ワールドトリガー

ワールドトリガー

近界からの脅威にさらされる都市三門市で、防衛組織ボーダーに所属する少年三雲修と近界から来た少年ユーマの二人を中心に、ボーダーに関わる人々の戦いと、様々な思惑が描かれる。テレビアニメ化されている。

正式名称
ワールドトリガー
作者
ジャンル
SF一般
 
アクション一般
レーベル
ジャンプ・コミックス(集英社)
巻数
既刊18巻
関連商品
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世界観

舞台は現代日本にある架空の都市三門市。約4年前に異世界から侵攻してくる怪物近界民の大規模な侵攻を受けた三門市は、近界民への対策を秘密裡に進めていた組織ボーダーに救われ、近界民は撃退された。以後も三門市では小規模な近界民の襲撃が断続的に発生し、ボーダー三門市に本部を置いて近界民対策に務める。三門市側もボーダーを受け入れ、市民たちは概ね平穏な生活を送っている(実際は三門市以外でも世界各地で小規模な侵攻が起きているが認知されておらず、国際的にも三門市近界民対策の最前線と認識されている)。

ただし、現実には異世界にも惑星国家と呼ばれる多種多様な世界が存在し、それぞれに地球人と同様な知的生命がいるため、本来は近界民と一括りにすることはできない。しかし一部の惑星国家がトリオン兵と呼ばれる怪物を兵器として三門市に送り込んでいるものを、三門市側は近界民と呼称するままとなっている。のちに異世界の一つアフトクラトルからの侵攻で地球人と同様な姿の近界民が確認された後は、「人型近界民」という名称が用いられるようになった。

トリオン兵とはトリオンという生体エネルギーのような物で構成される擬似生命体であり、侵攻は地球人を攫ってそのトリオンを獲得するのが目的である。トリオン兵には地球の通常兵器では効果が薄いため、4年前の侵攻では大きな被害を受けた。しかしボーダーは秘密裡に近界民の技術を得ており、トリオンを利用した器具トリガーによってトリオン兵を撃退しうる力を得ている。このためボーダー近界民の一部と交流があるものの、4年前の大規模侵攻で被害を受けた構成員も多いことから、組織内での近界民に対する好悪は様々である。

作品が描かれた背景

作者・葦原大介へのインタビューによれば、『賢い犬リリエンタール』の連載を終了した後、次回作は少年誌という媒体をより意識し「勝負もの」を志向して構想が練られた。既存の競技を題材にするよりも「一からルールを考えたバトル物」という方向へシフトし、その条件に合う題材としてSFバトルというジャンルが選ばれるに至った。

この連載前に、プロトタイプとなる読み切り作品として『実力派エリート迅』が発表されている。この読み切りは『ワールドトリガー』の主要キャラクターである迅悠一の原型となるキャラクターを主人公として、近界民ボーダーの設定は既に登場していた。ちなみに、この『実力派エリート迅』が描かれる半年前に東日本大震災が起こっており、テレビでの報道が悪役のイメージに影響を与えたとされている。

もう一つの原形として、2009年に発表された読み切り『トリガーキーパー』が挙げられる。舞台は異星人がもたらした技術・トリガーによって繁栄した地球で、地球人の少年が異星人の少女と偶然出会い、トリガーの裏にある秘密に関わる。トリガー起動時のキーワード「トリガー・オン」など、この作品から『ワールドトリガー』に持ち込まれた要素も多い。

あらすじ

4年前から断続的に「近界」と呼ばれる異世界からの侵攻を受ける町、三門市。そこには防衛組織ボーダーが設置され、市民の生活を守っていた。三門市の中学生にしてボーダーのC級隊員・三雲修は、転校生で自らを近界民と称する少年空閑遊真と出会う。

ボーダー入隊編

異世界から現れるトリオン兵に対し、遊真の力を借りて撃破するが、C級隊員には認められない独断での戦闘を咎められる。迅悠一の取りなしで遊真、そして膨大なトリオンを持つため常にトリオン兵に狙われる少女・雨取千佳は、ボーダー玉狛支部に迎えられた。近界に連れ去られた兄と友人を探すことを望む千佳のため、遊真と、B級隊員に昇格したは三人でチームを組むことを決意する。

しかしボーダー上層部は遊真が持つ黒トリガーを危険視し、奪取しようとした。奪取作戦はによって失敗し、遊真千佳ボーダーに正式入隊。ボーダー上層部の遊真への姿勢も軟化する。

