主」の一人でもある。初登場時の年齢は29歳。慎重な性格で、陽動や相手の分断を中心とする作戦が多い。大規模侵攻ではヴィザをはじめとする侵攻隊隊員を率いて三門市に攻め入り、防衛組織「ボーダー」と激闘を繰り広げる。膨大なトリオンを持つ雨取千佳を狙ってA級隊員を撤退させ、三雲修を追い詰める。しかし、アフトクラトル側の遠征艇を攻撃したレプリカや空閑遊真の攻撃、さらには修の作戦によって撤退を余儀なくされる。使用トリガーは魚や鳥をはじめとする卵生成物の形をした弾丸を放つ「卵の冠(アレクトール)」で、弾に触れた者をキューブに変えて捕獲することができる。この方法でC級隊員を複数連れ去っているが、一番の狙いだった千佳の捕獲は叶わなかった。身長は180センチ。
ミラ
アフトクラトルの遠征部隊に所属する近界民の女性。オペレーターを務める。初登場時の年齢は23歳。任務を冷酷かつスムーズに遂行する、従順でクールな性格をしている。空間移動向けの黒トリガー「窓の影(スピラスキア)」を使用し、「門」とよく似た「窓」を展開することで人や物体を移動させることができる。うまく活用すれば、味方の攻撃や黒い棘を窓越しに移動させて打ち出して奇襲したり、相手の攻撃を跳ね返したりもできる。大規模侵攻ではハイレインと行動を共にしながらあちこちに移動して暗躍し、防衛組織「ボーダー」を追い詰め、本部基地で追い詰められたエネドラにとどめを刺した。しかし、レプリカにアフトクラトルの遠征艇を操作され、撤退する羽目になる。身長は162センチ。
ヴィザ
アフトクラトルの遠征部隊に所属する近界民で、老齢の男性。初登場時の年齢は65歳。短髪のオールバックと糸目が特徴で、戦闘時も落ち着いている紳士のような老人だが、国宝級の攻撃用黒トリガー「星の杖(オルガノン)」を使いこなす戦闘経験豊富な剣の達人で、ヒュースに剣術を教えたこともある。誰にでも敬語で話し、卑怯な手段は好まずに戦う相手にも敬意を示す。通称「ヴィザ爺」。大規模侵攻では木崎レイジを撃破するものの彼の攻撃で脚を損傷し、そのまま空閑遊真と交戦する。星の杖による猛攻で遊真を追い詰めるが、二重トリオン体を活用した遊真の不意打ちの前に敗北し、撤退を余儀なくされる。身長は176センチ。
ランバネイン
アフトクラトルの遠征部隊に所属する近界民の男性で、ハイレインの弟。初登場時の年齢は24歳。大柄な体格で色黒肌を持ち、豪快で好戦的な性格をしている。射撃用のトリガー「雷の羽(ケリードーン)」を使用し、砲撃や連続射撃に高速飛行など幅広い使い分けが可能。トリガーによるシールドでは防御しきれないほどの攻撃力を誇り、ボーダーの射撃用トリガーの性能を大幅に超えている。大規模侵攻ではB級隊員を追い込むものの、加勢したA級隊員に追い込まれ、ボーダー隊員たちの連携に翻弄されて敗北し、撤退を強いられる。身長は202センチ。
ヒュース
アフトクラトルの遠征部隊に所属する近界民の少年。初登場時の年齢は16歳。明るい茶髪の短髪で、生真面目な性格をしている。最新鋭のトリガーである「蝶の楯(ランビリス)」を使いこなし、若くしてトリオンの拡張性と安定性においても過去最高クラスの優秀な使い手。大規模侵攻では迅悠一と交戦するが、当初からハイレインによって置き去りにされる予定であり、彼らの撤退後は一人だけ三門市に残され、ボーダーに捕えられる羽目になる。その後は捕虜として玉狛支部に軟禁されていたが、ガロプラ侵攻時に脱出してレギンデッツに会って帰還を試みた際に、母国に見捨てられたことを悟る。母国はもちろん、一般市民だった自分を拾って育ててくれたエリン家への忠誠心が強く、捕虜となったあとも母国の情報提供は頑なに拒否し、あくまで他国の情報を話すだけにとどめている。