大規模侵攻

遊真千佳がそれぞれボーダー内で頭角を現していたある日、近界の国々の一つであるアフトクラトルからの大規模侵攻が勃発する。軍事大国であるアフトクラトルは新型のトリオン兵、強化されたトリガーとトリガー使い、そして複数の黒トリガーを用い、三門市全域を蹂躙する。その目的は、国土を維持するためトリオン能力の高い人間を見つけ、攫うことにあった。ボーダーは総力をあげて辛くもアフトクラトルの侵攻隊を撃退するが、その際に数十名が捕獲され、は重傷を負う。

B級ランキング戦

遊真千佳がB級隊員に昇格し、も復帰して、三人はボーダー内のB級チーム同士が戦うランキング戦に加わることになった。三人の目的は、近界と行き来するボーダーの遠征隊に加わること。そのためB級ランキングを制し、A級入りを目指す。

A級隊員に匹敵する遊真、人を撃つ事は苦手だが膨大なトリオンで大砲の如き狙撃をする千佳、戦術に工夫を見せるの活躍でB級下位、中位は突破するが、B級上位陣との戦いで総合力の不足が露呈する。

作風

前の連載『賢い犬リリエンタール』がハートフルなコメディであった事に対し、『ワールドトリガー』は連載開始時の作者コメントで「今回は厳しめの世界を描こうと思います」と宣言された。「異世界からの侵攻とそれに立ち向かう人間たち」が主題の本作は、その宣言通り、前作よりもシリアスな雰囲気で進行している。ただし、絵柄がバトル物としてはすっきりした線であること、日常生活シーンではコメディ的なやり取りも見られることもあって、重苦しい雰囲気になることは少ない。

刀や銃を模した武器によるバトルシーンが多いにも関わらず、陰惨さがあまり感じられないのも本作の特徴。その原因として、戦闘時の肉体がトリオンで出来た「トリオン体」に換装される設定が挙げられる。トリオン体での戦闘時に受けたダメージは元の肉体に影響せず、戦闘不能になった際は「緊急脱出(ベイルアウト)」という強制送還のシステムもある。このため、登場人物が両断や穴だらけにされる事があっても、死亡や重傷といった事態にはなりにくい(皆無ではない)。

ボーダー隊員の大部分は10代後半の少年少女(トリオン能力が年をとるごとに衰えるため、若い方が有利という理由づけが成されている)であり、数名のチーム分けや競技化された模擬戦による組織内対戦、そして日常での交流が描かれることで、多くの戦いがスポーツライクな性質を持っていることも、陰惨さの除去に役立っている。その反面、主人公チームといえどいわゆる「ご都合主義」でいきなり強くなり実力差のある相手に勝利するという展開にはなりにくく、連載開始時の「厳しめの世界」という姿勢は変わっていないと思われる。

特殊背景

ワールドトリガー』の主な舞台となる世界では、誕生日の星座が黄道十二星座の代わりに「はやぶさ座(3月21日~4月19日)」、「ねこ座(4月20日~5月20日)」といった独自の星座に置き換えられており、世界設定が完全に現実と同一でないことが分かる。

この独自の十二星座は、『賢い犬リリエンタール』でも用いられていたが、両作品の明確なリンクは現在のところ見られていない。『賢い犬リリエンタール』の主人公・リリエンタールがバッジの図案やヌイグルミとして小さく描かれている場面もあるが、ストーリーとの関係はなく、ファンサービスの粋を出ないものと思われる。

本作本編において、各登場人物はシリアスな雰囲気に合わせて等身を高く描かれているが、想像などのイメージシーンやアイコン的に描かれる場合は、ギャグ漫画調にデフォルメされた三頭身ほどの姿で描かれる。このデフォルメしたキャラクターはコミックスのカバーを取った表紙と裏表紙に数名ずつ描かれ、それぞれ作者による、真偽の定かでない冗談めかしたキャラクター紹介が添えられている。

ワールドトリガー』とぼんち揚げ

登場人物の一人・迅悠一が好物として持ち歩き、他人にも積極的に勧める菓子として、実在の菓子「ぼんち揚げ」が作中にたびたび登場する。これを受けて、製造発売元のぼんち株式会社とのコラボレーションが企画され、2014年春、『ワールドトリガー』描きおろしイラストによるパッケージのぼんち揚げが発売された。TVアニメ化と連動したキャラクター商品展開の一部ではなく、独立した企画である。