その後は母国に帰って主人に会うことを目標に、三雲修たちの助けを借りながら上層部との交渉を成功させ、ボーダーに入隊。この際に次期遠征に同行するときは、アフトクラトルまでは案内役を務めることを約束している。B級ランキング戦・第6戦には間に合わなかったものの、入隊初日にB級隊員に昇格し、次の第7戦では正式にB級部隊「玉狛第2」の新メンバーとなる。これ以降は空閑遊真に続く二人目のエースとして攻撃手を務め、ボーダーのトリガーもすぐに使いこなし、彼と連携しながら期待以上の活躍を見せ、ボーダー内で注目を集めるようになる。その正体が近界民であることは玉狛支部メンバーとごく一部のボーダー隊員しか知らず、表向きはミカエル・クローニンの親戚のカナダ人ということになっている。入隊後もまじめな性格は変わっておらず、同じ近界民の遊真はよき理解者となっており、入隊前から世話をしてくれた林藤陽太郎とも仲がいい。ボーダー入隊後の主な使用トリガーは「弧月」で、部隊に足りない要素を補えるトリガーとして「エスクード」と「バイパー」も使用している。身長は171センチ。好きなものは任務を遂行すること、忠義を果たすこと、絵を描くこと、犬。
エネドラ
アフトクラトルの遠征部隊に所属する近界民の青年。年齢は20歳。黒髪長髪で、ボーダー隊員たちのことを「玄界(ミデン)の猿」呼ばわりして見下している。気性が荒く非常に好戦的だが、戦闘時は柔軟な発想で戦う。元は聡明な少年だったが、移植された角型トリガーの「トリガーホーン」の根が脳にまで到達した影響で右目が黒く染まり、性格が荒れたのもこれらの影響である。攻撃用の黒トリガー「泥の王(ボルボロス)」を使用し、全身の形状を変化させたり、ダミーを大量作成したりすることもできる。大規模侵攻では防衛組織「ボーダー」の本部基地に侵入して暴れ回るが、諏訪隊の策略で攻撃までラグの発生しやすい「泥の王」の弱点を見破られる。ダミーを大量作成して対抗するものの、駆けつけた忍田真史にダミーをすべて斬られ、追い詰められる。ミラに助けを求めるが、命令違反や素行不良を指摘され、「泥の王」を回収されたうえで彼女に始末された。基地に残った遺体はボーダーに回収されており、トリガーホーンをトリオン兵の「ラッド」に移植して人格・記憶をバックアップされる形で復活。これ以降は「エネドラッド」として、文句や反抗的な態度を見せながらも、ボーダーに近界の情報を提供しており、自分を切り捨てたアフトクラトルには復讐心を抱いている。身長は182センチ。
ガトリン
アフトクラトルの属国「ガロプラ」遠征部隊の隊長を務める近界民の男性。初登場時の年齢は35歳。家族は妻と幼い息子がいる。大柄で筋肉質な体格で、額には大きな傷痕がある。硬質な4本のアームを背中から展開して戦うトリガー「処刑者(バシリッサ)」を使用する。アフトクラトルから防衛組織「ボーダー」の遠征を足止めするように命じられ、ボーダー側の恨みを買わないように注意しながら隊長として指揮を執り、任務を遂行しようとする。トリオン兵に紛れてボーダー基地に潜入して遠征艇を狙うが、太刀川慶をはじめとするA級の精鋭たちに返り討ちにされ、失敗に終わる。しばらくは部下たちと共に三門市にとどまっていたが、玉狛支部と交渉したラタリコフの意思に従い、玉狛支部と同盟関係になる。身長は189センチ。
ラタリコフ
アフトクラトルの属国「ガロプラ」遠征部隊の副隊長を務める近界民の青年。初登場時の年齢は17歳。黒のスポーツ刈りで、冷静沈着な性格をしている。ボーダー本部強襲組に加わり、ガトリンの援護をしつつA級の精鋭たちと交戦する。土星のような円環状の刃をまとった球体を多数展開するトリガー「踊り手(デスピニス)」を使用し、攻守ともに優れている。任務の失敗後はガトリンと共に撤退するが、三門市を散策中に遭遇した迅悠一、林藤匠との交渉の結果、ボーダーの遠征隊を狙う任務から手を引くことになる。この条件として、ボーダー側の遠征を50日程度遅らせるという約束を匠と交わしており、ガトリンたちと話し合った結果、玉狛支部と同盟を結ぶ決意を固めた。その正体はガロプラの第4皇子で、本名は「オルカーン・マーダック」。訳あって祖国からは逃亡しており、ガトリンの部下のフリをしている。
レギンデッツ
アフトクラトルの属国「ガロプラ」遠征部隊に所属する近界民の青年。初登場時の年齢は17歳。肩まで伸びた明るい茶髪の長髪で、愛称は「レギー」。母国のガロプラがアフトクラトルを侵攻した際にハイレインたちに遭遇したことがあり、彼らのことは心底嫌っている。骨のような形状の剣を肩から出せるトリガー「竜剣(テュガテール)」を使用する。防衛組織「ボーダー」の基地外部で仲間と共にボーダー隊員の妨害や陽動を担当していたが、失敗に終わる。その中でアフトクラトルへの帰還を目指すヒュースと遭遇するものの要望を断り、彼のトリガーによって攻撃されて撤退する羽目になる。任務の失敗後にラタリコフと共に三門市を散策中、玉狛支部に遭遇して交渉を持ちかけられる。
集団・組織
ボーダー
正式名称は「界境防衛機関」。トリガーやトリオンを活用してトリオン兵や近界民と戦う、日本の民間防衛組織。三門市に近界からの「門(ゲート)」が現れ近界民の襲撃を受けて以来、三門市に本部や支部を置いて、市民の安全を守っている。最初の近界民侵攻から数年のあいだに、トリガーをはじめとする近界の技術を解析・研究しながら準備を進めていき、4年半前の第一次近界民侵攻をきっかけに組織としての存在を明らかにし、公に活動するようになった。最高司令官は城戸正宗が務めており、活動資金の大半は民間のスポンサーから調達している。襲撃の被害を受けた民間人への補償をするなど、三門市から人口が流出しないよう尽力しているのもあって市民からの信頼は厚いが、大規模侵攻のあとはマスコミから疑念を向けられることがあった。本部の基地は三門市立第三中学校の近くにある非常に巨大な建物で、トリオンによって作られた強力な壁で覆われている。内部にはボーダー隊員の訓練施設のほかに門の誘導装置が設置されているため、基地の周囲は一般人が立ち入れない危険な警戒区域となっている。トリガーやトリオンに関するさまざまな技術のほかにも人の記憶を消す技術を持ち、隊員に保護された一般人は、機密保持のために記憶を消去されることがある。第一次近界民侵攻が起こる前の防衛組織「ボーダー」は「旧ボーダー」と呼ばれていることがあり、創設時のメンバーには正宗、空閑有吾、最上宗一の三人がそろっていた。その頃の本部は現在の玉狛支部にあり、近界民とも交流・協力し合っていたが、5年前に近界の戦争に参戦した際に初期メンバーの半数を失った。
玉狛支部 (たまこましぶ)
『ワールドトリガー』に登場する、防衛組織ボーダーの支部。林藤支部長の下、独自に開発したトリガーと優秀な隊員により、小規模ながらボーダー最強とも言われるチームを有する。迅が所属しており、のちに修、遊真、千佳が入隊する。メンバーの多くが近界へ行ったことがあり、近界民がいたこともあるため、近界民には穏健な対応をしている。
玉狛第2 (たまこまだいに)
防衛組織「ボーダー」玉狛支部に所属する、B級21位の部隊。三雲修が隊長を務めるため、「三雲隊」と称されることもある。結成当初のメンバーは隊長の修、空閑遊真、雨取千佳の三人。大規模侵攻後に正式に結成され、近界への遠征が許されるA級部隊への昇格を目指している。A級に匹敵する能力を持つエースの遊真を、修と千佳が「スパイダー」や「アイビス」といったトリガーで援護するという戦法を得意としている。のちに捕虜だったヒュースが加入して強化され、B級ランキング戦を勝ち抜いてB級2位にまで昇格を果たした。