通常、ぼんち揚げの販売地域は関西に集中しているが、このコラボレーションぼんち揚げは期間限定ながら広範囲で販売された。

メディアミックス

TVアニメ

2014年10月よりテレビ朝日系列にて放送開始。発表された同年6月の時点では、連載が63話、コミックス最新刊が6巻という、かなり早い段階でのTVアニメ化だった。

原作のストーリーから大きな変更のないまま2015年9月(コミックスでは12巻相当)まで進行したが、原作の連載に追いついたため10月からはアニメ版オリジナルのストーリーが進行している。

作品独自の世界観や設定と用語が多いこともあって、番組の終わり(次回予告の直前)にはデフォルメした遊真たちによるミニコーナー「ワールドトリガーを100倍楽しむ講座」が挿入されている。

ゲーム

2015年10月の時点では、スマートフォン用のアクションゲーム『ワールドトリガー スマッシュボーダーズ』が配信、PlayStation Vita用のインターネット通信による協力&チーム対戦アクション『ワールドトリガー ボーダレスミッション』が発売されている。

作家情報

葦原大介:第75回手塚賞準入選作『ROOM303』で「週刊少年ジャンプ」デビュー。「週刊少年ジャンプ」での初連載は2009~2010年の『賢い犬リリエンタール』。2013年からの連載である本作が代表作となる。

登場人物・キャラクター

主人公

『ワールドトリガー』の主人公の一人。メガネをかけた男子中学生。学校ではボーダーのC級隊員であることを隠していたが、トリオン兵との戦いで暴露され、のちにB級隊員となる。体力・トリオンとも凡庸だが玉狛支部... 関連ページ:三雲 修

主人公

『ワールドトリガー』の主人公の一人。近界で育った少年だが、三門市の中学校に転入して修と知り合う。過去に近界で瀕死の重傷を負い、父から与えられたトリオンの体で生きている。一見小柄な少年だが豊富な戦闘経験... 関連ページ:空閑 遊真

主人公

『ワールドトリガー』の主人公の一人。三雲修と同じ中学の下級生。常人のそれを遥かに上回るトリオンを持ち、そのためよくトリオン兵の襲撃を受ける。過去、友人と兄が行方不明になっており、それを自分のせいと思い... 関連ページ:雨取 千佳

主人公

『ワールドトリガー』の主人公の一人。自らを「実力派エリート」と称する19歳のボーダー隊員。近界民について理解があり、遊真たちを保護するかのように玉狛支部へ引き入れた。過去に修をトリオン兵から救っており... 関連ページ:迅 悠一

木虎 藍

中学生のうちにボーダーのA級隊員となったエリート隊員の少女。ボーダーの広報を受け持つ嵐山隊の一員であり、一般人からの知名度が高い。同年齢への対抗意識が強く、修が評価されている時などはムキになりやすい。トリガーは拳銃型・ナイフ型を使いこなすオールラウンダー。

嵐山 准

19歳の男子大学生。ボーダーの広報を受け持つ嵐山隊の隊長であり、三門市ではメディアへの露出が多い。明朗で感情豊かな正義漢。嵐山隊は広報活動が多いため「容姿で選ばれたマスコットチーム」と呼ばれる事もあるが、その実力はA級上位チームと遜色ない。突撃銃型のトリガーを主に使うオールラウンダー。

三輪 秀次

ボーダーのA級チーム三輪隊の隊長。17歳の男子高校生。過去に姉をトリオン兵に殺されており、近界民への憎しみが非常に強い。主に拳銃型のトリガーを使い、着弾すると重りになる特殊な銃弾を用いて敵の動きを制限する戦法を得意とする。

城戸 正宗

ボーダーの頂点に立つ、最高司令官。40代前半の男性。近界民を強く憎み、遊真には冷徹に接するが、ボーダーの強化や近界民への対抗という目的が一致する場合には、多少の融通を見せる。

『ワールドトリガー』の登場人物で遊真の父。ボーダー設立に関わった人物で、城戸正宗とは同期。遊真、レプリカと共に近界を旅していたが、瀕死の重傷を負った遊真を救うため自分の全トリオンで遊真の肉体を構成し、... 関連ページ:空閑 有吾

集団・組織

界境防衛機関

『ワールドトリガー』に登場する組織。近界民による侵攻に対し、数年前からトリガーをはじめとする近界の技術を取り込み、準備を進めていた。近界民による4年前の三門市侵攻以来、同市に本部と支部を置いて市民の安... 関連ページ:界境防衛機関