場所
近界
『ワールドトリガー』における、異世界の呼称。空間のほとんどを果てしない暗黒が占めており、その中で星のように浮かぶ国々が点在している。国々は決まった軌道をもって動き、接近した時に行き来することができるとされている。
三門市 (みかどし)
『ワールドトリガー』の主な舞台となる都市。人口は28万人。地球上で唯一近界からの侵攻を受ける土地とされている。近界民に対抗する防衛組織ボーダーが本部を構えたことにより、時々小規模な侵攻があるにもかかわらず、多くの一般人がそのまま生活している。
アフトクラトル
『ワールドトリガー』に登場する、近界の国のひとつ。レプリカが保有している情報においては、近界最大級の軍事国家とされている。新型のトリオン兵「ラービット」をもって三門市に大規模侵攻をかけた。トリガー使いには外科手術で角状の器官が植え付けられ、強大な戦闘能力を発揮する。
その他キーワード
トリガー
トリオンによって起動する武器の総称であり、剣や銃など用途に応じた様々な種類が存在する。トリガー起動時は使用者の肉体がトリオンによる体と入れ替わり、通常よりも身体能力が向上する上、ダメージを受けても本来の肉体は無傷でいられる。高いトリオン能力を持つ者が命と引き換えに生み出す黒トリガーも存在し、通常のトリガーとは一線を画す性能を発揮する。
レプリカ
『ワールドトリガー』に登場する、炊飯器ほどの大きさの黒い物体。遊真のお目付け役として有吾に作られたトリオン兵であり、知性と自らの意志を持つ。情報や、異なる文明の技術を解析する能力を持ち、戦闘や日常生活で遊真をサポートしている。体は変形可能で、「子機」と呼ばれる分身を作ることも可能。
トリオン兵 (とりおんへい)
『ワールドトリガー』に登場する、生物のような兵器。「兵隊人形」とも呼ばれる。生体エネルギーであるトリオンで作られており、地球上の通常兵器での攻撃は効果が薄いとされている。捕獲用、爆撃用、隠密偵察用など、用途に応じて数種類が存在する。これらトリオン兵のみが現れていた頃の地球では近界民と呼ばれていた。
サイドエフェクト
『ワールドトリガー』に登場する、人間の特殊能力。トリオン能力が高い者に、まれに発言するとされている。超能力のように見られることもあるが、「聴覚が極端に鋭くなる」などのような、人間の能力の延長線上にあるもの。例えば遊真のサイドエフェクトは「人の嘘を見抜く」というもの。
トリオン
『ワールドトリガー』に登場する生体エネルギー。人間は誰でも「トリオン器官」という見えない内臓を持っており、そこからトリオンが生み出されるとされている。武装となるトリガーの起動や、建造物の材料、トリオン兵の製造など、その利用法は多岐にわたる。
近界民 (ねいばー)
『ワールドトリガー』に登場する用語。地球とは異なる世界、近界に住む知的生命体を指す。地球人とほぼ同じ姿を持つ。近界に人間がいると知られていない頃は、トリオン兵が「近界民」と呼ばれていた。
ボーダー隊員 (ぼーだーたいいん)
防衛組織「ボーダー」に所属する隊員の通称。戦闘の補助を担当するオペレーター以外は戦闘員と呼ばれ、その人数は約600名。それぞれの階級に合わせた部隊に所属し、その多くはボーダー本部に所属しているが、玉狛支部などの支部に所属している部隊もある。戦闘員は特技やトリガーなどに合わせて攻撃手(アタッカー)、銃手(ガンナー)、射手(シューター)、狙撃手(スナイパー)、万能手(オールラウンダー)、特殊工作兵(トラッパー)、観測手(スポッター)といった役割を与えられる。黒トリガーを持つ者はS級で、それ以下はA級、B級、訓練生のC級に大きく分かれている。無許可の戦闘を禁じられたC級隊員以外は、正隊員として街の防衛任務を担う。B級以上の隊員のトリガーには緊急脱出(ベイルアウト)の機能が付いており、実戦・模擬戦を問わずトリオンを基に作られたトリオン体という戦闘体を激しく損傷すると、強制的に戦闘から離脱するようになっている。隊服はC級隊員のみ全員同じだが、正隊員であるB級以上の隊服は、部隊ごとに異なるデザインの隊服を着用し、部隊の象徴となるエンブレムもデザインされている。近界民に対する意識や対応によって城戸派、忍田派、玉狛支部といった三つの派閥に大きく分かれており、近界民殲滅(せんめつ)を目指す城戸派はいわゆる過激派であり、当初は空閑遊真を危険視して命を狙うこともあった。隊員の守るべきルールは隊務規定としていくつも定められているため、C級隊員が本部以外でトリガーを使うことや、規定以外で戦闘することは禁じられている。特に民間人へのトリガーの流出は固く禁じられており、違反者は除隊処分や記憶封印などの処罰が下される。ただし、C級だった頃の三雲修の活躍をきっかけに一部の規定が見直され、C級は緊急時のみトリガーを使用可能になった。
黒トリガー (ぶらっくとりがー)
トリオンや生命を注いで作られる特殊なトリガー。ノーマルトリガーよりも強力だが作った者の人格が反映されるため、使いこなせる者は少なく、黒トリガーごとに相性がある。迅悠一をはじめ、防衛組織「ボーダー」では、黒トリガーの使用者をS級隊員として扱っている。ボーダーにおいては悠一が使っていた「風刃」が代表的だが、彼が本部に返却したあとは新たな使用者は選定中となっており、何人かの候補者が挙がっている。
書誌情報
ワールドトリガー 27巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2013-07-04発行、 978-4088708096)
第2巻
(2013-09-04発行、 978-4088708416)
第3巻
(2013-12-04発行、 978-4088708638)
第4巻
(2014-02-04発行、 978-4088800295)
第5巻
(2014-04-04発行、 978-4088800608)
第6巻
(2014-06-04発行、 978-4088801315)
第7巻
(2014-09-04発行、 978-4088801773)
第8巻
(2014-10-03発行、 978-4088801957)
第9巻
(2015-01-05発行、 978-4088802961)
第10巻
(2015-03-04発行、 978-4088803326)
第11巻
(2015-06-04発行、 978-4088803685)
第12巻
(2015-09-04発行、 978-4088804637)
第13巻
(2015-12-04発行、 978-4088804996)
第14巻
(2016-03-04発行、 978-4088806297)
第15巻
(2016-06-03発行、 978-4088806877)
第16巻
(2016-09-02発行、 978-4088807775)
第17巻
(2016-12-02発行、 978-4088808222)
第18巻
(2017-03-03発行、 978-4088810218)
第25巻
(2022-09-02発行、 978-4088831732)
第26巻
(2023-06-02発行、 978-4088834610)
第27巻
(2024-05-02発行、 978-4088838526)
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