玉狛支部

『ワールドトリガー』に登場する、防衛組織ボーダーの支部。林藤支部長の下、独自に開発したトリガーと優秀な隊員により、小規模ながらボーダー最強とも言われるチームを有する。迅が所属しており、のちに修、遊真、... 関連ページ:玉狛支部

場所

近界

『ワールドトリガー』における、異世界の呼称。空間のほとんどを果てしない暗黒が占めており、その中で星のように浮かぶ国々が点在している。国々は決まった軌道をもって動き、接近した時に行き来することができるとされている。

三門市

『ワールドトリガー』の主な舞台となる都市。人口は28万人。地球上で唯一近界からの侵攻を受ける土地とされている。近界民に対抗する防衛組織ボーダーが本部を構えたことにより、時々小規模な侵攻があるにもかかわらず、多くの一般人がそのまま生活している。

アフトクラトル

『ワールドトリガー』に登場する、近界の国のひとつ。レプリカが保有している情報においては、近界最大級の軍事国家とされている。新型のトリオン兵「ラービット」をもって三門市に大規模侵攻をかけた。トリガー使いには外科手術で角状の器官が植え付けられ、強大な戦闘能力を発揮する。

その他キーワード

レプリカ

『ワールドトリガー』に登場する、炊飯器ほどの大きさの黒い物体。遊真のお目付け役として有吾に作られたトリオン兵であり、知性と自らの意志を持つ。情報や、異なる文明の技術を解析する能力を持ち、戦闘や日常生活で遊真をサポートしている。体は変形可能で、「子機」と呼ばれる分身を作ることも可能。

トリオン

『ワールドトリガー』に登場する生体エネルギー。人間は誰でも「トリオン器官」という見えない内臓を持っており、そこからトリオンが生み出されるとされている。武装となるトリガーの起動や、建造物の材料、トリオン兵の製造など、その利用法は多岐にわたる。

近界民

『ワールドトリガー』に登場する用語。地球とは異なる世界、近界に住む知的生命体を指す。地球人とほぼ同じ姿を持つ。近界に人間がいると知られていない頃は、トリオン兵が「近界民」と呼ばれていた。

トリオン兵

『ワールドトリガー』に登場する、生物のような兵器。「兵隊人形」とも呼ばれる。生体エネルギーであるトリオンで作られており、地球上の通常兵器での攻撃は効果が薄いとされている。捕獲用、爆撃用、隠密偵察用など、用途に応じて数種類が存在する。これらトリオン兵のみが現れていた頃の地球では近界民と呼ばれていた。

トリガー

トリオンによって起動する武器の総称であり、剣や銃など用途に応じた様々な種類が存在する。トリガー起動時は使用者の肉体がトリオンによる体と入れ替わり、通常よりも身体能力が向上する上、ダメージを受けても本来... 関連ページ:トリガー

サイドエフェクト

『ワールドトリガー』に登場する、人間の特殊能力。トリオン能力が高い者に、まれに発言するとされている。超能力のように見られることもあるが、「聴覚が極端に鋭くなる」などのような、人間の能力の延長線上にあるもの。例えば遊真のサイドエフェクトは「人の嘘を見抜く」というもの。

書誌情報

ワールドトリガー =WORLD TRIGGER 既刊18巻 集英社〈ジャンプ・コミックス〉 連載中

第1巻 三雲修

(2013年7月発行、 978-4088708096)

第2巻 迅悠一

(2013年9月発行、 978-4088708416)

第3巻 空閑遊真

(2013年12月発行、 978-4088708638)

第4巻 迅悠一 2

(2014年2月発行、 978-4088800295)

第5巻 三雲修 2

(2014年4月発行、 978-4088800608)

第6巻 大規模侵攻

(2014年6月発行、 978-4088801315)

第7巻 大規模侵攻 2

(2014年9月発行、 978-4088801773)

第8巻 大規模侵攻 3

(2014年10月発行、 978-4088801957)

第9巻 大規模侵攻 4

(2015年1月発行、 978-4088802961)

第10巻

(2015年3月4日発行、 978-4088803326)

第11巻

(2015年6月4日発行、 978-4088803685)

第12巻

(2015年9月4日発行、 978-4088804637)

第13巻

(2015年12月4日発行、 978-4088804996)

第14巻

(2016年3月4日発行、 978-4088806297)

第15巻

(2016年6月3日発行、 978-4088806877)

第16巻

(2016年9月2日発行、 978-4088807775)

第17巻

(2016年12月2日発行、 978-4088808222)

第18巻

(2017年3月3日発行、 978-4088810218)

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